カビ取りの相談でよくいただくのが、「その薬剤は身体に大丈夫ですか」というご質問です。小さなお子さんやご高齢のご家族、ペットがいるお住まいでは当然の心配だと思います。今回は、安全性を「言葉」ではなく「試験」で確かめるとはどういうことかを説明します。
結論|安全性は、使う人・素材・流した先の3方向で見る
薬剤の安全性は一つの数字では表せません。吸い込む人への影響、施工する素材への影響、そして洗浄後の水が流れていく先への影響という、性格の違う3つの視点があります。どれか一つだけを強調しても、安全であることの説明にはなりません。
当社の公開情報では、MIST工法®の専用剤について、工業排水試験に準じた分析試験を行い安全性に問題がないことを確認したと記載しています。これは3つ目の視点、つまり「流した先」に着目した確認です。

市販の薬剤にも、それぞれ注意点がある
「市販品なら安全で、業務用は強い」という単純な話ではありません。文部科学省「カビ対策マニュアル」のQ&Aは、塩素系の住宅用洗剤についてアルカリ性のため使用できる場所が限られること、脱色や有害なガスの発生に注意が必要であることを挙げています。消毒用エタノールについても、人体への毒性があると注意しています。
つまり、どの薬剤にも向き不向きがあり、条件を外すとリスクが出ます。安全かどうかは薬剤名だけでは決まらず、どの素材に、どのくらいの量を、どんな換気条件で使うのかまで含めて決まります。

| 聞き方 | あいまいな回答 | 確かめられる回答 |
|---|---|---|
| 何で安全と言えますか | 人体に無害な成分です | どの試験を、どの方法で行い、どう判定されたか |
| 素材は傷みませんか | 傷みません | 素材ごとに液性を調整している。同種素材での実績がある |
| 流した水は問題ありませんか | 薄めれば大丈夫です | 工業排水試験に準じた分析試験で確認している |
| 作業中の換気は | 窓を開けてください | 区画、換気、保護具の指定がある |
「試験で確認する」とは、何をしているのか
試験の意味は、感想を数値と手順に置き換えることにあります。決められた方法で試料をつくり、公的に定められた分析項目に当て、結果を記録として残す。この形にして初めて、後から第三者が確認できます。
逆に言えば、試験結果は現場のすべてを保証するものではありません。実際の施工では、素材の状態、面積、換気の取れ方が現場ごとに違います。だからこそ当社では、料金も方法も現地調査のうえで決める形をとっています。

作業中は、生きているカビであればカビ毒、死んでいてもアレルゲンとして影響しうるため、呼吸用保護具が必要とされています。薬剤の安全性とは別に、カビそのものへの防護が必要です。
お客さまに確認していただきたいこと
業者を比べるときは、「安全です」という言葉そのものではなく、その根拠を聞いてみてください。どの試験を行ったのか、素材ごとにどう変えているのか、作業中の換気と保護をどう指定しているのか。答えられる範囲が、そのまま説明できる範囲です。
次回予告
次回は、木材の黒ずみを取り上げます。あの黒さは汚れなのかカビなのか、そして「分解して落とす」とはどういう手順なのかを説明します。
参考にした情報
- 株式会社せら「MIST工法®とは」 https://sera.jp/mist
- 株式会社せら「Q&A」 https://sera.jp/faq
- 株式会社せら「サービス内容と料金」 https://sera.jp/service
- 文部科学省「カビ対策マニュアル Q&A/実践編」












