更新日:(料金・検査の対象説明を更新。施工日は元の記録を保持)
「部屋に入った瞬間、少しカビ臭い気がした」「浴室の天井に黒い点があった」。宿泊施設の運営に関わる方にとって、こうした一言が口コミやレビューに書かれるのは避けたいところです。10月は秋の行楽シーズンで客室の稼働が上がり、その先には年末年始の繁忙期が控えています。夏の湿気を抱えたまま秋を迎えた客室では、暖房の使い始めとともに窓まわりの結露も出始める時期です。今回は、ホテル・旅館・民泊の客室でカビが起きやすい場所と、稼働を止めにくい施設でカビ取りを進める段取りを、運営者・清掃責任者の方向けに整理します。
結論|客室のカビは「場所の把握 → 記録 → 区切った計画 → 日常点検」で進める
客室のカビ対策は、起きやすい場所を把握し、状態を記録し、部屋ごと・フロアごとに区切って施工を計画し、施工後は日常点検で早めに気づくという流れで進めるのが現実的です。全館を一度に止めるのではなく、閑散期や予約の少ない日に合わせて少しずつ進めれば、営業への影響を抑えながら客室の状態を整えていけます。
もう一つ大切なのは、清掃で落ちる汚れと、素材の中に入り込んだカビを分けて考えることです。日常清掃で繰り返し落としているのに同じ場所に戻ってくる黒い点や、換気しても消えないにおいは、素材の奥にカビが残っているサインかもしれません。年末年始の繁忙期を迎える前の今の時期に、客室を一度見直しておくことをおすすめします。
ホテル・旅館・民泊の客室でカビが起きやすい場所
客室は、入浴やシャワーで湿気が出る浴室と、空調で温度が変わる居室が隣り合っています。さらに、ゲストが使わない日は換気が止まりがちです。こうした条件から、カビが起きやすい場所はある程度決まっています。
ユニットバスの天井・目地・換気扇まわり
湯気が最初に当たる天井、水が残りやすい床や壁の目地、コーキング、換気扇のカバーまわりは、黒い点が出やすい場所です。天井は清掃の手が届きにくく、気づいたときには点が広がっていることがあります。ゲストが入浴中に見上げる場所でもあります。
エアコン吹き出し口周辺の壁・天井
冷房の時期は、吹き出し口から出る冷たい空気が周辺の壁や天井を冷やし、表面で結露が起きることがあります。吹き出し口のまわりに点状や帯状の黒ずみがある場合は、壁紙の表面だけでなく、その裏側まで湿った状態が続いていた可能性があります。エアコン内部の洗浄は空調設備の専門業者の領域ですが、周辺の壁のカビとあわせて確認しておきたい場所です。
窓まわり・カーテン
秋から冬にかけては、窓ガラスやサッシの結露が増えてきます。結露の水がカーテンの裾や窓台、窓の下の壁紙に移ると、そこからカビが出やすくなります。レースと厚手のカーテンが二重になっている客室では、空気が動きにくいぶん湿った状態が続きやすくなります。
クローゼット・押入れ
扉を閉めたままの時間が長いクローゼットや、旅館の押入れは、空気がよどみやすい場所です。外壁に面している場合は壁が冷えやすく、布団や浴衣、予備のリネンを詰め込むと湿気の逃げ場がなくなります。扉を開けたときのにおいは、ゲストが最初に気づきやすいポイントの一つです。
空室が続く部屋・地下や北側の客室
販売していない客室や、稼働の少ない部屋は、換気や空調が止まりやすく、湿気がこもりがちです。地下や半地下の客室、北側で日が当たりにくい客室は、壁や床が冷えやすく、結露が起きやすい条件がそろっています。こうした部屋は、久しぶりに販売するときに、においで気づかれることがあります。
| 場所 | 起きやすい理由 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| ユニットバスの天井・目地・換気扇まわり | 湯気と水滴が残りやすい | 天井の黒い点、目地・コーキングの色の変化 |
| エアコン吹き出し口周辺 | 冷気で壁が冷えて結露する | 吹き出し口まわりの黒ずみ、壁紙のしみ |
| 窓まわり・カーテン | 秋冬の結露が移る | カーテンの裾、窓台、窓下の壁紙 |
| クローゼット・押入れ | 空気がよどみ、物が詰まっている | 扉を開けたときのにおい、奥の壁・棚板 |
| 空室が続く部屋・地下や北側の客室 | 換気が止まり、壁や床が冷えやすい | 入室時のにおい、部屋の隅や家具の裏 |
客室のカビ臭さが口コミで指摘されやすい理由
カビは、目に見える黒い点よりも先に、においとして気づかれることがあります。清掃スタッフは毎日同じ客室に出入りするため、においに慣れてしまい、気づきにくいこともあります。一方、ゲストは部屋に入った瞬間の印象で判断するため、ドアを開けたときや、クローゼット・浴室の扉を開けたとき、エアコンをつけたときのにおいに敏感です。
においの元になりやすいのは、壁紙の裏やクローゼットの奥、浴室の天井裏に近い部分など、清掃で手が届きにくい場所です。芳香剤や消臭剤で一時的に抑えても、元が残っていれば繰り返します。「においがする客室」と「においがする場所」を記録しておくと、原因を絞り込む手がかりになります。
清掃で落ちる汚れと、素材に入り込んだカビの違い
日常清掃で落とせるものと、専門的な処理が必要なものを分けておくと、清掃スタッフの負担を減らし、対応の優先順位もつけやすくなります。
| 比べる点 | 清掃で対応できることが多い | 相談を考えたい |
|---|---|---|
| 見た目 | 表面に付いた汚れ、出始めの薄い点 | こすっても落ちない黒い点、色が素材に入っている |
| 繰り返し | 清掃後しばらく出てこない | 同じ場所に短い間隔で戻ってくる |
| 範囲 | 点が数か所 | 壁や天井に広がっている、複数の客室で同じ症状 |
| におい | 換気で消える | 換気しても入室時ににおう |
| 素材の状態 | 変化なし | 壁紙のはがれ・浮き、目地の変色、木部の黒ずみ |
強い薬剤で何度もこすると、目地やコーキング、壁紙、木部を傷め、かえってカビが入り込みやすくなることもあります。「落ちないから、もっと強くこする」を続けないことが、客室の設備を長く保つうえでも大切です。
市販のカビ取り剤を使う場合は、製品の表示に従い、換気を十分に行ってください。塩素系の製品と酸性タイプの製品を混ぜると有害なガスが出るため、絶対に混ぜないでください。スタッフの体調に不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
客室のカビ取りはMIST工法®で、素材を生かしたまま
MIST工法®は、素材を削らない・こすらないカビ取り技術です。霧状の専用剤をカビの状態や素材に合わせてその都度調整し、素材の奥に入り込んだカビを分解・洗浄したうえで、防カビ処理で予防します。使用する剤は、一般的な処理剤に多い酸性液ではなく、アルカリ性液です。施工は、研修・試験に合格した施工者が行います。
ユニットバス、壁紙、旅館の和室の木部や天井など、客室の内装を生かしたまま進められるため、改装までは考えていないけれど状態を整えたい、という場合にも選択肢になります。また、防カビアドバイスとして現地の環境を調査して原因を分析し、空調や換気の使い方、家具やリネンの置き方についてもご提案しています。料金の目安は、ユニットバス全体で38,500円〜、室内壁面クロスで1,650円〜/㎡(いずれも税込)です。実際の金額は範囲・素材・環境によって大きく異なるため、現地調査のうえでお見積もりします。
こんなときは、一度ご相談ください
- 清掃しても、ユニットバスの天井や目地の黒い点が同じ場所に戻ってくる
- 入室時やクローゼットを開けたときに、カビ臭さが残る客室がある
- エアコン吹き出し口のまわりや窓の下の壁紙に、黒ずみやしみがある
- 空室が続いた部屋や、地下・北側の客室でにおいが気になる
- 繁忙期の前に、複数の客室の状態をまとめて確認しておきたい
写真を見ながらのご相談や、現地調査・カビ菌検査のご依頼も承っています。全国のMISTグループで対応しています。
稼働を止めにくい施設での進め方|部屋ごと・フロアごとに区切る
宿泊施設のカビ取りで悩ましいのは、施工する客室はその間販売できないことです。そこで、全館を一度に止めるのではなく、区切って計画するのが基本になります。
- 現地調査で全体を把握する:症状のある客室と、共通する原因(空調・換気・建物の向きなど)を確認します。
- 優先順位をつける:におい・見た目の程度、口コミで指摘を受けた客室、販売価格の高い客室などから順番を決めます。
- 区切り方を決める:一室ずつ、同じ系統の客室ごと、フロアごとなど、施設の運営に合う単位で区切ります。
- 時期を合わせる:予約の少ない平日や閑散期に施工日を置き、販売停止の期間を事前に予約管理へ反映します。
- 施工後の確認と記録:施工前後の状態を記録し、日常点検につなげます。
| 区切り方 | 向いている施設・状況 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 一室ずつ | 民泊・小規模な宿、症状が一部の客室に限られる | 施工日の予約を止める調整が必要 |
| 同じ系統の客室ごと | 北側・地下など、条件の似た客室に症状が集中 | 原因が共通なら、あわせて環境の見直しも |
| フロアごと | 中〜大規模のホテル、症状が複数の客室に広がる | 閑散期に合わせ、作業の動線と共用部の使い方を確認 |
施工中の作業音や、資材の搬入経路、共用廊下の使い方なども、事前にすり合わせておくと、ほかのゲストへの影響を抑えやすくなります。多くのお客さまが利用される施設での施工については、店舗・事務所のカビ取りや公共施設のカビ取りのページもあわせてご覧ください。
施工前後の記録とカビ菌検査
客室のカビ対策では、状態を記録しておくことが、その後の判断を大きく助けます。施工前後の写真を同じ位置・同じ角度で撮っておくと、社内での報告や、オーナーさま・本部への説明に使えます。
目に見えない範囲の状態を確かめたいときは、カビ菌検査という方法があります。落下菌検査では一定時間に培地へ落ちた菌を調べます。採取時間は検査計画で確認します。客室どうしや施工前後の比較に使えます。どのような種類のカビかを確かめたい場合は、採取した検体の種類を分析する同定検査(判別範囲は検体・方法による)を行います。
カビ菌検査は、健康への影響の有無を判定するものではありません。ゲストやスタッフの体調についての判断は、医療機関の領域です。
スタッフの日常点検表|早めに気づくための仕組み
施工後にきれいな状態を保つためには、清掃スタッフが同じ項目を、同じ順番で見る仕組みがあると安心です。難しい判断は必要ありません。「いつもと違う」に気づいたら記録し、責任者に共有する流れをつくっておくことが大切です。
| タイミング | 見る場所 | チェックの例 |
|---|---|---|
| 入室時 | 部屋全体 | ドアを開けた瞬間のにおい |
| 浴室清掃時 | 天井・目地・換気扇 | 黒い点の有無、換気扇が回っているか |
| 居室清掃時 | エアコン吹き出し口・窓まわり | 周辺の壁の黒ずみ、結露の跡、カーテンの裾 |
| リネン補充時 | クローゼット・押入れ | 扉を開けたときのにおい、奥の壁・棚板 |
| 週に一度 | 空室・地下や北側の客室 | 換気・空調を回す、においと部屋の隅の確認 |
民泊の場合は、ゲストのチェックアウト後の清掃のタイミングで、同じ項目を確認するだけでも十分です。気になる場所は写真に撮り、日付と部屋番号を残しておくと、専門業者に相談するときにも役立ちます。
よくあるご質問
Q. 営業を続けながら客室のカビ取りはできますか?
A. 施工する客室は、その間は販売を止める必要があります。ただ、部屋ごと・フロアごとに区切って計画すれば、施設全体を休館せずに進められる場合があります。施工にかかる時間や、施工後に客室へ戻すまでの段取りは、範囲や素材によって変わるため、現地調査の際に予約状況とあわせてご相談ください。
Q. 客室のカビ臭さは、消臭剤や芳香剤で対応できませんか?
A. 消臭剤や芳香剤は、においを一時的に感じにくくするものです。においの元になっているカビが壁紙の裏やエアコンの周辺、クローゼットの中に残っていると、時間がたてば再びにおってきます。消臭で対応しても繰り返す場合は、どこからにおっているのかを確かめることをおすすめします。
Q. ユニットバスの天井や目地の黒カビは、清掃スタッフで落とせますか?
A. 表面の汚れや、出始めの薄いカビは日常清掃で落とせることが多いです。一方で、目地やコーキングの中に色が入り込んで、こすっても落ちない状態になっている場合は、素材の中までカビが入っていることがあります。強い薬剤で強くこすると素材を傷めることもあるため、繰り返す場所は一度ご相談ください。
Q. 民泊の一室だけでも相談できますか?
A. はい、一室からご相談いただけます。民泊や小規模な宿では、ゲストの入れ替わりの間にオーナーさまが点検や清掃をされていることも多いため、気になる場所の写真を撮っておいていただくと、状況の共有がスムーズです。
Q. 施工したことを記録として残せますか?
A. 施工前後の写真に加えて、必要に応じてカビ菌検査で施工前後の状態を比べることができます。記録を残しておくと、社内での報告や、次の点検・施工の計画を立てる際の材料になります。なお、カビ菌検査は健康への影響を判定するものではありません。
まとめ
- 客室のカビは、ユニットバスの天井・目地・換気扇まわり、エアコン吹き出し口周辺、窓まわり、クローゼット、空室や地下・北側の客室に起きやすい
- カビは見た目より先に、においでゲストに気づかれることがある
- 清掃で落ちる汚れと、素材に入り込んだカビを分け、落ちないものを強くこすり続けない
- 施工は部屋ごと・系統ごと・フロアごとに区切り、閑散期や予約の少ない日に合わせて計画する
- 施工前後の記録とカビ菌検査、スタッフの日常点検表で、早めに気づく仕組みをつくる
秋の行楽シーズンを迎え、年末年始の繁忙期も近づいてきました。客室の気になる場所は、忙しくなる前に一度確認しておくと安心です。施工の様子はカビ取り・カビ対策施工例、よくあるご質問はQ&Aもあわせてご覧ください。
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掲載した施工料金は本部公開料金表と照合した税込の目安です(2026年10月14日確認)。施工範囲、別途費用、原因改善工事の扱いを含め、総額は正式な見積書で確認してください。
検査は空気・表面の採取方法と菌の種類を調べる同定分析を分けて選びます。施工前後を比べる場合は採取・培養条件をそろえます。落下菌の結果をそのままCFU/m³へ換算することはできず、結果だけで水分の原因、健康への影響、将来の再発の有無は判断できません。検査結果の読み方
旅館の施工記録:常茂恵旅館の塗装・カビ対応
萩市の常茂恵旅館で、塗装工事とカビ対策工事を行った施工記録です。

掲載写真は旅館の建物の施工例で、特定の客室の施工と確認できる記録ではありません。客室・共用部・外部など、相談する対象区画を区別する参考にしてください。
