「内見のときは気づかなかったのに、住み始めて押入れを開けたらカビのにおいがした」「前の家で生えていたカビを、荷物と一緒に持ってきてしまったかもしれない」。引っ越しシーズンになると、こうしたご相談が増えます。新しい住まいでカビに悩まないためには、内見・入居前・荷ほどきのそれぞれで、確認しておきたいことがあります。今回は、引っ越し前後のカビ対策を、時期ごとのチェックポイントと家具の配置まで含めて整理します。
結論|引っ越しのカビ対策は「内見で見抜き、入居前に整え、荷物で持ち込まない」
引っ越しのカビ対策で大切なのは、次の3つです。1つ目は、内見で北側の部屋・押入れ・窓まわり・浴室・においを確認すること。2つ目は、家具を入れる前の空っぽの部屋で、状態の記録と必要な除カビ・防カビ処理を済ませること。3つ目は、荷物や段ボールからカビを持ち込まず、家具を壁から離して置くことです。
特に見落とされがちなのが2つ目の「入居前」です。家具や荷物が入ったあとは、壁の下の方や押入れの奥に手が届きにくくなり、確認も処理も手間がかかります。反対に、部屋が空っぽの時期は、住まい全体を見渡せる数少ないタイミングです。新居のカビ対策は、引っ越し当日より前から始まっていると考えるとわかりやすくなります。
| 時期 | 目的 | やっておきたいこと |
|---|---|---|
| 内見 | カビのサインを見抜く | におい・北側の壁・押入れ・窓まわり・浴室を確認し、写真を撮る |
| 契約 | 気になる点を確かめる | カビや結露について質問し、入居前の対応の有無や範囲を確認する |
| 入居前 | 空っぽのうちに整える | 状態の記録、清掃・換気、必要に応じて除カビ・防カビ処理 |
| 搬入・荷ほどき | カビを持ち込まない | 荷物を点検し、段ボールは早めに片付け、家具は壁から離す |
| 入居後1か月 | 暮らしながら見直す | 湿度・結露・においを確認し、家具の裏や押入れをのぞく |
内見でカビをチェックする6つのポイント
内見は、住まいの状態を自分の目で確かめられる貴重な機会です。間取りや日当たりに目が向きがちですが、カビのサインは、見るべき場所を知っていれば短い時間でも確認できます。ここでは、内見のときに見ておきたい6つのポイントをご紹介します。
① におい:玄関を開けた瞬間と、収納を開けたとき
カビのにおいは、目に見えるカビよりも先に気づけるサインです。玄関を開けたとき、押入れやクローゼット、洗面台の下を開けたときに、こもったにおいやかび臭さがないかを確認してください。芳香剤や消臭剤のにおいが強すぎる場合も、念のため収納の中を丁寧に見ておくと安心です。
② 北側の部屋:外壁に面した壁の下の方と角
北側の部屋は日が当たりにくく、外気で冷やされた壁に室内の湿気が結露しやすい場所です。外壁に面した壁の下の方、部屋の角、巾木(はばき)まわりに、黒い点やしみ、クロスの浮き・はがれがないかを見ておきましょう。前の住人が家具を置いていた跡に、黒ずみが残っていることもあります。
③ 押入れ・クローゼット:奥の壁と床板
押入れやクローゼットは、空気が動きにくく、布団や衣類が湿気を抱えやすい場所です。扉を開けて、奥の壁や床板、すのこや棚板の裏側、天井の角までライトで照らして確認してください。スマートフォンのライトがあれば十分です。
④ 窓まわり:パッキン・窓台・窓下の壁
窓は家の中でいちばん冷えやすく、冬場には結露が集まる場所です。サッシのゴムパッキンの黒ずみ、窓台の木部の変色、窓の下の壁紙のはがれやしみは、結露が繰り返し起きていたサインのひとつです。
⑤ 浴室・脱衣所:天井・目地・換気扇
浴室は、天井・タイルの目地・ドアまわりを確認します。あわせて、換気扇が正常に動くかどうかも見ておきたいポイントです。脱衣所の床が歩いたときにふわふわする場合は、床下に湿気の問題が隠れていることもあります。
⑥ 水まわり収納と天井:しみとふやけ
キッチンや洗面台の下の収納は、給排水管の結露や小さな水漏れが起きやすい場所です。床板のしみやふやけ、配管まわりのにおいを確認しましょう。天井に輪じみがある場合は、上の階や屋根からの漏水が原因のこともあります。
内見は、晴れた日の明るい時間帯がおすすめです。収納の扉はすべて開けて確認し、気になった箇所はスマートフォンで写真に残しておくと、あとで管理会社や売主に質問するときに役立ちます。
入居前は除カビ・防カビ処理の絶好のチャンス
鍵の引き渡しを受けてから家具を搬入するまでの期間は、新居のカビ対策にとって最も効率のよいタイミングです。部屋に何もない状態なら、壁の下の方や押入れの奥、床まわりまで一度に確認でき、処理が必要な場合も作業がしやすくなります。住み始めてからでは、家具の移動や荷物の一時保管が必要になり、手間も時間も増えがちです。
まずは「記録」と「換気」から
入居前にまず行いたいのは、状態の記録と換気です。空き家の期間が長かった部屋は、窓を閉め切っていたことで湿気がこもっている場合があります。窓を開けて空気を入れ替え、収納の扉も開けておきましょう。そのうえで、各部屋の壁・床・天井・収納・水まわりを写真で記録しておきます。
カビが見つかったら、専門業者に相談する
記録の途中でカビを見つけた場合、広い範囲や、壁紙・木材の奥まで入り込んでいそうなものは、市販のカビ取り剤で強くこするよりも、専門業者に相談するのがおすすめです。こすることで素材を傷めたり、表面の色が薄くなっただけで内部に残ったりすることがあるためです。
MIST工法®は、素材を削らない・こすらないカビ取り技術です。霧状の専用剤をカビの状態や素材に合わせてその都度調整し、素材の奥に入り込んだカビを分解・洗浄したうえで、防カビ処理で予防します。使用する剤は、一般的な処理剤に多い酸性液ではなく、アルカリ性液です。施工は、研修と試験に合格した施工者が担当します。詳しくはMIST工法®とはをご覧ください。
| 施工箇所 | 料金の目安 | 入居前に多いご相談の例 |
|---|---|---|
| 室内壁面(クロス) | 1,500円〜/㎡ | 北側の部屋の壁、押入れ内部の壁 |
| ユニットバス全体 | 35,000円 | 浴室の天井・壁・目地の黒ずみ |
| 和室木材部(6畳) | 120,000円〜 | 柱・長押・押入れの木部の変色 |
| コンクリート(外壁) | 1,200円〜/㎡ | 中古戸建てのコンクリート外壁・塀の黒ずみ |
| 一般住宅の外壁(築40年未満) | 3,500円〜/㎡ | 中古戸建ての北側外壁 |
実際の金額は、範囲・素材・環境によって変わります。現地調査のうえでお見積もりしますので、詳しくはサービス内容と料金をご確認ください。これまでの施工のようすは施工事例でもご紹介しています。
中古住宅の購入などで、カビ取りとあわせて壁紙の張り替えや床の補修も考えている場合は、カビバスターズグループの代理店「カビ取リフォーム」(関東・関西・東海)が、除カビから内装の修繕までを一貫して承っています。入居前にまとめて整えたい方は、あわせてご検討ください。
賃貸の入居前は「写真で記録」して管理会社へ共有
賃貸住宅の場合、入居前の部屋の状態を写真で残し、管理会社や貸主と共有しておくことをおすすめします。入居した時点ですでにあったカビやしみを記録しておけば、住み始めてからの相談や、退去時の話し合いの際に、状況を説明する材料になります。どこまでが誰の負担になるかは契約や状況によって異なるため、ここでは断定できませんが、記録があることで話がスムーズになるケースは少なくありません。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも、入居時と退去時に物件の状況を確認し、記録しておくことの大切さが示されています。記録のコツは次のとおりです。
- 日付がわかる形で撮る:撮影日時が記録されるスマートフォンで撮ります。
- 引きと寄りの両方を撮る:部屋全体の中でどこにあるかわかる写真と、状態がわかる近い写真をセットにします。
- 収納の中や窓まわりも撮る:押入れの奥、窓のパッキン、浴室の天井など、見落としやすい場所も残します。
- 管理会社に共有する:写真とあわせて、気になる点をメールや書面で伝え、やり取りを残しておきます。
賃貸住宅でカビ取りや防カビ処理を検討する場合は、ご自身で業者を手配する前に、まず管理会社や貸主へご相談ください。建物の所有者の了解が必要になることがあります。
荷ほどきでカビを持ち込まない・広げないコツ
新居がきれいでも、荷物と一緒にカビを持ち込んでしまうことがあります。前の住まいで湿気の多い場所に置いていた物や、長くしまい込んでいた物は、荷造りや荷ほどきのときに一度状態を確認しておきましょう。
段ボールは早めに片付ける
段ボールは紙でできているため、湿気を含みやすい素材です。荷ほどきが終わらないまま部屋の隅や押入れに積んでおくと、段ボール自体や中身が湿気を抱えたままになりがちです。できるだけ早く中身を出し、空いた段ボールは収納にしまい込まずに処分しましょう。段ボールのまま長期間保管したい物は、プラスチックの収納ケースに移し替えるのがおすすめです。
| 確認したい物 | 見るポイント | 対処の目安 |
|---|---|---|
| 衣類・布団 | 黒い点、こもったにおい | 洗える物は洗って十分に乾かしてから収納する |
| 革製品(靴・バッグ) | 表面の白い粉状のもの、においの変化 | 乾いた場所で様子を見て、状態により専門店へ相談 |
| 家具の裏・引き出しの中 | 裏板の黒ずみ、引き出しの底のしみ | 搬入前に確認し、壁から離して設置する |
| 段ボール | 湿り・ふやけ、においのするもの | 早めに中身を出し、段ボールは処分する |
| 押入れ用のすのこ・収納用品 | 裏側の黒い点 | 状態を確認し、傷みがあれば新しくする |
収納は「すぐに詰め込まない」
引っ越し直後は、とりあえず押入れやクローゼットに物を詰め込みたくなります。しかし、収納に空気の通り道がないと湿気がこもりやすくなります。最初は8割程度を目安にゆとりを持たせ、床に直接物を置かないよう、すのこやラックを活用しましょう。
新居のカビを防ぐ家具配置
家具の置き方も、新居のカビ対策では大切なポイントです。特に、外壁に面した壁は外気で冷やされやすく、家具を密着させると裏側の空気が動かず、結露やカビにつながることがあります。
- 外壁側の家具は壁から数cm離す:わずかなすき間でも空気が通り、裏側に湿気がこもりにくくなります。
- 大型家具は部屋の角を避ける:角は空気がよどみやすい場所です。できれば間仕切り壁(内壁)側に置きます。
- 床に直置きしない:脚付きの家具やベッドを選ぶ、すのこを敷くなど、床との間に空気の層をつくります。
- 窓とドアを結ぶ通り道をふさがない:換気のときに風が通るルートを残しておきましょう。
入居後1か月で見直したいこと
住み始めて1か月ほど経ったら、一度住まいの様子を見直してみましょう。暮らしの湿気がどこにたまりやすいか、この頃になるとわかってきます。
- 湿度計で数字を確認する:体感ではなく数字で見ると、除湿や換気のタイミングがつかみやすくなります。湿度の高い状態が続くようなら、除湿機やエアコンの除湿運転を取り入れましょう。
- 家具の裏や押入れの奥をのぞく:外壁側の家具の裏、押入れの奥の壁に変化がないかを確認します。
- 窓の結露を確認する:朝に窓がびっしょり濡れているようなら、こまめに拭き取り、換気を心がけます。
- 24時間換気を止めない:気密性の高い住まいほど、換気が止まると湿気が逃げにくくなります。
気になる変化を見つけたら、広がる前に写真を撮ってご相談ください。早い段階ほど、対処の選択肢が広がります。よくあるご質問はQ&Aにもまとめています。
こんなときは、一度ご相談ください
- 内見でカビ臭さや黒ずみが気になった
- 入居前、家具を入れる前に処理しておきたい
- 前の住まいで、カビに悩まされた
- 中古住宅を購入し、入居前に状態を確かめたい
- 入居してすぐ、押入れやクローゼットがにおう
写真を見ながらのご相談や、現地調査・カビ菌検査のご依頼も承っています。全国のMISTグループで対応しています。
よくあるご質問
Q. 内見のときにカビを見つけたら、その物件はやめたほうがよいですか?
A. すぐに候補から外す必要はありません。大切なのは、カビの範囲と原因がわかるかどうかです。窓のパッキンに少し出ている程度なのか、壁や押入れの奥まで広がっているのかで意味が大きく変わります。気になった場所は写真に残し、入居前に対応してもらえるかを管理会社や売主に確認してから判断するのがおすすめです。
Q. 入居前の除カビ・防カビ処理は、いつ頼むのがよいですか?
A. 鍵の引き渡しを受けてから、家具や荷物を搬入するまでの間が最も進めやすい時期です。部屋が空っぽなので、壁の下の方や押入れの奥、床まわりまで確認・処理がしやすくなります。引っ越し日が決まった段階で、早めにご相談いただくと日程の調整がしやすくなります。
Q. 賃貸でも入居前にカビ取りを頼めますか?
A. 賃貸住宅の場合は、ご自身で業者を手配する前に、まず管理会社や貸主へ相談してください。建物の所有者の了解が必要になることが多く、対応の方法や費用の負担についても事前の確認が大切です。入居時点の状態を写真で記録し、共有しておくことも役立ちます。
Q. 前の家の荷物にカビが生えていた場合、新居に持っていっても大丈夫ですか?
A. カビが見える物は、そのまま収納に入れず、まず状態を確認してください。衣類や布製品は洗える物は洗って十分に乾かし、状態によっては処分も検討します。家具の裏や引き出しの中に出ている場合は、搬入前に確認しておくと新居の収納に広げる心配を減らせます。
Q. 新築やリフォーム直後の家なら、カビの心配はいりませんか?
A. 新しい住まいでも、建材や基礎に含まれる水分が抜けきるまでの間や、気密性が高く換気が不足しがちな環境では、結露やカビが起こることがあります。入居後しばらくは、24時間換気を止めずに使い、湿度計で室内の様子を見ておくと安心です。
Q. カビのにおいが気になりますが、体調への影響が心配です。
A. 体調に不安がある場合は、医療機関にご相談ください。住まいのカビの状態を確認したい場合は、カビ菌検査で目に見えない部分の状態を調べることもできます。検査は健康被害の有無を判定するものではありませんが、対策の範囲を決める材料になります。
まとめ
- 引っ越しのカビ対策は「内見で見抜き、入居前に整え、荷物で持ち込まない」が基本
- 内見では、におい・北側の部屋・押入れ・窓まわり・浴室・水まわり収納の6か所を確認する
- 家具を入れる前の空っぽの部屋は、状態の記録と除カビ・防カビ処理の絶好のタイミング
- 賃貸の場合は、入居時の状態を写真で記録し、管理会社と共有しておくと安心につながる
- 段ボールは早めに片付け、家具は外壁から離して配置し、入居後1か月で一度見直す
新しい住まいを気持ちよく使い続けるために、引っ越しの準備と一緒にカビのチェックも進めてみてください。入居前の確認や処理について迷うことがあれば、お気軽にご相談ください。
あわせて読みたい
参考にした情報
- 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」
- 株式会社せら「MIST工法®とは」
- 株式会社せら「サービス内容と料金」
- 株式会社せら「Q&A」
- カビ取リフォーム(カビバスターズグループ代理店)
「この部屋、住む前に一度見てほしい」と思われたら、入居前のご相談がおすすめです。現地調査・カビ菌検査・MIST工法®による除カビと防カビ処理については、MIST工法®とは/カビ菌検査/サービス内容と料金 をご覧ください。ご相談はお問い合わせ、工務店・管理会社など法人さまは法人・業者様のお問い合わせ、お電話は 0120-052-127 まで。
