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食べられるカビと食べてはいけないカビ|麹・チーズ・鰹節の「育てたカビ」と、家で生えた「意図しないカビ」の違い

 

※この記事は2026年9月に、東京都保健医療局「食品衛生の窓」、農林水産省のかび毒の公開情報をもとに内容を全面的に見直しました。以前の版にあった「カビの栄養素の効果」や創作レシピは、公的な根拠がないため削除しました。菌の名前は一般的な分類名で、製品ごとの菌株は製造者の情報を優先してください。

味噌、醤油、日本酒、カマンベールチーズ、ブルーチーズ、鰹節。どれもカビの働きで作られる食品で、「カビは食べられる」と言われる理由です。結論から言うと、食べられるのは「製造者が種類を選び、管理して育てたカビ」で、家で後から生えた「意図しないカビ」は種類が分からず、かび毒を作る種類のこともあるので別物です。東京都保健医療局はペニシリウム属の中に、チーズ用のP.カマンベルティと、かび毒オクラトキシンを作るP.ベロッコサムの両方があると整理しています。同じ属でも、育てたか、勝手に生えたかで扱いは正反対になります。

この記事で分かること

  • 「育てたカビ」と「意図しないカビ」の違い(東京都・農水省の整理)
  • 日本と世界の発酵食品で使われるカビ(麹・白カビ・青カビ・鰹節・テンペ)
  • なぜ育てたカビは食べられて、家で生えたカビは食べない前提なのか
  • 発酵食品に「後から」カビが出たときの判断(チーズの切り口・味噌の表面・麹)
  • よくある誤解(取り除けば食べられる、加熱すれば大丈夫)

1. 結論:食べられるのは「育てたカビ」だけ

図1 同じ属のカビでも、育てたか勝手に生えたかで扱いが正反対
育てたカビ(発酵食品) 意図しないカビ(家で生えた)
誰が種類を決めたか 製造者が菌株を選び、温度・湿度・時間を管理 誰も決めていない。どの種類か分からない
どこに付いているか 製造者が把握している(表面だけ、内部の筋、など) 見えない菌糸が食品の中に伸びている(農林水産省)
かび毒 かび毒を作らない種類・条件で管理 かび毒を作る種類のこともある。加熱でも分解しにくい(東京都・農水省)
扱い 製品の一部として食べる 取り除いても安全側に判断できない。もったいなくても捨てる(農水省)

2. 日本と世界の「育てたカビ」

図2 どのカビを、何に、何のために。製造者が把握している
食品 使われるカビ(一般的な分類名) 何のために
麹(味噌・醤油・日本酒・みりん・甘酒) コウジカビ(アスペルギルス属の麹菌) 米・麦・大豆のでんぷんやたんぱく質を分解し、甘み・うま味を作る
白カビチーズ(カマンベール等) ペニシリウム・カマンベルティ 表面を白い菌糸で覆い、内側を熟成させる。東京都は「チーズ用」と整理
青カビチーズ(ブルーチーズ) ペニシリウム属の青カビ 内部に青緑の筋を作り、独特の風味に
鰹節(本枯節) カビ付け用のカビ 何度もカビを付けて水分と脂を抜き、硬く保存性の高い節にする
テンペ・紅麹 クモノスカビ、ベニコウジカビ など 大豆を固める、色と風味を付ける

東京都保健医療局「食品衛生の窓」は、ペニシリウム属は約150種あり、P.カマンベルティはチーズ用、P.ベロッコサムはオクラトキシンを作る、アスペルギルス属のA.フラバスはアフラトキシンを作る、と整理しています。麹菌も同じアスペルギルス属ですが、食品用に選ばれ、管理されてきた種類です。「属が同じだから同じ」ではなく、「種類と管理」で決まります。

3. なぜ育てたカビは食べられて、家で生えたカビは食べない前提なのか

論点 育てたカビ 家で生えたカビ 出典
種類 分かっている(食品用に選ばれた菌株) 分からない。色だけでは種類を決められない 東京都(色はほとんど胞子の色)
かび毒 作らない種類・条件 作る種類のこともある。100〜210℃・60分以内で完全分解できない 東京都 カビ毒Q&A、農水省
広がり 製造者が把握(表面だけ、内部の筋) 見えない菌糸が残る。取り除いても残る 農水省「餅に生えたかび」
結論 製品の一部 もったいなくても捨てる 農水省

農林水産省は、餅などに生えたかびについて、見えないかびが残ること、かび毒は熱に強いこと、長期間繰り返し摂取すると健康被害の可能性があることを挙げ、「もったいなくても捨てる」としています。「育てたカビは食べられる」という事実と、この結論は矛盾しません。種類と管理が違うからです。

4. 発酵食品に「後から」カビが出たときの判断

図3 「カビは食べられる」は育てたカビの話。後から生えたカビには当てはまらない
食品 製品の一部 意図しないカビの例 判断
白カビチーズ 表面の白い菌糸 切り口や包装内に緑・黒・ピンク 製造者の案内に従う。分からなければ食べない
ブルーチーズ 内部の青緑の筋 表面の黒・白い綿状で筋と違う 同上
味噌 (表面の白い膜は製造者の説明を確認) 緑・黒の斑点 製造者の案内に従う。緑・黒は食べない
麹・甘酒 白〜淡い黄緑の麹 赤・黒・青緑の斑点、酸っぱい臭い 使わない
鰹節 表面の薄いカビ(本枯節) 削った後に湿って出た緑・黒 食べない

「後から出たカビの部分を取り除いて食べる」は、農林水産省の整理(見えないかびが残る)から、前提にできません。熟成肉や熟成チーズの表面のカビについては熟成肉・熟成チーズ表面のカビとOTAで、意図したカビと意図しないカビの違いを事業者向けに扱っています。

5. よくある誤解

誤解 公的資料の整理
カビは食べられるから、パンや餅のカビも取れば食べられる 農水省:見えないかびが残る、かび毒は熱に強い、もったいなくても捨てる
加熱すればかび毒は消える 東京都:100〜210℃・60分以内の加熱で完全に分解できない
青カビはチーズに使うから食品の青カビも大丈夫 東京都:同じペニシリウム属に、チーズ用とオクラトキシンを作る種類の両方がある
白いカビは無害 色はほとんど胞子の色で、色から種類は決められない(東京都)。白カビチーズの白は製造者が育てたもの
カビの栄養素に健康効果がある 公的な根拠は確認できませんでした。発酵食品の栄養は食品全体の話で、カビそのものの効果ではありません

6. よくある質問

Q. 手作り味噌の表面に白いものが出ました。カビですか。

白い膜状のものはカビ以外の微生物のこともあり、色と形だけでは判断できません。緑・黒の斑点は意図しないカビとして扱い、製造者(キットの販売元)の案内に従ってください。

Q. カマンベールの表面が茶色っぽくなりました。

熟成の進み方や保存状態で表面の色は変わります。切り口や包装内に緑・黒・ピンクが出ている場合は意図しないカビの可能性があり、食べない判断が安全側です。

Q. 麹を自分で作れますか。

市販の種麹を使い、温度と湿度を管理して作る方法が広く行われています。ただし赤・黒・青緑の斑点や酸っぱい臭いが出たものは使わないでください。管理できない環境では、意図しないカビが混ざります。

Q. 発酵食品のカビで体に影響はありますか。

育てたカビは製品の一部です。カビのアレルギーがある方は医療機関の指示に従ってください。当社は医療機関ではありません。食べてしまった後の考え方はカビを食べてしまったらで扱っています。

7. まとめ

「カビは食べられる」は、製造者が種類を選び管理して育てたカビの話。麹・白カビチーズ・青カビチーズ・鰹節はその例で、東京都はペニシリウム属の中にチーズ用とかび毒を作る種類の両方があると整理している。家で後から生えたカビは種類が分からず、見えない菌糸が残り、かび毒は加熱で分解しにくい。だから農林水産省は「もったいなくても捨てる」としている。発酵食品に後からカビが出たら、製造者の案内に従い、分からなければ食べない。

発酵食品の製造室・熟成庫のカビは

育てるカビ以外のカビが製造室や熟成庫の壁・天井に出ている場合、製品に混ざるリスクです。MIST工法®カビバスターズ本部では、浮遊カビの種類と量を調べる検査と、操業を止めない工程での処置を行っています。

参考資料

  • 東京都保健医療局「食品衛生の窓」カビQ&A(色はほとんど胞子の色/ペニシリウム属約150種、P.カマンベルティはチーズ用、P.ベロッコサムはオクラトキシン/アスペルギルス属 A.フラバスはアフラトキシン/ムコール)、カビ毒Q&A(100〜210℃・60分以内で完全分解できない)
  • 農林水産省「食品のかび毒に関する情報」「かびとかび毒についての基礎的な情報」「餅に生えたかび」(もったいなくても捨てる/見えないかびが残る/熱に強い/長期間繰り返し摂取で健康被害の可能性)

※本記事は公的機関の公開情報をもとに一般的な情報を提供するものです。菌の名前は一般的な分類名で、製品ごとの菌株・保存方法は製造者の情報を優先してください。健康に関する判断は医療機関にご相談ください。当社は医療機関ではありません。