新築のコンクリートにカビが出た場合、建材に残る水分は確認する候補の一つです。ただし、築年数や見た目だけでは、余剰水・結露・漏水のどれが関係しているかは決められません。
発生場所、気付いた時期、雨や冷暖房との関係を記録し、建材の水分と周囲の環境を確認してから、乾燥・水分への対策・除カビの順序を考えます。引渡し前後の問題は、まず施工会社にも状況を共有してください。
コンクリートの「余剰水」とは
コンクリートは、セメント・砂・砂利などに水を加えて作ります。水の一部はセメントの水和反応に使われ、硬化した後も内部には水分が残ります。乾燥が進むと内部の水分が外へ移動し、乾燥収縮にも関係します。日本コンクリート工学会も、乾燥に伴う含水率の低下と乾燥収縮の関係を説明しています。コンクリートの体積変化について
原記事で取り上げていた「余剰水」は、施工後の建材が抱える水分を考えるための論点です。配合時の水量を、そのまま室内へ出る水の量や、カビ発生の判定値として扱うことはできません。
乾燥の進み方は、建物と仕上げの条件で変わります
乾燥には、部材の厚さ、施工・養生の状況、気温と湿度、換気、内外の仕上げなどが関わります。表面が乾いて見えても、内部の水分や仕上げ材の状態まで同じとは限りません。タイルや防水・内装材などがある場合も、どちら側へどの程度水分が移動するかは構成によって変わります。
「新築なら何年で乾く」「水の大半は必ず室内へ出る」と一律には判断せず、施工会社に工程や仕上げの条件を確認し、必要に応じて現場の測定を検討します。
余剰水・結露・漏水を確認するための手掛かり
次の状況は、調べる範囲を整理する材料です。複数の条件が重なる場合もあり、これだけで原因が確定するものではありません。
- 施工後に残る水分を確認したいとき
- 打設や仕上げの時期、乾燥させた期間、閉め切っていた部屋や収納の状態を確認します。必要に応じて建材の含水率などを測り、場所による違いを調べます。
- 結露を確認したいとき
- 冷えやすい壁、窓の周辺、家具の裏などの発生場所と、室内の温湿度・冷暖房の使い方を記録します。室内の湿度計の値だけでは、冷たい表面の状態は分かりません。
- 漏水・雨水の侵入を確認したいとき
- 雨の後に変化する、水回りや配管付近だけが濡れる、同じ場所の染みが広がるなどの状況を施工会社へ伝えます。水の侵入が疑われる場合は、除カビと合わせて修理の担当・範囲を確認します。
相談前に残しておくと役立つ写真と記録
- 写真:場所が分かる全景と、カビ・染み・濡れの近景。撮影日も残します。
- 建物の状況:所在地、築年数、建築中・引渡し前・入居後のどの段階か。
- 変化:気付いた日、広がり方、雨や冷暖房の前後で変わるか。
- 分かる範囲の測定:温度・湿度と測定した場所・時間。図面や過去の調査記録があれば共有します。
家具の裏や収納に空気が届くようにし、換気・除湿は外気の湿度や設備の使い方も踏まえて検討します。汚れをこすり落とす前に記録を残し、内装を剥がす、設備を分解するなどの作業は担当者と相談してください。
厚生労働省が示す相対湿度40〜70%は、特定建築物の空気環境に関する管理基準です。住宅のカビを防ぐことを保証する数値や、コンクリート内部の乾燥判定値ではありません。建築物環境衛生管理基準
公開調査事例:新築のカビを測定して確認

この記録では、築3年の高気密・高断熱住宅について、引渡し後からのカビ問題を受け、ハウスメーカーからの依頼で含水率調査と真菌検査を行っています。作業日は2022年4月27日です。
この事例の公開情報は、コンクリートの余剰水が原因だったことを示すものではありません。建材の水分を調べる測定と、菌を調べる検査を、確認したい内容に合わせて選ぶ例としてご覧ください。写真だけで、原因・汚染範囲・処理後の状態は判定できません。
カビの見た目と、コンクリートの耐久性は分けて確認
コンクリートの中性化は、二酸化炭素などとの反応によってアルカリ性が低下する現象です。鉄筋の腐食を検討する際には、水分や酸素などの条件も関わります。表面にカビがあることだけでは、中性化の進行や構造上の問題を判断できません。コンクリートメンテナンス協会「技術資料」2.2 中性化
ひび割れ、錆汁、剥がれなどが見られる場合は、その状況も施工会社や建築の専門家へ共有してください。表面の除カビと、漏水修理・構造の調査は、必要な対応を整理して進めます。
除カビの費用は、素材・範囲・作業条件で確認
同じコンクリートのカビでも、壁・天井・床下、表面の仕上げ、施工面積、養生や足場の必要性などで費用が変わります。水分の調査、菌の検査、報告書、漏水修理などが、施工費と同じ範囲に含まれるとは限りません。
- 写真と現在分かる状況を共有する。
- 必要な調査と、乾燥・修理・除カビの担当を整理する。
- 施工範囲、日程、検査や交通費を含む見積り条件を確認する。
電話・フォームでの相談は無料です。現地調査・検査・報告書・交通費などに費用がかかる場合は、内容と条件を確認します。建築・管理会社の方は工程や引渡し予定もお知らせください。
新築コンクリートのカビでよくある質問
新築のカビは、施工不良ということですか?
カビが見えることだけで施工不良とは判断できません。発生場所、施工の経過、建材の水分、結露や漏水の有無を確認し、施工会社と調査の範囲を整理してください。
換気や除湿をすれば、カビはなくなりますか?
湿気への対応は必要ですが、すでにあるカビの処理や、漏水の修理が別に必要な場合があります。建物と外気・設備の条件を確認し、乾燥と除カビの進め方を検討します。
見た目がきれいになれば、内部も乾いたと考えてよいですか?
表面の見た目だけでは内部の水分は分かりません。仕上げや次の工事に進む判断が必要な場合は、施工会社と必要な測定・確認方法を相談してください。
参考資料・写真の掲載元
- 日本コンクリート工学会「コンクリートの基礎知識:体積変化」 — 含水率の低下と乾燥収縮について。
- 日本建築学会「建築工事標準仕様書・同解説 JASS 5 鉄筋コンクリート工事」 — 原記事の参照資料。配合・品質の仕様は、版と適用条件を確認して扱います。
- 一般社団法人コンクリートメンテナンス協会「技術資料」Ver.4.2 — 中性化の説明を参照。
- 厚生労働省「建築物環境衛生管理基準について」 — 湿度の基準と適用範囲を参照。
- 長野県安曇野市 新築カビ問題にて、真菌検査(カビ菌検査) — 写真・作業日・調査内容の掲載元。
