カビの相談で現地に伺うと、給気口が閉じられていたり、24時間換気のスイッチが切られていたりすることがあります。多くは「寒いから」「音が気になるから」という理由です。ただ、この設備は好みで付いているものではなく、法令が前提としている仕組みです。今回はエアコンと換気設備を、空気の入口と出口という視点で点検します。
1. 24時間換気は、建築基準法に基づく仕組み
国土交通省の資料によれば、シックハウス対策に係る法令等は平成15年(2003年)7月1日に施行され、同年7月1日以降に着工された建築物に適用されています。
ここで定められているのは大きく2つです。ひとつは規制対象物質で、クロルピリホス及びホルムアルデヒドが該当します。もうひとつが換気設備の義務付けで、内装の仕上げ等にホルムアルデヒド発散建築材料を使用しない場合であっても、家具等からもホルムアルデヒドが発散されるため、居室を有する全ての建築物に機械換気設備の設置が原則義務付けられています。
つまり「建材に気をつけたから換気はいらない」という考え方は取られていない、ということです。

表1 求められている換気の量
| 区分 | 求められる換気回数 | 補足 |
|---|---|---|
| 住宅等の居室 | 0.5回/h以上 | その換気回数が確保できる有効換気量を有すること |
| その他の居室 | 0.3回/h以上 | 同上 |
| 機械換気設備が不要となる場合 | 開口部・隙間による換気が確保される居室(換気回数0.5回/h相当) | 常時外気に開放された開口部と隙間の換気上有効な面積の合計が、床面積1㎡あたり15cm²以上設けられた居室 |
| 天井裏等 | — | 下地材をホルムアルデヒドの発散の少ない建築材料とするか、機械換気設備を天井裏等も換気できる構造とする必要がある |
出典:国土交通省「シックハウス対策に係る技術的基準(政令・告示)について」、建築基準法施行令第20条の5〜第20条の8、平成15年国土交通省告示第274号
0.5回/hとは、1時間に部屋の空気の半分が入れ替わる量です。カビの観点から言えば、これは湿った空気を持ち出す仕組みでもあります。運転を止めれば、その分だけ室内に湿気がとどまります。
2. エアコンは、もともとカビが育ちやすい機構
エアコンの内部にカビが出ることを「不良品では」と受け取られることがありますが、機構上そうなりやすい部分があります。文部科学省のカビ対策マニュアルでは、空調機の冷却ファンは結露させて除湿する機構であり、元来カビが繁殖しやすいと説明されています。冷やして水を出す装置なのですから、そこが濡れるのは設計どおりということです。
そこにフィルターを通り抜けた塵埃が集まれば、水分と栄養がそろいます。だから手入れの頻度が問題になります。独立行政法人環境再生保全機構は、ぜん息のある方の室内環境について、エアコンは年2回に加えて使用開始直前に掃除し、その後は毎週という頻度を挙げています。

3. 設備はあっても、空気の道が切れていることがある
換気は「入口」と「出口」がそろって初めて成立します。排気側だけ動いていても、給気口が閉じていれば空気は思ったように流れません。現場でよく見かけるのは次の5つです。

5つ目は見落とされやすい点です。国土交通省の資料では、「居室」にはドアのアンダーカット等の常時開放された開口部を設け、換気計画上、居室と一体的に換気を行う廊下等の建築物の部分が含まれるとされています。ドア下の隙間は、単なる作りではなく空気の通り道として計画されているということです。
表2 点検の順番
| 順番 | 見るところ | 確認の仕方 |
|---|---|---|
| 1 | 24時間換気が運転されているか | スイッチと表示。切られていないか |
| 2 | 給気口があいているか | 各部屋の壁や窓上の給気口。閉じていないか |
| 3 | フィルターの状態 | 給気口側・排気側の両方。詰まりやホコリ |
| 4 | ふさがれていないか | 家具・カーテン・荷物。壁から10cm離す |
| 5 | エアコン内部 | フィルターと吹出口。においの有無 |
エアコンの内部は、手の届く範囲と、分解が必要な範囲があります。無理に内部へ洗浄剤を噴霧すると、文部科学省の資料が指摘するとおり胞子を吹き飛ばして汚染を広げることになりかねません。手の届かない範囲は、機器の取扱説明書と専門業者の対応範囲を確認したうえで判断してください。
4. まとめ
- 24時間換気は平成15年7月1日施行の法令に基づく仕組み。住宅等の居室は0.5回/h以上が求められる
- 建材に配慮しても、家具等からの発散があるため換気設備の設置が原則義務付けられている
- エアコンは結露させて除湿する機構のため、元来カビが繁殖しやすいとされる
- 設備の有無ではなく「空気の道が切れていないか」を、入口・出口の順に点検する
空調系統やダクト内の状況が気になる場合は、カビ菌検査や現地調査もご相談いただけます。処置の考え方はMIST工法®のページをご覧ください。費用は建物の状態によって変わるため、現地調査のうえでのお見積りとなります。












