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畳に塩素系のカビ取り剤は使える?|変色・脱色のリスクと、代わりにできること

 

「畳に黒いカビが出た。お風呂で使っているカビ取り剤を吹きかけてもいいのだろうか」。11月に入り、朝晩の冷え込みで結露が本格化し、暖房を使い始めるこの時期は、和室に布団を敷いたり、こたつを出したりと畳に目が向く季節です。冬支度のタイミングでカビに気づく方も多くいらっしゃいます。結論から申し上げると、塩素系のカビ取り剤を畳に使うことは、一般にはおすすめできません。この記事では、その理由と、代わりに家庭でできる手当て、自分で対処できる範囲の見極め方を整理します。

結論|畳に塩素系カビ取り剤はおすすめできません。まず製品表示を確認

畳のカビに、いわゆる塩素系のカビ取り剤(塩素系漂白剤タイプ)を使うことは、一般におすすめできません。理由は①畳表の色が抜けたり黄ばんだりしやすい、②繊維が傷んで毛羽立ち・ざらつきが出やすい、③液体が奥まで染み込み、乾きにくくなるの3点です。見た目の黒さは薄くなっても、畳が傷み、湿った状態が続くことで、かえってカビの出やすい条件をつくってしまうことがあります。

判断のよりどころは、製品のラベルです。塩素系のカビ取り剤には「使えないもの」として、色物や繊維製品、木・竹・畳などが挙げられていることが多くあります。製品表示に「畳に使えない」と書かれていれば、それが答えです。ほかの洗剤と混ぜてはいけない旨(「まぜるな危険」)の表示もご確認ください。

では何もできないのかというと、そうではありません。乾いた状態で胞子を舞わせないように取り除き、よく乾かす——この基本だけでも、出はじめの小さなカビには意味があります。

図1|畳のカビ、やってよいことと避けたいこと。

畳に塩素系カビ取り剤を使うと起きやすいこと

浴室の壁や床は、タイルや樹脂などの水に強い素材です。一方の畳は、色のついた繊維や樹脂の織物を、厚みのある芯材の上に張った構造です。同じ「カビ取り」でも、相手の素材がまったく違うというところが出発点になります。

表1|塩素系カビ取り剤を畳に使ったときに起きやすいことと、その理由
起きやすいこと なぜそうなるのか 気づくタイミング
色が抜ける・白っぽくなる 畳表の天然の色や染めた色が、漂白のはたらきで抜けてしまう 乾いた直後〜数日
黄ばむ・斑(むら)になる 薬剤が均一に広がらず、かかった所とかからない所で差が出る 数日〜数週間
ざらつく・毛羽立つ 繊維の表面が傷み、織り目がほつれる 歩いたとき・手で触れたとき
乾きにくくなる・におう 液体が芯材まで染み込み、内部が湿ったままになる 数日後、においとして
カビが再び出る 傷んで湿った状態が、カビにとって都合のよい条件になる 数週間〜数か月後

色が抜けた・斑になった変化は、元に戻すことができません。「目立たない場所で試す」こともできないため、畳にはそもそも使わないという判断が無難です。

畳の構造を知ると「染み込む」の意味がわかる

畳は、表面の畳表(たたみおもて)、中身の畳床(たたみどこ)、周囲の畳縁(たたみべり)からできています。畳表にはい草・和紙・樹脂のものがあり、畳床にはワラを重ねたものや建材床などがあります。

ここで大事なのは、畳が「水分を吸って、ゆっくり出す」性質をもつ厚い層であるということです。液体をかけると表面にとどまらず内部に入り、その水分は表面が乾いたあとも中に残ります。薬剤で表面の黒さを落としたつもりでも、内部に水分を残せば、カビにとって都合のよい条件をととのえてしまうことになります。

図2|畳の構造と、液体をかけたときに起きること(模式図)。

反対に、出はじめのカビは畳表の表面近くにとどまっていることが多いのも、この構造からくる特徴です。「表面にいるうちに、水分を足さずに取り除く」——これが要点です。

畳の種類別に見る、注意したいこと

ひとくちに畳といっても、素材によって水や薬剤への強さが変わります。ご自宅の畳がどれか確かめてみてください。

表2|畳表・畳床の種類と、カビが出たときに気をつけたいこと
種類 特徴 カビが出たときの注意
い草の畳表 天然のい草を織ったもの。湿気を吸いやすい 色が抜けやすく、こすると繊維が傷む。乾拭き中心に
和紙の畳表 紙をより合わせて樹脂で加工したもの 比較的拭きやすいが、色の変化に注意
樹脂の畳表 ポリプロピレンなどの樹脂製 水に強い一方、目地にカビが残りやすい
ワラ床 ワラを重ねて縫い締めた芯材 厚みがあり湿気をためやすく、奥まで入ると家庭では難しい
建材床 木質繊維板と発泡材を組み合わせた芯材 水がまわると板が傷み、変形することがある
置き畳・ユニット畳 床の上に置く薄いタイプ 裏面と床の間に湿気がこもりやすい

どの種類でも、水や薬剤をたっぷり含ませる方法は避ける点は共通です。素材がわからない場合は、乾いた手当てから始めてください。

代わりにできること|乾いた状態で取り除く手順

出はじめの小さなカビに対する、家庭でできる一般的な手当ての順番です。ポイントは「胞子を舞わせない」「こすり広げない」「水分を足さない」の3つです。

  1. 準備をする:窓を開けて換気し、マスクと手袋を着けます。小さなお子さまやペットは別の部屋に移していただくと安心です。
  2. 畳を乾いた状態にする:湿っていると胞子が広がりやすくなります。晴れた日や、暖房で室内が乾いているタイミングを選びます。
  3. そっと取り除く:乾いた布や使い捨てのシートで、畳の目に沿って押さえるように取ります。こすると目の奥に押し込んでしまいます。
  4. 拭き取ったものはすぐ捨てる:使った布は袋に入れ、口を閉じてから捨てます。同じ布で広い範囲を拭き続けないようにします。
  5. 仕上げに換気と送風:窓を開け、扇風機やサーキュレーターで畳面に風を当てて乾かします。家具を少し離すと風が通ります。
  6. 数日後にもう一度見る:同じ場所に再び出るなら、表面だけの問題ではないサインです。

掃除機を使う場合は排気の向きに注意してください。機種によっては、排気が畳面に当たって胞子を舞い上げます。先に乾いた布で取り除き、仕上げに軽くかける順番が無理のない進め方です。

消毒用エタノールを使うときの注意

市販の消毒用エタノールを使う方法もあります。水より乾きが速い点は畳に向いていますが、色の変化が出ることがあるため、部屋の隅で試し、時間をおいて変化がないか確かめてから広げてください。

  • 布に含ませて、たっぷりかけずに軽く押さえる(畳に直接スプレーしない)
  • こすらず、畳の目に沿って一方向に
  • 火気のある場所では使わない(ストーブ・こんろ・たばこ)
  • 換気を続け、ほかの薬剤と混ぜない
  • 製品のラベルの注意書きに従う

エタノールも、畳床の奥や畳の下の板まで入り込んだカビには届きません。「表面に出たばかりのごく狭い範囲」に限った手当てとお考えください。

カビを増やさないために、和室の湿気を見直す

畳のカビは、掃除の腕前よりも湿気の条件で決まります。11月からは暖房と外気の温度差で結露が増え、窓や北側の壁から湿気が回りやすくなります。次の点をこの時期に見直してみてください。

  • 布団を敷いたままにしない:体から出た水分が畳との間にたまります。朝は上げて畳面を乾かします。
  • 家具を壁から少し離す:たんすや本棚の裏は風が通らず、湿気がたまりやすい場所です。
  • 押入れのふすまを開ける時間をつくる:和室そのものよりこもりやすい場所です。
  • 加湿器の置き方を見直す:畳に直接置くと足元が湿ります。湿度計で確かめながら使います。
  • 結露を拭き取る:窓の水滴が窓台から落ちると、窓際の畳が黒くなりやすくなります。
  • こたつ・ホットカーペットの下を確認する:あたたかく風が通らない場所です。ときどきめくって乾かします。

和室の湿気と冬の結露については、暖房の使い始めに増える結露とカビや寒い日の換気はどうする?でも詳しく整理しています。窓際の床が黒くなる場合は窓際のフローリングが黒いもあわせてご覧ください。

自分で対処できる範囲と、専門業者に相談したい範囲

家庭での手当てで区切りをつけられるか、専門業者の領域かは、広さ・深さ・繰り返しの有無で見分けます。

表3|畳のカビ、自分でできる範囲と相談したい範囲の目安
状態 目安 考え方
点状のカビが数か所、出たばかり 自分でできる範囲 乾いた状態でそっと取り除き、換気・送風で乾かす
1畳の一部に広がっている 様子を見て判断 手当てのあと2週間ほど再発するかを確認する
畳の縁や裏にも出ている 相談をおすすめ 畳床や下地まで湿気が回っている可能性がある
同じ場所に何度も出てくる 相談をおすすめ 掃除ではなく、原因側の対策が必要な状態
カビ臭さが部屋に残っている 相談をおすすめ 畳の下や壁の中にも広がっていることがある
図3|畳のカビ、自分で手当てするか相談するかの判断フロー。

畳を上げて裏側と下地を確認するのは確かな方法ですが、畳には重さがあり無理は避けてください。難しいと感じたら、点検の段階からご相談いただいて構いません。

削らずに取る|MIST工法®という選択肢

畳や和室の木部のように、削ったりこすったりできない素材には専用の方法が必要です。私たちのMIST工法®は、素材を削らず、こすらずにカビを取る工法です。霧状にした専用剤をカビの状態や素材に合わせてその都度調整し、素材の奥のカビを分解・洗浄したうえで、防カビ処理で予防します。使用する剤は、一般的な処理剤に多い酸性液ではなくアルカリ性液で、研修と試験に合格した施工者が施工します。

あわせて行う防カビアドバイスでは、現地の環境を調査して原因を分析し、換気の取り方などをお伝えします。カビ菌検査(カビ菌検査)では、採取を30〜60分程度で行う落下菌検査と、寒天スタンプで採取して培養し種類を確定する同定検査をご用意しています。

料金の目安はサービス内容と料金に掲載しています。和室では、築40年未満の和室木材部(6畳・天井を除く)が120,000円〜(税別)、6畳を超える場合は1畳ごとに+10,000円、室内壁面のクロスが1,500円〜/㎡(税別)が目安です。金額は範囲・環境・素材で大きく異なるため、現地調査のうえでお見積もりします。

こんなときは、一度ご相談ください

  • 畳の同じ場所に、何度もカビが出てくる
  • 畳の縁や裏側、畳の下の板にもカビが見える
  • 和室にカビ臭さが残っている
  • 部屋全体・複数の部屋の畳にカビが広がっている
  • 塩素系のカビ取り剤を使ってしまい、色の変化が気になる

写真を見ながらのご相談や、現地調査・カビ菌検査のご依頼も承っています。全国のMISTグループで対応しています。

📞 0120-052-127(フリーダイヤル)お問い合わせフォーム

表替え・新調の判断と、木部のカビは別に考える

「除カビで残せるのか、表替えや新調が必要なのか」も迷われるところです。判断の軸は、カビが畳表にとどまっているか、畳床まで入っているか、そして畳そのものの傷み具合です。この点は畳のカビは表替え・裏返し・新調のどれ?で、残せる場合と和室まるごとで考える場合に分けて整理していますので、あわせてお読みください。

また、和室のカビは畳だけで終わらないことがあります。柱・長押(なげし)・天井板の黒ずみは、畳とは手当ての考え方が違います。木部については和室の柱・長押・天井板の黒ずみで、削らずに取る考え方をまとめています。床下が気になる場合は、床下・基礎まわりのカビも参考になります。

賃貸住宅の場合は、ご自身で薬剤を使う前に管理会社や貸主へご連絡ください。写真で状態を残しておくと、その後の話し合いが進めやすくなります。詳しくは賃貸住宅のカビ|貸主・借主の責任はどこで分かれるかをご覧ください。

よくあるご質問

Q. 畳に塩素系のカビ取り剤を使ってはいけない、と決まっているのですか?

A. 法律で禁じられているという意味ではありません。判断のもとになるのは製品のラベルです。塩素系のカビ取り剤には「使用できないもの」として色物・繊維製品・木製品・畳などが挙げられていることが多く、その場合は畳に使わない、というのが正しい読み方になります。畳表は色のついた繊維の織物で、水分を吸って乾きにくい構造の上に載っているため、液体の薬剤とは相性がよくありません。

Q. もう塩素系のカビ取り剤を吹きかけてしまいました。どうすればよいですか?

A. 追加で薬剤を足さず、ほかの洗剤と混ぜないことが大切です。窓を開けて換気し、固く絞った布で薬剤を拭き取り、乾いた布で水分を取ってから、扇風機の風でよく乾かしてください。色が抜けた・黄ばんだ変化は、時間がたつと目立ってくることがあります。気になる場合は写真を残してご相談ください。体調に変化を感じたときは、使用を中止して医療機関にご相談ください。

Q. 天日干しをすれば畳のカビはなくなりますか?

A. 日に当てて乾かすことは、湿気を抜くうえで意味のある手当てです。ただし、表面の乾燥と、畳床の奥に入り込んだカビの処理は別の話で、乾かしただけでは条件がそろったときに同じ場所から再び出てくることがあります。畳を上げるのは重さもあり、干せない住まいも多いので、まずは室内で換気・送風する方法から考えるのが現実的です。

Q. 畳の下の床板やコンクリートまでカビていることはありますか?

A. あります。畳は下からの湿気も受けるため、床下の湿気が多い場合や、コンクリートの上に直接畳を敷いている場合は、畳の裏側や下地にカビが出ていることがあります。畳を上げて裏が黒い、下地にしみやにおいがあるという場合は、畳だけを新しくしても原因が残ります。

Q. 畳のカビをそのままにしておくと、体に影響はありますか?

A. カビと健康の関係は、カビの種類や量、お一人おひとりの体質によって異なり、この記事で断定することはできません。せき・鼻の症状などが続く場合は、内科やアレルギー科などの医療機関にご相談ください。住まいの側では、カビを増やさない・舞い上げないことと、湿気の原因を減らすことが基本です。

Q. キッチンハイターで畳のカビを取ってもいいですか?

おすすめしません。キッチンハイターなどの台所用塩素系漂白剤も、カビキラーなどの浴室用と同じく塩素系で、い草の脱色・変色や繊維の傷みの原因になり、畳の中に染み込んだ液が残りやすいためです。使う前に必ず製品の表示で「畳」に使えるかを確認し、表示がなければ使わず、この記事の「乾いた状態で取り除く手順」で手当てしてください。

まとめ

  • 塩素系のカビ取り剤を畳に使うのは、脱色・変色・繊維の傷み・染み込みの理由から一般におすすめできない
  • 判断のもとになるのは製品のラベル。「使えないもの」に畳が入っていないか必ず確認する
  • 代わりにできるのは、乾いた状態でそっと取り除き、換気と送風でよく乾かすこと
  • 消毒用エタノールを使う場合は、目立たない場所で試し、直接スプレーせずこすらない
  • 11月からは結露と暖房で湿気の条件が変わる。布団・家具・押入れ・こたつの下を見直す
  • 畳床まで入った・広い・繰り返す場合は、削らずに取るMIST工法®など専門業者に相談する

畳のカビは、強い薬剤に手を伸ばすより、乾かすことと原因を確かめることが近道です。冬支度のこの時期に一度、和室の湿気の通り道を見直してみてください。

参考にした情報

「畳のカビをどう扱えばよいか分からない」という方は、お気軽にお問い合わせください。現地調査・カビ菌検査・MIST工法®による除カビと防カビ処理については、MIST工法®とは/カビ菌検査/サービス内容と料金 をご覧ください。ご相談はお問い合わせ、工務店・管理会社など法人さまは法人・業者様のお問い合わせ、お電話は 0120-052-127 まで。