株式会社せら · カビ対策の専門記事

カビ取り屋の知恵袋

新築・床下・施設のカビや、湿気・カビ菌検査について。建物と悩みに合わせて、原因と対策を探せます。

ホーム > カビ取り屋の知恵袋 > 自分で取ってはいけないカビ|専門業者に頼む判断基準と費用の目安

自分で取ってはいけないカビ|専門業者に頼む判断基準と費用の目安

編集:MIST工法®カビバスターズ本部(株式会社せら)|1995年創業・除カビ防カビ業 愛知県知事許可(般-24)第112038号|本記事の数値は、米国環境保護庁(EPA)・文部科学省・国土交通省・厚生労働省・消費者庁の公的資料にもとづいています。

ここまで9回、家庭でできるカビ対策を整理してきました。最終回は逆の話です。「自分で取ってはいけないカビ」があります。拭けば落ちるように見えても、原因が壁の中や床下にあるカビは、表面をいくらきれいにしても戻ります。しかも、取ろうとして塩素系を強い濃度で使う、壁紙を剥がす、天井裏に入る、といった作業は、健康と住まいに別のリスクを持ち込みます。

結論から言うと、判断のラインは面積・深さ・原因・場所・人の5つです。米国環境保護庁(EPA)の家庭向けガイドは、カビの範囲が約10平方フィート(約1m²)を超える場合、水損や下水・空調系が絡む場合は専門家への相談を勧めています。文部科学省のカビ対策マニュアルも、大規模な発生時は専門家に相談することを前提に手順を組んでいます。

この記事では、5つの判断ライン、原因が「見えない場所」にあるサイン、自分で取ろうとして起きる事故、専門業者の費用が何で決まるか、見積もりで確認する質問、そして依頼するまでに家庭でしておくことを、EPA、文部科学省、国土交通省 国総研、厚生労働省、消費者庁の公的資料をもとに整理します。本記事は連載「素人でもできるカビ対策」の第10回(最終回)です。

この記事で分かること

  • 自分で取るか、専門業者に頼むかを分ける5つの判断ライン
  • 原因が壁の中・床下・空調にあるサイン
  • 自分で取ろうとして起きる3つの事故と、やってはいけない作業
  • 専門業者の費用が動く4つの要素と、見積もりで確認する5つの質問
  • 業者に来てもらうまでに、家庭でしておくこと

1. 結論:5つのラインのどれか1つでも越えたら、相談する

結論 根拠
約1m²(畳の半分)を超える、または複数の部屋に出ているカビは、自分で取る範囲を超えている EPA:約10平方フィート(約1m²)を超える範囲は専門家に相談。文部科学省:大規模発生時は専門家へ
拭いても数週間で同じ場所に戻る、壁紙が浮く、床がたわむ、臭うカビは、原因が見えない場所にある 国土交通省 国総研:部位内(壁の中・床下)の結露は発見が遅れ、乾燥しにくく、最も厄介な水分供給現象の一つ
天井裏・床下・換気ダクト・エアコン内部・下水や漏水に由来するカビは、作業自体に危険がある EPA:空調系のカビは運転を止め専門家へ。下水や汚染水に由来する場合は専門家へ
費用は面積・素材・原因調査・防カビの4要素で決まる。現地調査のない金額は目安にすぎない 公的統計は存在しないため金額は示さない(要追加調査)。文部科学省の手順(原因調査→除去→乾燥→防カビ)が費用の内訳に対応

2. 5つの判断ライン

図1 1つでも右側に当てはまれば、自分で取る前に相談する。
判断軸 自分でできる範囲 専門業者に相談するライン 出典
① 面積 約1m²以下、1か所 1m²超、複数の部屋、天井全体、壁一面 EPA:約10平方フィート
② 深さ 表面だけ。拭くと落ちて戻らない 拭いても戻る、素材の中まで色が入る、押すと柔らかい 文部科学省:色素は不可逆。第9回:腐朽
③ 原因 結露・湿気・置き方など、家庭で断てる 漏水・床下・壁の中・断熱不足・雨漏りなど見えない場所 国総研:部位内結露
④ 場所 手が届き、換気できる場所 天井裏・床下・換気ダクト・エアコン内部・高所 EPA:空調系は専門家
⑤ 人 家族に体調の不安がない 乳幼児・高齢者・呼吸器の不安のある人がいる家 文部科学省:胞子は死んでもアレルゲン

面積の「約1m²」は、EPAが家庭向けガイドで示している目安です。畳の半分、あるいは新聞紙を広げた程度です。それ以下でも、②〜⑤のどれかに当てはまれば、自分で取る前に相談するほうが結果的に早く済みます。当社は医療機関ではありませんので、体調については医師にご相談ください。

3. 原因が「見えない場所」にあるサイン

図2 表面を拭いても内側から戻るなら、原因は壁の向こう側にある。

国土交通省 国土技術政策総合研究所のメンテナンスガイドラインは、部位内(壁の中・床下・天井裏)の結露を、発見が遅れるうえに乾燥しにくく、最も厄介な水分供給現象の一つとしています。見えるカビは、壁の内側に広がったカビの先端が表に出てきたものである場合があります。次のサインがあれば、表面のカビ取りではなく、原因調査が先です。

サイン 疑われる原因 家庭でできること
拭いても同じ場所に数週間で戻る 壁内・床下からの湿気供給 戻るまでの日数と場所を記録する
壁紙が浮く・波打つ・継ぎ目から黒ずむ 下地の湿り。第4回の「境目」 剥がさない。写真を撮る
巾木・床の隙間・コンセント周りから臭う 床下・壁内のカビ コンセントカバーを外さない(感電)
床板がたわむ・柔らかい・浮く 床下の湿気、腐朽(第9回) その場所に重い物を置かない
雨のあと・入浴後に壁が湿る 雨漏り、配管からの漏水 水道メーターのパイロットが止まるか確認
天井の一部にシミが広がる 屋根・上階からの漏水、天井裏の結露 天井裏に入らない。シミの輪郭を日付入りで撮る
エアコンをつけると臭う 熱交換器・送風ファンのカビ EPA:運転を止めて専門家へ。自分で分解しない

4. 自分で取ろうとして起きる事故と、やってはいけない作業

消費者庁と厚生労働省は、塩素系と酸性の製品の混合による塩素ガス発生、換気不足の浴室での中毒を繰り返し注意喚起しています。第2回で整理した「まぜるな危険」は、狭い場所で広範囲に使うほど危険が増します。カビの範囲が広いほど、使う薬剤の量が増え、作業時間が延び、事故の条件がそろいます。

やってはいけない作業 起きること 出典
塩素系を薄めずに広い面積に使う、密閉した浴室で長時間使う 塩素ガスによる目・喉・肺の刺激。換気不足で症状が出た事例 消費者庁・厚生労働省の注意喚起
塩素系と酸性洗剤・クエン酸・アルコールを同じ場所で続けて使う 塩素ガスの発生 第2回「まぜるな危険」
カビの生えた壁紙・石膏ボードを剥がす、天井板を外す 胞子が室内全体に舞う。文部科学省:胞子は死んでもアレルゲン 文部科学省「カビ対策マニュアル」
噴霧器で薬剤を広範囲に吹く 胞子を吹き飛ばして拡散。薬剤の吸い込み 文部科学省:噴霧器は使わない
天井裏・床下に入る 転落・釘・断熱材の粉塵・熱中症。配線への接触 住宅の構造上の危険(一般論)
エアコン内部を分解して洗う 感電、基板の故障、洗浄液の残留 EPA:空調系は専門家へ
カビの上から塗装・ワックス・壁紙で隠す 内側で育ち、数か月で浮き出る 第4回・第9回

もう一つ、見落とされやすいのが「作業する人」です。文部科学省のマニュアルは、作業時のマスク・手袋・換気を前提にしています。カビの範囲が広いほど、吸い込む胞子の量も増えます。呼吸器に不安のある人、妊娠中の人、小さな子どもがいる家では、作業自体をしないという選択が、遠回りに見えて近道です。

5. 専門業者の費用は、何で決まるか

図3 金額そのものより、金額が「何に対して」付いているかを見る。

カビ除去の費用について、全国統計や公的な相場資料は存在しません。この記事では金額を示さず(要追加調査)、金額が動く要素と、見積もりで確認する項目を整理します。文部科学省のマニュアルが示す作業の順序は、原因調査、除去、乾燥、防カビです。業者の見積もりの内訳も、おおむねこの順序に対応します。

要素 金額が上がる方向 見積もりで見る場所
① 面積と場所 ㎡数が多い、部屋数が多い、天井や高所、床下・壁内など開口が必要 ㎡単価か一式か。開口・復旧が含まれるか
② 素材と工法 木・無塗装材・特殊な仕上げ。削る・張り替えを伴う こする・削る工程の有無。素材への影響の説明
③ 原因調査 水分の供給源の特定(結露・漏水・断熱・換気)。測定機器の使用 調査が別料金か、報告書が出るか
④ 防カビ・保証 防カビ処理の範囲、再発時の対応、期間 保証の条件(原因を断つ工事とセットか)

注意点は、電話や写真だけで即答された金額は、現地調査の前提を欠くため目安にすぎないことです。また、最も安い見積もりが「除去だけ」で原因調査と防カビを含まない場合、数か月後に同じ費用がもう一度かかります。金額を比べるときは、同じ工程の範囲で比べてください。

見積もりで確認する5つの質問

  1. 現地調査をしたうえでの金額ですか。追加費用が出る条件は何ですか。
  2. 水分の供給源(原因)をどう特定し、どう断ちますか。
  3. こする・削る・張り替える工程は含まれますか。素材への影響は。
  4. 防カビ処理の範囲と、再発したときの対応と期間は。
  5. 許可・保険・作業後の報告書はありますか。

6. 業者に来てもらうまでに、家庭でしておくこと

  • 写真を日付入りで撮る。カビの場所、広がり、壁紙の浮き、天井のシミ。数週間の変化が原因の手がかりになる。
  • いつから・どこから・どんなときに、をメモする。雨のあと、入浴後、冬の朝など、湿るタイミングは原因の特定に直結する。
  • 温湿度計を置く。第1回の方法で、部屋ごと・時間帯ごとの湿度を記録する。厚生労働省の建築物環境衛生管理基準は湿度40〜70%を示している。
  • 表面のカビを取らない、隠さない。調査の手がかりが消える。広げないために、触らずに換気だけする。
  • 家具を壁から離し、その場所の物を減らす。調査と作業の動線ができ、当日の時間と費用が減る。
  • 賃貸なら管理会社・大家に先に連絡する。原因が建物側(漏水・断熱)にある場合、費用負担の相談が先になる。
状況 まず連絡する先 理由
賃貸・分譲マンションの共用部が絡む 管理会社・大家・管理組合 建物側の原因は居住者だけでは対処できない
雨漏り・上階からの漏水が疑われる 施工会社・保険会社・管理会社 原因の修理が先。カビ除去だけでは戻る
エアコン・換気ダクト内部 メーカー・空調の専門業者 EPA:空調系は専門家へ
木が柔らかい・床がたわむ 工務店・建築士・カビの専門業者 腐朽の確認と構造の判断が必要(第9回)
上記に当てはまらず、範囲が広い・戻る カビの専門業者 原因調査と除去・防カビをまとめて依頼

7. よくある質問

Q1. 1m²以下ですが、何度も戻ります。自分で取り続けていいですか

面積のラインは越えていなくても、②深さと③原因のラインを越えています。戻るということは、水分の供給が続いているということです。第1回から第9回の対策で湿度・換気・置き方を変えても戻るなら、原因は見えない場所にあります。戻るまでの日数と場所を記録して、相談してください。

Q2. 業者に頼んだら、家中の壁紙を張り替えると言われました

原因の説明がないまま張り替えを勧められた場合は、別の業者にも現地調査を依頼してください。第4回で整理した通り、壁紙の張り替えは下地の湿りが止まっていなければ、同じ場所に戻ります。文部科学省の手順は、原因調査→除去→乾燥→防カビであり、張り替えは除去の一手段にすぎません。

Q3. 費用を安くする方法はありますか

金額は示せませんが、上がる要素は減らせます。家具を動かして作業の動線をつくる、写真と記録で調査の時間を短くする、原因が建物側なら管理会社や保険で費用負担を分ける、除去だけでなく原因を断つ工事をセットにして再発の費用をなくす、の4つです。

Q4. カビの専門業者と、ハウスクリーニングは何が違いますか

ハウスクリーニングは表面の汚れとしてカビを落とします。カビの専門業者は、原因調査、素材に合わせた薬剤の選定、除去、乾燥、防カビ、再発時の対応まで扱います。①面積と②深さのラインを越えていなければ前者で足りる場合があり、③原因のラインを越えているなら後者です。

8. まとめ(連載を終えて)

自分で取るか、頼むかの判断は、面積・深さ・原因・場所・人の5つで決まります。約1m²を超える、拭いても戻る、原因が壁の中や床下にある、天井裏や空調が絡む、家族に体調の不安がある。どれか1つでも当てはまれば、取る前に相談してください。費用は面積・素材・原因調査・防カビの4要素で決まり、現地調査のない金額は目安にすぎません。見積もりは金額ではなく、工程の範囲で比べてください。

連載「素人でもできるカビ対策」は今回で最終回です。第1回の湿度・換気・掃除の3つを続けていれば、家庭のカビの多くは1m²を超える前に止まります。それでも止まらないカビは、家が何かを知らせているサインです。この10回が、その見分けの助けになれば幸いです。

手に負えないカビは、お近くのカビバスターズへ

約1m²を超える、拭いても戻る、原因が壁の中や床下にある。そんなカビは、現地調査で水分の供給源を特定し、素材に合わせて薬剤の濃度を調整するMIST工法®で、こすらず・削らずに除カビと防カビを行います。全国のカビバスターズ加盟店が対応します。

連載「素人でもできるカビ対策」

  1. 家庭でできるカビ対策の基本|湿度・換気・掃除の3つで、今日から始める10のこと
  2. カビ取り剤の選び方|塩素系・酸素系・エタノールの使い分けと「まぜるな危険」
  3. お風呂のカビ取り|ゴムパッキン・天井・排水口を自分で落とす手順
  4. 壁紙(クロス)のカビ|拭いてよい範囲と、張り替えを考える境目
  5. 窓のサッシ・ゴムパッキン・カーテンのカビ|結露の最前線の掃除と予防
  6. 押入れ・クローゼットと衣類のカビ|収納の湿気を逃がす方法
  7. 洗濯機と洗濯物のカビ臭|洗濯槽の掃除と部屋干しの工夫
  8. キッチン・冷蔵庫・食品のカビ|捨てる判断と保存の基本
  9. 木製家具・フローリングのカビ|素材を傷めずに落とす方法
  10. 自分で取ってはいけないカビ|専門業者に頼む判断基準と費用の目安(本記事)

参考資料(一次情報)

  • 米国環境保護庁(EPA)「A Brief Guide to Mold, Moisture and Your Home」(約10平方フィート=約1m²超は専門家へ/空調系のカビは運転を止め専門家へ/下水・汚染水由来は専門家へ)
  • 文部科学省「カビ対策マニュアル」基礎編・実践編・Q&A(大規模発生時は専門家へ/原因調査→除去→乾燥→防カビ/噴霧器不可/胞子は死んでもアレルゲン/色素は不可逆/作業時のマスク・手袋・換気)
  • 国土交通省 国土技術政策総合研究所「木造住宅の長期使用に向けたメンテナンスガイドライン」(部位内結露は発見が遅れ乾燥しにくい)
  • 厚生労働省「建築物環境衛生管理基準」(相対湿度40〜70%)
  • 消費者庁・厚生労働省 塩素系製品の混合・換気不足に関する注意喚起(塩素ガス発生)
  • ※カビ除去費用の全国統計・公的相場資料は存在しないため、本記事では金額を示していません(要追加調査)

記事を読んだあとのご案内

建物に合った対策へ。

分かる状況から、ご相談ください。

所在地・建物の用途・発生場所・おおよその範囲が分かると、相談を進めやすくなります。不明な項目があっても、まずは分かる範囲でお知らせください。

ほかのテーマから専門記事を探す →