「窓がびしょびしょで、サッシのゴムが黒くなってきた」「押入れの布団にカビが生えた」。賃貸住宅では、冬になると入居者さまからこうした相談が増えます。10月半ばのいまは、朝晩の冷え込みとともに暖房を使い始めるご家庭が出てくる時期で、結露シーズンの入口にあたります。本格的な冬を迎えてから慌てないために、賃貸オーナー・管理会社さまが今のうちに準備しておきたいことを、相談の受け方から建物側の対策、退去時・空室時の除カビまで整理します。
結論|冬の結露・カビ相談は「受け方の型」と「建物側の点検」を秋のうちに
冬の結露・カビの相談に落ち着いて対応するための準備は、①相談を受けたときの初動を決めておくこと、②入居者さまへの案内を用意しておくこと、③換気設備など建物側の点検を寒くなる前に済ませておくことの3つです。
結露は、暖房で暖まった室内の湿気が、冷えた窓や外壁側の壁に触れて水滴になる現象です。住まい方と建物の条件の両方が関わるため、原因を一方に決めつけると、入居者さまとの関係がこじれやすくなります。冬本番を迎える前の今の時期に「受け方の型」を整えておくと、記録にもとづいて冷静に対応しやすくなります。
冬に結露・カビの相談が増えやすい部屋の傾向
結露やカビは、どの部屋でも起こりえますが、一般的に相談が集まりやすい部屋には共通点があります。管理物件のなかで該当する部屋を把握しておくと、秋のうちに案内や点検の優先順位を付けられます。
| 部屋タイプ | 出やすい理由(一般論) | 案内・点検のポイント |
|---|---|---|
| 北側の部屋 | 日が当たりにくく、外壁側の壁が冷えやすい | 外壁側の壁と家具の裏、窓まわり |
| 角部屋 | 外気に面する壁が多く、冷える面が広い | 2面の外壁が接する部屋の角、天井との境目 |
| 1階の部屋 | 地面に近く、床下の湿気の影響を受けやすい | 床や畳、収納の床板、巾木(はばき)まわり |
| ワンルーム | 室内の容積が小さく、調理・入浴・部屋干しの湿気がこもりやすい | 換気扇の使い方、部屋干しの場所、玄関・収納 |
| 窓の多い部屋 | 窓ガラスやサッシが冷え、結露の水が集まりやすい | サッシのゴム・窓台・カーテン、窓下の壁紙 |
これらの条件が重なる部屋、たとえば「1階の北側の角部屋」などは、特に注意しておきたい部屋です。ただし、あくまで一般的な傾向で、実際には建物の構造や周囲の環境、住まい方によって変わります。北側の部屋については「北側の部屋がカビやすいのはなぜ?」、ワンルームの暮らし方については「ワンルーム・一人暮らしの部屋がカビやすい理由」でも入居者さま向けに紹介しています。
入居者から相談を受けたときの初動|写真・聞き取り・現地確認
相談を受けたときに大切なのは、その場で原因や責任を判断しないことと、あとから見返せる形で記録を残すことです。受付から対応までの流れを、あらかじめ社内やオーナーさまと共有しておくと、担当者が変わっても同じ対応ができます。
写真と状況の聞き取り
最初の連絡では、次の点を聞き取り、写真を送ってもらいましょう。写真は、場所がわかる引きの写真と、カビの状態がわかる近い写真の2種類があると、状況がつかみやすくなります。
| 聞き取る項目 | 聞く理由 |
|---|---|
| どの部屋の、どこに出ているか | 外壁側・窓まわり・収納など、原因の見当を付けるため |
| いつごろ気づいたか、広がっているか | 急に出たのか、少しずつ広がったのかで原因が変わるため |
| 結露の有無と、出る時間帯 | 朝の窓の結露か、壁や床のしみかを分けるため |
| 暖房器具の種類、部屋干しの有無 | 室内で発生している湿気の量の目安になるため |
| 換気扇・給気口の使い方 | 設備が動いているか、閉じられていないかを確認するため |
| 水漏れ・雨漏りの心当たり | 結露以外の原因がないかを確かめるため |
現地確認と原因の切り分け
写真だけで判断がつかない場合や、壁紙のはがれ・床のふくらみ・天井のしみがある場合は、現地を確認します。切り分けの軸は、住まい方による湿気が主な原因か、建物側(換気設備の不具合、断熱の弱い部分、漏水・雨漏りなど)に原因があるかです。実際には両方が重なっていることも多いため、「どちらか一方」と決めつけず、事実を並べて整理することが大切です。
費用の負担や責任の所在は、契約内容や原因、経緯によって異なるため、この記事では判断を示していません。個別のケースは、契約書や国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」などを確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。
入居者への案内|押しつけにならない伝え方
住まい方の工夫で結露が減るケースは少なくありません。ただ、伝え方によっては「こちらのせいにされた」と受け取られてしまいます。おすすめは、「この部屋は冬の条件上、結露が出やすいので」と建物側の事情から話を始めることです。そのうえで、やってほしいことを短く具体的に伝えます。
チェック表は、入居時の書類と一緒に渡したり、冬の前に掲示やお知らせで配布したりすると、相談が来る前から意識してもらえます。内容は、換気扇や給気口を止めない、家具を外壁側の壁から少し離す、朝に窓の結露を拭く、部屋干しは換気や除湿と組み合わせる、収納を詰め込みすぎない、といった「すぐできること」に絞るのがポイントです。
また、「黒い点やにおいに気づいたら、早めに写真を送ってください」と一言添えておくと、広がる前に相談してもらいやすくなります。早い段階で状況がわかれば、対処の選択肢も広がります。
建物側の対策|換気設備の点検と、断熱・内窓の相談
住まい方の案内と並行して、建物側でできる準備も進めておきましょう。まず取り組みやすいのが、換気設備の点検です。換気扇が回っていない、給気口のフィルターが詰まっている、24時間換気が止まっているといった状態では、住まい方を工夫しても湿気が逃げにくくなります。
| 確認する場所 | 見ておきたいこと | 相談先の目安 |
|---|---|---|
| 浴室・キッチン・トイレの換気扇 | 回っているか、異音やほこりの詰まりはないか | 設備業者・管理会社の手配先 |
| 給気口・24時間換気 | フィルターの汚れ、閉じられたままになっていないか | 設備業者 |
| 窓・サッシ | ゴムパッキンの劣化、窓台の傷み、すき間 | サッシ・建具の業者 |
| 外壁側の壁・天井 | しみ・はがれ・黒ずみ、前回の入居者の相談履歴 | カビ取り専門業者・内装業者 |
| 断熱・内窓 | 毎年同じ部屋で相談が出るか、冷える面が大きいか | 断熱・リフォームの専門業者 |
毎年同じ部屋で結露の相談が出る場合は、断熱の補強や内窓の設置などが選択肢に入ります。ただし、効果や費用は建物の構造によって大きく変わるため、専門の業者さんと相談しながら、優先度の高い部屋から検討するのが確実です。
すでに壁や収納の中までカビが広がっている場合は、カビ取りの専門業者に相談するのがおすすめです。MIST工法®は、素材を削らない・こすらないカビ取り技術です。霧状の専用剤をカビの状態や素材に合わせてその都度調整し、素材の奥に入り込んだカビを分解・洗浄したうえで、防カビ処理を行います。使用する剤は、一般的な処理剤に多い酸性液ではなく、アルカリ性液で、研修と試験に合格した施工者が施工します。原因を分析し、換気や設備の配置などを助言する防カビアドバイスも行っています。
こんなときは、一度ご相談ください
- 毎年、同じ部屋で入居者さまから結露・カビの相談が出る
- 壁紙のはがれや、収納・床のしみまでカビが広がっている
- 住まい方と建物側、どちらに原因があるか判断材料がほしい
- 退去後・空室のうちに、除カビと防カビ処理をしておきたい
- 除カビから内装の原状回復まで、まとめて相談したい
写真を見ながらのご相談や、現地調査・カビ菌検査のご依頼も承っています。全国のMISTグループで対応しています。
退去時・空室時の除カビ・防カビ処理
退去後から次の入居までの空室期間は、除カビと防カビ処理にとって良いタイミングです。家具や荷物がないため、壁・床・押入れ・クローゼットの中まで状態を確認でき、施工も進めやすくなります。前の入居期間の冬に出たカビを処理しておけば、次の入居者さまが最初の冬を迎える前に、部屋の状態を整えておくことができます。
このとき気をつけたいのが、壁紙の張り替えだけで済ませないことです。表面のクロスを新しくしても、下地にカビが残っていたり、湿気の原因が変わっていなかったりすると、再び表に出てくることがあります。状態を確かめたい場合は、カビ菌検査で施工前後を比べ、記録として残しておく方法もあります。
費用は、範囲・素材・環境によって大きく変わるため、現地調査のうえでお見積もりします。目安として、室内壁面(クロス)は1,500円〜/㎡、ユニットバス全体は35,000円(いずれも税別)などがあります。退去立会いの前後で入居者さま側がやること・やらないことについては「退去前にカビを見つけたら」でご紹介しています。
カビ取リフォームで、除カビから原状回復まで一括で
除カビと内装の修繕を別々の会社に頼むと、日程の調整や、どこまでがどちらの担当かの確認に手間がかかります。空室期間を短くしたい賃貸物件では、この調整の手間が次の募集の開始時期にも影響します。
カビバスターズグループには、MIST工法®による除カビから内装の修繕までを一貫して行うグループ代理店「カビ取リフォーム」(関東・関西・東海)があります。除カビ・防カビ処理と原状回復の工事を一つの窓口で進められるため、管理会社さまやオーナーさまの手配の負担を抑えられます。
そのほかの地域でも、全国のMISTグループで対応しています。賃貸住宅でカビが出たときの貸主・借主の考え方については「賃貸住宅のカビ|貸主・借主の責任はどこで分かれるか」もあわせてご覧ください。
よくあるご質問
Q. 入居者から「カビが出た」と連絡があったら、まず何をすればよいですか?
A. まず、場所・広さ・いつ気づいたかを聞き取り、写真を送ってもらいましょう。写真と聞き取りの内容を記録に残したうえで、必要に応じて現地を確認し、住まい方によるものか、建物側に原因があるのかを切り分けていきます。
Q. 結露やカビの費用は、オーナーと入居者のどちらが負担するものですか?
A. 契約内容や原因、発生の経緯によって変わるため、一概には言えません。判断の材料になるのは、発生時の写真や聞き取りの記録、現地確認の結果です。個別の判断は、契約書や国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」などを確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。
Q. 入居者に換気をお願いするとき、角が立たない伝え方はありますか?
A. 「お住まいの方の使い方が原因」と受け取られる伝え方は避け、「冬はこの部屋の条件上、結露が出やすいので」と建物側の事情から説明するのがおすすめです。具体的な行動を短いチェック表にしてお渡しすると、伝わりやすくなります。
Q. 毎年同じ部屋で結露やカビの相談が出ます。建物側でできることはありますか?
A. まずは換気扇・給気口・24時間換気などの設備が正常に動いているかの点検から始めてください。そのうえで、断熱の補強や内窓の設置などは、建物の構造や費用とのバランスを見ながら、専門の業者さんと相談して検討するのが確実です。
Q. 空室の期間に、除カビや防カビ処理をしておく意味はありますか?
A. 家具や荷物がない空室の期間は、壁・床・収納の中まで確認しやすく、施工もしやすいタイミングです。前の入居期間に出たカビを処理し、防カビ処理をしておくと、次の入居者さまの冬を迎える準備にもなります。
Q. 管理している物件が複数ありますが、まとめて相談できますか?
A. はい、管理会社・オーナーさまからのご相談も承っています。物件ごとの状況をお聞きしたうえで進め方をご提案しますので、法人・業者様のお問い合わせまたはお電話でご連絡ください。
まとめ
- 冬の結露・カビ相談は、北側・角部屋・1階・ワンルーム・窓の多い部屋で出やすい傾向がある
- 相談を受けたら、写真と聞き取りで記録を残し、住まい方と建物側の両面から原因を切り分ける
- 入居者さまへの案内は、建物側の事情から話し始め、すぐできることをチェック表で伝える
- 換気設備の点検は寒くなる前に。断熱や内窓は専門業者と相談して優先度の高い部屋から
- 退去時・空室時は除カビと防カビ処理の好機。原状回復まで一括ならカビ取リフォーム(関東・関西・東海)も
本格的な冬を迎える前の今こそ、相談の受け方と建物側の点検を見直しておくタイミングです。管理物件の結露やカビでお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。
あわせて読みたい
参考にした情報
- 株式会社せら「MIST工法®とは」
- 株式会社せら「サービス内容と料金」
- 株式会社せら「カビ菌検査」
- 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
- カビ取リフォーム(カビバスターズグループ代理店)
管理物件の結露・カビの相談対応や、退去後・空室時の除カビでお困りの管理会社・オーナーさまは、お気軽にご相談ください。現地調査・カビ菌検査・MIST工法®による除カビと防カビ処理については、MIST工法®とは/カビ菌検査/サービス内容と料金 をご覧ください。ご相談はお問い合わせ、工務店・管理会社など法人さまは法人・業者様のお問い合わせ、お電話は 0120-052-127 まで。
