木材腐朽菌は、木材の成分を分解して強度を低下させる菌です。柱・土台・床下の木部に傷みがあるときは、表面のカビを取ることと、建物を支える部材を点検・補修することを分けて考えます。黒ずみや白い付着物があるだけで腐朽とは決められず、カビを除去して見た目が戻っても、失われた木材の強度が回復するわけではありません。
この記事では、腐朽・表面のカビ・シロアリ被害の違い、水分と木材の劣化、点検から補修・除カビまでの進め方を整理します。木材表面のカビ取りや場所別の対策は、木材のカビ取り|腐朽との違い・業者に相談する目安と費用もご覧ください。
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木材腐朽菌とは:木が腐る仕組みと強度への影響
腐朽は、微生物の働きで木材の細胞壁を構成する成分が分解され、木の組織が傷む現象です。木材の強度に関わるため、住宅の柱・梁・土台・床組などでは、付着物の清掃だけで終わらせず、傷んだ範囲と部材の役割を確認します。
森林総合研究所は、木材の腐朽を白色腐朽・褐色腐朽・軟腐朽に分け、いずれも腐朽の進行で強度が低下することを説明しています。褐色腐朽では、重量の変化が小さい段階でも強度が大きく低下した研究例があります。この記事の写真や、住まいの見た目から強度低下の割合を算出することはできません。
- 褐色腐朽
- 木材が褐色になり、進行するとブロック状に割れて崩れる特徴があります。
- 白色腐朽
- 木材が繊維状に壊れるように腐る特徴があります。
- 軟腐朽
- 水分を多く含む木材に生じ、表面の組織が分解される腐朽型です。
これらは腐朽型の説明です。白い粉・黒い跡・割れだけで菌種や腐朽型を確定するチェック表ではありません。見える部分と内部の状態が一致するとは限らないため、必要な点検・試料の確認は専門家に相談してください。
表面のカビ・腐朽・シロアリは、確認する対象が違う
国土技術政策総合研究所の資料では、木部の生物劣化を表面汚染・変色・腐朽・虫害・蟻害などに分けています。同じ場所に複数の問題があることも考えて、付着物の色だけで対応を決めないことが大切です。
- 表面のカビ・変色
- 表面の点・粉・膜状の付着や着色を確認します。木材のカビと、汚れ・ヤニ・金属による変色などの区別が必要な場合があります。黒い木材を見ただけでは、内部の腐朽や強度は分かりません。
- 木材の腐朽
- 木材そのものの分解・傷みを確認します。崩れ、繊維状の傷み、床の沈みや部材の変形などは、建築の専門家へ相談する手がかりです。においや硬さだけで腐朽の有無・範囲は確定できません。
- シロアリなどによる被害
- 虫の姿・蟻道・食害の跡などを、害虫対策の専門家が確認します。腐朽菌とは別の原因であり、除カビだけでシロアリの被害に対応したことにはなりません。
表面のカビが別の菌に変わって腐朽になる、という意味ではありません。また、カビが見えない木材でも、見えない側の劣化を否定することはできません。構造材に傷みが疑われるときは、カビ対策の相談と建築会社への点検依頼を並行して進めます。
木が腐る条件:水分が入る場所と、乾きにくい状態を確認する
国土技術政策総合研究所の資料では、住宅の木材腐朽に関わる条件として空気・水分・温度・養分を挙げています。住宅では木材自体が養分となるため、雨水の浸入や結露を防ぎ、木材への水分供給を減らすことが重要です。
「一度濡れたら何日で腐る」「含水率がこの数値なら絶対に腐らない」と、一つの条件だけで住まいの状態を決めることはできません。木材の種類、濡れた期間と繰り返し、温度、部位、内部の状態などを合わせて確認します。
- 床下:地面・基礎からの水分、配管の漏れ、建築中の雨濡れ、結露、換気・乾燥の条件を確認します。
- 浴室・洗面・キッチンの周囲:水はね、継ぎ目からの浸水、給排水の接続部、収納の奥や床の湿りを確認します。
- 窓・外壁・屋根まわり:雨のあとに濡れるか、結露が繰り返すか、外壁や屋根の水の入口がないかを建築会社と確認します。
- デッキや屋外の木部:接合部に残る雨水、地面との接触、表面保護の状態と、根太・束など支える部材の傷みを確認します。
床下換気の住宅と基礎断熱の住宅では、設計や空気の流れが異なります。自己判断で換気口を開ける、床下換気扇を増設するなどの変更をせず、図面や既存の設備も確認して進めます。
傷みが気になるとき、住まいの方が残しておきたい記録
最初の相談には、無理なく見える範囲の情報で十分です。狭い床下や屋根裏に入る、壁を外す、木材を削る、ドライバーで突いて硬さを試す必要はありません。
- 場所と全体の状況を撮る。安全に撮れる範囲で、近接写真と部屋・部位の位置が分かる写真を残します。床が沈む、デッキがぐらつく場所には、写真のために踏み込まないでください。
- いつ・どのように気づいたかを記録する。発見日、雨や漏水との関係、床の沈み・部材の変形、過去の清掃や補修を分かる範囲でまとめます。
- 建築会社・管理会社へ状況を伝える。新築や賃貸では、薬剤使用や建材の取り外しの前に連絡します。補修・交換の判断は、部材の役割と傷みの範囲を確認してから行います。
キノコのようなものや、虫・土の筋が見えても、触ったり壊したりせず、写真と発見場所を点検担当者へ伝えます。実物や木材片の採取が必要な場合は、採取する部位と方法を専門家が決めます。
建築点検・含水率測定・カビ菌検査の役割
「検査をすれば全部分かる」という一つの検査はありません。調べたいことに合った確認を組み合わせます。
- 部材の傷み・補修の要否を知りたい
- 建築会社・建築士などによる点検が中心です。木材の役割、劣化した範囲、接合部、漏水・雨水の経路などを確認し、必要な追加調査と補修の方法を検討します。
- 建材の水分を知りたい
- 含水率測定は、測った場所・時点の建材の水分を確認する測定です。乾燥の確認や濡れている範囲の検討に使いますが、一つの数値で菌の有無や木材の強度を判定するものではありません。
- 表面や空気中のカビの状態を記録したい
- 目的に応じて付着菌・空中浮遊菌・落下菌などのカビ菌検査を選びます。採取方法と単位が異なるため、検査条件をそろえて比較します。菌種の同定が必要な場合は、採取後の分析内容も別に確認します。
一般的なカビ菌検査だけで、木材の残存強度・腐朽範囲・建物全体の安全性を確定することはできません。「木が腐っているか」「部材を残せるか」を知りたい場合は、その目的を最初の相談で伝えてください。
カビ菌検査の種類と相談の進め方 → 浮遊菌・落下菌・付着菌の違いと費用 →
補修と除カビを進めるときの順序
腐朽が疑われる場所では、薬剤処理だけを先に決めず、建築の点検・水の原因・カビ対策の役割を整理します。調査や工事の順番は、現場の状態と建築会社の計画に合わせます。
- 状態と範囲を確認する。木材の役割、見える傷み、周囲の湿り、カビの付着状況を記録します。必要に応じて建築会社や害虫対策の専門家も確認します。
- 水の原因と補修方法を検討する。漏水・雨水の浸入などを止める工事と、傷んだ木材の補修・交換の必要性を整理します。建物の支持に関わる作業は、建築の専門家が計画します。
- 残す部材の除カビ・防カビを検討する。対象範囲、素材・塗装、他の工事との順番、養生・乾燥などの条件を確認します。せらではMIST工法®による除カビ・防カビと、必要な測定・検査の内容をご相談いただけます。
- 施工後の状態を記録する。工事内容、写真、水分の確認、必要な検査と、今後の点検範囲を整理します。カビが見えなくなったことだけで、建物の補修完了とは判断しません。
腐朽で失われた木材の強度を、除カビで回復させることはできません。せらへのカビ相談では、建築会社から受けている指摘や補修予定もお知らせください。新築・引渡し前後の対応は、新築・建築会社向けのカビ対応案内と新築床下でカビが見つかったときの初動・調査・除カビも参考になります。
実際の床下施工写真:除カビ後の木部

掲載元では、室内に目立ったカビがなくても、床下の木材部分を中心にカビが見つかり、除カビ等の処理を進めた経緯を紹介しています。この写真で確認できるのは、掲載された床下の施工後の外観です。腐朽があったことや木材の強度が回復したことを示す写真ではありません。木材の傷みの点検と、表面の除カビの記録を分けて見る参考としてご覧ください。
費用を相談するときは「点検・補修」と「除カビ」を分ける
見積りでは、建築点検、漏水・雨漏りの修理、解体・木材交換・復旧、除カビ・防カビ、測定・検査、報告書のどこまでが含まれるかを確認します。部材の交換費用や必要な工期は、このページの情報だけでは決められません。
本部の掲載料金と照合したカビ対策の税込参考額は、床下100㎡未満で550,000円〜、100㎡以上は4,400円〜/㎡、含水率測定は33,000円〜です(2026年10月11日確認)。含水率測定の本部掲載料金には報告書はありません。小さな木材一部分の処理、建築点検、構造補修・交換の総額を示す金額ではありません。
対象素材・面積・床下の高さ・進入口・養生・交通費・報告書などの条件を確認し、依頼する内容と総額を正式な見積りで確かめてください。
施工料金・簡単見積りと条件を見る → 測定・検査・調査の料金を見る → 住宅・木部の施工事例を見る →
木材腐朽菌・木の傷みでよくある質問
黒い木材は、すべて腐っていますか?
色だけでは判断できません。表面のカビ、菌による変色、汚れや金属による着色などの可能性があります。水分の状態や部材の傷みも合わせて確認します。
乾けば、腐朽した木材をそのまま使えますか?
乾燥させることと、傷んだ木材の強度を回復することは別です。残せるか、補修・交換が必要かは、部材の役割と劣化範囲を建築の専門家が確認して判断します。
カビ菌検査が少ない値なら、腐朽はないといえますか?
いえません。採取した位置・時点・方法での菌の状態を示す結果であり、見えない範囲の腐朽や木材の強度を判定する検査ではありません。
木が硬ければ、点検は不要ですか?
触った硬さだけで、内部の傷みや別の面の劣化を否定することはできません。水濡れが繰り返す、床が沈む、構造材の傷みが気になる場合は、建築会社へ状況を伝えてください。
写真や面積がそろっていなくても相談できますか?
ご相談いただけます。無理な点検や採寸は不要です。建物の所在地、木材がある場所、発見した時期、建築会社からの指摘があれば、分かる範囲でお知らせください。
木材の傷みが気になるときは、今分かる状況から
「床下の木が黒い」「漏水後に床が沈む」「建築会社に木材の傷みを指摘された」など、気づいた内容からご相談ください。近接と全体の写真、築年数、濡れた経緯、過去の点検・工事資料があれば、相談を進めやすくなります。
電話・フォームでの相談は無料です。現地調査・測定・検査・報告書・交通費などの費用は、予約や依頼の前に内容と総額をご確認ください。
住宅の木材・床下のカビを相談する → 建築会社・管理会社・施設の相談 →
0120-052-127(平日9:00〜18:00・土日祝除く)
参考資料
- 森林総合研究所「森林資源の利用 Q22」:白色腐朽・褐色腐朽・軟腐朽と、木材の強度への影響。
- 国土技術政策総合研究所「第Ⅵ章 木造住宅の外皮木部の水分履歴に応じた腐朽危険度予測手法」(PDF):木部の生物劣化、腐朽に関わる条件と水分の制御。研究の条件・数値を、住まいの自己診断の基準として扱っていません。
- 国土交通省「既存住宅状況調査技術者講習制度について」:既存住宅の点検制度と参考資料。せらの一般的なカビ菌検査を、この制度の建物状況調査として案内するものではありません。
- カビバスターズ本部「施工費用」:床下施工・含水率測定などの掲載料金。
- カビバスターズ大阪「床下の防カビ処理」:床下の実施工写真と施工担当・処理経緯。
