「検査で1,000 CFU/m³を超えた」「空気中のカビが多いと言われた」「カビ臭いのに発生場所が分からない」。住宅のカビ菌検査は、数字だけで住まいの状態を決めず、採取方法、屋外の状況、目に見えるカビや濡れと合わせて読みます。数値の意味を整理すると、どこを点検し、何を修理・施工するかを相談しやすくなります。
検査結果がなくても、住まいのカビはご相談いただけます
- 壁・窓・収納・床下など、気になる場所と濡れ・臭いの状況。
- 入居時期、発見日時、雨漏り・結露、清掃しても戻る箇所。
- 検査済みなら、採取日時・場所・方法が分かる報告書。
分からない項目は、そのままで構いません。必要な点検と検査の目的から整理します。
目に見えるカビ・カビ臭・漏水があるときの初動
発生面の近接写真と、部屋のどこかが分かる全体写真を残します。発見日、広さの目安、水滴・染み・臭い、雨や冷暖房との関係を記録してください。カビ菌検査の結果を待たなくても、漏水の連絡や必要な点検は進められます。
- 濡れの状況を確認する。窓の結露、配管や雨水の侵入、清掃後の水分など、いつ・どこが濡れるかを記録します。
- 触れる物と使う場所を調整する。濡れた家具や衣類、収納内の物を確認します。移動が必要な物は、周囲へ汚れを広げない方法を相談します。
- 建物の担当者へ伝える。賃貸は管理会社・オーナー、新築は施工会社・販売会社へ、発見日時と写真を共有します。
- 材質と範囲から対応を決める。壁紙、木部、目地などで方法は異なります。乾いたカビをこすったり壁紙を大きく剥がしたりする前に、飛散を抑える方法と養生を検討します。
高所、天井裏・床下、広い範囲や繰り返す箇所は、専門的な点検を含めて相談してください。写真や菌数だけでは壁の内部や床下の状態までは分からないことがあります。体調の変化については医療機関に相談し、建物の点検と健康面の相談をそれぞれ進めます。
CFU/m³は「培養で数えた菌」を空気量で換算した値
CFUはコロニー形成単位です。空気を一定量採取し、培地で育った集落(コロニー)を数え、空気1立方メートル当たりに換算した値をCFU/m³で表します。採取した粒子のすべてや、すべての種類のカビを数える値ではありません。
採取機器、採取空気量、培地、培養温度・期間、菌の同定、計数の補正などにより結果の意味が変わります。2016年の仙台市の仮設住宅研究はDG18培地、2025年の浸水住宅研究はPDAとDG18の2種類の培地を使っています。同じCFU/m³という単位でも、違う方法の結果をそのまま同じ条件の検査と考えないことが大切です。
浮遊菌検査と、培地を置く落下菌検査、壁などから採取する付着菌検査も区別します。DNAを使う方法や顕微鏡で数える方法は、培養によるCFUと同じ対象を数えているとは限りません。報告書に書かれた方法と単位を確認しましょう。
住宅の「1,000 CFU/m³」は、研究で参照された維持管理の値
日本建築学会の環境基準AIJES-A0002-2013「微生物による室内空気汚染に関する設計・維持管理規準・同解説」は、住宅の真菌の評価で参照されてきた資料です。2016年の仙台市の応急仮設住宅研究は、住宅内の浮遊真菌について1,000 CFU/m³を規準値として引用しています。2025年の佐賀県の浸水住宅研究も、この維持管理規準と比較しています。
2025年の研究は、復旧が完了した一部の住宅について、室内・屋外の濃度比(I/O比)2.0以下を、参照した維持管理規準と照合して評価しています。ここでは公開原著が参照した住宅の評価値として紹介し、すべての建物に適用する数値とは扱いません。検査計画や施工後の確認条件に学会規準を使う場合は、参照する版の本文、対象室、方法、適用条件を確認します。
以下は原著での参照の仕方を整理した表です。住む・退去することや、健康を数値だけで判定する表ではありません。スマートフォンでは左右に動かして確認できます。
| 数値・指標 | 公開原著での扱い | 読み方 |
|---|---|---|
| 1,000 CFU/m³ | 2016・2025年の住宅研究が、AIJ2013の住宅維持管理規準を参照 | 採取・培養条件を確認。法律や個人の病気の境界として使いません。 |
| I/O比2.0以下 | 2025年の浸水住宅研究が、一部の復旧後住宅の評価で参照 | 室内・屋外の比較条件と菌の構成を確認。低い比だけで発生源なしとは判断しません。 |
| 目に見えるカビ・濡れ | 建物側で点検する状態 | 数値が低くても、発生箇所と水分の原因への対応を進めます。 |
米国NIOSHは、空気中のカビについて健康に基づく基準がなく、短時間の空気採取の結果だけでは健康リスクを評価できないと説明しています。1,000以下だから誰にとっても安全、1,000を超えたら病気になる、と言い換えることはできません。2016年の原著 → / 2025年の原著 →
I/O比は屋外との比較。菌種・採取条件も合わせて読む
I/O比は、室内(Indoor)の濃度を屋外(Outdoor)の濃度で割った値です。屋外のカビは季節や天候等の影響を受け、開口部や換気設備から室内へ入ることもあります。室内の値だけでなく、近い時間帯の屋外の値と比較することで、点検の手掛かりを増やします。
- 室内と屋外の方法を揃える。培地・培養条件・採取位置・日時を記録し、採取空気量は濃度へ正しく換算します。
- 総数と菌の構成を分ける。総数の比が低くても、室内で多い種類や屋外で検出されない種類があるかを確認します。
- 屋外が不検出の場合を確認する。検出されなかった値を、屋外にカビが全くないという意味に置き換えません。ゼロを分母にした比を普通の数値として計算できないため、検出限界と報告方法を確認します。
- 窓・換気・清掃・在室の状況を残す。直前の清掃、物の移動、窓の開閉等で浮遊している状態が変わることがあります。
2016年の研究も、総濃度だけでなく菌の種類ごとの室内・屋外の比較を行っています。I/O比は発生源を調べる手掛かりで、場所を特定するための建物の点検を代わりに済ませるものではありません。高い値なら直ちに原因確定、低い値なら点検不要、と判断せず、濡れ・目視・臭い・採取条件を合わせて確認します。
検査は、知りたいことと採取する場所から選ぶ
検査を追加する前に「気になる部屋の状態を記録したい」「発生した表面を調べたい」「施工前後を比較したい」「管理会社へ提出する資料が必要」など、結果を何に使うかを整理します。すべての家の全室で一律に空気検査をする必要があるとは限りません。
- 浮遊菌検査
- 一定量の空気を採取し、培養できる菌の濃度などを確認します。居室・床下・屋外など、目的に合う採取箇所を検討します。屋外比較の要否も計画時に相談します。
- 付着菌検査
- 壁・天井等の採取した表面を調べます。採取面積・方法、菌種の同定の有無を確認します。採取していない壁内部まで同じ状態と決めません。
- 落下菌検査
- 決めた場所と時間で培地に落ちる菌を調べます。培地を置くだけの結果を、吸引して測る浮遊菌のCFU/m³へ、そのまま置き換えません。
- 含水率測定
- 対象建材の水分を確認します。カビの種類・菌数の検査とは異なります。材質、機器、測定位置を記録して読みます。
検査前の準備は依頼先と確認します。直前に大きく清掃したり薬剤を噴霧したり、普段と違う換気を行った場合は、その内容と時間を記録してください。施工前後は採取場所・方法や使用状態をできるだけ合わせ、結果だけで施工全体の効果を判断せず、発生面と水分の原因への対応も確認します。
浮遊菌・落下菌・付着菌を詳しく読む → / カビ菌検査の方法と費用を見る →
窓・収納・壁・床下の水分を点検する
室内の湿度計の値と、冷たい壁・窓・配管の表面の状態は同じではありません。室内の湿度が低めでも、局所的な結露や漏水で建材が濡れることがあります。同じ場所を、雨・冷暖房・利用時間と合わせて記録すると、設備や建物の点検に役立ちます。
- 窓・外壁側:窓枠の水滴、カーテン、壁際の家具の裏、雨の後に出る染み。
- 押し入れ・クローゼット:収納の壁・床、濡れた衣類、荷物が密着する部分、湿気や臭い。
- エアコン・水まわり:吹出口の汚れ、排水や配管の漏水、浴室・洗面所の換気と乾燥。
- 床下・天井裏:漏水・浸水の履歴、建材・断熱材の濡れ。点検のための立入りや開口は建物の担当者と調整。
24時間換気の運転と給気口の状態、フィルターの手入れは取扱説明書に沿って確認します。外気が湿っている日は窓を開けるだけで乾くとは限らないため、換気と除湿・乾燥を外気条件に合わせて調整します。カビ臭さが繰り返す場所は、表面の清掃だけでなく水分の原因も調べましょう。
賃貸・新築では、記録を残して建物の担当者へ相談する
賃貸住宅では、入居者が発見日時・写真・濡れの状況を管理会社やオーナーへ伝え、調査・修理・施工の手配と立入り日程を相談します。費用負担や修理の範囲は、原因、契約、設備の管理状況などにより異なるため、「カビは必ず入居者負担」「検査値が高ければ必ずオーナー負担」と決めつけません。
新築戸建て・マンションでは、入居・引渡しの時期、発見日、部屋と箇所、清掃前の写真、結露・漏水の履歴を施工会社・販売会社に共有します。大きく解体・交換する前に、原因を調べる担当、施工範囲、復旧と報告の方法を整理してください。保証や費用の扱いは、個別の条件を関係者と確認します。
検査報告書がある場合は、菌数だけを抜き出さず、採取箇所、日時、方法、単位も一緒に共有します。提出先の指定書式や期日、施工前後の写真が必要なら、ご相談時にお伝えください。新築でカビが出たときの記録・住宅会社への相談 →
住宅の空気環境を調べる実例|仙台市の床下
カビバスターズ仙台が公開している、戸建て住宅の床下で専用機器を設置した調査の記録です。掲載元では、浮遊真菌・細菌を含む空気環境の確認を紹介しています。採取場所ごとの調査写真を、報告書の条件と合わせて記録する際の参考にしてください。

除カビ・乾燥・修理を組み合わせて施工を計画する
せらへの相談では、発生面の材質・面積、濡れの原因、作業中に使える部屋、家具・衣類の移動、乾燥・換気と作業後の確認を整理します。現地で壁内・床下の調査や漏水修理、傷んだ建材の交換が必要かも確認します。
見積りでは、除カビ・防カビの範囲、養生、家具等の移動、検査・報告書、解体・復旧、漏水修理、交通費等の含まれる範囲と作業担当を確認してください。検査で比べる条件を決める場合は、参照する規準の版と採取方法も事前に共有します。
施工後は対象面の状態と乾燥、水分の原因への対応、清掃・養生撤去を確認します。再発する位置と時期を記録し、換気や修理の状況と照らして点検を続けます。カビ菌数が一度下がったことだけで、今後の再発がないことを保証するものではありません。住宅の施工・相談の進め方を見る →
住宅のカビ取り・カビ菌検査の税込参考料金
カビバスターズ本部の掲載料金に合わせた参考額です(2026年10月11日確認)。素材、面積、養生、検査の方法・箇所数により個別に見積ります。天井100㎡未満は高所作業込み、100㎡以上はローリングタワー(足場)込みの目安です。
| 項目 | 税込参考料金 |
|---|---|
| 室内壁面(クロス) | 1,650円〜/㎡ |
| 浴室(全体) | 38,500円〜 |
| 天井部分・100㎡未満 | 275,000円〜 |
| 天井部分・100㎡以上 | 2,200円〜/㎡ |
| 落下菌検査 | 1箇所4,400円〜 |
| 付着菌検査 | 1箇所27,500円〜 |
| 浮遊菌検査 | 基本料金44,000円+採取1箇所16,500円 |
浮遊菌1箇所の検査料は60,500円、室内1箇所と屋外1箇所の計2箇所なら77,000円(税込)です。検査料とは別に、報告書作成費22,000円〜、現地調査費22,000円〜、調査員交通費(実費)を確認します。含水率測定は33,000円〜(税込)で、報告書はありません。
電話・フォーム相談は無料です。現地調査・検査・施工は有料で、必要な内容と総額をご依頼前に確認いただきます。検査結果や写真がなくても、所在地、用途、発生場所を分かる範囲でお知らせください。
空気中のカビ・住宅の検査でよくある質問
- 1,000 CFU/m³以下なら安心して住めますか?
- 個人の健康や住まい全体を数値だけで判断することはできません。研究で参照された維持管理の値として読み、採取条件、見えるカビ、濡れ、臭いを合わせて確認します。体調については医療機関に相談してください。
- I/O比が2以下なら室内にカビはありませんか?
- 総濃度の比だけでは、発生源がないとは判断できません。屋外の濃度と検出限界、室内で多い菌の種類、換気・採取条件を確認し、建物の点検と合わせて読みます。
- カビが見える場合も、必ず空気検査が必要ですか?
- 一律に必要とは限りません。発生面と水分の原因を点検し、結果を何に使うかから検査の必要性・種類・採取箇所を相談します。漏水の連絡や点検を検査結果が出るまで待つ必要はありません。
- 検査結果がなくても、賃貸や新築のカビを相談できますか?
- ご相談いただけます。所在地、発生場所、入居・発見時期、濡れや清掃の状況を分かる範囲でお知らせください。管理会社や住宅会社との連絡状況も伺い、調査・施工の進め方を整理します。
数値や写真を手掛かりに、せらへご相談ください
①所在地、②戸建て・マンション・賃貸等の用途、③気になる場所、④発見時期と濡れ・臭いの状況、⑤検査済みなら採取条件の分かる報告書を、分かる範囲でお知らせください。送る写真は家族の顔、書類、住所等の不要な個人情報が写っていないか確認します。家族の氏名や病歴を相談フォームに記載する必要はありません。
電話:0120-052-127(平日9:00〜18:00・土日祝除く)。電話・フォーム相談は無料です。せらがご相談を受け、必要に応じて加盟店と対応地域・日程を調整します。原因や数値が分からない段階でも、まずは分かる状況からお聞かせください。
参考資料
- 柳宇ほか「仙台市内の応急仮設住宅における室内真菌汚染の実態」(2016年) — 原著の測定法、菌種ごとの室内外比較、AIJ2013の参照値を確認。仮設住宅の調査を一般住宅すべての実態に置き換えていません。
- 長谷川兼一ほか「浸水害住宅の復旧方法と室内真菌濃度に関する事例調査」(2025年) — PDA・DG18培地、床下・居室・屋外の比較と、原著が参照した住宅の維持管理規準による評価を確認。
- 米国NIOSH「Mold, Testing, and Remediation」 — 水分・目視・臭いの点検と、短時間の菌数測定による健康評価の限界を参照。
- 米国EPA「学校・業務用建物のカビ対応指針」第3章 — 水分原因、材質に合わせた作業・養生・乾燥の参考。日本の住宅の法定要件としては扱っていません。
