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カビと苔の違い|色・手触り・場所で見分ける3つのポイントと、外壁・ベランダの緑と黒の正体、落とし方

 

※この記事は2026年9月に、国立科学博物館、文部科学省「カビ対策マニュアル」、東京都保健医療局の公開情報をもとに内容を全面的に見直しました。

外壁やベランダの床が緑色になってきた。北側の壁に黒い筋がある。これはカビなのか、苔(コケ)なのか、どう落とせばいいのか。結論から言うと、カビと苔の違いは「光合成をするかどうか」で、見分けるポイントは色・手触り・場所の3つです。外壁やベランダの「緑」はコケや藻類のことが多く、「黒」は藻類の膜・カビ・汚れのどれかで、点状ならカビを疑います。

この記事では、カビ・コケ・藻類/地衣類の違い、色別の正体の見当のつけ方、見分ける3つのポイント、落とし方の順番(弱いものから)、そして繰り返さないために直す「水の通り道」を、国立科学博物館と文部科学省の公開資料をもとに整理します。

この記事で分かること

  • カビ(菌類)・コケ(植物)・藻類/地衣類の違い
  • 外壁・ベランダの緑・黒・白・赤茶、色別の正体の見当
  • 色・手触り・場所で見分ける3つのポイント
  • 落とし方の順番と、塩素系・高圧洗浄を使うときの条件
  • 繰り返さないために直す「水の通り道」と、家の中のカビとの関係

1. 結論:カビは菌類、苔は植物。見分けるのは色・手触り・場所

先に要点を3つにまとめます。

要点 内容
カビは光合成をしない菌類。コケは光合成をする植物。藻類も光合成をし、地衣類は菌類と藻類の共生体 カビは日陰でも汚れと水分があれば育つ。コケ・藻類は光と水がある面に出る(国立科学博物館・東京都保健医療局)
外壁・ベランダの「緑」はコケ・藻類が多く、「黒」は藻類の膜・カビ・汚れのどれか 緑で手で剥がれればコケ、薄い膜なら藻類。黒くて点状ならカビ、雨だれの筋なら汚れを疑う
落とすのは弱いものから。塩素系と高圧洗浄は最後に条件つきで どちらも塗装・目地・植栽を傷めることがある。落としたあと、水の通り道を直さないと戻る

2. カビ・コケ・藻類/地衣類は何が違うのか

図1 分かれ目は「光合成をするか」。カビは日陰でも育ち、コケ・藻類は光のある面に出る

カビ:光合成をしない菌類

東京都保健医療局のQ&Aによると、カビは菌糸と胞子からなる菌類で、湿度70%以上・温度10〜30℃で発生しやすく、垢・ペンキ・プラスチックまで栄養にします。光は必要ありません。だから、光の当たらない家具の裏や押入れの奥でも育ちます。色はほとんどが胞子の色で、同じアスペルギルス属でも黒・黄褐色・黄・白・緑と様々です。

コケ:光合成をする植物

コケ(蘚苔類)は植物で、光と水があれば育ちます。根の代わりに体の表面から水を吸うため、湿った面を好みます。北側の外壁の下部、日陰のブロック塀、ベランダの排水口まわりの目地に、緑〜黄緑のもこもこした形で出ます。手で剥がすと面ごと取れることが多いのが特徴です。

藻類と地衣類:硬い面に薄い膜や斑紋をつくる

藻類も光合成をする生物で、外壁やベランダの床に緑や黒の薄い膜をつくります。国立科学博物館の解説では、地衣類は菌類の菌糸と藻類(藍藻・緑藻)が共生した生物で、岩・樹皮・コンクリートなどのわずかな隙間を利用して生育し、不規則な外観で褐色などの色をもち、胞子で増えるとされています。墓石や古いブロック塀の灰色・橙色の斑紋がこれです。こすっても取れにくいのが特徴です。

3. 色別に見る、外壁・ベランダの汚れの正体

色から種類を断定する公的な整理はありません。ここでは「見当のつけ方」として整理します。

図2 色別の見当。緑はコケ・藻類が多く、黒は藻類・カビ・汚れのどれか。白は水に溶ければ無機物
正体の見当 確かめ方
コケ・藻類が多い。北側・日陰・湿った面 手で剥がれればコケ。薄い膜で剥がれなければ藻類
藻類の膜、カビ、排気ガスや雨だれの汚れ 雨だれの筋なら汚れ。点状に散っていればカビ。湿った面に薄く広がれば藻類
エフロレッセンス(コンクリート中の成分が表面で析出した白い粉)か、白カビ 水に入れて速やかに沈む・溶ければ無機物(文科省の判定法)。溶けなければカビの可能性
赤茶・橙 鉄さび、藻類・地衣類の一種、土ぼこり 輪のあるシミなら水の通り道。金属の近くならさび

白い粉については、文部科学省のカビ対策マニュアルに判定法があります。白い付着物を水に入れて速やかに沈殿・溶解すれば無機結晶で、カビではありません。農林水産省の資料では、エフロレッセンスはコンクリート中の水分が表面で蒸発し可溶成分が乾燥して生成する白い析出物で、品質への悪影響はないが水の移動に関連する、とされています。つまり白い粉は「そこに水が通っている」印です。

4. 見分ける3つのポイント:色・手触り・場所

ポイント カビ コケ 藻類・地衣類
黒・灰・緑・白。点状から広がる 緑〜黄緑 緑・黒・灰・橙の薄い膜や斑紋
手触り 粉っぽい、ふわふわ。こすると広がる もこもこ、葉のような構造。剥がれる つるつる、ぬめり、または硬い斑紋。取れにくい
場所 日陰でも出る。家具の裏、軒下、湿った木部 光と水のある面。北側外壁の下部、目地、排水口まわり 硬い面の表面。外壁、ブロック塀、墓石、ベランダ床

もう1つの見分け方は「日当たり」です。まったく光の入らない場所(床下、天井裏、家具の裏)に出ているものは、コケや藻類ではありえません。カビか、カビ以外の汚れです。逆に、日が当たる外壁に出ている緑は、ほぼコケか藻類です。

5. 落とし方の順番:弱いものから

図3 弱いものから順に。塩素系と高圧洗浄は塗装・目地・植栽を傷めることがあるので最後に条件つきで
  1. 水とブラシ。コケ・藻類はまず水で湿らせてから、柔らかいブラシでこすります。乾いたままこすると粉が舞い、吸い込みます。マスクと手袋を着けてください。
  2. 中性洗剤。残る膜は薄めた中性洗剤で。スプレーで吹きかけず、布やブラシに含ませます。文部科学省のマニュアルは、噴霧が胞子を吹き飛ばして汚染を広げるため不可としています。
  3. 塩素系は条件つき。黒い膜やカビに塩素系(次亜塩素酸ナトリウム)を使う場合、塗装の変色・金属の腐食・植栽への影響があるので、目立たない場所で試し、周囲の植木や金属に液がかからないようにします。酸性洗剤やエタノールと混ぜると塩素ガスが出ます(国民生活センター 2026年3月18日)。作業後はしっかり水で流します。
  4. 高圧洗浄は条件つき。塗膜・目地・シーリング・コーキングを傷めることがあります。古い外壁や目地の弱った場所は、低圧か手洗いにとどめてください。傷んだ目地から水が入ると、次は家の中のカビにつながります。
  5. 乾かして、水の通り道を直す。落としたあとに同じ場所が湿ったままなら、数か月で戻ります。次の章です。

市販の「コケ取り剤」「藻類除去剤」については、当社が確認した範囲で効果を数値で示した公的資料がないため、この記事では効果の程度を書きません。使う場合は製品の表示に従ってください。

6. 繰り返さないために直す「水の通り道」

よくある原因 直し方
雨どいの詰まり・破損で、外壁を雨水が伝う 雨どいを掃除・補修する。雨だれの筋がある壁は要確認
ベランダの排水口の詰まり、水はけの悪い床 排水口を掃除する。水たまりができる場所は勾配の問題
北側の壁に日が当たらず、乾かない 植栽や物置で風が止まっていないか。壁との間をあける
エアコンの室外機・ドレンホースの水が同じ場所に落ちる ホースを延ばして排水口へ導く
目地・シーリングの劣化から水がしみる 補修する。放置すると壁の内側でカビが育ち、室内側に出る

外壁のコケや藻類そのものは、家の中のカビとは別の生き物です。ただし、「その面がずっと湿っている」という事実は共通です。外壁の同じ場所が緑や黒になり続けるなら、その裏側の壁の中も湿っている可能性があり、室内側の壁紙にカビが出る前触れになることがあります。室内側に出たときの読み方は壁紙のカビ|見た目別の原因と自分で落とせる範囲で説明しています。

7. よくある質問

Q. ベランダの床の緑は、放っておくと危険ですか。

コケや藻類自体が人の体に害を及ぼすという公的資料は確認していません。実際に困るのは、濡れると滑ること、排水口を詰まらせること、そして「乾かない場所がある」というサインを見逃すことです。落としたうえで、水はけを直してください。

Q. 外壁の黒い汚れがカビかどうか、自分で確かめられますか。

雨だれの筋状なら汚れ、湿った面に薄く広がっていれば藻類、点状に散って広がっていればカビを疑う、というのが見当のつけ方です。断定するには検査が必要で、外壁については通常そこまでは行いません。室内側にカビ臭や黒い点が出ている場合は、カビ菌検査で室内の状態を確かめる意味があります。

Q. 塩素系のカビ取り剤を外壁全体にかけてもよいですか。

おすすめしません。塗装の変色、金属部分の腐食、植木や芝の枯れ、排水先への影響があります。使うなら部分的に、目立たない場所で試してから、周囲を養生して、最後に十分に水で流してください。

Q. お墓や石塀の黒ずみも同じ考え方ですか。

同じです。石の黒ずみはカビ・コケ・地衣類・風化のどれかで、石を傷めない順番があります。お墓のカビ取り|黒ずみの正体を見分けて、石を傷めずに手入れする順番にまとめています。

8. まとめ

カビは光合成をしない菌類、コケは光合成をする植物、藻類も光合成をし、地衣類は菌類と藻類の共生体です。外壁・ベランダの緑はコケ・藻類が多く、黒は藻類・カビ・汚れのどれか、白は水に溶ければ無機物。見分けるのは色・手触り・場所の3つで、落とすのは弱いものから、塩素系と高圧洗浄は最後に条件つきで。そして、落としたあとに水の通り道を直すことが、繰り返さない唯一の方法です。

外壁の緑や黒が、室内のカビにつながる前に

外壁の同じ場所が湿り続けている家では、壁の内側や室内側にカビが出ることがあります。MIST工法®カビバスターズ本部では、室内のカビの種類と量を調べる検査と、原因の特定から処置までを行っています。

参考資料

  • 国立科学博物館「地衣類の探究」(菌類の菌糸と藍藻・緑藻からなる/岩・樹皮・コンクリートのわずかな隙間で生育/胞子で増える)
  • 東京都保健医療局「食品衛生の窓」カビQ&A(菌糸と胞子/色はほとんど胞子の色/湿度70%以上・10〜30℃/垢・ペンキ・プラスチックも栄養)
  • 文部科学省「カビ対策マニュアル」基礎編・Q&A(白い付着物は水に入れて沈殿・溶解すれば無機結晶/噴霧器不可/保護具)
  • 農林水産省「農業水利施設の機能保全の手引き」参考資料(エフロレッセンス)
  • 国民生活センター「住宅用塩素系洗浄剤の使い方」(2026年3月18日)

※本記事は公的機関の公開情報をもとに一般的な情報を提供するもので、個々の建物の状態や洗浄結果を保証するものではありません。外壁材・塗装の種類によって適切な洗浄方法は異なります。症状に関する判断は医療機関にご相談ください。