執筆:MIST工法®カビバスターズ本部(株式会社せら) 本記事の数値は公的機関・学会の公開資料にもとづいています。
施設別シリーズの第4回は学校です。子どもが長い時間を過ごす教室は、空気の衛生が法律にもとづく基準で管理されています。ただし、その中に空気中のカビ(浮遊真菌)の数の基準はありません。どう考えればよいかを整理します。
この記事で分かること
- 学校環境衛生基準(文部科学省)で決められている教室の空気の基準
- カビの数の基準がない中で、カビ対策に関係する項目
- 日本建築学会の規準と学校の関係
- 学校でカビが出やすい場所と、点検のタイミング
1. 結論:学校は「湿度・換気・ダニ」の基準でカビを間接的に管理する
- 教室の空気は、学校保健安全法にもとづく学校環境衛生基準で管理されています。
- この基準には、空気中のカビや細菌の数の基準はありません。
- カビ対策に関係するのは、相対湿度(30〜80%が望ましい)、換気(二酸化炭素1,500 ppm以下が望ましい)、ダニ又はダニアレルゲン(100匹/m²以下)などの項目です。
日本建築学会の規準(AIJES-A0002-2013)は、学校も対象施設の一つとして設計・維持管理の目安を示していますが、法律上の基準ではありません。
2. 学校環境衛生基準の教室の空気の項目
| 検査項目 | 基準 |
|---|---|
| 換気 | 二酸化炭素 1,500 ppm以下であることが望ましい |
| 温度 | 18℃以上、28℃以下であることが望ましい |
| 相対湿度 | 30%以上、80%以下であることが望ましい |
| 浮遊粉じん | 0.10 mg/m³以下であること |
| ダニ又はダニアレルゲン | 100匹/m²以下又はこれと同等のアレルゲン量以下であること |
温度は令和4年(2022年)4月の改正で、下限が17℃から18℃に変わりました。検査は、換気・温度・湿度などは毎学年2回、ダニは毎学年1回、温度と湿度が高い時期に保健室の寝具やカーペット敷の教室などで行うことになっています。
3. カビ対策として読むときのポイント
- 湿度の上限80%:カビは湿度が高い状態が続くと増えます。基準の上限内でも、梅雨〜夏は除湿を意識すると安心です。
- 換気の基準:二酸化炭素が1,500 ppmを超える教室は、空気が入れ替わっていないサインです。湿気もこもりやすくなります。
- ダニの検査場所:保健室の寝具やカーペットは、ダニとあわせてカビも出やすい場所です。
- 臨時検査:風水害などで環境が汚染されたときは、臨時の検査を行うことになっています。浸水後はカビの発生にも注意が必要です。
4. 学校でカビが出やすい場所
- 体育館・武道場の倉庫:マットや用具、閉め切り
- 保健室:寝具、カーテン
- 更衣室・シャワー室・プール周辺:湿気と水はね
- 北側の教室・図書室の書庫:日が当たらず、紙が湿気を吸う
- 長期休み明けの教室:夏休み中の閉め切り
特に夏休み明けは、閉め切っていた教室や倉庫でカビが見つかることが多い時期です。休み中も定期的に換気できるとよいでしょう。
5. よくある質問
Q. 学校の教室に、空気中のカビの数の基準はありますか?
学校環境衛生基準には、空気中のカビや細菌の数の基準はありません。相対湿度(30〜80%が望ましい)、換気(二酸化炭素1,500 ppm以下が望ましい)、ダニ又はダニアレルゲン(100匹/m²以下)などの項目が、間接的にカビ対策につながります。
Q. 夏休み明けに教室がカビ臭いときは?
まず窓を開けて換気し、カーテン、ロッカー、棚の裏、エアコンの吹き出し口などを確認します。見えるカビは消毒用アルコールで拭き取り、広い範囲に広がっている場合は専門業者に相談してください。
Q. 学校のカビを測りたいときは?
空気を一定量吸引して培養する浮遊菌の測定で、室内と屋外の数を比べることができます。日本建築学会の規準は学校も対象としており、評価の参考になります。
6. まとめ
- 学校環境衛生基準には空気中のカビの数の基準はない
- 湿度30〜80%、二酸化炭素1,500 ppm以下、ダニ100匹/m²以下が、カビ対策にもつながる項目
- 倉庫・保健室・更衣室・書庫、そして夏休み明けに注意
次回は高齢者福祉施設を取り上げます。
学校・保育施設のカビのご相談は、法人のお問い合わせまたはフリーダイヤル 0120-052-127 へ。当社ではカビ菌検査で浮遊菌の測定も行っています。
参考資料(一次情報)
- 文部科学省「学校環境衛生」 学校環境衛生基準(令和4年3月31日告示第60号による改正):換気(二酸化炭素1,500 ppm以下が望ましい)、温度18〜28℃、相対湿度30〜80%、浮遊粉じん0.10 mg/m³以下、ダニ又はダニアレルゲン100匹/m²以下、検査の回数、臨時検査
- 文部科学省「学校環境衛生管理マニュアル『学校環境衛生基準』の理論と実践」
- 日本建築学会「微生物による室内空気汚染に関する設計・維持管理規準・同解説(AIJES-A0002-2013)」 事務所・学校・住宅・病院など8施設の設計規準値と維持管理規準値












