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和室の湿気対策|湿気がこもりやすい理由、目安にする湿度、畳・押入れ・家具の順番、季節ごとにやること

 

※この記事は2026年9月に、文部科学省・東京都保健医療局・い草・畳の業界団体の公開情報をもとに内容を全面的に見直しました。

和室に入ると空気が重い。畳がしっとりしている。押入れの布団がなんとなく湿っぽい。「和室はなぜこんなに湿気がこもるのか」「畳の湿気対策は何から始めればいいのか」と調べる方が多いテーマです。結論から言うと、和室は畳・土壁・押入れが湿気を「ためる」材料でできていて、そこに「動かない空気」が加わると湿気の行き先がなくなる部屋です。材料は変えられませんが、空気を動かす・湿気を減らす・ためた湿気を抜く、の3つは今日からできます。

この記事では、和室に湿気がこもりやすい理由、目安にする湿度、対策の順番、季節ごとの湿気の出どころ、押入れの扱い、そして畳や壁にカビが出てしまったときの対応先を、文部科学省のカビ対策マニュアルと、い草・畳の業界団体の公開情報をもとに整理します。畳のカビ取りの手順そのものは、家庭でできる畳のカビ退治|手順とやってはいけないことで別にまとめています。

この記事で分かること

  • 和室に湿気がこもりやすい理由(湿気をためる4つの材料と、動かない空気)
  • 目安にする湿度と、温湿度計をどこに置くか
  • 和室の湿気対策の順番(動かす→減らす→抜く→置き方)
  • 梅雨・夏・秋雨・冬、季節ごとの湿気の出どころとやること
  • 押入れの湿気対策と、カビが出てしまったときの対応先

1. 結論:和室の湿気対策は「動かす・減らす・抜く」の順番で

要点 内容
和室は湿気を「ためる」部屋 い草の畳表とわら床の6畳間には約3リットルの吸湿能力があるとされる(熊本県いぐさ・畳表活性化連絡協議会)。土壁・障子・押入れの布団も湿気を吸う。吸った湿気は、空気が動かなければ吐き出せない
目安は湿度60%以下、65%で要注意 文部科学省のカビ対策マニュアルは、相対湿度65%を超えないよう監視し、60%以下を目安としている。温湿度計は畳に近い低い位置に置く
対策の順番 ①空気を動かす(通風・扇風機)→②湿気を減らす(除湿機・ドライ)→③ためた湿気を抜く(畳干し・押入れ開放・布団を上げる)→④置き方を変える(壁から離す・敷きっぱなしにしない)

「畳 湿気」で調べると除湿剤や調湿シートの話が多く出てきますが、順番が先です。空気が動かない部屋で除湿剤を置いても、畳と壁が吸っている湿気の量に対して、まったく足りません。

2. 和室に湿気がこもりやすい理由:ためる材料と、動かない空気

図1 材料は変えられない。変えられるのは空気の動きと湿気の量。

畳:6畳で約3リットルを吸う「湿度調整機」

熊本県いぐさ・畳表活性化連絡協議会は、い草畳表とわら床の6畳間には約3リットルの吸湿能力があるといわれ、乾燥してくると水分を放出する「自然の湿度調整機」と説明しています。熊本県畳工業組合も、い草の繊維の間が中空で節があり、小部屋がたくさんある構造が調湿機能をつかさどっているとしています。これは長所ですが、裏を返せば「乾く機会がなければ、吸ったままになる」ということです。閉め切った北側の和室では、畳は放出する側ではなく、ため込む側に回ります。

土壁・砂壁・障子:紙と土も吸放湿する

和室の壁や建具も、ビニールクロスやサッシと違って湿気を吸って吐きます。部屋全体が「呼吸する材料」でできているため、空気が入れ替わっているときは快適ですが、閉め切ると、畳・壁・障子のすべてが湿気をためたまま止まります。

押入れ:布団の汗を吸ったまま扉を閉める

寝ている間の汗を吸った布団を、朝そのまま押入れにしまって扉を閉める。これが和室で一番湿気がこもる動きです。文部科学省のカビ対策マニュアルは、収納は壁から10cm程度離し、床に直置きせず、空気の通り道を確保することを基本としています。北側や外壁に面した押入れは、冬に外壁側が結露するため、さらに条件が悪くなります。

床下・北側:地面からの湿気と、日が当たらないこと

和室は家の北側や奥に配置されることが多く、日射で乾く機会が少ない部屋です。1階の和室では床下の湿気が畳の裏から上がってきます。畳を起こしたときに裏が湿っている、黒ずんでいる場合は、部屋の空気ではなく床下側に原因があります。

そこに「動かない空気」が加わる

客間や物置として使われる和室は、扉を閉めたまま何日も人が入らないことがあります。東京都保健医療局によると、多くのカビは湿度70%以上・温度10〜30℃で発育し、2〜3日で集落を作ります。畳・壁・押入れが吸った湿気の行き先がないまま数日たてば、畳の裏、押入れの奥、家具の裏の壁際で、湿度が上がり続けます。

3. 目安にする湿度と、温湿度計の置き場所

文部科学省のカビ対策マニュアルは、相対湿度が65%を超えないように監視し、60%以下を目安にするとしています。厚生労働省が示す室内環境の目安も湿度40〜70%の範囲で、カビ対策としてはその中の低めを狙うことになります。

大切なのは、温湿度計を置く場所です。湿った空気は畳や床面の近くにたまりやすく、人の目の高さで55%でも、畳の上では65%を超えていることがあります。温湿度計は畳の上か、床上30cm程度の低い位置に置き、押入れの中にも1つ入れておくと、どこが問題なのかが数字で分かります。

湿度(畳の近く) 状態 やること
60%以下 目安の範囲(文部科学省) 換気と布団上げを続ける
60〜65% 注意。畳と壁がため始めている 扇風機で空気を動かし、除湿機かドライを入れる
65%超 監視ライン超え(文部科学省)。数日続けばカビの条件 除湿を主役に。晴れ間に畳を起こし、押入れを開け放す
70%以上が続く 多くのカビが発育する湿度(東京都保健医療局) 畳の裏・押入れの奥・家具の裏を点検。すでに出ていれば第7章へ

4. 和室の湿気対策:この順番で

図2 空気を動かさずに畳を干しても、また吸い戻す。順番が先。

① 動かす:通り道を作り、畳面に風を当てる

窓を1か所だけ開けても空気は動きません。対角の窓や襖を開けて通り道を作り、扇風機やサーキュレーターを畳面に向けて回します。熊本県畳工業組合も、畳の湿気対策として換気と、エアコンのドライを挙げています。使っていない和室こそ、1日1回は襖と窓を開けて空気を入れ替えてください。

② 減らす:除湿機・エアコンのドライで60%以下へ

梅雨や雨の日は、外気そのものが湿っているため、窓を開けても湿度は下がりません。この時期は除湿機かエアコンのドライが主役です。除湿機は畳の上、部屋の中央寄りに置き、扇風機で空気を回しながら運転すると、畳と壁がためている湿気も引き出せます。文部科学省のマニュアルが示す65%のラインを、温湿度計で確認しながら運転してください。

③ 抜く:畳を起こす、押入れを開け放す、布団を上げる

熊本県いぐさ・畳表活性化連絡協議会は、畳を起こし、空き缶をつっかえ棒にして窓を開けておくだけでも畳の下の湿気がなくなり、畳が長持ちすると案内しています。畳の隙間にマイナスドライバーを入れると持ち上がります。晴れて乾燥した日に、月に1回程度でも効果があります。押入れは晴れた日に扉を開け放し、中の布団や衣装ケースを出して風を通します。布団は毎朝上げ、できれば窓際に掛けてから押入れに戻します。

④ 置き方:壁から離す、畳の上に敷きっぱなしにしない

文部科学省のマニュアルは、家具や収納を壁から離し、空気の通り道を確保することを基本としています。タンスや本棚を土壁にぴったり付けると、その裏は換気しても空気が動かず、壁と畳の湿気がそこにたまります。カーペットやラグ、ジョイントマットを畳の上に敷きっぱなしにするのも同じで、畳が吐き出すはずの湿気をふさぎます。敷くなら、季節ごとに外して畳を乾かしてください。

5. 季節ごとの湿気の出どころと、やること

図3 「窓を開ける」が効く季節と、効かない季節がある。

梅雨(6〜7月)は外気が高湿度で、窓を開けても下がらない日が続きます。除湿機とドライを主役にし、畳干しや押入れの開放は晴れ間に行います。夏(7〜9月)は冷房の冷気が畳の裏や押入れの奥まで届かず、そこだけ湿度が高いままになります。扇風機で冷気を回し、押入れの扉を少し開けておきます。秋の長雨や台風のあとは、短期間で湿度が急上昇し、畳が一気に吸います。雨が上がったら換気し、温湿度計で65%を確認します。冬(12〜2月)は暖房と加湿で、窓や北側の壁、押入れの外壁側に結露が出ます。結露は毎朝拭き取り、加湿器は60%を超えないように使います。

6. 押入れの湿気対策:詰め込まない、床に直置きしない、扉を開ける

  • すのこを敷く。布団や衣装ケースを床板に直置きすると、床板との間の湿気が抜けません。文部科学省のマニュアルは収納物を床から離すことを基本としています。
  • 詰め込まない。奥や上段まで隙間なく入れると、空気が動きません。奥の壁との間に手が入る程度の隙間を残します。
  • 布団は乾かしてからしまう。朝すぐしまわず、窓際に掛けるか、部屋に広げて湿気を抜いてから入れます。
  • 扉は閉め切らない。使わない日も扉を数cm開けておくか、週に1回は開け放して風を通します。
  • 外壁側・北側の押入れは、冬に壁を触って確認する。冷たく湿っていれば結露しています。壁との間にすのこを立て、物を直接付けないようにします。

押入れやクローゼットのカビと収納の順番は、衣類のカビ|押入れ・クローゼットで起きる理由と、収納・換気の順番で詳しく整理しています。

7. 畳や壁にカビが出てしまったら

畳の表面に白っぽい粉や緑がかった点が出た程度なら、家庭で対応できる範囲です。手順とやってはいけないこと(水拭き・畳を濡らす・噴霧器で薬剤をかける など)は、家庭でできる畳のカビ退治|手順とやってはいけないことにまとめています。文部科学省のマニュアルは、除菌だけでは繰り返すこと、湿度を下げなければ再発することを明記しています。カビ取りと同時に、この記事の順番で湿気を減らしてください。

次の状態は、家庭での対応の範囲を超えています。畳を起こしたら裏が黒ずんでいる、畳の下の床板にカビがある、土壁や砂壁にシミ状のカビが広がっている、押入れの壁の奥まで黒い、掃除しても数週間で戻る。これらは床下や壁の内側に原因があるため、表面を拭いても繰り返します。原因の場所を特定するには、カビ菌検査や専門業者の調査が必要です。

8. よくある質問

Q1. 畳の上にカーペットやジョイントマットを敷いても大丈夫ですか

敷きっぱなしは避けてください。畳は湿気を吸って吐く材料で、上をふさぐと吐き出せなくなり、畳とマットの間に湿気がたまります。子ども部屋などで必要な場合は、季節の変わり目にはがして畳を乾かし、裏側に湿りやカビがないか確認してください。

Q2. 除湿剤や調湿シートを置けば足りますか

押入れの中や衣装ケースの中など、閉じた小さな空間には効果がありますが、6畳の畳と壁がためる湿気の量に対しては足りません。空気を動かす(換気・扇風機)、減らす(除湿機・ドライ)を先にし、除湿剤は押入れの補助として使うのが順番です。

Q3. 畳を新しくすれば湿気は解決しますか

畳を替えても、部屋の空気が動かず湿度が高いままなら、新しい畳が同じように湿気をためます。畳を替える前に、畳を起こして床板と裏の状態を確認し、床下側に原因がないかを見てください。裏が黒ずんでいる、床板が湿っている場合は、畳ではなく床下の対策が先です。

Q4. エアコンのない和室では、どうすればいいですか

扇風機と除湿機の組み合わせが基本です。隣の部屋のエアコンのドライを使い、襖を開けて扇風機で和室に送る方法もあります。それでも65%を下回らない場合は、窓用エアコンや、押入れ用の小型除湿機の設置を検討してください。閉め切ったまま夏を越すと、畳の裏と押入れにカビが出ます。

9. まとめ

和室は、畳・土壁・障子・押入れの布団が湿気を吸って吐く材料でできています。6畳の畳で約3リットルを吸うとされ、空気が動かなければ吐き出せません。目安は文部科学省が示す湿度60%以下、65%で要注意。温湿度計は畳の近くに置きます。対策は、空気を動かす、除湿で減らす、畳干しと押入れ開放でためた湿気を抜く、家具と敷物の置き方を変える、の順番です。梅雨と雨の日は除湿が主役、冬は結露と加湿のしすぎに注意します。

畳の裏や床板、壁の内側にカビがある場合は、表面の対策では繰り返します。原因の場所を調べたうえで、住まい側の対策を検討してください。

参考資料

  • 文部科学省「カビ対策マニュアル」基礎編・実践編
  • 東京都保健医療局「食品衛生の窓」カビQ&A
  • 熊本県いぐさ・畳表活性化連絡協議会(全国い産業連携協議会)「畳について」
  • 熊本県畳工業組合「畳の効能・豆知識」
  • 厚生労働省 建築物環境衛生管理基準(相対湿度40〜70%)

※本記事は公的機関および業界団体の公開情報をもとに一般的な情報を提供するもので、個別の住宅の状態を診断するものではありません。畳や壁の内側、床下のカビは専門業者にご相談ください。