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玉ねぎの黒い粉はカビ?|黒かび病の正体、食べられるかの判断、黒かび病にしない保存方法

 

※この記事は2026年9月に、佐賀県病害虫防除基準・農林水産省・東京都保健医療局の公開情報をもとに内容を全面的に見直しました。当社は医療機関ではありません。

玉ねぎの皮をむいたら、内側に黒い粉。指でこすると付く。「玉ねぎの中が黒い」「黒い粉はカビ?」「食べても大丈夫?」「墨汁のような匂いがする」と検索される方が多いテーマです。結論から言うと、玉ねぎの皮の内側の黒い粉は、産地の防除基準に「黒かび病」として載っている貯蔵病害で、病原菌はアスペルギルス属のカビ(Aspergillus niger)です。家庭の保存中に同じことが起きます。

この記事では、黒い粉の正体、皮の外側だけの場合と鱗片の内側まで及んでいる場合の判断、緑のカビや異臭との違い、そして黒かび病にしない保存方法を、公的機関の一次情報をもとに整理します。

この記事で分かること

  • 玉ねぎの黒い粉の正体(黒かび病・Aspergillus niger)と、産地の資料に書かれている症状・発生条件
  • 黒い粉・黒ずみ・緑のカビ・異臭が出たときの判断の流れ
  • 「食べられるのか」について公的機関が示していること・示していないこと
  • 産地の対策を家庭に置き換えた保存方法(乾いた状態・高温を避ける・傷を付けない)

1. 結論:玉ねぎの黒い粉について最初に知っておきたい3点

①黒い粉の正体は、黒かび病(アスペルギルス属)の胞子です。佐賀県の病害虫防除基準(令和7年8月改正)は、タマネギの黒かび病をAspergillus nigerによる病害とし、夏季の貯蔵中に発生し、鱗片の外側または内部に境界のはっきりしない水浸状の病斑を作り、その部位に多数の黒色の胞子を形成する、としています。皮をむいて見える黒い粉は、この胞子です。

②判断は「皮の外側だけか、鱗片の内側まで及んでいるか」で分けます。鱗片が水っぽく変色している、内側まで黒い粉が入っている、異臭がある場合は、その玉ねぎは使いません。皮の外側だけの場合については、公的機関の個別の見解は今回の調査では確認できませんでした。農林水産省の一般的な見解(見えるカビを取り除いても見えないカビが残る可能性が十分ある)に沿えば、安全側の判断は「使わない」です。

③防ぐ方法は、産地の対策と同じです。佐賀県は「高温での貯蔵を避ける」、農林水産省は「収穫後も乾燥状態を維持して保管する」ことを示しています。家庭では、ビニール袋に入れず風が通る涼しい場所に置き、傷んだ玉ねぎを他から離すことがこれに当たります。

2. 黒い粉の正体:黒かび病(Aspergillus niger)

図1 産地の防除基準に載っている貯蔵病害。家庭の保存中にも同じことが起きる。
項目 産地の資料に書かれていること 出典
病原菌 Aspergillus niger(アスペルギルス属) 佐賀県 病害虫防除基準
発生時期 夏季の貯蔵中 佐賀県 病害虫防除基準
症状 鱗片の外側もしくは内部に境界のはっきりしない水浸状の病斑を形成し、その部位に多数の黒色の胞子を形成 佐賀県 病害虫防除基準
対策 高温での貯蔵を避ける。茎葉が傷つかないよう、栽培中のべと病・ボトリチス葉枯症・ネギアザミウマ等の防除を徹底する 佐賀県 病害虫防除基準
保管 球の乾燥を確認したのちに収穫し、収穫後も乾燥状態を維持するように保管する 農林水産省 タマネギ高温対策資料
アスペルギルス属とは 約150種。醸造用のA.オリゼーと、発がん性カビ毒アフラトキシンを作るA.フラバスが同じ属。色は黒・緑・黄土・茶・白など様々 東京都保健医療局

「玉ねぎ 黒い粉」「玉ねぎ 中が黒い」「玉ねぎ 黒ずみ」は、程度の違いはあれ同じ黒かび病を指していることがほとんどです。皮の内側にうっすら付いた黒い粉は初期、鱗片が水っぽく変色して黒い粉が広がっているのは進行した状態です。

3. 判断の流れ:異臭 → 皮の外側だけか、内側までか

図2 「皮の外側だけ」と「鱗片の内側まで」で分ける。異臭があれば迷わない。

3-1. 異臭・ぶよぶよ・汁が出る

墨汁のような匂い、腐敗臭、押すとぶよぶよする、汁が出る。これらは腐敗が進んでいるサインで、黒かび病に細菌の腐敗が重なっていることもあります。食べずに丸ごと捨て、接していた玉ねぎを点検してください。

3-2. 鱗片の内側まで黒い粉がある・水浸状に変色している

佐賀県の防除基準が示す黒かび病の症状そのものです。鱗片の内部に病斑があるということは、菌糸が食べる部分に入っています。農林水産省は、見えるカビを取り除いても見えないカビが内部や表面に残っている可能性が十分あるとして食べずに捨てることを勧めており、東京都保健医療局はカビ毒が100〜210℃・60分以内の調理で完全に分解できないとしています。その玉ねぎは使いません。

3-3. 皮の外側だけに黒い粉がある

正直にお伝えすると、「皮の外側だけの黒い粉なら、皮をむけば食べられる」と明記した公的機関の情報は、今回の調査では確認できませんでした。この記事では、農林水産省の一般的な見解に沿って、安全側の判断は「使わない」とします。使うかどうかを判断する場合は、皮をむいた鱗片に黒い粉や変色が一切ないこと、異臭がないことが最低条件で、小さなお子さん・妊娠中の方・持病のある方が食べる分には使わないことをおすすめします。

3-4. 緑のカビ

「玉ねぎ カビ 緑」「玉ねぎ 皮 カビ 緑」と検索される緑〜青緑のカビは、黒かび病とは別で、ペニシリウム属など生鮮野菜・果実に出るカビです。東京都保健医療局によると、ペニシリウム属は約150種あり、チーズ用の種とカビ毒を作る種が同じ属に含まれ、家庭で種は判別できません。実ごと捨て、接していた玉ねぎを点検してください。

4. 「食べたら食中毒になる?」「毒性は?」への答え

「玉ねぎ 黒カビ 食中毒」「玉ねぎ 黒カビ 毒性」と検索される方が多い部分です。公的機関が示している事実は次の範囲です。

  • アスペルギルス属は約150種あり、同じ属に醸造用の種と発がん性カビ毒(アフラトキシン)を作る種が同居している。家庭で種は判別できない(東京都保健医療局)
  • カビ毒は100〜210℃・60分以内の調理では完全に分解できず、ゆでる・炒めるでもほとんど減らない(東京都保健医療局)
  • カビ毒を長期間繰り返し摂取すると健康被害の可能性がある(農林水産省)

玉ねぎの黒かび病そのものが食中毒を起こしたという公的な統計や注意喚起は、今回の調査では確認できませんでした。だからといって安全という意味ではなく、上の3点から導けるのは「鱗片に及んだものは使わない」「うっかり食べてしまった場合、1回で直ちに症状が出るとは限らないが、体調に変化があれば医療機関に相談する」という線です。

5. 黒かび病にしない保存:産地の対策を家庭に置き換える

図3 「乾いた状態を保つ」「高温を避ける」「傷を付けない」の3つ。
産地の対策 出典 家庭では
収穫後も乾燥状態を維持して保管 農林水産省 ビニール袋や密閉容器に入れない。ネットや紙袋に入れて、風が通る場所に吊るすか置く。濡れたら拭いて乾かしてから
高温での貯蔵を避ける(発生は夏季の貯蔵中) 佐賀県 夏は台所の常温より風通しの良い涼しい場所へ。使いかけは切り口をラップして冷蔵し、早めに使い切る
茎葉に傷を付けない(傷口が入口) 佐賀県 傷んだ玉ねぎ、黒い粉が出た玉ねぎは他から離す。皮の内側の黒い粉(胞子)は隣の玉ねぎに移る

東京都保健医療局によると、多くのカビは湿度70%以上・10〜30℃で育ちます。夏の台所は、この条件がそろう場所です。「涼しく、乾いて、風が通る」の3つを満たす場所を1つ決めて、そこにだけ置くのが、家庭でできる最も確実な対策です。

6. よくある質問

Q1. 黒い粉を洗い流せば食べられますか

洗い流せるのは表面の胞子だけで、鱗片の内部に入った菌糸とカビ毒は残ります。鱗片に黒い粉や変色が及んでいるものは使わないでください。

Q2. 黒い粉の付いた玉ねぎを使って料理してしまいました

農林水産省が注意しているのはカビ毒の長期間の繰り返し摂取で、1回で直ちに症状が出るとは限りません。体調に変化があった場合や、小さなお子さん・妊娠中の方・持病のある方が食べた場合は、状況を伝えて医療機関に相談してください。症状の判断は医療機関の領域です。

Q3. 買ってきたばかりなのに黒い粉が付いていました

黒かび病は貯蔵中に発生する病害なので、流通の段階で進んでいることがあります。購入直後でも同じ基準で判断し、同じ袋の他の玉ねぎも点検してください。

Q4. 冷蔵庫に入れれば防げますか

高温を避ける点では有効ですが、冷蔵庫の野菜室は湿度が高く、袋に入れたままだと結露します。丸のままなら風が通る涼しい場所、使いかけは切り口をラップして冷蔵、が使い分けの目安です。

7. まとめ

玉ねぎの皮の内側の黒い粉は、産地の防除基準に載っている黒かび病(Aspergillus niger)の胞子で、夏季の貯蔵中に発生します。異臭があれば丸ごと捨てる。鱗片の内側まで黒い粉や水浸状の変色が及んでいれば使わない。皮の外側だけの場合について公的機関の個別の見解はなく、安全側の判断は「使わない」。防ぐには、乾いた状態を保ち、高温を避け、傷んだものを分ける。これが公的機関の情報に沿った対応です。

参考資料

  • 佐賀県「病害虫防除基準」(令和7年8月改正)4)野菜の病害虫防除②(5)タマネギの病害虫「黒かび病」
  • 農林水産省「タマネギ 高温により発生が懸念される障害被害と対策」(収穫後も乾燥状態を維持して保管)
  • 農林水産省「食品のかび毒に関する情報」「かびとかび毒についての基礎的な情報」
  • 東京都保健医療局「食品衛生の窓」カビとカビ毒(カビQ&A/アスペルギルス/ペニシリウム/カビ毒Q&A)

※本記事は公的機関の公開情報をもとに一般的な情報を提供するもので、個別の食品の安全性を保証するものではありません。当社は医療機関ではありません。症状に関する判断は医療機関にご相談ください。