結露の相談で最初に話題になるのは、たいてい窓です。窓は外気に接し、外皮のなかでも熱を通しやすい部分だからです。連載「省エネ住宅時代のカビ」第5回は、窓の断熱を熱伝導率という数字から見ていきます。
1. 材質だけで1000倍以上の差がある
国土交通省 国土技術政策総合研究所の「省エネと結露」には、熱伝導率(λ)の測定例が具体的な数値で示されています。値が小さいほど熱を伝えにくい、という指標です。

表1 熱伝導率の測定例
| 材質 | 熱伝導率(W/mK) | 該当するもの |
|---|---|---|
| アルミニウム合金 | 200 | アルミサッシ |
| フロートガラス | 1 | 一般的な板ガラス |
| PVC(塩化ビニル) | 0.17 | 樹脂サッシ |
| ヒノキ、スギなど | 0.12 | 木製サッシ |
| 空気(0℃) | 0.0241 | 複層ガラスの中空層 |
| アルゴンガス | 0.0164 | 複層・トリプルガラスの充填ガス |
出典:国土交通省 国土技術政策総合研究所「省エネと結露」。※アルミと樹脂の複合サッシもあります
アルミニウム合金の200に対して、樹脂は0.17。1000倍以上の開きです。同じ形の窓でも、枠の材質が違えば、そこを通る熱の量はまったく変わります。国総研も日本の開口部の多くはアルミが使用されていますが、熱を伝えやすい材質となっていますと指摘しています。
2. なぜ、これがカビの話になるのか
結露は「空気の水分量」と「面の温度」の関係で決まります。窓・サッシ・カーテンのカビでも触れたとおり、室温20℃・相対湿度50%の部屋なら露点は約8.5℃です。サッシの表面温度がそこを下回れば結露します。
熱を伝えやすい枠は、外気の冷たさをそのまま室内側へ運びます。結果として、枠の表面温度は下がり、露点を下回りやすくなります。ガラス面だけ複層にしても、枠が冷えていれば枠で結露するのはそのためです。

国総研は住まいを高断熱にするためには、外皮(床、外壁、天井、屋根など)の断熱性能を良くするだけではなく、特に開口部の断熱性能を高めることが重要となりますとしています。窓全体の断熱性能は熱貫流率(Uw値)で把握できるとも記載されています。
3. 中空層に何が入っているか
複層ガラスやトリプルガラスは、ガラスとガラスの間に層をつくります。国総研の資料では、その層にアルゴンガス等を充填させて、熱伝導率を低く抑えていることがありますと説明されています。空気(0℃)が0.0241に対して、アルゴンガスは0.0164。ここでも数値の差が出ます。
4. 窓まわりで確認したいこと

表2 冬と夏、それぞれ効くもの
| 対策 | 冬(結露を防ぐ) | 夏(日射を防ぐ) |
|---|---|---|
| サッシ・ガラスの性能 | 面の温度が下がりにくくなり、結露しにくくなる | 熱の出入りが減る |
| 軒・けらばの出・庇・バルコニー | 太陽高度が低い冬は日射が遮られることは少ないとされる | 太陽高度の高い夏の日射を避けられる。防水上も著しい効果があるとされる |
| シェード・すだれ・よしず・窓用フィルム・グリーンカーテン | — | 効果があるとされる |
| カーテンの締め切り | 室内は暖かく感じるが、窓側の面は冷える。結露の観点では不利になりうる | — |
出典:国土交通省 国土技術政策総合研究所「省エネと結露」
窓の性能を上げると結露する場所が変わることがあります。これまで窓で起きていた結露が、次に冷えやすい面(外壁の隅、押し入れの内側など)へ移ることがあるためです。改修後も、しばらくは温湿度と壁面の状態を見ておくと安心です。
5. まとめ
- 熱伝導率はアルミニウム合金200、樹脂0.17、木0.12(W/mK)。材質だけで1000倍以上の差がある
- 外皮の断熱に加えて、特に開口部の断熱性能を高めることが重要とされる
- 複層・トリプルガラスの中空層には、空気やアルゴンガス等が充填されていることがある
- 窓の性能が上がると、結露する場所が別の冷える面へ移ることがある
窓まわりや壁の中の状況が気になる場合は、カビ菌検査や現地調査もご相談いただけます。処置の考え方はMIST工法®のページをご覧ください。費用は建物の状態によって変わるため、現地調査のうえでのお見積りとなります。












