スタッフが更新しています

スタッフブログ

ロゴ
ホーム > スタッフブログ > 植物油・種実で検出が増える新興Alternaria系毒「テヌアゾン酸(TeA)」とは?最新レビューと食品安全動向

植物油・種実で検出が増える新興Alternaria系毒「テヌアゾン酸(TeA)」とは?最新レビューと食品安全動向

2025/08/27

植物油・種実で検出が増える新興Alternaria系毒「テヌアゾン酸(TeA)」とは?最新レビューと食品安全動向

ひまわり種や食用油、トマト製品で報告が増加中。規制基準化が進むカビ毒のリスクと最新知見を解説


こんにちは。MIST工法®カビバスターズ本部のブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は「植物油・種実での新興Alternaria系毒(テヌアゾン酸TeA等)」について取り上げます。

近年、食用油や種実、とりわけひまわり種やその油などの油糧種子、さらにトマト加工品からもAlternaria属カビが産生する毒素の一種「テヌアゾン酸(TeA)」が検出される事例が増えてきました。これまでカビ毒といえばアフラトキシンやオクラトキシンが広く知られてきましたが、最近ではこうした“新興”カビ毒のリスクが学術的にも強く注目され、国際的に規制や基準値の検討が進められています。その結果、基準超過のニュースが増える可能性もあり、食品を扱う企業や消費者にとっても無視できない問題となっています。

特に、未精製のオイルや種実では濃縮されやすく、日常的に口にする機会が多いトマトソースなどの加工品からも検出が報告されています。最新の系統的レビューでは、油脂製品やトマト関連製品での検出状況が整理され、リスク評価の重要性が改めて示されています。

私たちの生活に欠かせない食品に潜むこうしたカビ毒の問題は、普段あまり意識されないものの、健康リスクとしてじわじわと広がっています。このブログでは、カビの専門的な知見をもとに、ニュースや研究レビューをわかりやすく解説し、皆さまの食の安全意識を高めるお手伝いができればと考えています。もし食品や生活環境における「カビ問題」でご不安をお持ちでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。

  1. 新興Alternaria系毒「テヌアゾン酸(TeA)」とは

    食品に潜む“見えない脅威”――Alternaria属カビとテヌアゾン酸(TeA)の基礎知識


    Alternaria属カビとその毒素の特徴

    Alternaria属カビは、自然界に広く分布する糸状菌の一群で、植物や食品にしばしば発生するカビとして知られています。特に穀物、果実、野菜、種実、油糧種子などでの検出例が多く、農業や食品分野で長年問題となってきました。外見的には黒色や暗褐色のカビ斑を形成することが多く、トマトやピーマン、ひまわり種子などの収穫後にしばしば見られるため、品質劣化や商品価値の低下を引き起こします。しかしさらに厄介なのは、これらのカビが産生する「二次代謝産物」である毒素です。

    Alternaria属カビは、さまざまな種類のマイコトキシン(カビ毒)を生成します。その代表例が「オルタレノール」「アルタレノールモノメチルエーテル」などのジベンゾアルファピロン類、また「テヌアゾン酸(TeA)」や「テヌアゾール酸」などの新興毒素です。これらの毒素は耐熱性があり、加熱調理を行っても分解されにくい特徴があります。そのため、加工食品の中にも残存するリスクがあるとされています。特にトマト加工品や果汁製品、未精製のオイルなどで検出が相次ぎ、食品安全上の懸念が高まっています。

    従来、食品中のカビ毒といえばアフラトキシンやオクラトキシンなどが注目されてきましたが、近年の分析技術の進歩によりAlternaria毒素の存在も明らかになってきました。消費者にとっては馴染みが薄いものの、国際的には食品衛生上のリスク要因として認識が広がりつつあります。これらの毒素は、摂取量が多いと動物実験において発がん性や細胞毒性、免疫抑制作用などが報告されているため、食品中の残留濃度や摂取頻度に応じたリスク評価が求められているのです。


    テヌアゾン酸(TeA)の化学的性質と毒性

    テヌアゾン酸(Tenuazonic Acid:TeA)は、Alternaria属カビによって産生される新興マイコトキシンのひとつで、特に注目されている毒素です。TeAはテトラメトラ酸骨格を持つ化合物で、水溶性と脂溶性の両方の性質を併せ持ち、食品中では比較的安定して存在することが知られています。そのため、一度汚染が起きると加熱や一般的な加工工程では分解されにくく、食品中に残留しやすい特徴があります。

    毒性については、動物実験などで複数の作用が確認されています。TeAはタンパク質合成を阻害する作用を持ち、細胞増殖を妨げることが示されています。そのため、急性毒性としては下痢や嘔吐、体重減少などが観察され、慢性的な影響としては発がん性や免疫機能の低下が懸念されています。また、TeAは植物や動物の細胞に対して強い細胞毒性を示すため、食品安全分野においてリスク評価の対象となっています。

    特に問題視されているのは、ひまわり種や綿実油、菜種油などの油糧種子、さらにトマト製品など身近な食品からの検出報告が増加している点です。未精製の植物油やオイルケーキに残留するケースも報告されており、こうした汚染が摂取量の増加につながる可能性が指摘されています。

    欧州食品安全機関(EFSA)などの国際的な食品安全機関は、TeAを含むAlternaria毒素の摂取評価を進めており、一部の国では基準値設定の検討も始まっています。消費者にとって身近な食品に広く含まれるリスクがあることから、今後は「アフラトキシンやオクラトキシンに続く新たな規制対象」としてニュースになる可能性も高いのです。

     

  2.  なぜ話題になっているのか

    増える検出報告と規制強化――テヌアゾン酸(TeA)が食品安全で注目される理由


    なぜ話題になっているのか

    ひまわり種・食用油での検出報告増加

    ここ数年、ひまわり種子やその油、さらには綿実油や菜種油といった油糧種子からのテヌアゾン酸(TeA)検出例が相次いでいます。特に未精製の植物油ではカビ毒が濃縮されやすく、精製工程を経ても痕跡が残るケースがあると報告されています。こうした背景から、油糧種子を原料とする食品業界では品質管理やリスク評価が一層重視されるようになっています。私たちが日常的に使うサラダ油や調理用油が汚染源となる可能性があることは、消費者にとっても大きな不安材料です。

    トマト加工品でのリスクと背景

    TeAが話題になるもう一つの理由は、トマト製品での検出報告です。トマトは収穫や輸送の過程でAlternaria属カビに汚染されやすく、トマトジュースやトマトペーストなどの加工品でも残留するケースが報告されています。特に、世界的に消費量が多いトマトソースやケチャップは、汚染が広がると影響が大きく、国際的な食品流通の安全性を揺るがしかねません。こうした背景から、欧州やアジアの一部地域では検査の強化が進められています。

    国際的な規制整備と基準値の検討

    従来、食品中のマイコトキシン規制といえばアフラトキシンやオクラトキシンが中心でした。しかし、近年の科学的調査によりAlternaria毒素、特にTeAの健康リスクが次第に明らかになり、国際機関や各国で基準値の検討が始まっています。欧州食品安全機関(EFSA)は摂取量の評価を進めており、リスク管理に向けた提言を行っています。こうした動きはニュースとして取り上げられることも増え、一般消費者にも「新たなカビ毒リスク」として認識されるようになってきました。今後、正式な規制基準が設定されれば、基準超過の食品が報道される可能性も高く、食品業界全体での関心がさらに高まると予想されます。

     

  3. 主に検出される食品とその特徴

    日常に潜むリスク――テヌアゾン酸(TeA)が検出されやすい食品とその特徴


    主に検出される食品とその特徴

    未精製オイル(植物油・ひまわり油など)

    未精製の植物油は、テヌアゾン酸(TeA)が残留しやすい食品の代表例です。特にひまわり油や綿実油、菜種油などの油糧種子は、収穫から保管の過程でカビに汚染されやすく、そのまま圧搾・抽出されることでカビ毒が油に移行することがあります。精製工程である程度除去される場合もありますが、すべてを完全に取り除くことは難しく、油脂製品として市販される段階でも微量の残留が確認されるケースがあります。家庭や外食で日常的に使用される油に含まれる可能性があるため、国際的にも注意が高まっています。

    種実類(ひまわり種など油糧種子)

    種実そのものもTeAの汚染源となります。特にひまわり種は、健康食品やスナックとしてそのまま食べられることが多いため、加工前の原料状態でカビ毒が含まれていれば、消費者が直接摂取してしまうリスクが高まります。さらに、種実類は収穫後に長期間保存されることも多く、その間に湿気や温度の影響でカビが繁殖しやすい環境になることがあります。これにより、検出報告が増えているのが現状です。ナッツや他の種実も同様にリスクがあるとされ、食品業界では保管管理の徹底が求められています。

    トマト製品(ジュース・ペースト・ソース)

    トマトは収穫時や輸送過程でカビの影響を受けやすい作物です。特にAlternaria属カビによる黒色斑点は、外見だけでなく内部にも広がることがあり、そのまま加工されることでジュースやペースト、ソースといった製品にカビ毒が混入する可能性があります。世界中で消費量が多く、加工品として流通範囲も広いため、基準値を超過する事例があれば大きなニュースとなり得ます。トマト製品は家庭でも頻繁に利用されるため、消費者にとって身近でありながら見えないリスクが潜んでいるのです。

     

  4. 最新研究とレビューから見える現状

    科学的レビューで明らかになったテヌアゾン酸(TeA)の検出状況と食品安全への示唆


    最新研究とレビューから見える現状

    油脂製品での系統的レビュー結果

    近年、油脂製品におけるテヌアゾン酸(TeA)の検出状況を整理した系統的レビューが複数発表されています。特に注目されるのは、ひまわり油や綿実油といった油糧種子由来の未精製オイルにおける高頻度の検出です。これらの製品では、製造段階でのカビ汚染が油に濃縮されやすいことが示されており、食品安全におけるリスク要因として再確認されています。精製工程によって一部は低減されるものの、完全な除去は難しいとされ、最終製品でも検出されるケースが報告されています。レビューでは、こうした油脂製品を介した日常的な摂取が、長期的な健康リスクにつながる可能性がある点が強調されています。

    トマト関連製品における調査報告

    トマト加工品に関する研究も進展しています。トマトは世界的に主要な野菜のひとつであり、その加工品であるジュースやペースト、ソースは多くの国で日常的に消費されています。最新の調査では、これらの製品からTeAが一定の割合で検出されており、特に収穫後の流通や加工段階での管理不足がリスク要因として指摘されています。レビューによれば、トマト由来製品に含まれるカビ毒濃度は比較的低い場合が多いものの、消費量の多さを考慮すると無視できないリスクであることが示されています。国際的にも基準値を設ける必要性が議論される背景には、こうした研究成果の積み重ねがあるのです。

    食品安全分野での今後の課題

    最新レビューが明らかにしたのは、TeAをはじめとするAlternaria毒素が決して“稀な存在”ではなく、日常的に摂取し得るリスクがあるという点です。分析技術の進歩によって検出感度が高まり、これまで見過ごされていた微量の毒素も記録されるようになったことも、報告数増加の一因となっています。しかし、依然として摂取量と健康影響の因果関係には不明な点が多く、今後はより大規模で長期的な疫学調査が求められています。また、食品業界においては、原料管理・加工プロセス・流通管理の各段階でカビ毒リスクを低減するシステム作りが課題となります。研究の進展に伴い、国際的な規制が整備されれば、業界だけでなく消費者意識にも大きな影響を与えることになるでしょう。

     

  5. 消費者が知っておくべきポイント

    身近な食品のリスクにどう向き合う?消費者が押さえておきたいテヌアゾン酸(TeA)対策


    消費者が知っておくべきポイント

    規制や基準値のニュース化リスク

    テヌアゾン酸(TeA)は、これまで消費者にはあまり知られてこなかったカビ毒ですが、国際的な基準値設定の議論が進むにつれ、今後は「基準超過」の報道が増える可能性があります。これまでにも、アフラトキシンやオクラトキシンが基準を超えた食品が市場から回収され、ニュースとなった事例は少なくありません。TeAについても同様の状況が想定され、ひまわり種やトマト製品、植物油など、身近な食品が対象になることで消費者の不安が高まるでしょう。こうしたニュースは一過性のものではなく、食品の信頼性や購入行動にも影響を与えることがあります。

    家庭でできるカビ毒対策の基本

    消費者ができることとして、まず重要なのは「食品の保存と管理」です。種実やナッツ類は湿気に弱いため、密閉容器に入れて冷暗所で保管することが望ましいです。また、トマトや野菜類は新鮮なうちに消費することが基本で、傷や黒い斑点があるものは避けることが推奨されます。油については、未精製の製品を購入する際には信頼できるメーカーを選び、開封後は早めに使い切るよう心がけることが安全対策につながります。調理や加熱では完全に除去できないため、「持ち込まない」「増やさない」という意識が大切です。

    不安を感じたときの相談先と専門機関

    もし「購入した食品にカビが見える」「異臭がする」といった不安を感じた場合には、自治体の消費生活センターや食品衛生相談窓口など、専門機関に相談することができます。また、食品業界でもカビ毒リスクに関する研究や情報公開が進められており、最新情報をチェックすることで正しい知識を得ることができます。カビ毒は目に見えないリスクであるため、不安を一人で抱え込まず、専門家に相談することが安心につながります。日々の生活で「正しい知識を持ち、予防する」ことが、健康を守る第一歩になるのです。

     

  6. まとめ

    新興カビ毒リスクを正しく知り、食の安全を守るためにできること


    まとめ

    テヌアゾン酸(TeA)をはじめとするAlternaria系毒素は、これまであまり注目されてこなかった新興カビ毒ですが、近年の研究や検出報告の増加によって、食品安全分野で重要なテーマとなりつつあります。特に、ひまわり種や食用油、トマト加工品など、私たちの食生活に密接に関わる食品からの検出が増えていることは、消費者にとって決して無視できないリスクです。

    国際的には基準値の整備や規制の議論が進んでおり、今後はニュースで「基準超過」「回収」といった報道が増える可能性があります。これは一見すると不安な出来事ですが、裏を返せば「新たなリスクを科学的に明らかにし、管理していこう」という社会的な前進でもあります。食品業界がより厳格な管理体制を築くことで、私たちの食卓はさらに安全性を高めることができるでしょう。

    一方で、消費者自身も食品の保存方法や購入先の選び方に注意を払うことが重要です。カビ毒は目に見えにくく、調理で完全に除去することは難しいため、日常生活での小さな工夫が健康リスクを減らす大きな力になります。そして、不安を感じたときには、専門機関や信頼できる相談窓口に早めに問い合わせることが安心につながります。

    新興カビ毒の問題は、単なる食品ニュースではなく、私たちの健康を長期的に守るための課題です。正しい知識を持ち、冷静に対応することで、過度に恐れることなく「安全な食」を選ぶ判断ができるようになるでしょう。