カビ取りの見積書にある「防カビ処理」は、対象と工程、使用条件を確認して検討します。除カビとの違いに加え、効果を確認した条件と期間、実際の現場の水分状態、作業・利用の条件を分けて見ていきましょう。
結論|除カビと防カビの目的・適用範囲を分けて確認する
除カビは発生しているカビの除去、防カビは対象面での発生を抑えることを目的とします。防カビ処理が必要か、使える製品や処理範囲、清掃・乾燥・補修との工程は、素材・仕上げ・劣化・水分状態に応じて確認します。防カビ剤を塗るだけで、既存のカビ除去や漏水修理を代わりに行えるわけではありません。
- 除カビ:対象素材と仕上げに使える製品・方法、除去できる範囲、残る変色や傷みを確認する
- 防カビ:実施の必要性、製品の適用対象・使用条件・処理範囲を確認する
- 原因修理・必要な開口や撤去、清掃・除カビ・乾燥、ふさぐ仕上げの工程を関係業者と調整する
- 個別の現場で菌がゼロになる、素材に影響しない、将来再発しないという一律の保証として読まない
当社への相談では、素材・仕上げ・濡れや劣化を確認し、使用剤の適用条件と必要な試験施工を踏まえて除カビ・防カビの範囲を検討します。内部までの処理範囲や仕上がりを事前に一律に決めず、必要な調査・開口、原因修理や交換を行う担当、費用と日程を確認してください。
軸①|効果を確認した条件と工程
「すぐ効く」という説明を受けたら、対象製品・濃度・対象となる菌や素材、処理方法、接触時間、評価方法を確認します。試験での結果と現場の状態を区別し、清掃、除カビ、防カビ、乾燥や利用再開の工程を製品の条件と合わせて相談します。除去直後を菌がゼロに近い状態や無防備な状態と一律に判断しません。
- 効果:どの製品を、何に、どの方法と時間で試した結果かを確認する
- 持続:評価期間と試験条件、現場で必要な点検や水分管理を区別する
- 使用条件:試験項目に加え、養生・換気・立入制限・乾燥・利用再開を確認する
軸②|持続性
持続性は、製品の試験対象・条件・評価期間と、実際に施工する素材・範囲・環境を照合して確認します。防カビ剤の量や塗布できる位置だけで、他製品より優れる、長期間再発しないと判断することはできません。塗料や接着剤に配合する製品も、名称だけで性能を一律に比較せず、用途・施工条件・資料を確認してください。
目地や取り合い部の汚れは、濡れ方、清掃・処理が届く範囲、仕上げの状態を確認するきっかけです。再び目立った場所や時期、結露・漏水との関係を記録し、原因と必要な補修を調べます。隙間の処理漏れだけが原因とは限りません。当社の現在の再発と素材の適用条件に関するQ&Aもご参照ください。
軸③|使用条件と試験資料
使用剤の資料や試験結果は、対象製品・濃度・試験項目・条件を確認して読みます。排水など一つの対象についての結果だけで、作業中の吸入・接触や、子ども・高齢の方を含む利用者全体への影響まで一律に保証することはできません。
試験の有無に加えて、製品の適用条件と、現場の用途・利用者・作業区画を照合してください。養生、換気、立入制限、乾燥、利用再開の条件は、当社の現在のMIST工法®の作業条件案内でも現場ごとに確認する事項としてご案内しています。
防カビ処理で変えられないもの
防カビ処理は、付着と増殖を抑える方向の手当てです。建物側の水分条件を変えるものではありません。厚生労働省の建築物環境衛生管理基準は相対湿度40〜70%、温度18〜28℃を求めていますが、この範囲はカビが増えられる範囲とも重なります。結露や漏水が続いていれば、条件は処理前に戻ります。
文部科学省のカビ対策マニュアル実践編にも、除菌だけでは十分な処置とはならず、環境を改善しない限りカビ被害が繰り返されるという趣旨の記載があります。だからこそ当社では、除カビと防カビに加えて、現地環境を調査して原因を分析する防カビアドバイスを用意しています。
| 軸 | 確認すること | 曖昧だと起きること |
|---|---|---|
| 効果と工程 | 対象・方法・接触時間・評価条件 | 試験結果と現場の工程を混同しない |
| 持続性 | 試験条件・評価期間と現場の処理範囲 | 再発位置だけで原因や持続期間を決めない |
| 安全性 | 試験した製品・濃度・項目と現場の使用条件 | 試験対象と実際の使用・利用条件を混同しない |
| 前提 | 水分条件をどうするか | 処理を繰り返すことになる |
- いつ・どこに処理するか:素材・仕上げと製品の適用条件、調査・施工範囲、届かない箇所を確認する
- どの期間の説明か:根拠となる試験と現場条件、点検時期、保証がある場合の対象・期間・除外条件を確認する
- どの使用条件か:試験対象と作業区画・利用者の条件を区別し、養生・換気・乾燥・利用再開を確認する
- 誰が何を担当するか:漏水修理、必要な開口・撤去・交換と除カビ処理を分け、費用と工程を確認する
次回予告
次回は、防カビ塗料や防カビ建材との違いを取り上げます。あらかじめ混ぜ込む方式と、後から塗る方式では何が変わるのかを説明します。
参考にした情報
- 株式会社せら「MIST工法®とは」 https://sera.jp/mist
- 株式会社せら「Q&A」 https://sera.jp/faq
- 株式会社せら「サービス内容と料金」 https://sera.jp/service
- 厚生労働省「建築物環境衛生管理基準」
- 文部科学省「カビ対策マニュアル 実践編」
