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木造と鉄筋コンクリート造でカビの出方はどう違う?|水の出所・結露する面・構造別の点検箇所と、共通する対策の順番

 

※この記事は2026年9月に、文部科学省「カビ対策マニュアル」、国土交通省の住宅性能表示制度(劣化対策等級)、東京都の公開資料をもとに内容を全面的に見直しました。「木造は湿気に弱い」「鉄筋は丈夫」といった一般論ではなく、構造ごとに「水がどこから来るか」で整理しています。

「木造だからカビが出やすいのか」「鉄筋コンクリート(RC)なら大丈夫なのか」。この質問には、どちらにも出る、というのが答えです。ただし出る場所と理由が違います。結論から言うと、木造は「地面と壁の中に入る水」、RC造は「外に面した冷たい面の結露」がカビの主な出所で、点検する場所と対策の順番はそこから決まります。この記事では、カビが育つ条件は構造に関係なく同じであることを確認したうえで、構造別に出やすい場所・理由・点検箇所を整理します。

この記事で分かること

  • 木造とRC造で、カビの「水の出所」がどう違うか(結論の比較表)
  • 木造でカビが出やすい5か所と、国の劣化対策の考え方
  • RC造で結露が集中する面(北側・角・最上階・窓・地下)
  • 季節と住まい方で変わる出方(冬の結露・夏のエアコン周り)
  • 構造別の点検チェックリストと、共通する対策の順番

1. 結論:構造の違いは「水がどこから来るか」の違い

カビは構造を選びません。カビが育つ条件は「水分・栄養・温度・時間」で、木でもコンクリートでも、その条件がそろった面に出ます。違うのは、水がどこから来て、どこに溜まりやすいかです。

木造 鉄筋コンクリート(RC)造
水の主な出所 地面からの湿気、雨水や結露が壁の中に入る、水回りからの回り込み 外に面した壁・窓・天井の結露。地下や低地の湿気だまり。貫通部や亀裂からの漏水
溜まりやすい場所 床下・土台、外壁の内側、浴室周り、小屋裏、北側の押入れ 外壁に面した壁の内側(家具の裏)、北側・角部屋・最上階、サッシ周り、地下
出やすい季節 梅雨〜夏(湿気)、冬(北側の結露) 冬(冷たい面の結露)、夏(エアコン吹き出し口付近の湿気だまり)
最初に見る場所 床下の湿気と換気口、外壁の通気、浴室の周囲 北側の外壁に面した壁の裏、サッシの下枠、最上階の天井の隅
自分で対応できる範囲 表面のカビと、家具の配置・換気・湿度管理 同左。壁の中や躯体の結露は原因調査が要る

建物の構造による「カビの出やすさ」を比べた公的統計は、当社が確認した範囲では見つかりませんでした。したがって「木造のほうが○倍出やすい」といった数字はこの記事には書きません。書けるのは、公的資料が示す水の入口と、結露が起きる面です。

2. カビが育つ条件は、木でもコンクリートでも同じ

東京都保健医療局「食品衛生の窓」は、カビは湿度70%以上・温度10〜30℃で発育しやすく、栄養は澱粉や糖分だけでなく、垢・ペンキ・プラスチックまで利用すると説明しています。文部科学省「カビ対策マニュアル」は、施設の管理では湿度65%を監視値、60%以下を目標とし、「除菌だけでは繰り返す」と明記しています。

つまりコンクリートそのものはカビの栄養になりにくくても、表面に付いたホコリ・皮脂・塗料・壁紙の糊が栄養になります。木材は栄養にも水の通り道にもなります。この違いが、次の章の「出やすい場所」の違いにつながります。

条件 目安 出典
湿度 70%以上で発育しやすい/管理では65%監視・60%以下 東京都「食品衛生の窓」/文部科学省 カビ対策マニュアル
温度 10〜30℃で発育。凍結でも胞子は生存 東京都/文部科学省 基礎編
栄養 澱粉・糖分に加え、垢・ペンキ・プラスチックも 東京都「食品衛生の窓」
時間 条件がそろえば2〜3日で集落、1週間で胞子を放出 東京都「食品衛生の窓」

3. 木造でカビが出やすい5か所と、国の「劣化対策」の考え方

図1 木造の5か所は、住宅性能表示制度の劣化対策等級が対策している「水の入口」と一致する

国土交通省の住宅性能表示制度には「劣化対策等級」があり、木造住宅では構造の木部を「濡らさない・濡れても乾かす」ための基準が決まっています。等級3(最高等級)の考え方をそのまま、カビの点検箇所として使えます。

場所 水の入口 劣化対策等級3の考え方(国土交通省)
① 床下・土台 地面からの湿気 基礎の高さ400mm以上。床下を厚さ60mm以上のコンクリートか0.1mm以上の防湿フィルムで覆う。換気口(壁長4m以下ごとに有効面積300cm²以上など)
② 外壁の内側 雨水・結露が壁の中に入り、乾かない 地面から1m以内の部分は通気層構造など。軸組には防腐・防蟻の処理か耐久性の高い樹種
③ 浴室・水回りの周囲 継ぎ目から水が回る 浴室の防水(ユニットバス等)
④ 小屋裏 冬の結露、夏の熱 小屋裏換気(換気口の有効面積が天井面積の1/300以上など)
⑤ 北側の部屋・押入れ 日が当たらない面の結露、空気の滞留 (等級の対象外)文部科学省:壁から離す・湿度65%監視

築年数が古い木造で、床下換気口がふさがれている、基礎が低く地面に近い、外壁に通気層がない、というケースは珍しくありません。その場合、室内の表面をどれだけ処置しても、壁の中や床下の水は止まりません。木造で室内のカビが繰り返すときは、床下と外壁の通気をまず疑うのが順番です。

和室の畳・押入れについては和室の湿気とカビで、壁紙の見た目別の原因は壁紙のカビで詳しく扱っています。

4. RC造でカビが出やすい場所:外に面した「冷たい面」

図2 RC造は、外気に接する冷たい面で結露が起き、家具の裏や隅に集中する

RC造は気密性が高く、コンクリートは熱を伝えやすい材料です。文部科学省のマニュアル実践編は、施設のカビの原因として「断熱の不整」を挙げ、外壁に面した壁の内側に棚を近接させた場所でカビ被害が起きる事例、冬季に冷気が当たる場所での結露、夏季に送風装置(エアコンの吹き出し口)近傍に湿気だまりができることを記しています。東京都「住居とアレルギー疾患」も、北向きで気密性の高い部屋は結露しやすいとしています。

場所 理由 出典
外壁に面した壁の内側(家具の裏) 断熱が弱い部分は冷たく、冬に結露。家具で空気が止まると乾かない 文部科学省 実践編
北側・角部屋・最上階 日射がなく、外気に接する面が2面・3面と多い 東京都「住居とアレルギー疾患」(北向き・気密性)
窓・サッシまわり 外部の影響を受けやすく、常に湿気がたまりやすい 文部科学省 実践編
地下・1階・低地 地下水位が高い、低地、斜面の切り出しなど立地で湿気だまりができる 文部科学省 実践編
貫通する配管・ダクトの周囲、外壁の亀裂 パッキングの不備や亀裂からの漏水は予見しにくい 文部科学省 実践編
エアコンの吹き出し口付近(夏) 外気の温湿度が高く、室内が低い夏は、送風装置近傍に湿気だまり・結露 文部科学省 実践編

RC造のマンションで「北側の洋室のクローゼットの奥だけ」「角部屋の窓の下だけ」にカビが出るのは、この冷たい面の結露が理由であることが多いです。表面を落としても、その面が冷たいままなら同じ季節に戻ります。壁を離して空気を通すか、断熱の補修が要るかの判断は、後述の原因調査で決めます。

新築のコンクリートが水分を含んでいる期間について、年数を示した公的資料は当社が確認した範囲では見つかりませんでした。「新築RCは○年間は結露しやすい」という数字は、この記事では書きません。

5. 季節と住まい方で変わる出方

季節 木造で起きること RC造で起きること 共通してやること
梅雨〜夏 床下・壁の中の湿気が抜けない。押入れ・北側で湿度が上がる エアコン吹き出し口付近の湿気だまり。地下・1階の湿気 湿度計で65%を監視、除湿・換気。エアコンの内部清掃
北側の窓と押入れの結露 外に面した壁の内側・サッシ下枠・最上階の隅で結露 冷たい面から家具を離す。加湿は湿度を見ながら
通年 浴室周りの回り込み、床下換気口のふさがり 貫通部・亀裂からの漏水 水の出所の点検を年1回

住まい方の目安は公的資料に具体的な数字があります。東京都「住居とアレルギー疾患」は家具を壁から5cm以上離すこと、文部科学省は棚を壁から10cm、床から20〜30cm離すことを示しています。カビ臭が続くときの発生源の探し方はカビ臭い部屋で過ごすとどうなる?、寝室での出方はカビの部屋で寝るとどうなる?で扱っています。

6. 構造別の点検チェックリストと、共通する対策の順番

図3 構造が違っても順番は同じ。1を飛ばして3だけ行うと同じ場所に戻る
木造の点検箇所 RC造の点検箇所
外まわり 基礎の高さと床下換気口がふさがれていないか。外壁のひび・シーリング切れ。軒下の雨染み 外壁の亀裂・シーリング。ベランダ・屋上の排水口の詰まり。配管貫通部の周囲
室内 北側の押入れ・畳の下・床の沈み。浴室の周囲の壁と床の継ぎ目 北側の外壁に面した壁の裏。サッシの下枠。最上階の天井の隅。クローゼットの奥
設備 エアコンの吹き出し口と内部。換気扇の作動 同左。地下・1階は排水・湧水の有無
記録 湿度計で部屋ごとに、朝と夜の湿度を1週間 同左。冷たい面の壁の表面温度も測ると原因がはっきりする

点検で水の出所がわかったら、順番は図3のとおりです。①水の出所を止める → ②栄養(ホコリ・皮脂)を減らす → ③表面を処置する → ④湿度を記録し、繰り返すなら原因調査。文部科学省のマニュアルは、表面の処置に噴霧器を使わないこと、除菌だけでは繰り返すことを示しています。自分で落とせる範囲と手順はカビの除去方法と再発防止策(知恵袋の総まとめ)にまとめています。

7. 自分で対応できる範囲と、原因調査が要るケース

状況 自分で対応 原因調査・専門業者
表面にうっすら、拭くと落ちる ○ 塩素系や消毒用エタノールで処置し、家具を離して換気
同じ場所に季節ごとに戻る △ 表面処置は可。ただし水の出所が止まっていない ○ 壁の中・床下・断熱の状態を調べる
壁紙の下や床下・壁の中に広がっている × ○ 範囲の特定と、木部の腐朽・漏水の点検
賃貸で、結露が構造上のもの △ 換気・家具配置は借主。記録を残す ○ 管理会社・貸主に構造側の対応を相談
カビ臭が続くのに見えない × ○ 浮遊カビの種類と量を測る検査で発生源を絞る

木造で床下や壁の中まで広がっている場合は、カビだけでなく木部の腐朽や蟻害の点検が同時に必要です。RC造で躯体の結露が原因の場合は、断熱の補修や換気計画の見直しが要ります。どちらも表面の処置だけで終えると、次の季節に戻ります。

8. よくある質問

Q. 木造とRC造、どちらがカビに強いですか。

どちらにも出ます。出る場所が違うだけです。構造別の発生率を比べた公的統計は確認できませんでした。木造は床下と壁の中の水、RC造は冷たい面の結露を、それぞれ点検するのが実際的です。

Q. RC造のマンションの北側の部屋だけカビが出ます。欠陥ですか。

北向きで気密性の高い部屋は結露しやすい、と東京都の資料にあります。欠陥かどうかは断熱の状態によるので、まず家具を壁から離し、湿度と壁の表面温度を記録してから、管理会社に相談する材料にしてください。

Q. 木造の床下換気口をふさぐと寒さは減りますが、カビは増えますか。

床下の換気は劣化対策等級の基準に入っている、木部を乾かすための仕組みです。ふさぐと床下の湿気が抜けにくくなります。寒さ対策は床の断熱で行い、換気口はふさがないのが基本です。

Q. コンクリート打ち放しの部屋はカビが出やすいですか。

断熱がないと外気の温度が室内側の面に伝わり、冬に結露しやすくなります。文部科学省のマニュアルが挙げる「断熱の不整」と同じ状況です。壁面から家具を離し、冬の湿度管理を丁寧に行う必要があります。

9. まとめ

木造もRC造もカビは出ます。木造は「地面と壁の中に入る水」、RC造は「外に面した冷たい面の結露」が主な出所で、点検箇所はそこから決まります。国の劣化対策等級は木造の水の入口をそのまま示しており、文部科学省のマニュアルはRC造の結露する面を示しています。順番は、水の出所→栄養→表面→原因調査。構造が違っても、この順番は同じです。

同じ場所に戻るカビは、構造側の原因を調べます

MIST工法®カビバスターズ本部では、木造・RC造それぞれの水の出所を確認したうえで、素材を傷めない工程でカビを処置し、再発を防ぐ環境づくりまでご案内しています。

参考資料

  • 文部科学省「カビ対策マニュアル」基礎編・実践編・Q&A(湿度65%監視・60%以下/除菌だけでは繰り返す/噴霧器不可/棚を壁から10cm・床から20〜30cm/断熱の不整/外壁に面する壁の内側の棚/冬季の冷気による結露/夏季の送風装置近傍の湿気だまり/立地・貫通ダクト・亀裂からの漏水)
  • 国土交通省 住宅の品質確保の促進等に関する法律 評価方法基準「劣化対策等級(構造躯体等)」(木造:基礎高さ400mm以上・床下の防湿・換気口・地面から1m以内の通気層構造・防腐防蟻・小屋裏換気/鉄筋コンクリート造:水セメント比・かぶり厚さ)
  • 東京都「住居とアレルギー疾患」(北向き・気密性の高い部屋は結露しやすい/家具は壁から5cm以上)
  • 東京都保健医療局「食品衛生の窓」カビQ&A(湿度70%以上・10〜30℃/栄養/2〜3日で集落)
  • 厚生労働省 建築物環境衛生管理基準(相対湿度40〜70%)

※本記事は公的機関の公開情報をもとに一般的な情報を提供するものです。建物の構造や施工の状態は個別に異なり、欠陥や瑕疵の有無を判断するものではありません。健康に関する判断は医療機関にご相談ください。当社は医療機関ではありません。