新築住宅の床下でカビが見つかったら、発生場所・濡れ・工事の経過を記録し、調査、除カビ、復旧、引渡しの予定を建築会社と関係者で整理します。見た目だけで原因や責任を決めず、「確認できたこと」と「これから調べること」を施主に伝えることが、対応の出発点です。
株式会社せらでは、新築戸建て・マンションのカビ問題について、工務店・ハウスメーカー・管理会社などからの相談を受けています。この記事は、床下で指摘を受けた建築会社の方へ、初動の記録、検査の選び方、施工と報告の段取りをまとめたものです。
引渡し前後の床下カビを相談する → 建築・住宅会社向けの対応を見る →
発見時は、状況の記録と次の連絡日を決める
清掃や薬剤散布の前に、撮影できる範囲で写真を残してください。漏水が続いている場合や電気設備への影響が疑われる場合は、建築・設備の担当に連絡し、被害を広げないための対応を優先します。調査のために、施主が狭い床下へ入ったり、断熱材を外したりする必要はありません。
- 指摘を受けた内容を残す:発見日時、発見者、部屋・点検口・部材、見える範囲、濡れやにおいの有無。第三者検査の指摘がある場合は、その報告書も確認します。
- 現場の窓口を決める:施主への連絡担当、現場確認の担当、設備・設計の担当を整理し、同じ記録を共有します。
- 次の予定を伝える:現地確認日、何を調べるか、次の報告日を伝えます。未確認の原因や施工完了日を、その場で確定しないようにします。
一次連絡は、「床下の○○で変色と濡れを確認しています。原因と範囲は確認中です。○日に現地確認を行い、○日までに分かった内容と対応案をご連絡します」と、分かる事実と予定を分けると伝わりやすくなります。日時は実際に調整できたものを使ってください。
写真・図面・工程表を、同じ場所が分かる記録にする
床下は、写真の近景だけでは場所が分かりにくいことがあります。図面上の位置と写真番号を対応させ、施工前後に同じ部材・方向を撮影できるようにします。
- 全景と近景
- 区画や部材の位置が分かる写真と、カビ・濡れ・変色が分かる近景を残します。撮影日、写真番号、部屋名・区画名を添えます。
- 建物・床下の仕様
- 基礎と断熱の方式、床下換気の設計、配管、点検口、対象の木材・合板・断熱材を確認します。
- 工事と水の履歴
- 材料搬入、雨濡れ、コンクリート打設、床を閉じた時期、漏水・修理・乾燥の記録を、分かる範囲で時系列にします。
- 測定の条件
- 含水率・温湿度を測る場合は、測定位置、日時、機器・方法、換気や設備の運転状態を残します。異なる条件の値を、単純に施工前後の差として扱わないようにします。
個人が写り込む写真や住所・施主名を含む図面を扱う際は、関係者への共有範囲も確認してください。相談の初期段階では、建物用途・市区町村・発生場所・希望日程など、分かる情報から整理できます。
カビの範囲と、水分の供給源を分けて調べる
建築中の雨濡れ、基礎コンクリートなどに残る水分、給排水の漏れ、結露、防湿や空気の流れは、確認する候補です。カビが出ている位置だけで、一つの原因に決めることはできません。
- 雨濡れ・工事中の水分:工程と養生、濡れた材料、乾燥を確認した記録を見る。
- 漏水・雨水の侵入:配管や外周、濡れの位置、修理履歴を建築・設備の担当と確認する。
- 結露・空気の流れ:温湿度、冷える部位、断熱・換気方式を合わせて確認する。
- 材料の状態:木材や合板の変形・軟化・損傷などがあれば記録し、設計者などに点検や交換の判断を相談する。
含水率測定は建材の水分を調べるもので、菌種を判定する検査ではありません。また、表面にカビが見えることと、木材の腐朽や構造上の問題があることは、分けて確認します。
床下の仕様を確認する資料として、住宅金融支援機構の在来木造などの耐久性基準には、床下換気・防湿と基礎断熱工法の条件が示されています。これは【フラット35】の対象住宅の技術基準です。建物の設計・適用条件と照合し、換気孔がないことだけで不具合と判断したり、換気設備を一律に追加したりしないようにします。
床下の原因確認と防湿・換気の考え方 → 新築コンクリートの水分とカビ →
検査は「何を確認したいか」から選ぶ
カビ菌検査は、採取した場所・時点・方法での検出状況を確認するために行います。すべての現場に同じ検査が必要とは限りません。目視・濡れの調査と合わせて、施工前の状態を残したいのか、対象表面を確認したいのか、室内空気の濃度を調べたいのかを決めます。
- 付着菌検査:対象表面の状態
- 木材・合板などの表面から菌を採取して確認します。寒天スタンプなどは採取方法です。採取方法そのものを「菌種を確定する同定検査」とは呼びません。
- 同定検査:採取した菌の種類
- 採取した試料を分析・観察して菌の種類を調べます。どの範囲まで調べるか、方法、報告内容、費用を事前に確認します。
- 空中浮遊菌検査:一定量の空気の濃度
- エアサンプラーで一定量の空気を採取し、培養で得られた菌数をCFU/m³などの単位で示します。採取量・場所・換気条件と合わせて結果を読みます。
- 落下菌検査:一定時間に落下する菌
- 開放した培地に自然に落ちた菌を採取します。採取時間や設置条件を記録します。採取した空気の体積を測る方法ではなく、結果をそのままCFU/m³へ換算することはできません。
施工前後を比較する場合は、採取箇所・方法・条件をできるだけ揃え、違いがある場合は報告書に残します。検査値だけで発生原因、建物全体の状態、健康影響、将来の再発を判定することはできません。米国CDC・NIOSHの資料でも、短時間の採取結果を健康リスクと直接結び付けて解釈できないことが説明されています。
検査方法・税込料金・報告書の費用を確認 → 浮遊菌・落下菌・付着菌の違いを詳しく読む →
修理・乾燥・除カビ・復旧を、引渡しの予定と整理する
見積り時には、カビ取りの範囲に加え、漏水修理、材料の点検・交換、乾燥、養生、断熱材や床材の復旧、施工後の確認について、担当と作業順序を決めます。現場の状況によっては、被害を抑える処置と調査を並行して行うため、すべての現場を同じ順番・日数で進めるとは限りません。
- 調査と修理:確認する範囲、点検・採取の方法、水の供給源への対応を整理する。
- 施工計画:除カビの対象素材・面積、作業できる条件、養生、施工中の立入り、乾燥・換気を確認する。
- 復旧と確認:材料の復旧担当、施工後の写真・測定・検査の有無、報告書の範囲を決める。
- 引渡し・入居との調整:調査、培養、施工、乾燥、復旧、報告に必要な日数を確認し、予定が変わる場合の連絡方法を決める。
MIST工法®による除カビ・防カビは、素材や仕上げ、カビの状態を確認して検討します。削らずに処理することを基本としますが、材料の交換・修理が必要かどうかは建築の判断と合わせて確認します。工法を採用することだけで、構造材の健全性や再発しないことを保証するものではありません。
実際の施工写真:工務店から依頼された新築戸建の床下対応

掲載元では、工務店からの依頼で、漏水事故後の和室・リビング床・床下に対応した事例として紹介されています。床下は、断熱材を撤去していただいたうえで合板の除カビを行った記録です。
現場では、除カビだけでなく、調査・修理・材料の確認・復旧を関係者と組み立てます。この写真はその一例です。必要な施工範囲や断熱材の扱い、工期・費用は物件ごとに確認します。掲載写真は施工工程の参考としてご覧ください。
施主への報告と、見積りで確認すること
事実・判断・未確認の項目を分けて報告
報告は、発見から調査・施工・復旧までの経過を、写真・図面・測定記録と対応させてまとめます。次の内容を確認しておくと、建築会社と施主が同じ情報を見ながら説明を進められます。
- 発生場所・範囲・発見日と、調査で確認できた事実。
- 原因の候補、その根拠、未確認の範囲と追加確認の予定。
- 修理・除カビ・復旧の対象、実施日、施工前後の写真。
- 測定・検査を行った場合の採取条件と結果、報告書の対象範囲。
- 入居・引渡しの調整事項、今後の点検時期、再度気になる状態が出た場合の連絡先。
責任・保証・費用負担は、原因、契約、関係者の確認内容をもとに整理します。カビの写真や検査結果だけから、当社が施工不良や法的責任を断定することはありません。
施工費と、調査・検査・復旧費を確認
本部の掲載する床下除カビの税込参考料金は、100㎡未満:550,000円〜、100㎡以上:4,400円〜/㎡です。上の写真の施工価格ではありません。正式な総額は、対象面積・素材・床下の高さ・進入口・養生などを確認して個別に見積ります。
現地調査、含水率測定、菌の検査、報告書、交通費の扱い、断熱材の撤去・復旧や漏水修理などを含むかも確認してください。引渡し日が決まっている場合は、希望日と報告書が必要な日を、最初の相談時にお知らせください。
新築の床下カビ:建築会社からよくある相談
引渡し直前ですが、何日で終わりますか?
写真だけでは確定できません。調査・修理・乾燥・施工・復旧の範囲や、検査と報告の有無で変わります。引渡し予定、点検可能日、床下の仕様と現在の状態をお知らせいただき、工程を確認します。
菌の検査をすれば、原因が分かりますか?
検査は、採取した場所・方法での菌の状態を確認するものです。水分の供給源や責任まで確定する検査ではありません。工程表、漏水の記録、含水率・温湿度、目視確認などを合わせて調査します。
木材や合板は、すべて交換しますか?
現場の素材と状態を確認して判断します。表面のカビと腐朽・損傷は分けて点検し、設計者・施工会社などの判断と、除カビの対象範囲をすり合わせます。
遠方の現場や、施主からの相談もできますか?
所在地と状況をお知らせください。株式会社せらが相談内容を確認し、必要に応じて全国のカビバスターズ加盟店との対応を調整します。訪問可能な地域・日程・費用は個別に確認します。施主の方からは、建築会社とのやり取りや点検記録を、分かる範囲でお知らせください。
写真・発見の経緯・希望日程から、ご相談ください
原因や面積が決まっていなくても相談できます。電話・フォームでの相談は無料です。建築会社名、建物の市区町村、引渡し前・入居後のどちらか、発生場所、点検や施工を希望する時期を、分かる範囲でお知らせください。写真・図面をどう共有するかは、相談時に確認します。
工務店・ハウスメーカー・管理会社の相談 → 住宅にお住まいの方の相談 →
電話:0120-052-127(平日9:00〜18:00・土日祝除く)。現地調査や検査などを予約する前に、費用の有無と対象範囲を確認してください。
参考資料・施工写真の掲載元
- 住宅金融支援機構「在来木造、枠組壁工法及び丸太組構法の耐久性基準」 — 2026年10月1日更新。床下換気・防湿と基礎断熱工法の条件を参照。
- CDC「Environmental Sampling」 — 採取法と単位の違いを参照。医療施設向け資料であり、住宅に医療施設の管理値を適用するものではありません。
- CDC・NIOSH「Mold, Testing, and Remediation」 — 水分への対処、記録、短時間の検査結果と健康リスクの解釈について参照。
- 米国EPA「Mold Testing or Sampling」 — 目的に応じた検査計画・結果の評価について参照。
- カビバスターズ京都「滋賀県大津市 新築戸建 漏水事故後 床下除カビ処理 和室除カビ処理」 — 施工写真、依頼元、対応内容の掲載元。
