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青カビが生えた食べ物は食べられる?|青カビの正体、チーズの青カビとの違い、加熱で毒が消えない理由、食べ物別の扱い

 

※この記事は2026年9月に、東京都保健医療局・農林水産省の公開情報をもとに内容を全面的に見直しました。

餅やみかん、パンに青緑色のカビ。「チーズには青カビがあるのだから、食べても平気なのでは」「加熱すれば大丈夫では」「その部分だけ取れば」と迷う方が多いテーマです。結論から言うと、食品に自然に生えた青カビは、加熱しても削っても安全にはならず、食べずに捨てるのが公的機関の示す対応です。チーズの青カビが食べられるのは、製造のために選ばれた種を管理して使っているからで、台所で生えた青カビとは別ものです。

この記事では、青カビ(ペニシリウム属)の正体、チーズの青カビとの違い、加熱や削り取りで済まない理由、青カビが出やすい食べ物別の扱い、食べてしまったときの考え方、そして生やさない保存方法を、東京都保健医療局と農林水産省の一次情報をもとに整理します。

この記事で分かること

  • 青カビ(ペニシリウム属)の正体と、食品に生えやすい理由
  • チーズの青カビが食べられて、餅の青カビが食べられない理由
  • 「加熱すれば大丈夫」「削れば大丈夫」が成り立たない2つの理由
  • 餅・柑橘・リンゴ・パン・ジャムなど、食べ物別の扱い
  • 食べてしまったときの考え方と、青カビを生やさない保存

1. 結論:食品に生えた青カビは、加熱しても削っても食べない

よくある考え 公的機関の情報 対応
チーズの青カビは食べられるから、食品の青カビも平気 ペニシリウム属は約150種。チーズ用の種がある一方、カビ毒を作る種もある(東京都保健医療局) 見た目で種類は分からない。自然に生えたものは食べない
加熱すれば安全 カビ毒は100〜210℃・60分以内の調理では完全に分解できない(東京都保健医療局)。通常の調理では分解しない(農林水産省) 焼いても揚げても毒は残る
カビの部分だけ取れば食べられる 見えるかびを取り除いても、見えないかびが内部や表面に残る可能性が十分にある(農林水産省) 「もったいない」と思っても捨てる

青カビについて調べる方の多くは「食べてしまったかも」「食べていいのか」を知りたいはずです。先に答えると、1回食べてしまった場合に直ちに症状が出るとは限らず、農林水産省はカビ毒による健康被害を「長期間繰り返し摂取した場合」の可能性として説明しています。ただし、それは「食べてよい」という意味ではありません。詳しくは第6章で整理します。

2. 青カビの正体:ペニシリウム属は約150種、役割は種によって正反対

東京都保健医療局によると、食品に生える青カビはペニシリウム属(アオカビ)で、青緑色の胞子を作り、約150種が知られています。餅・柑橘・リンゴのほか、練り製品・サラミ・乳製品にも生えます。同じ属の中に、チーズの製造に使われるP.カマンベルティのような種と、カビ毒オクラトキシンを作るP.ベロッコサムのような種が両方あります。

図1 「チーズの青カビ」と「餅の青カビ」は、同じ属の別の種。見た目では区別できない。

農林水産省は、台風や雹害で落果したり傷がついたりしたリンゴに、土壌中にいるペニシリウム属(アオカビ)またはアスペルギルス属(コウジカビ)の一部のかびが傷口から侵入し、果実の保管中に増殖してカビ毒パツリンを産生すると説明しています。パツリンは1942年に発見され、当初は抗生物質として注目されたものの、人に対する毒性が強いことが明らかになって利用が断念された物質で、日本ではりんごジュースと原料用りんご果汁に0.050ppmの基準値が定められています。

つまり、青カビは「ペニシリンを作る有用なカビ」「チーズを作るカビ」という顔と、「カビ毒を作るカビ」という顔の両方を持っています。台所で餅やみかんに生えたカビがどの種なのかは、見た目では判別できません。だから「自然に生えた青カビは食べない」が原則になります。

3. チーズの青カビが食べられて、餅の青カビが食べられない理由

ブルーチーズやカマンベールの青カビ・白カビは、製造のために選ばれた種を、管理された工程と量で育てたものです。東京都保健医療局はP.カマンベルティをチーズ用の種として挙げています。一方、餅やパンに生えた青カビは、空気中や食品に付いていた胞子が、たまたま条件のそろった場所で育ったもので、種も量も管理されていません。

チーズの青カビ 食品に自然に生えた青カビ
製造用に選ばれた種(例:P.カマンベルティ) 不明。カビ毒を作る種の可能性がある
育て方 工程と量が管理されている 管理されていない。ほかのカビや細菌も一緒に育つ
扱い 食べられる。ただし、開封後に別の色のカビが生えたものは除く 食べない。加熱・削り取りでは安全にならない

チーズでも、開封後に本来の青カビとは違う色(黒・赤・緑の綿毛状など)のカビが出た場合は、製造用の種ではない別のカビが後から生えたものです。その場合は、ほかの食品と同じ扱いになります。

4. 「加熱すれば大丈夫」「削れば大丈夫」が成り立たない2つの理由

図2 カビ自体は熱で死んでも、カビ毒は残る。削っても内部のカビは残る。

理由1:カビ毒は熱に強い

「青カビ 加熱」と調べる方が多いのですが、東京都保健医療局は、カビ毒は100〜210℃・60分以内の調理では完全に分解できず、ゆでる・炒める・炊飯といった加熱でもほとんど減らないとしています。農林水産省も、かび毒は熱に強く、通常の調理では分解しないと説明しています。焼き餅にしても、トーストにしても、ジャムを煮直しても、カビが作った毒はそのまま残ります。カビ自体が熱で死ぬことと、毒が消えることは別です。

理由2:見えない部分にもカビは広がっている

農林水産省は、見えるかびを取り除いても、見えないかびが内部や表面に残っている可能性が十分にあるとし、「もったいない」と思っても食べずに捨てるよう呼びかけています。同省が公開している餅の顕微鏡写真では、一見カビが無い部分にもカビが観察されています。東京都保健医療局によると、カビは菌糸を伸ばして食品の中に入り込み、表面に見える色はほとんどが胞子の色です。つまり、表面の青緑色は「胞子を作る段階まで育った印」であって、そこまで育っているなら菌糸はすでに内部に広がっています。

5. 青カビが出やすい食べ物と、扱いの目安

東京都保健医療局は、ペニシリウム属が生えやすい食品として餅・柑橘・リンゴ・練り製品・サラミ・乳製品を挙げ、カビは餅・パン・菓子など澱粉や糖分を含む食品を好むとしています。家庭でよく見る食べ物ごとに、扱いを整理します。

図3 チーズの製造用の青カビ以外は、加熱・削り取りをせずに捨てる。
食べ物 青カビが出やすい理由 扱い
澱粉と水分が多く、常温で保存されがち。内部に菌糸が広がる 全体を捨てる。削っても内部に残る(農林水産省の顕微鏡写真)
みかん・柑橘 皮の傷から侵入し、箱の中で隣の果実に広がる カビが出た果実は捨て、接していた果実も確認。箱は乾いた状態に
リンゴ 傷や落果部分から侵入し、保管中に増殖してパツリンを作る(農林水産省) 傷んだ部分・カビのある果実は捨てる。ジュースにしない
パン 澱粉・糖分・水分がそろい、袋の中で湿度が保たれる 1枚に出ていれば袋ごと捨てる。トーストしても毒は残る
ジャム・練り製品・ハム 開封後の表面に胞子が付き、冷蔵でも時間をかけて育つ 表面の点だけでも容器ごと・パックごと捨てる
チーズ(ブルー・カマンベール) 製造用の種を管理して使っている 食べられる。開封後に別の色のカビが出たものは捨てる

「緑 カビ 食べ物」と調べる方も多いのですが、青緑色のカビはペニシリウム属だけでなく、アスペルギルス属(コウジカビ)にも緑色の種があり、東京都保健医療局はA.フラバスが発がん性のカビ毒アフラトキシンを作るとしています。色で「青だから比較的安全」「緑だから危険」と判断することはできません。色から分かること・分からないことは、カビの色別一覧と危険度で整理しています。

6. 青カビを食べてしまったときの考え方

農林水産省は、かび毒を長期間繰り返し摂取すると健康被害が起こる可能性があるとしています。1回口にしてしまった場合に直ちに症状が出るとは限らず、「何時間後にどんな症状が出る」といった公的な整理はありません。まず、残りは食べずに捨て、同じ袋や箱のほかの食品も確認します。

そのうえで、次の場合は状況を伝えて医療機関に相談してください。腹痛・嘔吐・下痢などの症状が出た場合、小さなお子さん・妊娠中の方・高齢の方・持病のある方が食べた場合、カビの量が多かった場合です。農林水産省が「もったいないと思っても食べずに捨てる」としているのは、1回の症状よりも、繰り返し摂取することを避けるためです。「前も大丈夫だったから」と続けないことが大切です。食べてしまったときの手順は、カビを食べてしまったら|まずやること3つにまとめています。

7. 青カビを生やさない保存:4つの条件のうち断てるもの

東京都保健医療局によると、カビの発育には栄養・水分・温度・酸素の4条件が必要で、多くのカビは湿度70%以上・温度10〜30℃で発育し、2〜3日で集落を作り、1週間ほどで胞子を放出します。食品の場合、栄養は食品そのものなので断てません。断てるのは水分・温度・時間です。

  • 餅・パンは常温に置かない。数日で食べきれない分は冷凍する。冷蔵でも時間をかけて育つので、「冷蔵庫に入れたから安心」ではない。
  • みかん・リンゴは傷んだものを箱から出す。傷や落果部分がカビの入口。箱の底の湿った果実から出やすいので、時々上下を入れ替えて確認する。
  • ジャム・練り製品は開封後早めに使い切る。清潔なスプーンで取り、パンくずや水分を容器に入れない。
  • 「見えないうちに」を前提に、期限と状態で判断する。胞子を放出するまで1週間ほどかかるため、青緑色が見えたときには内部に広がっている。

冷蔵庫の中や野菜室、製氷機にカビが出ている場合は、食品ではなく保管場所側の問題です。冷蔵庫のカビ|パッキン・野菜室・製氷機に出る理由を参考にしてください。

8. よくある質問

Q1. 青カビは「ペニシリンの元」だから体に良いのでは

抗生物質ペニシリンはペニシリウム属のカビから発見されましたが、食品に生えた青カビを食べてもペニシリンが摂れるわけではなく、逆にカビ毒を作る種の可能性があります。東京都保健医療局は、同じペニシリウム属にオクラトキシンを作るP.ベロッコサムがあるとしています。「青カビ=薬の元」という理解は、食品には当てはまりません。

Q2. みかん1個に青カビが出ました。同じ箱の残りは食べられますか

カビが出た果実と、それに接していた果実は取り除き、残りは皮に傷や柔らかい部分、白い綿毛がないか1個ずつ確認してください。見た目に問題がなければ食べられますが、箱のまま置かず、早めに食べきります。胞子は箱の中に広がっているため、湿った状態が続くと次の果実に出ます。

Q3. 硬いチーズやハムなら、カビの部分を切れば食べられますか

農林水産省は、見えるかびを取り除いても見えないかびが内部や表面に残る可能性が十分にあるとしています。硬い食品は柔らかい食品より菌糸の広がりが遅いと考えられますが、「どこまで広がっているか」は見た目で分かりません。公的機関の情報に沿うなら、切って食べる方法は勧められません。

Q4. 青カビの生えた食品を触ったり、においを嗅いだりしても大丈夫ですか

触った手は洗えば問題ありません。ただし、袋を開けたときに胞子が舞い、カビの胞子はぜん息などのアレルギー症状の原因になることがあります(東京都保健医療局は、食品にも生えるクロカビをぜん息のアレルゲンとして挙げています)。カビの生えた食品は袋に入れて口を閉じてから捨て、顔を近づけて嗅がないようにしてください。

9. まとめ

青カビ(ペニシリウム属)は約150種あり、チーズ製造に使われる種と、オクラトキシンやパツリンなどのカビ毒を作る種が同じ属にいます。見た目では区別できないため、食品に自然に生えた青カビは食べない。カビ毒は熱に強く、通常の調理では分解しない。見えるカビを取り除いても、見えないカビが内部に残る。だから加熱も削り取りも解決になりません。これが東京都保健医療局と農林水産省の情報に沿った結論です。

防ぐには、餅やパンを常温に置かず冷凍する、傷んだ果実を箱から出す、開封後の食品は早めに使い切る、の3つが基本です。キッチンや冷蔵庫そのものにカビが繰り返し出るなら、住まいの湿度や結露が原因のことも少なくありません。

参考資料

  • 東京都保健医療局「食品衛生の窓」カビとカビ毒(カビQ&A/カビ毒Q&A)
  • 農林水産省「食品のかび毒に関する情報」「かびとかび毒についての基礎的な情報」「いろいろなかび毒」「餅に生えたかび」

※本記事は公的機関の公開情報をもとに一般的な情報を提供するもので、個別の食品の安全性を保証するものではありません。症状に関する判断は医療機関にご相談ください。