「厨房の天井に黒い点が増えてきた」「客席の窓際やエアコンの吹き出し口がカビ臭い」。10月に入り、秋の長雨や朝晩の冷え込みで窓の結露が見え始めるこの時期は、飲食店さまからこうしたご相談が増えてきます。忘年会や年末の予約が入る前に直しておきたい、けれど店は止められない――今回は、湯気と油が集まる飲食店で、カビがどこに出やすいのか、そして営業を止めずに除カビを進める段取りを、現場の目線で整理します。
結論|繁忙期の前に「場所の把握 → 営業時間外の施工 → 前後の記録」
飲食店のカビは、湯気・油煙・水が集まる厨房の天井や壁の上部、フード周辺、洗い場、冷蔵庫や製氷機の裏に出やすく、客席では窓際とエアコン周辺、そしてトイレが要注意です。日々の清掃で落ちる汚れと、素材の中に入り込んだカビは別物なので、拭いても戻る場所は専門業者に相談するのが近道です。
店を止めにくい場合は、定休日や営業時間外に区画を分けて施工し、施工の前後でカビ菌検査(落下菌検査)を行って記録を残す進め方がおすすめです。12月の書き入れ時に客席でカビ臭さを指摘されないよう、10月〜11月のうちに状態を確かめておくと、日程の選択肢も広がります。
飲食店のカビが厨房の天井に集まる理由
厨房では、鍋やスチーマー、食器洗浄機から出る湯気が上へのぼり、天井や壁の上部で冷やされて水滴になります。そこに油煙が付着すると、表面に薄い油膜ができ、ほこりや汚れがつきやすくなります。水分・汚れ・温度という、カビにとって都合のよい条件がそろいやすいのが厨房の上部です。
さらに、営業が終わって火を落とすと厨房の温度は下がり、残った湯気が結露に変わります。換気扇を早めに止めると湿気がこもったまま朝を迎えることになり、この繰り返しで天井の角や照明まわり、フードの外側に黒い点が広がっていきます。秋から冬にかけては外気が冷たくなるぶん、外壁に面した壁や天井で結露が起きやすくなります。
店舗でカビが起きやすい場所|厨房・客席・トイレ
お店の平面図に置き換えると、カビが出やすい場所はおおむね決まっています。下の図と表で、厨房側と客席側に分けて確認してみてください。
| 場所 | 出やすい理由 | 見ておきたいこと |
|---|---|---|
| 厨房の天井・壁の上部 | 湯気が上で冷えて結露し、油煙も付く | 角・照明まわりの黒い点、塗装のふくらみ |
| フード周辺 | 湯気と油が集中し、外側や天井との取り合いが湿る | フード外側・ダクト接続部の黒ずみ |
| 冷蔵庫・製氷機の裏 | 放熱と結露、壁との狭いすき間で空気が動かない | 機器を動かした裏の壁・床、排水まわり |
| 洗い場 | 常に水がかかり、床や壁の目地が乾きにくい | 目地・シンク下・排水溝まわり、壁の下部 |
| 食品庫・バックヤード | 段ボールや乾物が湿気を抱え、換気が少ない | 棚の奥の壁、床に近い箱、こもったにおい |
| 客席の窓際 | 外気で冷えたガラスやサッシに結露が集まる | 窓枠・カーテン・壁紙の下の方 |
| エアコン周辺 | 冷房期の結露や内部の湿気が残りやすい | 吹き出し口の黒い点、運転時のにおい |
| トイレ | 換気が弱く、清掃の水分が残りやすい | 天井の換気口まわり、便器裏の床・壁 |
エアコン内部の分解洗浄は、空調設備の専門業者の領域です。吹き出し口のまわりの壁や天井のカビについてはご相談ください。
清掃で落ちる汚れと、素材に入ったカビの違い
飲食店の多くは、閉店後の清掃や定期的なクリーニングをしっかり行っています。それでも同じ場所に黒い点が戻ってくるときは、表面の汚れではなく、素材の中にカビが入り込んでいる可能性があります。見分けるときの目安をまとめました。
| 比べる点 | 清掃で落ちる汚れ | 素材に入ったカビ |
|---|---|---|
| 見た目 | 茶色〜黄色の膜、ベタつき | 黒・緑の点が集まって広がる |
| 拭いたとき | 洗剤で広がるように落ちる | 色が薄く残る、しみのようになる |
| 戻るまで | 汚れがたまるまで比較的ゆっくり | 同じ場所に、同じ形で戻りやすい |
| におい | 油のにおい | 土っぽい、こもったカビ臭さ |
| 出る素材 | ステンレス、タイル表面、フード | 塗装した天井、石膏ボード、木部、目地、壁紙 |
ステンレスやタイルの表面は清掃で対応しやすい一方、塗装した天井や石膏ボード、木の枠、目地のように水分を吸い込む素材は、表面を拭いても奥が残りやすい素材です。強くこすったり、強い薬剤を繰り返し使ったりすると、塗装がはがれたり素材を傷めたりして、かえってカビが入り込みやすい状態をつくってしまうこともあります。
飲食店のカビ対策を業者に頼むとき|MIST工法®でできること
MIST工法®は、素材を削らない・こすらないカビ取り技術です。霧状の専用剤をカビの状態や素材に合わせてその都度調整し、素材の奥に入り込んだカビを分解・洗浄したうえで、防カビ処理を行います。使用する剤は、一般的な処理剤に多い酸性液ではなくアルカリ性液で、研修・試験に合格した施工者が施工します。
厨房の天井のように、はがして張り替えると大がかりな工事になる場所でも、素材を生かしたまま除カビを進められるのが特長です。あわせて防カビアドバイスとして、現地の環境を調べて原因を分析し、換気のタイミングや機器の配置など、お店の運用に合わせた助言も行います。店舗での事例は店舗・事務所のカビ取りもご覧ください。
こんなときは、一度ご相談ください
- 厨房の天井や壁の上部に、拭いても戻る黒い点がある
- 客席やトイレで、お客さまにカビ臭さを指摘されたことがある
- 冷蔵庫・製氷機を動かしたら、裏の壁や床が黒くなっていた
- 年末の繁忙期の前に、定休日や営業時間外で施工したい
- 施工の前後を、カビ菌検査で記録として残しておきたい
写真を見ながらのご相談や、現地調査・カビ菌検査のご依頼も承っています。全国のMISTグループで対応しています。
営業を止めずに進める除カビの段取り
飲食店の除カビでいちばん大切なのは、営業への影響を小さくする段取りです。当社では、現地調査の段階で営業日・仕込みの時間・食材の搬入時間をうかがい、そこから逆算して施工の日程を組み立てます。
| 進め方 | 向いているケース | 気をつけること |
|---|---|---|
| 定休日にまとめて施工 | 範囲が厨房の一部など限られている | 前日の閉店後に片付け・養生を済ませておく |
| 営業終了後〜翌日の仕込み前 | 定休日が少ない、連休が取りにくい | 乾燥・換気の時間を含めて翌朝に間に合わせる |
| 区画を分けて数回に分ける | 厨房・客席・トイレなど範囲が広い | 施工中の区画と使う区画の動線を分ける |
段取りの流れは、おおむね次のとおりです。範囲や素材によって工程は変わるため、あくまで一例としてご覧ください。
- 現地調査:カビの範囲・素材・湿気の原因を確認し、営業日程をうかがいます。
- 事前の片付け・養生:施工する区画の食材・食器・調理器具を範囲の外へ移すか、覆って保護します。
- 施工前の検査・記録:写真と落下菌検査で、施工前の状態を残します。
- 除カビ・防カビ処理:MIST工法®で素材に合わせて施工します。
- 換気・乾燥と施工後の検査:施工後にも同じ場所で検査し、状態を比べます。
- 引き渡し・運用の見直し:換気扇を回す時間など、再発を防ぐための使い方をご提案します。
営業許可や衛生管理に関わる判断は、所管の保健所にご確認ください。当社はカビの状態の確認・除カビ・防カビ処理と、その記録づくりをお手伝いします。
施工前後の記録|カビ菌検査で「見えない変化」を比べる
見た目がきれいになっても、空気中にどのくらいカビが漂っているかは目ではわかりません。そこで役立つのがカビ菌検査です。落下菌検査は、空気中から落ちてくるカビを培地で採取する方法で、採取にかかる時間は30〜60分程度。営業時間外の短い時間でも組み込みやすい検査です。
ポイントは、施工の前と後に、同じ場所・同じ条件で行うことです。厨房の中央、洗い場、客席の窓際など、気になる場所を決めて比べると、施工の効果や、再発したときの原因の切り分けに使える記録になります。カビの種類まで確かめたい場合は、寒天スタンプで採取して培養する同定検査もあります。
カビ菌検査は、健康や食品への影響を判定するものではありません。体調に不安がある場合は医療機関へご相談ください。
年末の繁忙期に向けた日常点検
除カビのあとも、日々の使い方で再発のしやすさは変わります。スタッフの方が交代でも続けられるよう、点検する場所と頻度を決めておくと安心です。下の図のようなチェック表を、厨房の見やすい場所に貼っておくのも一つの方法です。
- 閉店後もしばらく換気扇を回す:火を落としたあとの湯気を外に出してから止めます。
- 機器の裏は定期的にのぞく:冷蔵庫・製氷機の裏は、月に一度でも見る習慣をつけます。
- 食品庫は床に直置きしない:段ボールは棚にのせ、壁から少し離して置きます。
- 客席の窓は朝に結露を拭く:暖房を使い始めるこれからの季節は特に意識します。
- においの変化を共有する:「いつもと違う」に気づいたら、写真と日付を残して共有します。
よくあるご質問
Q. 営業しながらカビ取りをしてもらえますか?
A. 営業中の厨房や客席で作業することは基本的に避け、定休日や営業時間外に施工します。範囲が広い場合は、厨房・客席・トイレなど区画ごとに日を分けて進める方法もあります。仕込みや開店準備の時間から逆算して、現地調査の際に一緒に段取りを決めます。
Q. 厨房の天井の黒い点は、油汚れとカビのどちらですか?
A. 見た目だけでは判断しにくいことがあります。油汚れは洗剤で拭くと広がるように落ちることが多く、カビは点状に広がって、拭いても色が残ったり同じ場所に戻ったりしやすいのが特徴です。判断に迷う場合は現地で確認し、必要に応じてカビ菌検査も行います。
Q. カビが出たら保健所に連絡しなければいけませんか?
A. 営業許可や衛生管理に関わる判断は、所管の保健所にご確認ください。当社では、カビの範囲と原因の確認、除カビと防カビ処理、施工前後の記録づくりといった部分でお手伝いします。
Q. 食材や食器はどうすればよいですか?
A. 施工する区画の食材・食器・調理器具は、あらかじめ範囲の外へ移すか、養生して覆ってから作業します。何を動かすかは事前の打ち合わせで一覧にしておきます。食品への影響についての判断は、当社では断定できませんので、衛生管理の担当者さまや保健所にご相談ください。
Q. カビ菌検査はどのくらい時間がかかりますか?
A. 落下菌検査は、空気中から落ちてくるカビを培地で採取する方法で、採取にかかる時間は30〜60分程度です。施工の前と後に同じ場所で行うと、変化を比べる材料になります。カビの種類まで確かめたい場合は、寒天スタンプで採取して培養する同定検査もあります。
Q. 複数店舗をまとめて相談できますか?
A. はい、法人さまからのご相談も承っています。店舗ごとに状況が異なるため、まずは気になっている店舗の場所と症状をお聞かせください。法人・業者様のお問い合わせからご連絡いただけます。
まとめ
- 飲食店のカビは、厨房の天井・壁の上部、フード周辺、機器の裏、洗い場、食品庫、客席の窓際・エアコン周辺、トイレに出やすい
- 清掃で落ちる汚れと、素材に入ったカビは別物。拭いても同じ場所に戻るなら専門業者へ
- 営業を止めにくい店舗は、定休日・営業時間外の施工や、区画を分ける進め方ができる
- 施工の前後に落下菌検査(採取は30〜60分程度)を行うと、比べられる記録が残る
- 衛生管理や営業許可に関わる判断は、所管の保健所に確認する
忘年会や年末の予約が入り始める前は、店の状態を見直すよい時期です。気になる場所があれば、写真を撮るところから始めてみてください。
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