スタッフが更新しています

スタッフブログ

ロゴ
ホーム > スタッフブログ > 乾燥ハーブ・ハーブティー・ドライフルーツのOTA規制|EU 2023/915の品目別基準(10.0・8.0・2.0μg/kg)、日本に基準がない現状、輸入・製造側の5つの管理

乾燥ハーブ・ハーブティー・ドライフルーツのOTA規制|EU 2023/915の品目別基準(10.0・8.0・2.0μg/kg)、日本に基準がない現状、輸入・製造側の5つの管理

 

※この記事は2026年9月に、EUの食品汚染物質規則(Commission Regulation (EU) 2023/915)の本文と、農林水産省・東京都保健医療局の公開情報をもとに内容を全面的に見直しました。回収事例の件数や年次集計など、すぐ古くなる情報は載せていません。

ハーブティーの原料やドライフルーツを輸入・製造・販売する事業者から、「EUのOTA基準にどう対応するか」という相談があります。結論から言うと、EUの規則2023/915は乾燥ハーブに10.0μg/kg、干しぶどう・干しいちじくに8.0μg/kg、その他の乾燥果実に2.0μg/kgのオクラトキシンA(OTA)基準を置いていますが、日本にはOTAの基準そのものがありません。国内で法令上の数値義務はなく、実務は「入荷前に分析証明書で確認し、粉砕・ブレンドの前に判定し、国内の保管で増やさない」の3点に集約されます。

この記事で分かること

  • EU 2023/915の乾燥ハーブ・乾燥果実のOTA基準値と、日本の基準の現状
  • OTAとは何か、どのカビが作るか(農林水産省)
  • OTAが入る場所(産地の乾燥・保管・粉砕)と、加熱で消えない理由
  • 輸入・製造・販売側の5つの管理
  • 家庭でのドライフルーツ・ハーブティーの保存と見分け方

1. 結論:EUの品目別基準と、日本には基準がないという現状

図1 「その他の乾燥果実」はぶどう・いちじくより厳しい2.0μg/kg
品目 EU 2023/915 OTA基準 備考
乾燥ハーブ(dried herbs) 10.0μg/kg ハーブティーの原料。粉砕・混合すると選別が効かない
干しぶどう(レーズン・カランツ・サルタナ) 8.0μg/kg 農林水産省の国内実態調査で最高12.5μg/kgの検出例(2014年 リスクプロファイル)
干しいちじく 8.0μg/kg 乾燥工程で入りやすい品目
その他の乾燥果実 2.0μg/kg 杏・プルーン・マンゴー等
日本 基準値なし 農林水産省「いろいろなかび毒」:日本 基準なし。コーデックスは小麦・大麦・ライ麦5μg/kgのみ

EUの2023/915は旧規則1881/2006を統合・置き換えた規則で、Annex Iのオクラトキシンの表に上記の品目が並びます。浸出液(お茶として飲む状態)の行は当社が確認した範囲では見当たらず、基準は乾燥原料に対して置かれています。数値は改正されることがあるため、取引の際は最新の規則本文で確認してください。

2. OTAとは:アスペルギルス属・ペニシリウム属が貯蔵中に作るかび毒

項目 内容 出典
産生するカビ アスペルギルス属・ペニシリウム属 農林水産省「いろいろなかび毒」
入る場面 主に貯蔵中に産生。穀類・豆類・乾燥果実・コーヒー・飲料など 農林水産省 OTAリスクプロファイル(2014年)
体への影響 腎臓・肝臓への毒性、発がん性の可能性(IARC グループ2B) 農林水産省
加熱 通常の加工・調理で十分に減少しない 農林水産省「かびとかび毒についての基礎的な情報」

健康影響の評価は食品安全委員会・医療機関の領域で、当社は医療機関ではありません。この記事は「どこで入り、どう管理するか」に限ります。

3. OTAはどこで入るか:乾燥が遅い・保管で湿る・粉砕で混ざる

図2 入るのは産地と保管。粉砕で薄まらずに広がり、加熱で消えない

東京都保健医療局「食品衛生の窓」は、カビは湿度70%以上・10〜30℃で発育しやすく、条件がそろえば2〜3日で集落になるとしています。乾燥果実やハーブは「乾燥させて保存性を高めた食品」ですが、乾き切る前の時間が長い、保管で再び湿る、という場面で条件がそろいます。

工程 何が起きるか 国内側でできること
① 産地の乾燥 天日乾燥が雨や高湿度で遅れると、乾き切る前に増える 分析証明書で結果を確認
② 保管・輸送 袋やコンテナの結露で再び湿る。「貯蔵中に産生」(農水省) 入荷時の水分確認、コンテナ内の結露跡の記録
③ 粉砕・混合 一部の汚染がロット全体に広がる。粉にすると選別できない 粉砕・ブレンドの前に判定する
④ 加熱 通常の加工・調理で十分に減少しない(農水省)。お茶として煮出しても前提にできない 「加熱で消える」を前提にしない

スパイスと同じ構造です。粉にする前に判定する、という考え方はスパイスのアフラトキシン・オクラトキシンAで詳しく扱っています。

4. 輸入・製造・販売側の5つの管理

図3 日本に数値義務はないが、EU基準で管理していることを示せるかが取引上の差になる
管理 やること 根拠・考え方
1 分析証明書 ロットごとのOTA分析値を入手。EU向け実績のあるサプライヤーは品目別基準で管理している EU 2023/915
2 水分と保管記録 入荷時の水分。倉庫の温湿度記録。壁際・床に袋を置かない 東京都(70%・2〜3日)、文部科学省(壁から10cm・床から20〜30cm・65%監視)
3 粉砕前に判定 粉砕・ブレンド前のロットで分析。粉にした後では選別できない
4 先入れ先出し 夏を越す在庫は再分析。開封後は密閉 農林水産省(貯蔵中に産生)
5 記録と説明 取引先に「日本に基準はないがEU基準で管理」と説明できる状態に

倉庫や製造室の壁・天井にカビが出ているなら、その空間の湿度が高い証拠で、原料を保管する条件としても良くありません。食品衛生法施行規則 別表第17は内壁・天井・床の清潔維持と換気・温湿度管理を求めています。営業を止めずに処置する順番は飲食店のカビ取りと同じです。

5. 家庭での保存と見分け方

場面 やること 理由
開封後 密閉容器に入れ、冷暗所。湿気の多いシンク下・コンロ脇は避ける 再び湿るとカビが育つ条件がそろう
見分け方 白い粉状の付着、緑・黒の点、酸っぱい・カビ臭い匂い、べたつきの変化があれば使わない 見えないかびが残ることがある(農水省「餅に生えたかび」の考え方)
ハーブティー 茶葉に湿気を入れない。缶・袋は使うたびに閉じる 煮出しても前提にできない(農水省)

OTAは家庭で増やすものではなく、主に産地と流通で決まります。家庭でできるのは湿気を入れないことと、異常があれば使わないことです。

6. よくある質問

Q. 日本で販売する乾燥ハーブに10.0μg/kgの義務はありますか。

ありません。日本にはOTAの基準値そのものがありません(農林水産省)。EU向け輸出や、EU基準で管理する取引先との契約では、契約上の基準として求められることがあります。

Q. ハーブティーとして飲む状態にも基準がありますか。

EU 2023/915の基準は乾燥原料に対して置かれており、浸出液の行は当社が確認した範囲では見当たりませんでした。最新の規則本文で確認してください。

Q. レーズンは日本でも検出されていますか。

農林水産省のOTAリスクプロファイル(2014年)に、国内実態調査でレーズンから最高12.5μg/kgの検出例が記載されています。基準がないため違反ではありませんが、EU基準8.0を上回る例があることは輸入側で知っておく必要があります。

Q. 乾燥機で十分に乾かせば入りませんか。

乾燥が速いほど条件はそろいにくくなりますが、その後の保管で湿れば別です。農林水産省は「貯蔵中に産生」としており、乾燥後の保管条件が本体です。

7. まとめ

EUは乾燥ハーブ10.0、干しぶどう・干しいちじく8.0、その他の乾燥果実2.0μg/kgのOTA基準を置き、日本には基準がない。OTAはアスペルギルス属・ペニシリウム属が産地の乾燥と保管で作り、粉砕で広がり、加熱で消えない。だから管理は、証明書で入荷前に確認し、粉砕前に判定し、国内の保管で増やさず、取引先に説明できる記録を持つこと。この5つです。

倉庫・製造室のカビは、操業を止めずに

原料倉庫・製造室・冷蔵設備のカビは、保管環境の湿度が高いサインです。MIST工法®カビバスターズ本部では、浮遊カビの量と種類を調べる検査と、操業を止めない工程での処置を行っています。

参考資料

  • Commission Regulation (EU) 2023/915 on maximum levels for certain contaminants in food, Annex I(Ochratoxin A: dried herbs 10.0/dried vine fruit 8.0/dried figs 8.0/other dried fruit 2.0μg/kg)
  • 農林水産省「いろいろなかび毒」(OTA=アスペルギルス属・ペニシリウム属/腎臓・肝臓毒性/日本 基準なし/コーデックス 小麦・大麦・ライ麦5μg/kg)
  • 農林水産省「食品安全に関するリスクプロファイルシート オクラトキシンA」(2014年:国内実態調査 レーズン最高12.5μg/kg 等)、「かびとかび毒についての基礎的な情報」(通常の加工・調理で十分に減少しない)、「餅に生えたかび」
  • 東京都保健医療局「食品衛生の窓」(湿度70%以上・10〜30℃/2〜3日で集落)、食品衛生法施行規則 別表第17、文部科学省「カビ対策マニュアル」

※本記事は公的機関・EU規則の公開情報をもとに一般的な情報を提供するもので、個別の製品の安全性や法令適合を判断するものではありません。基準値は改正されることがあるため、最新の規則本文と所管官庁の情報を確認してください。当社は食品衛生の検査機関・医療機関ではありません。