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基礎断熱の第1種換気システムで発生するカビ問題とその予防策

2025/03/11

床下のカビ問題

基礎断熱の第1種換気システムで発生するカビ問題とその予防策

負圧・断熱不足・換気バランスの乱れがもたらすリスクを徹底解説

皆さま、こんにちは。MIST工法®カビバスターズ本部の株式会社せらでございます。私たちは長年、カビにまつわるさまざまなトラブルを解決し、安心安全な住環境をサポートしてまいりました。最近では、基礎断熱の住宅で「第1種換気システム」を導入しているにもかかわらず、なぜかカビが発生しやすいというご相談を多数いただいております。
実は、このような住宅は「負圧」が生じやすい構造であったり、断熱不足がどこかに潜んでいたり、換気の吸気と排気のバランスが合わないことなどが原因で、意外にもカビが広がる可能性が高くなることがあるのです。さらには、新築引渡しの時期ならではの問題として、コンクリートに含まれる湿気が多く残っている状態で引き渡された結果、基礎部分に水分がとどまりやすく、カビの繁殖条件を整えてしまうことも少なくありません。
日本建築学会では、室内環境の浮遊菌量の目安として1000MIC/㎥を指標にしています。しかし、カビは気づかないうちに発生・拡大し、目に見えなくても空気中に胞子が浮遊するため、室内環境の悪化やアレルギー症状を引き起こす大きなリスクがあります。特に花粉症と似た症状が出る「カビアレルギー」は、春先にかけて気づきにくいこともあり、注意が必要です。こうしたカビ問題に対して、私たちMIST工法®カビバスターズ本部の株式会社せらは、微生物対策協会が推奨している真菌検査を活用し、除カビ・除菌の徹底をサポートしています。見た目のカビ汚れだけでなく、室内の空気環境全体をしっかり見える化していくことが、家族の健康を守る上で非常に大切だと考えています。
本記事では、基礎断熱の第1種換気システムに潜むカビ発生のメカニズムを分かりやすく解説し、皆さまが安心して快適な暮らしを送れるように、その予防策や対処法をご紹介いたします。ぜひ最後までお読みいただき、少しでもお役立ていただければ幸いです。

1. はじめに

住宅内カビ問題への最初の一歩 〜健康で快適な暮らしを守るために〜


1.1 カビバスターズ本部「株式会社せら」のご紹介

私たちMIST工法®カビバスターズ本部の株式会社せらは、長年にわたって日本全国のさまざまな建物で発生するカビ問題に取り組み、住まいの健康と安全を守るためのサービスを提供してまいりました。多くの方にとって、カビは単に見た目やにおいの問題だけではなく、家族の健康を脅かす深刻なリスクとなりうるものです。当社では、「カビのない安全・安心な住環境づくり」を企業理念の一つに掲げ、カビや菌による汚染を徹底的に防止するための独自技術を追求し続けています。

そうした中で誕生したのが、当社の独自工法であるMIST工法®です。MIST工法®では、極めて細かなミストを空間全体に行き渡らせることで、目に見えるカビだけでなく、壁や床下、天井裏など、普段の掃除では手が届きにくい場所に潜むカビ胞子や微生物までもしっかりと除去します。さらに、その後の再発を防止するための薬剤コーティングや、定期的なモニタリング・アフターフォローにも力を入れており、一過性の対応にとどまらない「総合的なカビ対策サービス」をご提供しています。

カビは時にアレルギー症状やぜんそくなどを引き起こし、住まい手の生活の質を大きく損なう原因となります。当社では、そうしたリスクを最小限に抑えるため、微生物対策協会が推奨する真菌検査などの検査手法をはじめ、カビを「見える化」するための多角的なアプローチを実践しています。汚染度合いや発生原因を正確に把握することで、より的確な除去・抑制策を打ち出すことが可能になるからです。

また、単に施工を行うだけでなく、カビの生えにくい住環境づくりのアドバイスも積極的に行っています。換気システムの見直しや湿度管理、断熱施工のチェックなど、建物の特性やライフスタイルに応じたメンテナンス方法をご提案し、お客様が長期的に快適で安全な住環境を維持できるようサポートしています。

私たち株式会社せらは、常に最新の研究成果や事例をもとに技術をアップデートし、高気密・高断熱の住宅が増え続けるこれからの時代に対応するべく、カビ問題に精通した専門家として皆さまの暮らしを守り続けてまいります。どのようなご相談でも、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。


1.2 基礎断熱住宅のカビ問題が増加している背景

近年、高気密・高断熱住宅の増加や省エネルギー化の推進に伴い、住まいが外気の影響を受けにくくなる一方で、建物内部に湿気がこもりやすくなり、その結果としてカビが発生しやすくなるケースが増えてきました。特に基礎断熱住宅では、床下や基礎コンクリート部分を断熱材で覆うことが一般的になっていますが、この断熱層のわずかな施工不良や断熱不足、あるいは換気システムの不調和が原因で、住宅内部に湿気が蓄積しやすくなるのです。

また、新築引渡しの時期には、コンクリートに含まれる水分が完全には抜けきっていないまま入居が始まることが多く、さらに高気密化で換気量が十分でない場合は、基礎周辺の湿気が滞留しやすい環境が生まれます。加えて、第1種換気システムの導入による負圧状態が生じやすい住宅では、外部から湿った空気が床下や壁内に逆流することもあり、結果としてカビの温床が形成される要因となっているのです。

日本建築学会による浮遊菌量の基準値(1000MIC/㎥)を超える室内空間が確認される事例もあり、目に見えないレベルでカビ胞子が漂い続けている可能性は十分に考えられます。さらに、カビが発生しやすい住環境ではカビアレルギーやアトピー性皮膚炎、ぜんそくなどの症状が悪化する恐れも高まることから、健康被害の面でも油断できません。特に春先や梅雨時期など、外気の湿度が高くなる時期には、カビの繁殖が急激に進むことがあります。

こうした背景を踏まえると、基礎断熱住宅であっても「断熱さえしっかりしていればカビは生えない」という認識は危険であり、継続的な点検やメンテナンスが欠かせません。微生物対策協会が推奨する真菌検査などを定期的に実施し、湿度・温度・換気のバランスを総合的にチェックすることで、見えにくい場所でのカビ発生を未然に防ぎ、家族の健康を守ることにつながります。建物の工法や構造が多様化する中で、カビの発生要因も複雑化している今、専門的な知識と技術を活用しながら「いつまでも清潔で快適な住まい」を維持する意識が求められています。

2.基礎断熱の第1種換気システムでカビが発生する原因

高気密化と施工精度が複雑化するカビの温床を解き明かす


2.1 負圧がもたらすリスク

高気密・高断熱住宅で一般的に導入される第1種換気システムは、機械の力で室内の空気を排気し、同時に外気を取り込む仕組みを持っています。しかし、設計段階や施工段階で換気量のバランスが崩れたり、実際の運用でフィルターの詰まりや機器の故障などが起こったりすると、思わぬ形で負圧が生じることがあります。負圧とは、簡単にいえば室内の気圧が外気よりも下がっている状態のことで、この状態が続くと外部からの空気があらゆる隙間を通じて室内に流れ込みやすくなるのです。

問題は、その外気が常に乾燥したクリーンな空気とは限らないという点です。日本の気候は湿度が高く、梅雨や夏場には飽和水蒸気量が増えるため、外気そのものが多くの水分を含んでいる可能性があります。これが基礎付近や床下、壁内に流入すると、そこで冷やされて結露を起こしやすくなり、カビの発生源を作り出します。さらに、負圧によって建物内部に空気が引き込まれるプロセスでは、換気計画の想定外の経路を通って湿気や汚染物質が入り込むことも考えられます。結果的に、床下や基礎部分に本来想定していなかった水分が集まり、それが長期間にわたって放置されることでカビの温床となってしまいます。

また、負圧状態は換気ダクトや換気扇、さらには窓やドアの開閉など、さまざまな要素の組み合わせによって日常的に発生しうるものであり、必ずしも高気密住宅だけの問題ではありません。ただ、高気密住宅の場合は隙間が少なく、ちょっとした換気計画のズレが大きな湿度環境の偏りにつながるため、より一層注意が求められるのです。負圧が引き起こすカビ被害を防ぐには、まずは住宅の気密測定や換気計画の見直しを行い、吸気・排気のバランスを適切に保つことが重要です。そして、床下や基礎部分の湿度を定期的に計測するなど、問題が表面化する前の段階から対策を講じることで、大規模なカビ被害を未然に防ぐことができます。


2.2 断熱不足による結露の発生

基礎断熱住宅では、コンクリート基礎の周囲を断熱材で覆うことによって熱の逃げを防ぎ、室内側の床下空間や基礎部分の冷え込みを緩和することが狙いとされています。しかし、この断熱施工が適切に行われていなかったり、断熱材と断熱材の接合部分に隙間が生じたりしていると、わずかな温度差や湿度差が原因となり、基礎周辺で結露が発生しやすくなります。結露はカビをはじめとする微生物にとって絶好の繁殖条件となるため、一度水分がたまってしまうと、短期間でカビが広がる恐れがあります。

断熱不足による結露は、住まい全体のエネルギー効率を下げるだけでなく、建物の耐久性を損なう要因にもなります。特に木造住宅では、木材の腐食を引き起こす原因にもなり得ますし、鉄骨造であっても鉄部のサビを促進するなど、さまざまなデメリットが生じます。表面的にはきれいに仕上がっていても、基礎断熱材の裏側や床下空間に目視できないレベルの結露が続いている場合、長期的に見たとき大きなダメージを受けるリスクが高いのです。

また、基礎断熱だけではなく、壁の断熱や屋根断熱との連携も重要です。建物のどこか一部だけ断熱性能が低い部分があると、そこに温度差が生じ、結果的に結露が起きてしまう可能性があります。さらに、第1種換気システムと断熱施工は表裏一体の関係にあり、計画換気によって室内の湿気を適切に排出しつつ、外気との温度差を小さく保つことが理想です。

結露の発生は季節によっても異なり、特に冬場の室内外温度差が大きい時期や、梅雨のように湿度が非常に高い時期には要注意です。実際の現場では、除湿器や換気扇だけでは対策しきれないレベルで結露が継続しているケースも珍しくありません。定期的な目視点検や湿度・温度のモニタリングを行うと同時に、もしも結露によるカビや傷みが認められたら、早めに専門家へ相談することが大切です。断熱不足は発見が遅れるほど修繕コストも高くなるため、日頃から住まいの状態を注視しておくことが、カビ被害を抑えるうえで有効な手段といえます。


2.3 新築引渡し時期におけるコンクリートの湿気

新築住宅を引き渡された直後は、まだ建築中に使用されたコンクリートやモルタル、木材などが内部に多くの水分を含んでいる可能性があります。とりわけ、基礎コンクリートは水分が抜けるまでに時間がかかることが多く、完全に乾燥しきっていない状態で引き渡しを受けるケースが珍しくありません。そうした環境下で第1種換気システムを稼働させても、換気量や気候条件によっては十分に湿気を逃がしきれず、基礎付近に水分が停滞してしまう場合があります。

さらに、新築時期は外装や内装が整ったばかりで、一見すると問題がないように見えますが、実際には基礎断熱材の裏側など、目に見えない場所で高い湿度が保たれていることもあります。そのままの状態が続くと、カビの繁殖を促す土台が整ってしまい、新居での暮らしが始まった途端にカビ問題に悩まされることになりかねません。

また、新築住宅の場合は室内外の気密性や断熱性能が高い反面、施工時の温度や湿度管理が十分でなかったり、コンクリートの乾燥期間が短縮されていたりする可能性も否定できません。特に大規模な分譲住宅や工期の短い建築案件では、施工のスケジュールがタイトになり、コンクリートが十分に乾いていない状態で次の工程に進んでしまうこともあるのです。このような背景から、新築住宅であっても早い段階でカビが発生するリスクが高まるのは当然といえるでしょう。

そのため、引渡しを受けたばかりの頃には、こまめに換気を行い、必要に応じて除湿器を活用して室内と基礎周辺の湿度を管理することが大切です。もしも異常に湿気がこもっていると感じた場合や、カビ臭がわずかでも漂い始めたら、早めに専門家へ相談するのが賢明です。カビは初期段階で対処すれば被害を最小限に抑えられますが、放置すると広範囲に及び、除去費用や建物の修繕費用が大幅に膨らむ可能性があります。新築住宅で長く快適に暮らすためにも、引渡し直後から湿度・結露対策を怠らないことが、カビ被害を防ぐ第一歩となるのです。


2.4 吸気・排気バランスの乱れと室内環境への影響

第1種換気システムは、吸気と排気の両方を機械制御で行うため、本来であれば計画的に室内空気の入れ替えを行い、カビの発生を抑制する役割を担っています。しかし、実際の住宅環境では、換気装置自体の不具合やフィルターの目詰まり、ダクトの損傷、さらには住まい方のクセなど、さまざまな要因が重なってシステムのバランスが崩れる場合があります。吸気が不足すれば負圧が発生して外気が思わぬルートから入り込み、基礎周辺や壁内で湿気を溜め込むことにつながる一方、排気が不十分になれば室内の湿度が高まり、結露やカビを引き起こしやすくなります。

こうしたバランスの乱れは、カビの発生を促すだけでなく、部屋ごとの湿度差を大きくしたり、部屋間で温度差を生み出す原因にもなります。その結果、住宅内部の一部が極端に冷え込んだり、高温多湿となったりして、カビの繁殖しやすい環境が局所的に生まれることがあるのです。特に、基礎断熱の施工精度や隙間の処理が不十分な住宅では、換気システムが正常に働いているつもりでも、実は壁内や床下の隙間から湿気が入り込みやすく、気づかないうちにカビが広がってしまうケースも少なくありません。

また、吸気・排気バランスの乱れは、室内の空気質にも影響を及ぼします。湿度が高くなるとダニやダニの死骸などのアレルゲン物質が増えやすくなり、カビと合わせてアレルギー疾患の悪化要因となることがあります。さらに、換気の不足によって二酸化炭素濃度が高くなれば、集中力の低下や頭痛などの体調不良を感じることもあるでしょう。

こうしたリスクを防ぐためには、定期的に第1種換気システムの点検を実施し、フィルターやダクトの清掃・交換を怠らないことが大前提となります。さらに、吸気口や排気口の設置場所、空気の流れを妨げる家具の配置などにも気を配り、実際の生活スタイルに合った計画換気が行えるよう配慮することが必要です。もしカビの症状やにおいが発生した場合は、早めに真菌検査などで状況を可視化し、問題の根本原因を突き止めたうえで対策を講じることが、快適な住環境を守るためには欠かせません。

3.カビと室内環境の健康リスク

カビによる見えない脅威がもたらす健康被害を徹底解説


3.1 日本建築学会が定める浮遊菌量基準(1000MIC/㎥)

日本建築学会が提示している浮遊菌量の基準値は、室内環境における微生物汚染のひとつの目安となっています。なかでもカビは、目に見える形でのコロニーだけでなく、空気中に飛散する胞子の存在が厄介です。この胞子が室内の空気を漂い、人の呼吸器や皮膚に影響を与える可能性があるため、基準値を超えるレベルで浮遊していると健康リスクが高まることが指摘されています。とりわけ、住宅の高気密化や断熱施工の進歩により、かえって室内に湿気がこもりやすくなった現代の住まいでは、知らず知らずのうちにカビが繁殖しやすい環境が整ってしまうことが少なくありません。

また、カビが室内に広がり始めると、はじめは特別なにおいを感じない場合でも、気づかないうちに壁の裏側や床下などでコロニーが増殖し、胞子を空気中にまき散らす状態になることがあります。こうした状況が続けば、人が生活する空間には常に高濃度のカビ胞子が存在することになり、アレルギー症状の発症や既存疾患の悪化を招きやすいのです。日本建築学会が1000MIC/㎥という指標を設定しているのは、健康への影響を未然に食い止めるための指針の一つといえます。

しかし、実際の住宅環境では、換気や清掃をどれだけ徹底していても、建物の構造や居住者の生活習慣によっては容易にこの基準値を超えてしまうこともあります。特に新築引き渡し直後の住宅や、リフォーム直後の住まいでは、建材からの湿気や改修工事中に発生したホコリなどが残存している可能性も考えられます。こうした状況下で「見た目はきれいだから大丈夫」と思い込んでしまうと、やがてカビのにおいや目に見える汚染が顕在化してくる場合もあるのです。

そのため、自宅の空気質がどの程度の菌量に相当するのかを測定し、早期に把握しておくことは、健康リスクを最小化するうえで非常に重要です。専門業者による真菌検査を実施すれば、室内の菌量を定量的に知るだけでなく、どのエリアに問題が集中しているのかまで把握できるため、より的確な対策が可能になります。1000MIC/㎥を単なる数字として捉えるのではなく、安全と危険の境界を示すシグナルとして活用することが、家族全員の健やかな生活を守る第一歩といえるでしょう。


3.2 花粉症と似ているカビアレルギーの症状

カビアレルギーは、その症状が花粉症に類似しているために見過ごされることが少なくありません。具体的には、くしゃみや鼻水、目のかゆみなど、花粉症とほぼ同じような症状が現れるケースが多いのです。季節性の花粉症はスギやヒノキ、ブタクサなど、原因となる花粉の飛散時期がはっきりしていますが、カビの場合は室内環境が整えば一年を通じて発生・増殖し得るため、時期によっては花粉とカビの両方が混在し、症状が長引いたり強まったりすることもあります。

さらに、カビは室内の高湿度な場所や換気の不十分なエリアで発生しやすく、花粉と違って外出しなくても常に接触するリスクがあるのが厄介な点です。とくに、基礎断熱の住宅で第1種換気システムを導入している場合や、築年数の浅い住まいでコンクリートの湿気がまだ多く残っている場合などは、気づかないうちに室内のカビレベルが高まっていることがあります。こうした環境下では、アレルギー体質の人だけでなく、健康な人でも長期にわたって多量のカビ胞子を吸い込むことで、抵抗力が低下したり、新たにアレルギー反応を引き起こしたりする可能性があります。

鼻水やくしゃみなどの症状があると、多くの方はまず花粉症を疑うものです。しかし、シーズン以外にも同様の症状が続く、あるいは空気清浄機や定期的な換気をしても症状が改善しないといった場合は、室内カビを原因の一つとして疑ってみることが必要です。壁や天井の表面にカビが見当たらなくても、壁紙の裏側や床下などでカビが発生している可能性は十分に考えられます。そのため、専門家による真菌検査を行い、目に見えない汚染を「見える化」することが有効な手段となります。

カビアレルギーは、花粉症と同様に症状そのものを取り除くのが難しい反面、カビの発生源を除去し、汚染度をコントロールすることで大幅に緩和されることが多いという特徴があります。適切な除湿や換気計画、MIST工法®など専門的な除カビ作業を組み合わせることで、カビアレルギーのリスクを下げることが可能です。花粉の飛散シーズン以外にも、いつでもアレルギー症状が出るかもしれないという意識を持ち、室内環境を定期的に点検することが、健康トラブルを未然に防ぐ大切なポイントです。

4.カビ発生を見逃さないための検査方法

科学的なアプローチで実態を把握し、早期対策に活かす


4.1 真菌検査によるカビ汚染度の可視化

カビの問題を真正面から捉えるには、目に見える箇所のカビを単に「拭き取る・洗う」だけでは不十分です。室内の壁や天井などにカビが見えなくても、空気中にはカビ胞子が漂っている可能性があり、症状の原因を特定しにくい場合があります。このとき、微生物対策協会が推奨している「真菌検査」を実施すれば、室内や建材内部にどの程度のカビ汚染が存在するのかを定量的に測定し、「見える化」することが可能です。

真菌検査には、いくつかの手法があります。たとえば、空気中のカビ胞子を捕集し、培養を行ってどの種類のカビがどの程度存在するのかを特定する方法や、建材の表面をテープやスワブで採取して分析する方法などが代表的です。前者の空気検体による検査では、目に見えないカビ胞子の濃度を把握できるため、室内環境全体の汚染度合いを判断する材料になります。一方、後者の表面検体による検査では、実際に壁や床下、基礎部分などに付着しているカビのコロニーを直接確認できるため、発生源を pinpoint(ピンポイント)で特定するのに適しています。

このように、真菌検査で得られたデータを客観的に分析することにより、家のどの部分が「カビの温床」になっているのか、カビの種類は何で、どれほどの健康リスクがあるのかを明らかにできます。とりわけ、日本建築学会が指標として定める浮遊菌量1000MIC/㎥を超えているような場合には、呼吸器系への影響やアレルギー症状のリスクが飛躍的に高まる可能性があります。カビの種類によっては、強い毒性を持つものや、気管支炎や肺炎の原因となるものも存在するため、早めの対処が望ましいといえるでしょう。

真菌検査のメリットは、数値や写真、培養結果など具体的な形でカビ汚染を把握できる点にあります。これにより、住まい手は「自宅のカビ状況を正確に認識したうえで対策を検討できる」ようになり、結果的に対策の優先順位や緊急度も適切に判断しやすくなります。曖昧な不安や疑問を抱えるよりも、まずは真菌検査を通じて現状を把握し、根拠ある決断を下すことが、カビ被害を最小化するうえで非常に重要なプロセスといえるでしょう。


4.2 検査結果を踏まえた対策の検討

真菌検査によって、室内のカビ汚染度や発生部位、カビの種類などが明確になったら、次のステップは「どう対策を講じるか」ということになります。カビの発生原因や種類によって、最適な対策方法や施工手順は大きく異なるため、闇雲に薬剤を塗布したり、表面を拭き取ったりするだけでは再発のリスクを除去しきれない場合も多いのです。

まず、検査結果から得られる知見として、どの部屋・どの部位・どの建材が特に高濃度のカビ汚染を示しているかを確認します。例えば、基礎断熱の床下や壁際でカビが顕著に増殖しているならば、そこに水分が集まりやすい要因を突き止める必要があります。断熱材の隙間や施工不良、換気システムのバランス不調、あるいは雨漏りや結露など、多角的に原因を探ることで根本的な解決策を導き出せるのです。

また、カビの種類の違いによっても、必要な対策は変わってきます。たとえば、アスペルギルスやペニシリウムといった種類は、空気中によく浮遊するため、室内の気流や換気方法を見直すことが再発防止の大きな鍵となります。一方、黒カビとして広く知られるクラドスポリウムやストアキボトリスが確認された場合は、胞子によるアレルギーや健康被害が深刻化しやすいため、除カビ・除菌を徹底的に行わなくてはなりません。

対策方法としては、MIST工法®などを用いて空間全体に除菌効果を行き渡らせるアプローチが有効です。これにより、目に見える部分だけでなく、壁の裏や床下、天井裏などに潜むカビ胞子を含めて広範囲に処理できます。さらに、除菌作業の後には薬剤コーティングや再発防止策の検討が必要になります。具体的には、断熱施工の補修や換気装置の定期点検、室内の湿度管理の見直しなどを総合的に行うことで、根本的なカビの原因を取り除く方向へと進められます。

検査結果を踏まえた対策とは、単に「汚染部をきれいにする」だけではなく、再びカビが繁殖しないように住まい全体を改善していく取り組みといえるでしょう。せっかく目に見えるカビを除去しても、原因が残ったままでは同じ問題が繰り返される可能性が高いため、専門家と協力しながら原因を特定し、適切な処置とアフターフォローを実施することが大切です。真菌検査のデータをもとに科学的な根拠に基づいた対策を行えば、より効率的かつ確実に住環境の改善を図ることができ、安心して過ごせる空間を長期的に維持できるようになります。

5. 効果的なカビ対策と予防策

長期的に安心・安全な住環境を実現するために


5.1 MIST工法®による除カビ・除菌

カビを効率的に除去するうえで、広範囲かつ徹底的なアプローチが求められます。そこで注目されているのが、MIST工法®と呼ばれる独自技術です。MIST工法®は、目に見えるカビだけでなく、壁の裏や床下、天井裏など、通常の清掃では手が届きにくい部分にまで除菌効果を行き渡らせることを目指しています。具体的には、専用の噴霧装置を用いて細かいミスト状の薬剤を部屋中に散布し、カビの胞子や菌体にダイレクトに働きかける仕組みです。薬剤が微粒子となって拡散するため、非常に細かい隙間や内部構造にも入り込みやすく、従来の拭き取りや塗布作業だけでは対応できなかった領域までカバーできる点が大きな特徴といえます。

さらに、MIST工法®では除菌後の再発防止策としてコーティング処理を行うことが多く、カビが再び生えにくい環境を作ることも視野に入れています。このように、一度の施工で目に見える部分だけでなく、室内空間全体を総合的に処理することで、カビ対策の効果をより長期的に維持できるのです。特に、新築直後やリフォーム後など、建物内部にまだ多くの湿気が残っている状態では、菌や胞子が付着しやすい時期でもありますので、早い段階でMIST工法®による除菌を検討すると良いでしょう。

なお、MIST工法®の導入にあたっては、住まいや建物の構造に合わせた事前調査が重要となります。真菌検査をはじめとする各種の検査を通じて、具体的なカビ汚染度や発生源を把握し、その結果をもとに施工範囲や使用薬剤を決定します。この工程がしっかりと行われることで、的確な場所に薬剤を行き渡らせることが可能になり、効率的なカビ除去につながります。こうした専門的なアプローチにより、「見た目がきれいになっただけ」で終わらず、その後も安心して暮らせる状態をしっかりとキープできるわけです。

MIST工法®による除カビ・除菌は、カビの発生が深刻化した状態であっても、再発防止を含めた包括的な対処方法として期待が高まっています。一般的な家庭用のカビ取り剤だけでは対応が難しい場合や、原因が複数個所にわたっているケースでも、専門家による的確な判断と最新技術の活用で、住まいの環境を根本から改善できる点が大きな魅力といえるでしょう。


5.2 再発防止のポイントと定期点検

カビ対策には、原因箇所を徹底的に除去することがもちろん最優先ですが、それ以上に重要なのが「いかに再発を防ぐか」という視点です。カビは一度発生すると、除去後もその環境条件が変わらなければ再び生えてきてしまう可能性が高いため、対策後のメンテナンスや点検が欠かせません。たとえば、MIST工法®で徹底的に除菌を行ったとしても、断熱施工に隙間があれば結露が続き、湿度が高い環境に戻ってしまいますし、換気システムの不具合を放置すれば、やがて同じ場所にカビが発生するリスクがぬぐえません。

再発防止のポイントとしては、まずは建物や室内環境における湿度や温度の管理が挙げられます。具体的には、湿度が60%を超えるような状況が長時間続くとカビが生えやすいため、定期的に湿度計をチェックし、必要に応じて除湿器や換気扇を活用して湿度を調整すると効果的です。また、結露が発生しやすい窓際や浴室、キッチンまわりなどは特にこまめな拭き取りや掃除を行い、カビが付着しにくい清潔な状態を保ちましょう。

さらに、定期点検を怠らないことが大切です。建築物は時間の経過とともに、微細な亀裂や隙間が生じることもありますし、換気設備やフィルターの汚れ、劣化といった問題も避けられません。こうした変化は住まい手が日常生活を送る中では気づきにくいため、半年から1年に一度程度、専門家による点検を受けると安心です。真菌検査をはじめとする各種調査を定期的に行えば、目には見えないカビ汚染の初期段階を発見し、早期に対策を打つことができます。

また、住まい方そのものもカビ再発に大きく影響します。たとえば、家具や収納を壁にぴったりと密着させてしまうと、隙間に通気が行き届かず湿度が高まりやすいというケースが典型的です。適度な隙間を保つように配置を見直したり、クローゼットや収納スペースには除湿剤を置くなど、生活の工夫を重ねることで、カビの繁殖しにくい住環境を整えることができます。対策が完了した後ほど、その維持に注目し、定期的な点検を組み合わせることで、カビの再発を最小限に抑えていくことが可能です。


5.3 室内湿度管理の徹底と換気システムの見直し

カビが繁殖するために必要な条件のひとつが高湿度であることは広く知られていますが、室内の湿度管理は思いのほか難しく、天候や季節による影響も受けやすいのが現実です。特に、日本のように四季がはっきりしており、梅雨や夏場には蒸し暑く、冬場には室内外で大きな温度差が生じる気候下では、年間を通じて湿度の変化が激しくなりがちです。そのため、住宅が高気密・高断熱化している現代では、一度湿気がこもると逃げにくい構造になり、気づかないうちに結露やカビが発生するリスクが高まります。

こうしたリスクを軽減するために欠かせないのが、換気システムの見直しです。第1種換気システムを導入している住まいでは、機械制御による給気と排気が行われるはずですが、もしも設計段階や施工段階でわずかでも不具合があれば、室内の空気バランスが乱れ、負圧や過湿状態が発生します。定期的にフィルターやダクトの点検・清掃を行い、換気量を適正に保つよう調整することが大切です。さらに、気温や湿度の高い季節には、エアコンや除湿器を併用して湿度を下げる施策も有効です。

また、住まい手の工夫として、調理や入浴などで大量の水蒸気が発生するタイミングに合わせて換気扇を積極的に回すことも、室内の湿気を屋外に排出するためのポイントです。窓を開けて自然換気を行う方法も有効ですが、雨の日や外気の湿度が極端に高い状況ではかえって湿気を取り込んでしまうこともあるため、天候や時間帯を意識しながら行う必要があります。

さらに、室内の空気が循環しやすい環境づくりにも目を向けましょう。家具や家電の配置が偏っていると空気の流れが阻害され、特定の場所だけ湿気が溜まりやすくなります。エアコンやサーキュレーターを活用して空気を拡散させる、収納スペースの奥に除湿剤やすのこを置いて風通しを確保するなど、ちょっとした工夫が効果を発揮することも少なくありません。

結局のところ、カビの抑制には湿度管理と適切な換気が不可欠であり、その両方がうまく機能してはじめて安定した室内環境を保てます。日常の過ごし方を見直しつつ、専門家による定期的な点検を受けることで、不具合や設計上の問題点を早期に発見・修正し、カビの発生を予防できる住環境を長期的に維持していくことが理想です。

黒カビだけじゃない?赤・白・緑など、カビの色がもつサインを見逃さないために

6. まとめと今後のアドバイス

早めの対策と継続的な取り組みが未来の快適な住まいを守る


6.1 カビ問題への迅速な対応の重要性

カビは、目に見える段階まで進行してしまうと、除去や修復に手間とコストがかかるだけでなく、そこで暮らす人々の健康にも深刻な影響を及ぼしかねない存在です。したがって、カビを見つけたときには「少し様子を見よう」と考えるのではなく、できるだけ早期に状況を把握し、適切な対策を講じることが肝心といえます。特に、基礎断熱住宅のように高気密・高断熱性能を備えた住まいでは、結露や湿度の蓄積が思いのほか早い段階で進む場合があるため、カビの発生も短期間で大きな広がりを見せることがあります。

一度でもカビが目視で確認できるほど繁殖している場合は、すでに壁や床下、天井裏などに菌糸や胞子が広範囲に行き渡っている可能性があります。気づかぬうちに室内の空気を汚染し、アレルギー症状や呼吸器系疾患の一因となるリスクが高まるのです。また、新築直後やリフォーム後の住まいで早い段階にカビが発生するケースもあり、「新しい家だから大丈夫」という思い込みは危険であることを認識しておく必要があります。

迅速な対応を行うためには、まずは室内の状態を客観的に把握できる体制づくりが重要です。真菌検査や室内の温湿度の定期チェックを行い、わずかな兆候でも見逃さない姿勢を持つことが大切です。たとえば、カビ臭さや目のかゆみ、くしゃみが増えるなど、ごく軽微なサインがあったら要注意です。あるいは、換気システムの運転音の異変や水回りの結露の増加など、日頃のちょっとした変化を把握しておくことで、カビ被害を最小限に食い止めることができます。

もし異常が疑われる場合には、専門家に相談して現状を調査し、原因を特定するのが最良の方法です。そのまま放置すれば、問題が広がるだけでなく、住まい全体の価値や建物の耐久性にまで影響を及ぼす可能性があります。カビは自然に消えてなくなることはありません。こまめなチェックと少しの疑問に対する迅速な行動こそが、大切な住環境を長く守るカギとなるのです。


6.2 健康を守る住環境づくりのために

カビは住まいの美観や耐久性の面だけでなく、そこで暮らす人々の健康リスクという意味で看過できない問題です。アレルギー症状や呼吸器系の疾患を抱えやすい方はもちろん、健康な人であっても、長期間にわたってカビ胞子にさらされることで体調が悪化する可能性があります。特に、日本の気候は湿度が高い時期が多く、高気密化された住宅で換気がうまく機能していない場合は、室内にカビを繁殖させる条件が揃いやすいのです。

健康を守る住環境づくりには、まず湿度管理と換気の適切な維持が欠かせません。たとえ除菌や除カビを行っても、その後に同じような湿度や通気不良の状態が続けば、再びカビが発生しやすくなります。また、花粉症とよく似た症状を示す「カビアレルギー」は、花粉の多いシーズンと重なることもあり、自覚しづらい点が厄介です。目のかゆみやくしゃみ、鼻水などの不調が続く場合、室内のカビ汚染も疑ってみる必要があります。

一方で、住まい方のちょっとした見直しや生活習慣の改善によって、カビの発生リスクを下げられる場合があります。たとえば、収納や家具の配置を見直して通気を確保する、定期的に除湿器を稼働させる、換気扇をこまめにオンにするなど、日常の中でできることは少なくありません。加えて、専門家による定期点検を受けることで、建物自体の断熱や気密施工、換気システムが適切に機能しているかを確認し、必要に応じて修繕や改善を行うことができます。

さらに、カビを抑制するうえでは、住宅そのものだけでなく、暮らし全体に目を向けることが大切です。調理や入浴、洗濯といった日常行為からも多くの湿気が発生しますし、室内で観葉植物を多数育てるなどの趣味がある場合も、必要以上に湿度が上がってしまう場合があります。こうした要因を総合的に見直し、適切な対策を講じることで、家族みんなが健康で過ごせる住環境が手に入るのです。カビ対策は面倒に見えるかもしれませんが、長期的な視点で取り組むことで、健康はもちろん、住まいの資産価値や快適性を守り続ける大きなメリットがあります。