カビの相談は、季節によって内容が変わります。梅雨に増えるもの、冬に増えるもの、真夏に増えるもの。であれば、その年の天候の傾向が分かっていれば、点検の時期を前倒しできるはずです。連載「省エネ住宅時代のカビ」第7回は、エルニーニョ現象と住まいの関係を、気象庁の発表から整理します。
1. 2026年はエルニーニョ現象が発生しているとみられる
気象庁は令和8年(2026年)6月10日の報道発表で、次のように公表しています。
令和8年春からエルニーニョ現象が発生しているとみられます。エルニーニョ現象は冬にかけて発達して最盛期を迎えることが多く、エルニーニョ現象発生時における冬季の日本付近では、気温が高くなりやすい傾向があります。
同じ発表では、今夏の天候について日本付近は高温になる可能性が高いと予報しており、その見通しに変更はないとも述べられています。

2. 発生時に現れやすい天候の傾向
気象庁は「エルニーニョ現象発生時の日本の天候の特徴」として、統計期間1948〜2021年のデータから季節ごとの傾向を公表しています。統計的に有意な傾向として挙げられているものは次のとおりです。

表1 季節ごとの傾向(統計的に有意なもの)
| 季節 | 平均気温 | 降水量・その他 |
|---|---|---|
| 春(3〜5月) | 東日本、沖縄・奄美で高い傾向。北日本で並か高い傾向 | 降水量は北日本太平洋側で少ない傾向 |
| 夏(6〜8月) | 西日本で低い傾向。北・東日本で並か低い傾向 | 降水量は西日本日本海側で多い傾向 |
| 秋(9〜11月) | 西日本で低い傾向。北日本で並か低い傾向 | 降水量は有意な傾向なし |
| 冬(12〜2月) | 西日本で並か高い傾向 | 降水量は東日本太平洋側、沖縄・奄美で多い傾向 |
| 梅雨の時期 | — | 降水量は西日本日本海側で多い傾向。近畿・四国・奄美・沖縄で梅雨明けが遅い傾向 |
出典:気象庁「エルニーニョ現象発生時の日本の天候の特徴」(統計期間1948〜2021年、冬は1947/48〜2020/21年)
気象庁が示しているのは、過去の発生時に現れた統計的な傾向です。実際の天候は最新の季節予報で確認してください。この記事も、点検の時期を考えるための材料として読んでいただくものです。
3. 住まいの点検にどう使うか
天候の予報そのものは変えられませんが、いつ点検するかは決められます。降水量が多い傾向、梅雨明けが遅い傾向といった情報は、住まいの側の準備を早める理由になります。

表2 傾向ごとに、先回りできること
| 傾向 | 住まいで起きうること | 先回りできること |
|---|---|---|
| 降水量が多い | 外装材が濡れる時間が長くなる。雨仕舞いの弱点が出る | 降雨後に室内側の壁と床下を見ておく |
| 梅雨明けが遅い | 湿度の高い期間が長引く | 押し入れ・収納の扉を開ける回数を増やす。除湿の計画を前倒しする |
| 冬の気温が高め | 窓の結露は減る一方、閉め切りと加湿で室内湿度が上がることがある | 相対湿度40〜70%の範囲に収まっているか確認する |
| 夏の気温が低め | 冷房を弱めても湿度が下がらないことがある | 温度ではなく湿度の数値を見る |
4. 記録があると、次の年が読める
文部科学省のカビ対策マニュアルでは、発生した日時・場所・状態と写真を記録することが勧められています。ここにその年の天候の特徴を一行添えておくと、翌年以降の見通しが立てやすくなります。「雨の多かった年に、あの壁が出た」という記録は、次に同じ傾向が予報されたときの点検リストになります。
5. まとめ
- 気象庁は令和8年春からエルニーニョ現象が発生しているとみられると発表している
- 発生時の傾向として、夏は西日本で気温が低め・西日本日本海側で降水量が多め、梅雨明けが遅めなどが挙げられている
- 冬にかけて発達し最盛期を迎えることが多く、発生時の冬季は気温が高くなりやすい傾向
- 予報は「いつ点検するか」を決める材料。記録に天候を一行添えておくと翌年に効く
季節ごとに繰り返すカビでお困りの場合は、カビ菌検査や現地調査もご相談いただけます。処置の考え方はMIST工法®のページをご覧ください。費用は建物の状態によって変わるため、現地調査のうえでのお見積りとなります。












