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エアコンのカビ|結露水とホコリの2つで決まる、掃除の頻度と線引き

 

エアコンは、住まいの中でカビを増やしながら、それを部屋じゅうに配るという、他にない立場にあります。冷房で内部が結露し、そこにホコリが積もり、運転すればその空気が室内へ吹き出す。条件と拡散装置が一体になっています。

この記事では、エアコンの中でカビが育つ仕組み、掃除の頻度の考え方、自分でやる範囲と業者に頼む範囲の線引きを整理します。

結論

  1. 原因は「冷房でできる結露水」と「ホコリ」の2つです。どちらかを断てば増えません。現実的に減らせるのはホコリのほうです。
  2. 冷房を止めたあとの送風運転が、いちばん費用のかからない対策です。内部が濡れたまま止めると、そこから朝までカビの時間になります。
  3. 吹き出し口に黒い点が見えるなら、すでに室内へ出ています。その段階では、フィルター掃除では届きません。

エアコンの中で何が起きているか

冷房運転では、熱交換器(アルミフィンの部分)が冷えます。そこに室内の湿った空気が触れると、コップの表面と同じように結露が起きます。この水がドレンパンに落ち、ホースから外へ流れる——これが正常な動作です。

問題は、運転を止めたあとです。内部は濡れたまま、密閉に近い状態で放置されます。そこにフィルターを通り抜けた細かいホコリが付着していれば、水分と栄養が同時に揃います。温度も、夏場の室内なら十分です。

カビが育つ条件は温度・水分・栄養・時間の4つですが、停止中のエアコン内部は、その4つが全部揃っている数少ない場所です。

健康の面から見たエアコン

日本の住宅で知られる夏型過敏性肺炎について、公益社団法人福岡県薬剤師会の解説では、原因となる真菌トリコスポロン・アサヒが温度20℃以上・湿度60%以上で増殖するとされ、繁殖場所のひとつとしてエアコン内部が挙げられています。ほかに挙げられているのはキッチンのシンク周辺、洗面所、浴室、脱衣所、洗濯機置き場周辺、押入れ、窓のサッシまわりです。

症状は息切れ・咳嗽・発熱とされ、発症は6〜9月に多い。そして抗原のある環境から離れると症状が軽快するのが特徴とされています。「家にいるときだけ症状が出る」場合の手がかりになります。

症状の判断は医療機関の領域です。当社が言えるのは、エアコンが発生源になりうる場所として公的な資料に挙げられている、という事実までです。

プロの世界では、どのくらいの頻度で管理しているか

家庭用エアコンに法的な清掃義務はありません。ただ、業務用の空調については建築物衛生法で頻度が定められており、判断の参考になります。

延べ面積3,000㎡以上の特定建築物では、次のように定められています。

  • 冷却塔・加湿装置:使用開始時および使用期間中、1か月以内ごとに1回の定期点検。清掃は1年以内ごとに1回
  • 空調排水受け(ドレンパン):使用開始時および使用期間中、1か月以内ごとに1回点検し、必要に応じて清掃。

結露水が溜まるドレンパンは、月1回の点検対象です。ビルではそのくらいの頻度で見るべき部位だと位置づけられている、ということです。家庭でも「シーズン初めと終わりに1回ずつ」くらいは妥当な線でしょう。

費用ゼロでできること

① 冷房のあとに送風運転

いちばん効果があって、お金がかからない対策です。冷房を止める前に送風(内部クリーン)を30分〜1時間回して、内部を乾かします。最近の機種には自動で行う機能が付いています。濡れたまま止めないだけで、条件のうち「水分」の時間が短くなります。

② フィルターを2週間に1回

ホコリを止めるのがフィルターの役割です。目詰まりすると、通り抜けた分が熱交換器に付きます。栄養の供給を減らす作業だと考えてください。掃除機で吸い、汚れがひどければ水洗いして完全に乾かします。

③ 吹き出し口を覗く

ルーバー(風向きの羽根)を手で開いて、奥を懐中電灯で照らします。黒い点々が見えたら、それは室内に出ている状態です。ここは判断の分かれ目になります。

自分でやる範囲と、頼む範囲

  • 自分でできる:フィルター清掃/吹き出し口とルーバーの拭き取り/送風運転/本体まわりのホコリ取り。
  • 頼んだほうがよい:熱交換器(アルミフィン)の洗浄/ドレンパンと送風ファンの洗浄/においが取れない場合。

市販のエアコン洗浄スプレーは手軽ですが、洗い流した汚れがドレンパンに落ちて溜まる、電装部にかかると故障につながる、といった問題があります。奥まで届かせたいなら分解洗浄が必要で、それは業者の領域です。

なお業者に頼む際は、国民生活センターが2025年2月28日に「ハウスクリーニングのトラブルにご注意」を公表し、契約前に説明内容で不明な点は必ず質問すること、実績・経験のある事業者を選ぶこと、支払い前に相談窓口へ相談することを呼びかけています。破損や仕上がりをめぐる相談が寄せられている分野です。

季節ごとの手入れ

  • 初夏(使い始める前):いちばん重要なタイミングです。半年止まっていた内部には、前シーズンの汚れが残っています。いきなり冷房を入れず、まず送風で回し、窓を開けて換気しながら数十分運転してから使い始めます。
  • 夏:フィルターを2週間に1回。停止前の送風を習慣に。
  • 秋(使い終わり):次のシーズンまで密閉されるので、乾かしてから止めます。
  • 冬:暖房では結露が起きないため、カビの進行は緩やかです。ただし加湿器を併用している場合は別で、加湿装置そのものも点検対象です。

よくある質問

Q. エアコンからかび臭いにおいがします。何が起きていますか。
A. においは発生源があるサインです。フィルターを掃除しても取れない場合、熱交換器や送風ファンに付着していることが考えられます。

Q. 内部クリーン機能があれば掃除は不要ですか。
A. 内部クリーンは乾かす機能で、付着した汚れを落とすものではありません。ホコリの除去は別に必要です。

Q. 使っていない部屋のエアコンも掃除が必要ですか。
A. 使っていなくてもホコリは積もります。久しぶりに運転するときは、換気しながら送風から始めてください。

まとめ

エアコンのカビは、冷房でできる結露水入り込むホコリの2つで決まります。水は冷房の仕組み上どうしても出るので、止めたあとに乾かすことホコリを入れないことが家庭でできる対策になります。

そして、吹き出し口の奥に黒い点が見えたら、それは掃除の段階を過ぎています。その空気は、部屋の中の全員が吸っています。

参考資料(一次情報)

  • 厚生労働省「建築物環境衛生管理基準について」/東京都健康安全研究センター「特定建築物の衛生管理基準」(冷却塔・加湿装置は1か月以内ごとに1回点検・1年以内ごとに1回清掃、空調排水受けは1か月以内ごとに1回点検し必要に応じ清掃、空気環境測定は2か月以内に1回)
  • 公益社団法人 福岡県薬剤師会「夏型過敏性肺炎とは」(トリコスポロン・アサヒ、温度20℃以上・湿度60%以上で増殖、繁殖場所にエアコン内部、症状は息切れ・咳嗽・発熱、6〜9月に多い)
  • 国民生活センター「ハウスクリーニングのトラブルにご注意」2025年2月28日公表

※当社は医療機関ではありません。健康上の症状については医療機関にご相談ください。