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カビ菌検査という選択肢|落下菌検査と同定検査は、どう使い分けるのか

 

更新日:(検査表と出典の対象・方法の説明を整合。施工日は元の記録を保持)

「検査までは必要ないですよね」とおっしゃる方は少なくありません。実際、すべての現場に必要というわけではありません。ただ、検査でしか答えられない問いがあるのも確かです。今回は、カビ菌検査をどんなときに、どう使うのかを整理します。

結論|採取方法と菌の種類を調べる分析を分けて選ぶ

カビ菌検査では、浮遊菌・落下菌・付着菌の採取方法と、菌の種類を調べる同定分析を分けて考えます。確認したい内容に合う方法を選び、採取条件と結果の単位を記録します。 表面からの採取については、テープ採取・ふき取りと分析方法の整理もご覧ください。

部屋どうしや施工前後を比べるには、採取・培養条件をそろえる必要があります。落下菌の結果は空気量あたりの菌数ではありません。同定分析も、検体によっては種類を十分に判別できない場合があります。

検査が必要かどうかは、目視で分かる範囲、水分の原因、検査結果を何の判断に使うかを整理して相談します。すべての現場で同じ検査が必要なわけではありません。

採取方法と同定分析を分けて考えます

  • 浮遊菌検査:機器で一定量の空気を採取し、検査条件に応じて空気量あたりの菌数を調べます。
  • 落下菌検査:一定時間に培地へ落ちた菌を調べます。採取した空気の体積が分からないため、結果をそのままCFU/m³へ換算できません。
  • 付着菌検査:拭き取りやスタンプなどで対象面から採取します。採取面積・位置・方法を記録して比較します。
  • 同定分析:採取した検体について菌の種類を調べる分析です。採取方法そのものとは別で、判別できる範囲は分析方法や検体の状態によって異なります。

施工前後を比べる場合は、採取・培養条件をそろえます。検査結果だけで水分の原因、健康への影響、将来の再発の有無は判断できません。

方法の確認:せらのカビ菌検査/文部科学省・カビ対策マニュアル/CDC・環境サンプリング(落下法の限界)

検査の前に、目視とルーペでできること

文部科学省のカビ対策マニュアルは、博物館・図書館などの資料保存を対象に、目視や拡大観察、必要な採取・専門家への相談を説明しています。基礎編3-3には採取した資料の判定法もありますが、住宅の付着物すべてを見た目や簡単な試験だけで判断できるという意味ではありません。住宅では素材と濡れの状況、採取の必要性を整理して相談します。

つまり、すべてを検査に出す必要はありません。まず見て、当たりをつけて、それでも判断できないもの、あるいは記録として残す必要があるものを検査にまわす。この順番が現実的です。

検査の限界も知っておく

同マニュアルの基礎編3-3は、資料から採取した検体の判定法として培養と細胞内ATP測定を説明しています。記載の培養1〜7日やATP測定約30分は、その方法の説明であり、せらの検査や報告書の納期を示すものではありません。培養できない状態の菌への限界や、培養設備・廃棄物処理等の条件にも触れています。依頼時は、方法・判別範囲・結果が必要な日を相談してください。 出典:文部科学省「カビ対策マニュアル 基礎編」3-3。

表1|検査でわかること・わからないこと
問い 検査で答えられるか 補うもの
採取した菌の種類は何か 分析方法と検体の状態に応じて判別する 採取位置・方法と、判別できた範囲の確認
この部屋は他より多いか 落下菌検査で比べられる 同条件での測定
施工に効果があったか 前後比較で確認できる 同じ場所・同じ条件で
なぜそこに出たのか 検査だけでは答えられない 温湿度の記録、結露、換気の調査
健康にどう影響するか 検査だけでは答えられない 症状の判断は医療機関の領域
図2|検査を意味のあるものにする4つの条件。
図2|検査を意味のあるものにする4つの条件。

どんなときに勧めるか

再発を繰り返している場合、賃貸や管理組合など第三者に説明する必要がある場合、そして施工の前後を比べたい場合。この3つは、検査の費用に見合いやすい場面です。逆に、原因も範囲もはっきりしている小さなカビであれば、検査より先に手当てと環境改善を進めたほうが早いこともあります。

図3|検査を勧めたい場面。
図3|検査を勧めたい場面。

検査の数値は、健康被害の有無を判定するものではありません。体調に不安がある場合の判断は医療機関の領域です。検査結果はあくまで、建物の環境を考えるための材料としてお考えください。

次回予告

次回は、検査から施工、防カビ、アドバイスまでを一つの流れで行うことの意味を説明します。

参考にした情報

  • 株式会社せら「カビ菌検査」 https://sera.jp/kabikensa
  • 株式会社せら「MIST工法®とは」 https://sera.jp/mist
  • 文部科学省「カビ対策マニュアル 実践編」

カビの原因調査・カビ菌検査・MIST工法®による除カビと防カビ処理については、MIST工法®とは/カビ菌検査/サービス内容と料金 をご覧ください。現地の状況によって最適な方法は変わりますので、お問い合わせよりご相談ください。

含水率調査と真菌検査を行った住宅の記録

安曇野市の築3年の高気密高断熱住宅で、ハウスメーカーの依頼により含水率調査と真菌検査を行った事例です。

安曇野市の住宅で真菌検査を行っている写真
写真出典:せら掲載の施工・検査事例。施工・検査日:2022年4月27日/担当:カビバスターズ名古屋 三好/掲載作業期間:1日。

検査を相談するときは、何を確かめたいかと採取対象を整理します。この現場の記録は真菌検査を実施したことを示しますが、採取方法や菌種・菌数の結果は公開されていません。落下菌検査と同定検査のどちらだったかを写真から判断していません。

この現場の写真と担当者・作業期間の記録を見る →

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