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除湿機・エアコン除湿・換気、どれが一番カビに効く?|答えは「外の空気が乾いているか」で決まる

執筆:MIST工法®カビバスターズ本部(株式会社せら) 本記事の数値は公的機関の公開資料にもとづいています。

読者からの質問

「梅雨になると押入れと北側の部屋がカビ臭くなります。換気をこまめにしているのに効きません。除湿機を買うべきか、エアコンの除湿で足りるのか、何が一番効くのか教えてください。」

(40代・戸建て・北側の部屋が寝室)

結論から言うと、「一番効くもの」は季節と状況で入れ替わります。判断の軸は1つで、「いま、外の空気は部屋より乾いているか」です。乾いていれば換気が一番効きます。湿っていれば、換気は逆効果で、除湿機かエアコン除湿の出番です。

質問の「梅雨に換気しているのに効かない」は、この軸で説明できます。梅雨の外気は月平均で湿度75%前後(東京、気象庁平年値)です。60%以下にしたい部屋に、75%の空気を入れ続けても下がりません。梅雨は換気ではなく除湿の季節です。逆に冬は外の空気が乾いているので、換気が一番効きます。

この記事では、公的機関の資料にもとづいて、3つの手段の「やっていること」の違い、季節ごとの使い分け、除湿機の方式の違い、そして機械の前にやるべき順番を整理します。

この記事で分かること

  • 換気・除湿機・エアコン除湿は「やっていること」が違い、効く条件が違う
  • 判断の軸は「外の空気は部屋より乾いているか」の1つ
  • 季節・状況別に、どれを第一候補にするかの一覧
  • 除湿機の2方式(コンプレッサー式・デシカント式)とエアコン除湿の使い分け
  • 機械を回す前にやるべき「水の出所を断つ」と、換気の法律上の基準

1. 結論:3つの手段は「やっていること」が違う

図1 3つの手段は仕組みが違うので、効く条件も違う
表1 3つの手段の違い
手段 やっていること 効く条件 効かない・逆効果の条件 電気代
換気 部屋の空気を外の空気と入れ替える 外が部屋より乾いている(冬・春秋の晴れた日) 梅雨・雨の日・真夏の湿った日。湿った空気を入れることになる ほぼゼロ
除湿機 空気中の水を機械で取り出してタンクにためる 外の天気に関係なく効く。締め切った部屋・押入れ・洗面所 窓を開けたまま(外の湿気を延々と除湿する) かかる
エアコン除湿 空気を冷やすと水が抜ける仕組みを使い、結露水を外に出す 夏。気温が高く湿度も高いとき 冬・肌寒い日(冷やせないので水が抜けない) かかる

目標はどれも同じで、室内の相対湿度を60%以下に保つことです。文部科学省のカビ対策マニュアルは水分活性0.6以下=相対湿度60%以下を目安とし、厚生労働省の建築物環境衛生管理基準は40〜70%を管理範囲としています。手段は違っても、湿度計で60%を切っているかどうかで判断します。

2. 判断の軸は1つ:外の空気は部屋より乾いているか

換気の効果は、外の空気の状態で決まります。東京都のアレルギー情報navi.は「天気の良い日の換気は、湿度を下げるため、カビ予防対策としてもっとも有効な方法」としています。ここで大事なのは「天気の良い日」という条件です。

図2 季節・状況別の第一候補。東京の月平均湿度は気象庁の平年値
表2 季節・状況別の使い分け(東京の月平均湿度は気象庁 1991〜2020年平年値)
季節・状況 外の空気 第一候補 2番手 換気の扱い
梅雨(6〜7月) 湿っている(東京 6月75%・7月76%) 除湿機 エアコン除湿 雨の日は閉める。晴れ間に短時間
真夏(7〜8月) 暑くて湿っている エアコン冷房・除湿 除湿機 朝夕の涼しい時間だけ
秋雨・台風(9〜10月) 雨の日は湿っている(9月75%・10月71%) 除湿機 エアコン除湿 晴れた日は有効
冬の結露(12〜2月) 乾いている(東京 1月51%) 換気 除湿機(押入れ・北側の部屋) もっとも有効。暖房中も短時間の換気を
春・秋の晴れた日 乾いている 換気 不要なことが多い もっとも有効

質問の「北側の部屋と押入れ」は、冬は結露、梅雨は湿気と、原因が季節で変わる場所です。冬は換気、梅雨は除湿機、と手段を切り替える必要があります。1年中同じ方法で対処しようとすると、どちらかの季節で効かなくなります。

日本海側の地域は冬のほうが湿度が高く、太平洋側とは逆になります。地域の月平均湿度は気象庁の「過去の気象データ」で確認できます。

3. 除湿機の2方式とエアコン除湿:どれを選ぶか

除湿機には大きく2つの方式があります。仕組みが違うので、向く季節が違います。以下はメーカー各社が公表している一般的な仕組みの説明で、除湿量や消費電力の数値は製品ごとに異なるため、ここでは示していません。

表3 除湿の方式の比較
方式 仕組み 向く季節 注意点
コンプレッサー式 冷媒で空気を冷やし、結露させて水を取る(エアコンと同じ原理) 気温が高い梅雨〜夏 気温が低いと除湿量が落ちる。運転音がある
デシカント式 乾燥剤(ゼオライト)に水分を吸わせ、ヒーターで再生する 気温が低い冬・春秋 室温が上がる。ヒーターを使うので消費電力が大きい傾向
ハイブリッド式 上の2方式を切り替える 通年 本体が大きく高価
エアコン除湿(弱冷房除湿) 冷房を弱く運転して除湿する 夏 室温が下がる。肌寒い日は効かない
エアコン除湿(再熱除湿) 冷やして除湿した空気を暖め直して戻す 梅雨の肌寒い日 暖め直す分、電気代がかかる。搭載機種が限られる

質問への答えとして、梅雨の押入れと北側の部屋なら、除湿機(気温が高い時期ならコンプレッサー式)を締め切った部屋で回すのが第一候補です。エアコン除湿は、エアコンのある部屋には効きますが、離れた押入れや北側の部屋には届きにくく、寝室で使うと冷えすぎることがあります。

除湿機の事故と手入れ

製品評価技術基盤機構(NITE)は、平成18〜22年度の5年間に除湿機の事故が62件報告されたとして注意喚起しています。原因は電源コードの引っ張りや屈曲による芯線の半断線、ほこりがヒーターの熱で加熱されての発煙・発火などです。NITEは、プラグ部を持って抜く、コードが断線しても自分で修理しない、フィルターを外さずに使い定期的に掃除する、の3点を案内しています。除湿機はカビ対策の道具ですが、フィルターとタンクを放置すると本体がカビの発生源になります。

4. 機械の前にやること:水の出所を断つ

図3 水の出所を断つ→換気→機械→空気を動かす、の順番

文部科学省のカビ対策マニュアルは、除菌だけでは環境を改善しない限りカビ被害が繰り返される、としています。除湿機も同じで、水が入り続けている部屋で回しても追いつきません。順番は次の通りです。

  1. 水の出所を断つ。漏水、窓の結露の放置、部屋干し、浴室のドアの開けっぱなし、加湿器の上限なし運転、床下や壁の中からの湿気。まずこれを確かめる
  2. 外が乾いている条件なら換気。窓を2か所開けて風の通り道をつくる。24時間換気(後述)は止めない
  3. 換気が効かない条件なら機械。除湿機は締め切った部屋で、エアコン除湿は夏に。湿度計で60%以下を確認する
  4. 空気を動かす。扇風機やサーキュレーターで押入れ・家具の裏・部屋の隅に風を通す。除湿した空気が部屋全体に行き渡る

24時間換気は止めない

建築基準法施行令第20条の8は、住宅の居室に1時間あたり0.5回以上の換気ができる機械換気設備を求めています(平成15年7月1日施行のシックハウス対策)。この24時間換気は、湿度対策としては「弱いが止まらない換気」です。梅雨に「換気は逆効果」と書きましたが、これは窓を開ける換気の話で、24時間換気は止めずに、除湿機と併用します。止めると、人の呼吸や生活で出る水蒸気の逃げ場がなくなります。

5. 電気代の考え方

資源エネルギー庁の省エネポータルによれば、2.2kWのエアコンで冷房の設定温度を27℃から28℃に上げると年間約30kWh・約940円、フィルターを月1〜2回掃除すると年間約32kWh・約990円の削減になります。除湿機の消費電力は方式と機種で幅があり、公的な標準値がないため、購入時にカタログの消費電力(W)と1日の運転時間から見積もってください。

表4 電気代の考え方
手段 電気代の目安 抑えるコツ
換気 ほぼゼロ 外が乾いている時間帯を選ぶ。冬は暖房を止めずに短時間
24時間換気 小さい(常時運転が前提の設計) 止めない。フィルターを掃除する
除湿機 機種による(カタログの消費電力で計算) 締め切った部屋で使う。湿度60%を切ったら止める。フィルター掃除
エアコン除湿 冷房と同程度〜(再熱除湿は上乗せ) 設定温度を上げる。フィルター月1〜2回掃除(資源エネルギー庁)

6. 自分で対処できる範囲と、業者に相談する境目

表5 自分で対処するか、相談するかの境目
状況 判断
季節に合わせて手段を変えたら、湿度が60%以下になりカビ臭が消えた 自分で対処できる範囲。翌シーズンも同じ切り替えを続ける
除湿機を回しても湿度が下がらない。タンクがすぐ満水になる 水の出所が別にある(漏水・床下・壁の中)。原因調査へ
除湿しているのに、壁や押入れの同じ場所にカビが戻る 結露か浸み込みの可能性。表面の対処では止まらない
カビ臭はするが、どこにも見えない 見えない場所(壁の中・床下・エアコン内部)。連載第1回と、原因調査へ
家族に体調の変化がある 医療機関へ。当社は医療機関ではありません

7. よくある質問

Q. 除湿機とエアコン除湿を同時に使ってもいいですか?

A. 問題ありません。ただし目的は「湿度60%以下」なので、湿度計を見て、下がったらどちらかを止めてください。両方回し続けると電気代がかさむだけで、湿度は60%より下げても効果が増えるわけではありません。

Q. 梅雨でも朝は窓を開けたほうがいいですか?

A. 雨が降っていない朝で、外の空気がひんやりしているなら、短時間の換気は空気の入れ替えとして有効です。ただし湿度を下げる目的では、外の湿度が高い日は効きません。開けたあとは閉めて除湿機に切り替えてください。

Q. 押入れの中だけ除湿したい。除湿剤(置き型)で足りますか?

A. 置き型の除湿剤が吸える水の量は限られ、押入れ全体の湿度を下げ続ける力はありません。押入れは扉を開けて部屋の除湿機の風を入れる、すのこで壁と床から離す、詰め込みすぎない、が先です。詳しくは連載「素人でもできるカビ対策」の押入れ・クローゼットの回をご覧ください。

Q. エアコンの除湿を使うと、エアコン自体がカビませんか?

A. 除湿・冷房のあとは内部が濡れています。運転を止める前に送風運転で乾かす、フィルターを月1〜2回掃除する、シーズンの変わり目に内部を確認する、が基本です。エアコン内部のカビについては連載第1回をご覧ください。

8. まとめ

  • 「一番効く手段」は季節で入れ替わる。判断の軸は「外の空気は部屋より乾いているか」
  • 冬・晴れた日は換気が一番。梅雨・雨の日・真夏は除湿機かエアコン除湿。梅雨に窓を開けても湿度は下がらない
  • 除湿機は気温が高い時期はコンプレッサー式、低い時期はデシカント式が向く。エアコン除湿は夏向き
  • 機械の前に水の出所を断つ。24時間換気(0.5回/時)は止めない。扇風機で空気を動かす
  • 除湿しても下がらない・同じ場所に戻る・見えないのに臭う、は原因調査へ

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連載「知恵袋Q&A ― 読者の質問に答える」

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