冬の朝、窓ガラスが濡れている。サッシの下に水がたまっている。カーテンの裾に黒い点が出ている。この3つは、たいてい同じ原因でつながっています。連載「場所別のカビ対策」の第3回は、結露が最初に現れる場所である窓まわりを、温度と水蒸気量の関係から見ていきます。
1. 窓は、家の中でいちばん冷える面
空気が含める水蒸気の量は、温度によって決まっています。飽和水蒸気量は0℃で4.85g/m³、10℃で9.41g/m³、20℃で17.3g/m³、25℃で23.1g/m³、30℃で30.4g/m³。温度が下がるほど、含める量は急に減ります。

室温20℃・相対湿度50%の部屋には、1m³あたり約8.65gの水蒸気があります。この空気が冷やされて8.5℃前後まで下がると、含みきれなくなった分が水になります。これが露点で、外気で冷やされた窓ガラスの表面は、まさにその温度になりやすい場所です。
2. 湿度が高いほど、少し冷えただけで結露する
表1 室内の状態と露点の目安
| 室温と相対湿度 | 空気中の水蒸気量(目安) | 露点(目安) |
|---|---|---|
| 20℃・50% | 約8.65g/m³ | 約8.5℃ |
| 20℃・70% | 約12.1g/m³ | 約14℃ |
| 25℃・60% | 約13.9g/m³ | 約16℃ |
飽和水蒸気量の標準値からの算出(目安)。出典:文部科学省「カビ対策マニュアル 基礎編」(飽和水蒸気圧の低下により結露が生じる/露点)、厚生労働省「建築物環境衛生管理基準」
加湿器を使っている部屋で窓が濡れやすくなるのは、この関係で説明がつきます。湿度を上げるということは、結露が始まる温度を上げるということでもあります。

3. ガラスが濡れているうちは、まだ見えている
結露そのものは、見えていれば拭くことができます。問題は見えない場所です。国土交通省 国土技術政策総合研究所の「木造住宅の長期使用に向けた屋根、外壁、床下のメンテナンスガイドライン」では、部位内結露は発見が遅れるうえに乾燥しにくく、最も厄介な水分供給現象の一つとされています。
窓まわりで言えば、サッシの下枠にたまった水が壁の中へ入る、カーテンで塞がれた面の空気が動かない、といった状態です。文部科学省のカビ対策マニュアルでも、風が通りにくい隅や窓の近傍、ガラス面の結露が注意点として挙げられています。
4. 対策は3方向。カーテンは3つ目を塞ぐ

表2 3つの方向と、窓まわりでの具体策
| 方向 | 考え方 | 窓まわりでの具体策 |
|---|---|---|
| 空気中の水分を減らす | 露点そのものを下げる | 相対湿度を40〜70%、できれば60%以下に保つ。加湿しすぎない |
| 面の温度を上げる | 露点を下回らせない | 断熱性能の見直し。内窓や断熱スペーサーなどは面の温度に効く |
| 空気を動かす | 冷える面のそばに空気をとどめない | カーテンと窓の間に隙間をつくる。家具を窓側の壁に密着させない |
3つ目は見落とされがちです。厚手のカーテンを閉め切ると室内は暖かく感じますが、カーテンの内側の面は外気に近い温度になります。その面で結露し、カーテンの裾にカビが出る、という順番になります。
いったん色が出た場合、文部科学省の資料では色素と着色胞子の除去は困難で不可逆とされています。漂白して白く見えても、それは脱色であって内部の状態を示すものではありません。洗える素材であれば洗濯を、洗えない場合は結露そのものを減らす方向で考えるのが先になります。
5. まとめ
- 結露は「空気の水分量」と「面の温度」の関係で決まる。窓は家の中でいちばん冷える面
- 湿度が高いほど露点は上がり、わずかな冷えで結露する
- 見えている結露より、サッシ下や壁の中の部位内結露のほうが厄介とされる
- 対策は水分を減らす・面を冷やさない・空気を動かすの3方向。カーテンの締め切りは3つ目を塞ぐ
「場所別のカビ対策」全6回の第3回です。第1回浴室・脱衣所のカビ/第2回エアコンと24時間換気。結露の仕組みそのものは結露はなぜ起きるのか|露点と飽和水蒸気量から見るカビの発生で詳しく扱っています。
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