「電話で見積は出ませんか」というご依頼をよくいただきます。お気持ちは分かるのですが、カビの場合、写真と面積だけでは決められないことが多くあります。今回は、現地調査で実際に何を見ているのかをご説明します。
結論|見ているのは「カビ」ではなく「水と空気の道」
現地調査でいちばん時間をかけるのは、カビそのものではありません。水がどこから来て、どこで冷えて、どこで止まるのか。空気が動かない場所はどこか。この2つが分からないと、処置の範囲も再発の可能性も決められないからです。
当社の防カビアドバイスも、現地環境を調査して原因を分析することを前提にしています。同じ広さ、同じ素材でも、原因が違えば必要な作業は変わります。

疑わしい場所には、理由がある
文部科学省「カビ対策マニュアル」のQ&Aには、現場で使える具体的な目安がいくつも示されています。壁から10cm程度離すこと、床上20〜30cmは湿気だまりになりやすいこと、棚の最下段は床上75〜120cmより相対湿度が5%以上高いこと。空調機の冷却ファンは結露させて除湿する機構であるため、元来カビが繁殖しやすいことも挙げられています。
つまり、カビが出る場所は「たまたま」ではありません。条件が重なった場所に出ています。調査では、その条件が今も続いているのかを確かめています。

道具と手順
同マニュアルは、点検の道具として懐中電灯(LED)、虫眼鏡、マスク、デジタルカメラを挙げています。実践編では、直径3〜5mmの斑点が見えたら発生を疑うこと、ペンライトを斜めから当てると透明な菌糸体も見やすいことが示されています。特別な機械よりも、光の当て方と観察の順番が効きます。
あわせて、発生した日時・場所・状態を写真とともに記録することが勧められています。これは調査する側だけでなく、お住まいの方にもお願いしたいことです。

調査の前に、ご準備いただけると助かること
| 項目 | なぜ必要か |
|---|---|
| いつから出ているか | 季節性か、設備の変化後かが分かる |
| どんなときに強いか | 結露なのか、水まわりなのか、外からの水かの手がかりになる |
| 過去に行った処置 | 漂白や塗装の履歴で、素材の状態が変わっている場合がある |
| 写真(できれば発生直後) | 広がり方の経過が分かる |
| 間取りと築年 | 断熱や換気の仕様の見当がつく |
| 家具の配置と使い方 | 空気が動かない場所を推定できる |
調査前に、ご自身で漂白剤を広範囲に使ったり、薬剤を噴霧したりするのはお控えください。噴霧は胞子を吹き飛ばして汚染を広げるおそれがあると指摘されています。また、脱色されると発生の範囲が分かりにくくなります。
次回予告
次回は、料金の話をします。なぜ現地調査のあとでないと金額が出せないのか、その中身を説明します。
参考にした情報
- 文部科学省「カビ対策マニュアル 実践編/Q&A」
- 厚生労働省「建築物環境衛生管理基準」
- 株式会社せら「サービス内容と料金」 https://sera.jp/service
- 株式会社せら「MIST工法®とは」 https://sera.jp/mist












