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なぜ珪藻土にカビが生えるのか|「吸う」素材であって「乾かす」素材ではない理由と、削る前の注意

 

「なぜ珪藻土にカビが生えるのか」という疑問は、珪藻土の壁やバスマットを使っている方からよくいただきます。「湿気を吸う素材なのに、なぜ」という問いです。答えは単純で、珪藻土は湿気を吸うだけで、乾かす力はないからです。吸った水分を放出できない環境に置けば、珪藻土は「湿ったスポンジ」になります。

結論:珪藻土は「吸う」素材であって「乾かす」素材ではない

  1. 珪藻土がカビるのは、吸った水分を放出できていないから。多孔質の珪藻土は周囲が湿っていれば吸い、乾いていれば放出します。浴室のように常に湿った場所に置くと、吸う一方になります。
  2. カビの栄養は珪藻土本体ではなく、表面の汚れと「固化材」。珪藻土(二酸化ケイ素)自体はカビの栄養になりません。皮脂、石けんカス、ホコリ、そして壁材に混ぜられた樹脂系の固化材が栄養になります。
  3. 対策は「乾かす場所に置く」「表面を汚さない」の2つ。削って再生する方法が広まっていますが、2020年以降、石綿(アスベスト)を含む珪藻土製品の問題が公表されており、製品の削り加工には注意が必要です。

珪藻土とは何か

珪藻土は、藻類の一種である珪藻の殻が海や湖の底に堆積してできた岩石です。珪藻の殻は二酸化ケイ素(SiO₂)でできており、殻の中は微細な孔(あな)だらけです。この多孔質の構造が、水分を吸い込む性質をつくっています。

耐火性と断熱性があり、古くから七輪や壁土に使われてきました。近年は自然素材への関心から、内装の塗り壁材やバスマット、コースターとして広まりました。ただし珪藻土そのものには固まる力がないため、壁材として使うときは石灰や樹脂系の固化材が混ぜられています。製品によって珪藻土の含有率は大きく異なり、数パーセントしか含まないものもあります。

なぜ珪藻土にカビが生えるのか

理由① 吸った水分が抜けない

珪藻土の孔は、周囲の湿度が高ければ水分を吸い、低ければ放出します。この「吸放湿」は、周囲が乾く時間があってはじめて成立します。浴室の床、洗面所の壁、窓際のように常に湿った場所では、吸う一方で放出する機会がなく、孔の中に水分が溜まったままになります。カビが育つ4つの条件のうち、水分が常に供給される状態です(カビが育つ条件)。

理由② 表面に栄養が載る

珪藻土(二酸化ケイ素)自体は無機物で、カビの栄養になりません。しかしバスマットには足の裏の皮脂と石けんカスが、壁にはホコリと手垢が付きます。これが栄養です。バスマットのカビが足を置く位置に集中するのはこのためです。

理由③ 固化材が栄養になる

壁材の珪藻土は、固化材で固められています。固化材には石灰やセメント系(アルカリ性)と、樹脂系(中性に近い)があります。アルカリ性が強い環境ではカビは育ちにくく、樹脂系では固化材自体が栄養になりえます。同じ「珪藻土の壁」でも、製品によってカビの出やすさが違うのはこのためです。

理由④ 浸水・漏水

台風や大雨で床上浸水すると、珪藻土の壁は水を大量に吸い込みます。孔の奥まで泥水が入るため、表面を拭いても乾きません。浸水後の珪藻土壁は、乾燥に長い時間がかかり、その間にカビが広がります。浸水後の手順は水害によるカビ被害にまとめています。

対策:置き場所と汚れで決まる

バスマット・コースター

使用後は立てかけて、風が通る場所で乾かします。浴室内や脱衣所の床に敷きっぱなしにしないこと。これだけで水分の供給が止まります。表面の皮脂は、乾いた状態で柔らかいブラシで払います。水洗いは孔に水を入れることになるので、洗った後は完全に乾かします。

表面をサンドペーパーで削って再生する方法が広まっていますが、削る前に製品の安全性を確認してください。次の項で説明します。

珪藻土の壁

壁は動かせないので、部屋の湿度を管理します。厚生労働省の建築物環境衛生管理基準は相対湿度40〜70%です。24時間換気を止めない、外壁側の壁に家具を密着させない、窓の結露を放置しない(カビと結露換気とカビ)。壁のカビは表面に出たときには固化材の内部まで及んでいることが多く、拭き取りでは戻りません。その場合は下地からの処理になります。

削る前に:石綿(アスベスト)を含む珪藻土製品の問題

2020年12月、大手販売店が販売した珪藻土のバスマット・コースターに、法令の基準を超える石綿(アスベスト)が含まれている可能性があるとして、回収・返金が公表されました(消費者庁リコール情報、2020年12月22日公表。2016〜2020年の販売分)。同時期に複数の販売店で同様の回収が行われています。

労働安全衛生法第55条と石綿障害予防規則により、重量の0.1%を超える石綿を含む製品の製造・輸入・使用等は禁止されています。厚生労働省は「珪藻土を主たる材料とするバスマット、コップ受け、なべ敷き、盆その他これらに類する板状の製品」を規制対象として明示し、令和3年12月1日から輸入時に分析結果報告書の取得を義務づけました。

石綿を含む製品は、そのまま使う分には繊維が飛散しにくいとされますが、削る・割る・砕くと繊維が飛散します。手元の珪藻土製品が回収対象かどうかは、消費者庁のリコール情報サイトで販売店名から確認できます。対象製品や製造元不明の製品は削らず、お住まいの自治体の指示に従って廃棄してください。多くの自治体が珪藻土製品の廃棄方法を個別に案内しています。

よくある質問

Q. 珪藻土は「調湿する」と聞きました。カビ対策になりますか。
A. 周囲が乾く時間がある部屋では、湿度の変動を小さくする働きがあります。しかし珪藻土が水分を消してくれるわけではありません。換気と除湿で水分を外に出す仕組みがなければ、珪藻土は吸って溜めるだけになります。

Q. 珪藻土バスマットにカビが出たら、削れば使えますか。
A. 製品が回収対象でないこと、製造元が明確なことを確認してからにしてください。石綿含有の可能性がある製品を削ることは避けるべきです。確認できない場合は、削らずに廃棄を検討してください。

Q. 珪藻土の壁に黒い点が出ました。拭けば取れますか。
A. 表面だけなら消毒用エタノールで拭けることがありますが、塗り壁は塩素系の漂白剤で変色します。点が広がっている、拭いても再発する場合は固化材の内部まで及んでいるので、表面処理では戻りません。

まとめ

珪藻土にカビが生えるのは、吸った水分を放出できない場所に置かれ、表面に皮脂やホコリという栄養が載るからです。素材が悪いのではなく、置き場所と使い方の問題です。バスマットは立てて乾かす、壁は部屋の湿度を管理する。そして削って再生する前に、石綿の問題を確認する。この3つで、珪藻土は本来の性能を発揮します。

参考資料(一次情報)

  • 厚生労働省「珪藻土バスマット等の輸入手続など」(労働安全衛生法第55条・石綿障害予防規則:重量の0.1%を超える石綿を含む製品の製造・輸入・使用等の禁止、令和3年12月1日施行の輸入時の分析結果報告書取得義務)
  • 消費者庁 リコール情報サイト「珪藻土コースター、珪藻土バスマット」(2020年12月22日公表、2016〜2020年販売分の回収・返金)
  • 厚生労働省「建築物環境衛生管理基準」(相対湿度40%以上70%以下)

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