更新日:(料金・検査の対象説明を更新。施工日は元の記録を保持)
空気や臭いが気になる場合は、発見した場所・時間、設備運転や雨との関係を記録します。体感だけで空気中の菌の量や水分原因を決めず、建材・保管品の状態と点検できる範囲を整理してください。
結論|調査の目的と水分原因、作業範囲を分けて確認する
カビへの対応では、観察した状態と必要な調査・清掃、水分原因への対応を整理します。検査を必ず最初に行う、原因修理は最後にするという固定手順ではありません。採取・分析が必要かは目的と状況で相談し、原因修理や必要な開口・撤去、清掃・乾燥を現場に合わせて調整します。
文部科学省「カビ対策マニュアル」は、カビの胞子は殺菌してもアレルゲンとして残ると説明しています。「殺す」ことと「空気から減らす」ことは別の作業だという前提を、まず共有させてください。
図1|観察・採取・内部確認を分ける
- 表面:跡・変色・湿りと素材・仕上げを記録する。
- 内部:見た目だけで菌糸や強度を決めず、点検できる範囲と必要な開口を相談する。
- 空気:測定が必要な目的と採取条件・分析方法、判別範囲を確認する。
これは分類に応じた処置を自動で決める表ではありません。検査や見た目だけで健康・将来の再発を判断しません。
空気の法定基準に「カビ」の項目はない
厚生労働省の建築物環境衛生管理基準は、対象建物と設備区分を確認して参照します。以下は空気調和設備を設けた居室の主な項目の抜粋です。機械換気設備では対象項目が異なり、外気導入のない家庭用エアコンを同じ設備区分とみなしません。測定値だけでカビの有無や部材の水分状態は判断できません。
| 主な項目・基準値 | カビに関する判断の限界 |
|---|---|
| 浮遊粉じんの量 0.15mg/m³以下 |
粉じんの重さの測定。胞子を種類ごとに数えるものではない |
| 温度 18℃以上28℃以下 |
室内温度の値だけで、部材の濡れや発生・非発生を決めない |
| 相対湿度 40%以上70%以下 |
基準値と、材料表面の水分や局所の温度は分けて確認する |
| 気流 0.5m/秒以下 |
測定位置の気流と、壁内や家具裏の状態を同一視しない |
| ホルムアルデヒドの量 0.1mg/m³以下 |
化学物質の指標。カビ臭とは別の話 |
| カビ (項目なし) |
検査の要否・方法・判別範囲は目的と状況に応じて相談する |
つまり「法定の空気環境測定に合格している」ことは、「カビがいない」ことの証明にはなりません。カビの量を知りたいのであれば、カビを対象にした検査を別に行う必要があります。
どう測るのか|落下菌検査と同定検査
検査は、空気・表面の採取方法と菌の種類を調べる同定分析を分けて選びます。落下菌検査は一定時間に培地へ落ちた菌を調べます。空気の採取体積が分からないため、その結果をそのままCFU/m³に換算できません。同定分析は採取した検体の菌の種類を調べる工程で、採取方法とは区別します。判別範囲は検体と分析方法によって異なります。検査は、結果を何の判断に使うかを整理し、目的に合う方法を選びます。
数値を比べる際は、採取場所・時間、設備の運転、人の利用と培養・分析などの条件を確認します。検査値の違いだけで水分原因や施工効果を確定せず、見た範囲と未確認の部分を現地記録と合わせて整理してください。
検査記録を対策に生かす順序
- 何を確かめるかを決め、空気・表面の採取方法を選びます。浮遊菌検査は機器で一定量の空気を採取し、落下菌検査は一定時間に培地へ落ちた菌を調べます。
- 菌の種類を調べる場合は、採取した検体を同定分析に回します。判別できる範囲は検体と方法によって異なります。
- 検査結果と水分の痕跡・建材の状態を合わせ、施工や原因改善の範囲を検討します。
- 施工前後を比較する場合は、採取場所・時間・培養などの条件をそろえます。結果だけで健康や再発の有無を判断しません。
落下法の結果はそのままCFU/m³に換算できません。検査の種類と相談/CDC・環境サンプリング
資料保存の処置と、住戸ごとの作業計画を区別する
文部科学省の実践編には、文化財・資料の処置で胞子の飛散や周囲への拡散に配慮する記載があります。資料の処置・保存空間を対象とする説明で、一般住宅で除湿を止める共通の指示や、すべての方法の効果比較ではありません。
製品の対象面・用法が分からないまま薬剤を追加・噴霧しないでください。作業に伴う拡散を抑える区画や養生、換気・保護具、清掃と乾燥の調整は、対象と範囲に合う方法を施工担当と確認します。濡れを放置する理由にせず、水分原因への対応も早期に相談してください。
図3|清掃・乾燥と水分原因への対応を調整する
- 濡れの経過と水分の供給源、未確認の部位を整理する。
- 製品の適用面・用法と、作業区画・養生・防護を確認する。
- 必要な原因修理・撤去と清掃・乾燥を、現場に応じて前後・並行して調整する。
- ふさぐ仕上げ前の下地確認、引渡し後の点検と連絡方法を決める。
資料保存の処置を住宅の一律の順番や乾燥抑制へ転用せず、今回の素材・設備・作業条件で相談してください。
カビが見えることだけでカビ毒の存在や健康への影響を決めません。体調の心配や清掃への参加は医療機関へ相談し、建物側では薬剤・材料・作業方法に合う防護と立入り・利用再開の条件を確認します。
MIST工法®では、浮遊カビをどう位置づけているか
現在のせらのMIST工法®案内は、対象素材と発生状況に合わせて製品や処理方法を検討する説明です。空気・表面・内部を一律の浸透処理で扱えると決めず、調査で確認した範囲と、開口・設備の保守や建材交換が必要な範囲を分けてください。
相談窓口が一つでも、調査・分析・設備保守・原因修理・除カビ・補修をすべて同じ担当が行うとは限りません。担当間で渡す記録と、対象・費用・追加作業、施工後の確認方法をそろえます。
再発の有無や空気中の量がゼロになることを一律に約束せず、現場の水分原因、素材と使用条件、施工の範囲を確認します。保証や再発時の対応は、対象・期間・適用除外と連絡先を契約前に共有してください。
次回予告
次回は、試験資料を読むときに、試料・評価条件と現場の使用条件をどう分けて確認するかを取り上げます。
参考にした情報
- 株式会社せら「MIST工法®とは」 https://sera.jp/mist
- 株式会社せら「カビ菌検査」 https://sera.jp/kabikensa
- 株式会社せら「Q&A」 https://sera.jp/faq
- 文部科学省「カビ対策マニュアル 実践編/Q&A」
- 厚生労働省「建築物環境衛生管理基準」
カビの原因調査・カビ菌検査・MIST工法®による除カビと防カビ処理については、MIST工法®とは/カビ菌検査/サービス内容と料金 をご覧ください。現地の状況によって最適な方法は変わりますので、お問い合わせよりご相談ください。
検査は空気・表面の採取方法と菌の種類を調べる同定分析を分けて選びます。施工前後を比べる場合は採取・培養条件をそろえます。落下菌の結果をそのままCFU/m³へ換算することはできず、結果だけで水分の原因、健康への影響、将来の再発の有無は判断できません。検査結果の読み方
直接参考:厚生労働省の建築物環境衛生管理基準/文部科学省の実践編(資料保存対象)/米国EPAのカビ検査・採取の説明。検査は一律に必須ではなく、米国の一般資料は日本の規制値や個別の判定基準を示しません。
