執筆:MIST工法®カビバスターズ本部(株式会社せら) 本記事の数値は公的機関・学会の公開資料にもとづいています。
施設別シリーズの第8回はホテル・旅館です。客室のカビ臭さは、口コミ評価に直結しやすい問題です。国の「旅館業における衛生等管理要領」には、防湿・換気・空気環境・寝具について、カビ対策に関わる項目が示されています。
この記事で分かること
- 旅館業における衛生等管理要領で示される防湿・換気・温湿度計の設置
- 客室の空気環境に「建築物環境衛生管理基準(湿度40〜70%など)」が適用されること
- 寝具の交換頻度と、浴槽の生物膜(ぬめり)の考え方
- ホテル・旅館でカビが出やすい場所
1. 結論:ホテル・旅館は「防湿」「湿度40〜70%」「生物膜の除去」がポイント
- 管理要領では、施設は適当な防湿及び排水の設備を有すること、窓のない客室は設けないこととされています。
- 空調設備を設けている施設は、客室や廊下などの見やすい位置に温度計と湿度計を備え付けることとされています。
- 空気環境の調整などの維持管理は、建築物環境衛生管理基準(相対湿度40%以上70%以下など)を遵守すること(3,000m²未満の施設は努力義務)とされています。
2. 管理要領のカビ対策に関わる項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 防湿・排水 | 施設は適当な防湿及び排水の設備を有すること |
| 客室 | 清掃が容易に行える構造。窓のない客室は設けないこと |
| 換気 | 自然換気設備で衛生的な空気環境を確保するか、機械換気設備・空気調和設備を設けること |
| 温湿度計 | 空気調和設備を設けているところは、客室・廊下等に温度計・湿度計を備え付けること |
| 空気環境の維持管理 | 建築物環境衛生管理基準を遵守(3,000m²未満は努力義務) |
| 寝具 | 寝衣・シーツ・カバー類は宿泊者ごとに交換。同一宿泊者でも寝衣は毎日、その他は少なくとも3日に1回交換 |
建築物環境衛生管理基準の相対湿度は40%以上70%以下です。70%を超える状態が続くと、客室や収納でカビが増えやすくなります。
3. 浴室・大浴場の「生物膜」
管理要領では、浴槽水の微生物は、ろ過器や浴槽・配管の内壁に生物膜(ぬめり)をつくり、塩素などの消毒から守られてしまうため、消毒だけでなく生物膜の発生を防ぎ、見つけたら直ちに除去することが求められています。これは主にレジオネラ属菌の対策ですが、水が残る場所をつくらないという点でカビ対策とも共通します。
4. ホテル・旅館でカビが出やすい場所
- 客室のユニットバス:換気扇の停止、天井・目地の黒カビ
- 窓まわり・カーテン:冬の結露
- 客室の空調機(ファンコイル):冷房時の結露水とほこり、カビ臭さの原因に
- クローゼット・押し入れ・布団部屋:寝具の湿気
- 稼働の少ない客室・閉館期間:閉め切りによる湿気
- 大浴場の天井・脱衣場:湯気の結露
稼働の少ない客室は、定期的に換気と空調の運転を行い、カビ臭さが出ていないか確認しましょう。
5. よくある質問
Q. ホテルの客室の湿度はどのくらいに保てばいいですか?
旅館業における衛生等管理要領では、空気環境の維持管理について建築物環境衛生管理基準の遵守が求められており、その相対湿度の基準は40%以上70%以下です(3,000m²未満の施設は努力義務)。
Q. 客室がカビ臭いと言われたら、どこを確認すればいい?
空調を入れると臭う場合はファンコイルなど空調機の内部、ユニットバスで臭う場合は換気扇と天井・目地、収納で臭う場合は寝具や壁を確認します。見えないところにカビがあることも多いため、専門業者の点検も検討してください。
Q. 閉館期間や稼働の少ない客室の対策は?
定期的に窓を開けるか空調・換気を運転し、湿度計で湿度を確認します。再開前には、ユニットバスや空調機、寝具収納の点検を行いましょう。
6. まとめ
- 管理要領では防湿設備、温湿度計、換気、窓のある客室が求められている
- 空気環境は建築物環境衛生管理基準(湿度40〜70%)を遵守
- 浴室は生物膜を防ぎ、見つけたら除去。客室は空調機・ユニットバス・収納に注意
ホテル・旅館のカビのご相談は、法人のお問い合わせまたはフリーダイヤル 0120-052-127 へ。営業への影響が少ない施工日程もご相談ください。
参考資料(一次情報)
- 厚生労働省「旅館業における衛生等管理要領」 施設の防湿及び排水の設備、窓のない客室の禁止、換気設備、温度計・湿度計の備え付け、建築物環境衛生管理基準の遵守、寝具の交換頻度、浴槽の生物膜
- 厚生労働省「建築物環境衛生管理基準について」 相対湿度40%以上70%以下、温度18℃以上28℃以下など












