畳の表面に見えるカビは、湿気が続いていることを知らせる手がかりです。拭き取りだけで終えず、畳の素材、裏面や下地の状態、結露・漏水・換気の状況を確認します。湿度の数値だけで再発しないと判断することはできません。
更新日:2026年10月14日(公開日・施工日は変更していません)
先に確認すること:素材と発生範囲
畳表には、い草、和紙、樹脂などの種類があります。使える洗剤や薬剤は製品によって異なるため、畳店・メーカーの取扱説明を優先してください。素材が分からない場合は、薬剤を使う前に施工店へ確認します。
同じ場所へ繰り返し出る、裏面や床板にも広がる、漏水で濡れた、軟らかくなった箇所がある場合は、表面だけの清掃で済むか判断しにくい状態です。無理に畳を持ち上げたり、薬剤を大量に吹き付けたりせず、畳店や建物の管理者へ相談してください。範囲が畳1枚以内というだけで、自分で処置してよいとは決められません。
湿度70%は、住宅の「カビが生えない境界」ではありません
厚生労働省の建築物環境衛生管理基準にある相対湿度40%以上70%以下は、対象となる特定建築物の管理基準です。住宅の畳について、その範囲ならカビが生えない、除去後に再発しないという保証には使えません。
米国EPAは、家庭の湿気管理として、可能であれば室内の相対湿度を60%未満、できれば30〜50%に保つよう案内しています。これは管理の目安です。部屋の中央で測った湿度が低くても、冷たい窓際、畳の裏、布団や家具の下には湿気が残ることがあります。温湿度計の記録と、濡れ・結露・臭い・変色の状態を併せて確認しましょう。
家庭で手入れする場合の順番
- 取扱説明を確認する。対象素材に使用できる製品、使い方、必要な保護具を確認します。い草と和紙畳で同じ薬剤を使えるとは限りません。
- 薬剤の安全条件を守る。製品表示に従って換気し、火気を避けます。塩素系と酸性タイプの製品などを混ぜず、複数の薬剤を続けて使うことも避けます。
- 強くこすらず、表示に沿って除去する。畳の目に逆らう強いブラシがけや、掃除機でカビを直接吸う処置は避けます。薬剤の直接噴霧や水拭きを一律には勧めません。
- 水分を残さず乾かす。除湿や空気の流れを利用し、乾燥を確認してから布団・家具を戻します。乾燥したことだけで、裏面や下地の問題が解消したとは判断しません。
- 再発と周辺の水分を確認する。清掃後も同じ場所に出る場合は、薬剤を繰り返す前に、結露・漏水・下地の湿気などを調べます。
DAIKENの「ダイケン畳健やかくん」の案内には、その製品向けの薬剤による手入れ方法が記載されています。これをい草を含むすべての畳へ転用しないでください。畳の素材と製品表示を確かめることが先です。
再発を減らすために、水分の原因を確認する
- 結露・漏水:窓際や外壁側の濡れ、雨の後の変化、配管付近の水分を確認します。補修や断熱・換気の見直しが必要かは、建物側の担当者と判断します。
- 布団・家具の下:敷きっぱなしや重ね敷きを避け、畳表と周囲の空気が滞留しないようにします。四角い変色だけで原因を断定しません。
- 換気・除湿:外気が高湿度のときは、窓を開けるだけで乾くとは限りません。室内外の状態に応じて換気と除湿を使い分けます。
- 裏面・下地:見えない部分が疑わしいときは、畳店や建物管理者に点検を相談します。新聞紙を敷くことを、湿気の原因改善の代わりにはしません。
臭いだけでは、カビの場所や種類を特定できません。見える範囲の点検、濡れの履歴、必要に応じた検査などを組み合わせて状況を整理します。検査の数値だけで、建物全体の安全や再発しないことを保証するものではありません。
よくある質問
Q. カビ取り剤を使えば根本的に解決しますか。
A. 表面の除去と、水分が続く原因の改善は別です。薬剤が素材に使えるかを確認し、結露・漏水・湿気の問題も併せて確認します。
Q. 湿度を70%以下にすれば大丈夫ですか。
A. その数値だけで再発しないとは判断できません。室内湿度の管理と、畳の裏や冷たい面に残る水分の確認が必要です。
Q. どのくらいで再発しますか。
A. 水分、素材、温度、清掃・乾燥の状態によって異なります。数日や数週間など一律の期間は示せません。
相談するときに伝える情報
場所、いつ気付いたか、繰り返しているか、雨漏り・結露の有無、畳の素材、分かる範囲の写真をまとめると状況を伝えやすくなります。畳の交換・張替えは畳店へ、建物のカビと水分原因の整理は住宅の相談窓口へご相談ください。健康上の症状は医療機関へご相談ください。
