「梅雨明けに和室を開けたら、畳一面に白っぽいカビが…」「表替えをしたばかりなのに、また黒い点が出てきた」。夏の湿気を越えた秋は、和室のカビのご相談が増える時期です。畳にカビが出たとき、多くの方が迷われるのが表替え・裏返し・新調のどれを選べばよいかという点。今回は、畳の構造から3つの方法の違い、そして畳を替えても和室のカビが戻ってしまう理由と、和室まるごとで考える除カビの進め方まで、専門業者の目線で整理します。
結論|畳のカビは「どこまで入っているか」で選び、畳の下と和室の木部も一緒に確認
畳にカビが出たときの選び方は、カビが畳表の表面だけなら表替え、畳床の裏や内部まで湿り・カビ・においが及んでいるなら新調が基本の考え方です。裏返しは、傷みの少ない畳表を再利用する方法なので、カビが出た畳にはあまり向きません。
そしてもう一つ大切なのが、畳だけを新しくしても、畳の下の床板(荒床)、和室の柱・長押・天井の木部、押入れにカビや湿気の原因が残っていると、新しい畳にカビが戻りやすいということです。畳は和室の「表面」にすぎません。畳を替える前に、和室全体でカビがどこにあるかを確かめておくと、費用の無駄や再発の不安を減らせます。
畳の構造|畳表・畳床・畳縁の役割
表替えや新調の違いを理解するには、まず畳がどんな部品でできているかを知っておくと話がスムーズです。一般的な畳は、大きく畳表(たたみおもて)・畳床(たたみどこ)・畳縁(たたみべり)の3つで構成されています。
畳表は、私たちが普段目にして、座ったり歩いたりする表面の敷物です。い草を織ったものが代表的ですが、和紙や樹脂を使った製品もあります。畳縁は畳表の長い辺の端を包んで留める布で、デザインのアクセントにもなっています。そして畳床は畳の芯にあたる部分で、畳の厚みと弾力、断熱性を支えています。
カビという点で注目したいのは畳床の種類です。昔ながらの稲わらを重ねたわら床、木質系のボードや発泡系の断熱材などを使った建材床、両者を組み合わせたものなどがあり、それぞれ湿気との付き合い方が異なります。
| 畳床の種類 | 特徴 | カビの面で気をつけたいこと |
|---|---|---|
| わら床 | 稲わらを重ねて締めたもの。重く、弾力と調湿性がある | 湿気を吸いやすく、湿った状態が続くと内部までカビが入りやすい |
| 建材床 | 木質ボードや発泡系断熱材などを使った軽い畳床 | 床自体は湿気を吸いにくいが、畳表との間や床板側に湿気がたまることがある |
| わら+建材の組み合わせ | わらと建材を重ねたもの | わらの部分が湿気を含むと、その層にカビが出ることがある |
表替え・裏返し・新調の違い|畳のカビの状態別の選び方
畳のメンテナンスには、主に裏返し・表替え・新調の3つの方法があります。どれを選ぶかで、交換する部分も費用の考え方も変わります。畳店の価格は、畳表の産地や等級、畳床の種類、枚数、地域などによって幅があるため、この記事では具体的な金額ではなく「どの部分に費用がかかるか」でご説明します。
裏返し|今の畳表を裏返して使う
裏返しは、今使っている畳表をいったん外し、裏側を表にして張り直す方法です。畳縁は新しくするのが一般的です。畳表そのものは再利用するため、費用を抑えやすいのが利点ですが、使い始めてからあまり年数がたっておらず、表面の傷みや日焼けが少ない畳表でないとできません。カビが出た畳では、畳表の裏側にもカビやしみが広がっていることが多く、裏返しは向かないケースがほとんどです。
表替え|畳表と畳縁を新しくする
表替えは、畳床はそのまま使い、畳表と畳縁を新しいものに交換する方法です。見た目はほぼ新品同様になります。カビが畳表の表面だけにとどまり、畳床が乾いていて、へこみやにおいがない場合は、表替えが現実的な選択肢になります。一方で、畳床の上面や裏面にカビが出ている場合、表替えだけでは畳床に残ったカビが新しい畳表に移ることがあります。
新調|畳そのものを新しくする
新調は、畳床も含めて畳を丸ごと新しくする方法です。3つの中では費用がかかりますが、畳床の裏まで黒カビが広がっている、湿ってふかふかする、カビ臭さが取れないといった場合は、新調を検討したほうが結果的に安心なことも多いです。
| 畳の状態 | 考えられる選択肢 | あわせて確認したいこと |
|---|---|---|
| 表面にうっすら白いカビ。拭くと取れる | 乾燥・清掃で様子を見る/表替え | 部屋の湿度、換気の状況 |
| 畳表に黒い点状のカビ。拭いても跡が残る | 表替え | 畳を上げて裏面と床板を確認 |
| 畳の裏にもカビ・しみがある | 新調を検討 | 床板(荒床)と床下の湿気 |
| 踏むとふかふか、カビ臭さが強い | 新調を検討 | 床下の湿気・漏水の有無 |
| 畳だけでなく柱・押入れにも黒ずみ | 和室の除カビ → 畳の交換 | 結露・雨漏りなど湿気の原因 |
畳にカビを見つけたときの応急処置
畳店や専門業者に相談するまでの間にできることは、次のような基本的な対応です。詳しいDIYの手順や使ってはいけない薬剤については別の記事で扱っているため、ここでは要点だけまとめます。
- 窓を開けて換気し、除湿する:まず部屋の湿気を下げます。エアコンの除湿や除湿機も役立ちます。
- 乾いた布や固く絞った布でやさしく拭き取る:畳の目に沿って拭き、水分を残さないようにします。水拭きのしすぎは逆効果です。
- 消毒用エタノールを使う場合は目立たない場所で試す:塩素系の漂白剤は畳表の変色や傷みの原因になるため、畳には使わないのが一般的です。
- よく乾かし、写真を撮っておく:広がり方の記録は、畳店や業者に相談するときの判断材料になります。
カビを掃除するときは、窓を開けて換気し、マスクや手袋を着用してください。掃除機で直接吸い込むと、排気でカビを舞い上げることがあります。広い範囲に広がっている場合や、拭いても繰り返し出てくる場合は、無理をせず専門業者にご相談ください。
畳だけ替えても和室のカビが戻る4つの理由
「新しい畳にしたのに、1年もたたずにまたカビが出た」というご相談を現場で確認すると、畳以外の場所に原因が残っているケースが目立ちます。和室は、畳・木材・土壁や砂壁・紙(ふすま・障子)など、湿気を含みやすい素材が集まった部屋です。
理由① 畳の下の床板(荒床)にカビが残っている
畳の下には、床板(荒床・下地板)が張られています。畳の裏にカビが出ていた場合、その下の床板にもカビやしみが広がっていることが少なくありません。床板にカビが残ったまま新しい畳を敷くと、畳の裏側からカビが移る条件が整ってしまいます。畳を上げるタイミングは、床板の状態を確かめるよい機会です。
理由② 柱・長押・天井など和室の木部にカビがある
和室の柱や長押、鴨居、天井板などの木部は、無垢材が使われていることも多く、表面の黒ずみが実は木の内部に入り込んだカビということもあります。部屋の中にカビの発生源が残っていると、胞子が舞って新しい畳にも付着しやすくなります。
理由③ 押入れが湿気とカビの供給源になっている
押入れは空気がこもりやすく、布団の湿気がたまりやすい場所です。特に下段の奥や、北側の外壁に面した壁・床板はカビが出やすいポイント。和室の畳のカビが押入れ側から広がっていることもあるため、畳とあわせて必ず確認しておきたい場所です。
理由④ 湿気の原因がそのまま
閉め切った部屋、北側の外壁、床下の湿気、窓の結露、雨漏りなど、湿気の出どころが変わらなければ、何度畳を替えてもカビにとって好都合な環境が続きます。畳のカビは、部屋の湿気の状態を知らせるサインと考えるのがよいでしょう。
和室まるごとの考え方|木部は削らずに除カビ、畳は状態に合わせて
和室のカビ対策でおすすめしたいのは、和室の木部・床板・押入れのカビは除カビと防カビ処理で整え、畳は状態に合わせて表替えか新調を選ぶという分担の考え方です。これなら、柱や長押など簡単には交換できない部材を生かしたまま、必要な部分にだけ費用をかけられます。
カビバスターズ本部が行うMIST工法®は、素材を削らない・こすらないカビ取り技術です。霧状の専用剤を、カビの状態や素材に合わせてその都度調整し、素材の奥に入り込んだカビを分解・洗浄したうえで、防カビ処理を行って予防します。使用する剤は、一般的な処理剤に多い酸性液ではなく、アルカリ性液です。施工は、研修と試験に合格した施工者が担当します。
和室の柱や長押は、やすりがけや削りで対応すると、木肌や風合い、寸法が変わってしまうことがあります。素材を削らずに除カビできることは、和室のように木の表情を大切にしたい空間でこそ意味があると私たちは考えています。
| 和室の広さ | 料金の目安 | 計算の考え方 |
|---|---|---|
| 6畳 | 120,000円〜 | 基本料金 |
| 8畳 | 140,000円〜 | 6畳+2畳分(1畳ごと+10,000円) |
| 10畳 | 160,000円〜 | 6畳+4畳分(1畳ごと+10,000円) |
| 12畳 | 180,000円〜 | 6畳+6畳分(1畳ごと+10,000円) |
料金は目安です。6畳を超える場合は1畳ごとに+10,000円(税別)が目安となります。天井は含まれていないため、天井や押入れ、床板の範囲、築年数が40年以上の建物などは、現地調査のうえでお見積もりします。詳しくはサービス内容と料金をご覧ください。
また、除カビのあとに畳の新調やふすま・壁の張り替えなど内装の修繕までまとめて進めたい場合は、カビバスターズグループの代理店「カビ取リフォーム」(関東・関西・東海)で、MIST工法®による除カビから内装修繕までを一貫してご相談いただけます。窓口が一つになると、工事の順番や担当範囲がわかりやすくなります。
畳店と除カビ業者、どの順番で相談する?
カビの範囲によって、最初に相談する先は変わります。迷ったときは、次の流れを目安にしてください。
- 畳を1枚上げて確認する:畳の裏、床板、押入れ、柱の足元を見て、写真を撮っておきます。
- カビが畳表の表面だけなら畳店へ:表替えか新調かを、畳の状態を見てもらいながら決めます。
- 床板や木部、押入れにもカビがあれば除カビ業者へ:お問い合わせから写真を添えてご相談ください。現地調査で範囲と湿気の原因を確認します。
- 除カビ・防カビ処理を行う:和室の木部や床板を削らずに除カビし、防カビ処理で予防します。
- 最後に新しい畳を入れる:除カビ後に表替え・新調を行えば、きれいな下地の上に新しい畳を敷けます。
| 確認すること | 確認する理由 |
|---|---|
| 畳の裏・畳床にカビやにおいはないか | 表替えか新調かの判断材料になるため |
| 床板(荒床)にしみや黒ずみはないか | 畳の下にカビが残ると再発しやすいため |
| 柱・長押・天井・押入れに黒ずみはないか | 和室の中にカビの発生源が残っていないか確かめるため |
| 結露・雨漏り・床下の湿気の心当たりはないか | 湿気の原因が残ると、どの方法でも再発しやすいため |
| 部屋を閉め切る時間が長くないか | 換気と除湿で、再発のしやすさが変わるため |
見えない範囲の状態を知りたい場合は、カビ菌検査で、施工前後の状態を比べる方法もあります。和室のカビの事例はカビ取り・カビ対策施工例、戸建て住宅のカビ対策については木造住宅のカビ取りのページでもご紹介しています。
新しい畳をカビから守る暮らし方
除カビや畳の交換が終わったあとは、日々の湿気対策が再発防止のカギになります。特別なことをする必要はありませんが、次の点を意識していただくと、きれいな状態を長く保ちやすくなります。
- 和室を閉め切らない:使わない部屋こそ、ときどき窓やふすまを開けて空気を入れ替えます。
- 畳の上にじゅうたんやマットを敷きっぱなしにしない:畳の湿気が逃げにくくなり、間にカビが出やすくなります。
- 押入れは詰め込みすぎず、すのこなどで床から離す:布団は干したり乾燥させたりしてからしまいます。
- 小さな変化を早めに相談する:黒い点やカビ臭さに気づいたら、広がる前に写真を撮ってご相談ください。
そのほかのよくあるご質問はQ&Aにもまとめています。
こんなときは、一度ご相談ください
- 畳を替えたのに、またカビが出てきた
- 畳の下の床板や、柱・長押の黒ずみが気になる
- 和室全体がカビ臭い
- 表替えか新調か除カビか、判断に迷っている
- 押入れにもカビが出ている
写真を見ながらのご相談や、現地調査・カビ菌検査のご依頼も承っています。全国のMISTグループで対応しています。
よくあるご質問
Q. 畳のカビは、表替えをすれば解決しますか?
A. カビが畳表の表面だけで、畳床が乾いていて傷みがなければ、表替えで見た目も衛生面も整えやすくなります。ただし、畳を上げたときに裏面や床板にカビやしみがある場合は、表替えだけでは残ったカビが再び表に出てくることがあります。まず1枚上げて、裏と床板を確認してみてください。
Q. カビが生えた畳を裏返しにしても大丈夫ですか?
A. カビが出ている畳では、裏返しはあまりおすすめしません。表にカビが出ているとき、畳表の裏側や畳床との間にもカビが広がっていることが多いためです。裏返しは、傷みの少ない比較的新しい畳表を再利用する方法と考えてください。
Q. 畳を替えるのと除カビを頼むのは、どちらが先ですか?
A. 和室の木部や床板にもカビがある場合は、除カビ・防カビ処理を先に済ませてから新しい畳を入れる順番がおすすめです。先に新しい畳を入れると、施工のために再び上げる手間がかかったり、残ったカビが新しい畳に移ったりするおそれがあります。畳だけのカビであれば、畳店へのご相談が近道です。
Q. 和室の柱や長押の黒ずみは、削らないと取れませんか?
A. 削ったり、やすりをかけたりしなくても対応できる場合が多くあります。MIST工法®は素材を削らない・こすらないカビ取り技術で、霧状の専用剤をカビの状態や木材の種類に合わせて調整し、木の奥に入り込んだカビを分解・洗浄します。ただし、腐朽して柔らかくなっている部分は、補修や交換が必要になることがあります。
Q. 畳のカビのにおいで体調が気になります。どうすればよいですか?
A. 体調に関するご心配は、まず医療機関にご相談ください。私たちは健康への影響を判断する立場にはありませんが、カビの範囲や発生源の調査、カビ菌検査、除カビと防カビ処理など、住まいの側の対策でお手伝いできます。
まとめ
- 畳は畳表・畳床・畳縁でできており、カビがどこまで入っているかで選び方が変わる
- 表面だけのカビなら表替え、畳床の裏まで湿り・カビ・においがあれば新調を検討。裏返しはカビが出た畳には向かないことが多い
- 畳だけ替えても、床板(荒床)、柱・長押・天井の木部、押入れ、湿気の原因が残っているとカビが戻りやすい
- 和室の木部はMIST工法®で削らずに除カビ・防カビ処理し、そのあとに新しい畳を入れる順番がおすすめ
- 和室木材部の料金目安は、築40年未満・6畳で120,000円〜(天井を除く・税別)、6畳を超える場合は1畳ごとに+10,000円
畳のカビは、和室全体の湿気の状態を教えてくれるサインでもあります。畳を替えるかどうか迷ったら、まず1枚上げて、畳の下と和室の木部まで確かめるところから始めてみてください。
あわせて読みたい
「畳を替える前に、和室のカビも見てほしい」という方は、お気軽にご相談ください。現地調査・カビ菌検査・MIST工法®による除カビと防カビ処理については、MIST工法®とは/カビ菌検査/サービス内容と料金 をご覧ください。ご相談はお問い合わせ、工務店・管理会社など法人さまは法人・業者様のお問い合わせ、お電話は 0120-052-127 まで。
