更新日:(施工写真・記録と相互リンクを追加)
病院の天井や壁にカビが出たときは、発生場所と湿気の状況を記録し、施設管理担当と感染対策担当で対応を共有することから始めます。室内の菌数だけで判断せず、区画の用途、空調、患者さんや職員の動線、施工中の粉じん対策を合わせて検討します。
病院のカビ対策で先に決めたいこと
- どの区画・建材が、いつから濡れたり汚れたりしているか。
- 誰が院内の判断を担当し、どの範囲・時間帯で調査や施工ができるか。
- 検査で何を確認し、結果を次の対応にどう使うか。
病院でカビを見つけたときの初動
「天井に黒い点がある」「空調付近でカビ臭がする」「雨の後に同じ場所が濡れる」など、発見した状況を院内の連絡手順に沿って共有してください。写真は、撮影が認められた場所で、患者さん・職員・氏名やカルテなどが写らない範囲で準備します。
- 区画と発見日を記録する。病室、廊下、診察室、倉庫などの用途と、天井・壁・収納・空調周辺といった発生箇所を整理します。近接写真と区画全体の写真を分けると、広がりを伝えやすくなります。
- 水分の手掛かりを残す。雨漏り、配管漏水、窓や配管の結露、空調の排水、清掃後の濡れなど、把握している状況と設備修理の履歴を共有します。
- 施設管理・感染対策の担当者へつなぐ。区画の利用状況と院内の管理条件を確認し、立入・利用継続・患者さんの移動などの判断を院内で行います。
- 調査・施工の条件を相談する。対象範囲、作業可能な時間、区画の分離、動線、検査や報告書の希望を、外部業者に伝えます。
広がりを確かめるために天井材を外したり、乾いた汚れをこすったりする作業も、院内で計画を確認してから進めます。特に天井裏を開ける作業や改修では、周辺区画への粉じんの移動を考える必要があります。CDCの医療施設環境管理資料でも、工事・修理に伴う粉じんと湿気への対策を、施設・感染対策・施工関係者で計画する考え方が示されています。CDC「Air」工事・改修と環境管理 →
カビのある面と、水分が入る経路を分けて確認
天井や壁の表面を処理しても、水分が入り続ける場所では再び問題が起こり得ます。除カビの範囲と、漏水修理・乾燥・建材の交換・空調点検などの範囲を整理し、施設側の維持管理と合わせて検討します。
- 天井・天井裏
- 染みや濡れの位置、上階の設備、雨の前後の変化、配管や空調排水の修理履歴を確認します。天井裏を開ける場合は、周囲の利用状況と粉じん対策も作業計画に含めます。
- 壁・窓・収納周辺
- 窓や壁面の結露、家具の背面、湿気のこもり方、清掃後の乾燥を記録します。表面だけでは分からない範囲は、必要な調査と開口条件を相談します。
- 空調・換気設備周辺
- フィルタや吹出口、排水、湿った部分、点検履歴を設備担当者へ共有します。特別な室圧管理がある区画では、窓の開放や空調停止も施設の運用手順に沿って判断します。
濡れた建材がそのまま使えるか、乾燥や交換が必要かは、素材と濡れの程度によって異なります。現地で状態を確認し、建物・設備の修理と除カビをどの順で進めるかを調整してください。
カビ菌検査は「何を確認するか」を決めてから
「とりあえず全室を採取する」前に、漏水後の状態確認、発生箇所の調査、工事や対策の評価など、確認したい目的を整理します。採取場所と方法、比較する条件、結果を受けて行う対応まで決めると、記録を施設管理に使いやすくなります。
CDCは、目的を定めない無作為な環境微生物採取と、決めた手順で目的に沿って行う採取を区別しています。疫学的な調査や有害な環境条件の評価など、必要性がある場合の採取を検討する考え方です。「定期的に菌数を測れば医療安全が確保される」と一律に考えるものではありません。CDC「Environmental Sampling」採取の目的と計画 →
院内感染が疑われる場合は、感染対策担当や院内の検査部門を中心とした調査が必要です。建物のカビ調査の結果は、診療や感染の原因を判定する検査とは役割が異なります。せらへのご相談では、施設側で決めている管理目的と必要な記録をお知らせください。
浮遊菌・落下菌・付着菌・同定は確認する対象が違う
- 浮遊菌検査:採取した空気を調べる
- エアーサンプラーなどで一定量の空気を採取し、培養条件に応じて得られた菌数を空気量と合わせて評価します。浮遊真菌を調べるのか、細菌も対象にするのか、検査の範囲を先に確認します。
- 落下菌検査:一定時間に落ちた菌を調べる
- 培地などに落下した菌を、採取場所・開放時間・培養条件と合わせて確認します。採取した空気の体積が決まらないため、落下菌数をそのままCFU/m³の浮遊菌濃度に置き換えません。
- 付着菌検査:建材などの表面を調べる
- 天井・壁などの対象面から採取します。採取面積、方法、素材、清掃や施工との前後関係を記録して、目的に沿って結果を読み取ります。
- 同定検査:採取された菌の種類を調べる
- 菌の種類を調べる検査です。表面から採取したことだけで種類が特定できるわけではありません。必要な同定の範囲と方法は、目的に応じて確認します。
CFUは培養で生じたコロニーを数える単位です。CFU/m³は空気1m³当たりの値ですが、すべての微生物や胞子を数えているわけではありません。採取量、培地、培養条件などが違う結果を、同じ条件の数値として比較しないようにします。CDCも、落下培地による採取で空中の真菌胞子の濃度を定量しないよう示しています。CDC勧告「Environmental Sampling」→
カビ菌検査の方法・数値の見方 → / 検査の種類と費用を詳しく見る →
病院の管理条件を確認し、住宅の目安を一律に使わない
住宅向けに紹介される「浮遊真菌1,000 CFU/m³以下」を、病院内のすべての区画の合格基準に当てはめることはできません。手術室、特別な空調管理を行う病室、一般病室、診察室、廊下などは、用途と運用条件が異なります。
日本建築学会の公式刊行一覧には「微生物による室内空気汚染に関する設計・維持管理規準・同解説(AIJES-A0002-2013・第二版)」と「浮遊微生物サンプリング法規準・同解説(AIJES-A0008-2013)」が掲載されています。規準値を扱う際は、対象施設・微生物、設計か維持管理か、採取方法と評価条件を原典で確認する必要があります。日本建築学会・AIJES刊行状況(PDF)→
空調設備については、日本医療福祉設備協会が「病院設備設計ガイドライン(空調設備編)HEAS-02-2022」を発行しています。施設が参照する指針や設計図書と合わせ、設備担当者が換気・室圧・フィルタなどの条件を確認します。日本医療福祉設備協会・公式出版物案内 →
検査を依頼するときは、次の4点を共有してください。
- 区画の用途と、施設側で参照している規準・運用条件。
- 浮遊真菌・細菌など、検査で確認する対象。
- 採取箇所・日時・空調や利用状況など、比較に必要な条件。
- 結果の評価担当と、調査・修理・施工・利用再開の判断手順。
菌数は、採取した場所と時点の条件を表す情報です。単一の数値や除カビの完了だけで、感染の有無や医療安全、全区画の利用可否を保証するものではありません。施設の管理と医療上の判断を合わせて対応します。
実施工写真:岐阜市の病院で天井を処理した事例

掲載元で確認できる病院の天井施工の一例です。せらが受ける施設のご相談でも、区画の用途、対象素材、作業できる時間と動線を整理し、必要に応じて全国の加盟店との対応を調整します。施工範囲や調査・検査の内容は、施設ごとに確認します。
担当加盟店付きの施設施工写真を探す → / 施設の相談文を準備する →
除カビは、施工区画・動線・使用再開まで計画
せらでは、病院・医療施設の建物に発生したカビの調査、除カビ・防カビ、カビ菌検査についてご相談を受けています。MIST工法®の施工範囲は、素材や塗装、カビの範囲、施設の運用条件を確認して検討します。
- 作業前:施設側の連絡担当、利用状況、施工する面・区画、搬入・搬出経路、周辺への養生、作業日時を確認します。
- 作業中:施設が求める区画分離・立入制限・粉じん対策と、使用剤の情報、換気や乾燥の条件を共有します。空調の変更が必要な場合は、設備担当者と調整します。
- 作業後:清掃・乾燥・復旧と設備の確認、必要な記録や検査の内容を整理し、施設側の利用再開手順につなぎます。
見積りでは、施工した面の記録だけでなく、漏水などの原因への対応、交換・復旧工事の有無、追加調査が必要な範囲を分けて確認してください。定期的な対応を検討する場合も、再発した時期と過去の処理・修理の記録が役立ちます。
MIST工法®の進め方 → / 病院・介護施設・ホテルの相談案内 →
病院の天井施工・検査の参考料金
以下は本部掲載料金に基づく税込の参考額です(2026年10月11日確認)。施設の施工総額は、面積・素材・作業区画・運用条件などを確認してお見積りします。
- 天井のカビ取り:100㎡未満
- 275,000円〜。本部掲載では高所作業を含む料金設定です。
- 天井のカビ取り:100㎡以上
- 2,200円/㎡〜。本部掲載ではローリングタワー(足場)込みの目安です。
- 室内壁面(クロス)
- 1,650円/㎡〜。
- 空中浮遊菌検査
- 基本料金44,000円+採取1箇所につき16,500円。1箇所の場合は60,500円です。
検査料とは別に、報告書作成費22,000円〜、現地調査費22,000円〜、調査員交通費(実費)を確認します。施工では、養生の範囲、夜間などの作業条件、追加の足場や出張・駐車場費用、漏水修理・解体・交換・復旧などの別工事が、見積りに含まれるかを確認してください。すべての項目が追加になるという意味ではありません。
電話・フォームでのご相談は無料です。現地調査・検査・報告書・施工にかかる費用と実施内容は、予約・依頼の前にご案内します。料金と見積り条件 → / 本部の掲載料金 →
施設の情報を、共有できる範囲からご相談ください
「どの検査を選べばよいか分からない」「利用中の区画なので工事条件を相談したい」という段階でもお知らせください。最初から菌数や正確な面積を揃える必要はありません。
- 所在地(市区町村)と、病院・クリニックなどの用途。
- 発生区画、天井・壁などの場所、おおよその範囲。
- 発見時期、濡れ・結露・漏水の状況、過去の処理や修理。
- 作業できる日時・区画と、施設管理・感染対策の連絡担当。
- 検査の目的、施設の管理条件、報告書や施工記録の希望。
例:「病院の廊下天井にカビが出ています。雨の後に染みが広がり、設備担当が漏水箇所を調査中です。利用中のため一部区画を分けて作業したいです。調査・検査の必要性と施工条件、費用を相談したいです。」
施設名の公開可否と、お問い合わせで共有する範囲は分けてご相談いただけます。院内の写真や資料は、施設の取り扱いルールに沿って共有してください。
電話:0120-052-127(平日9:00〜18:00、土日祝除く)
病院のカビ対策でよくある質問
- Q. カビが見つかったら、病院の全室で採取が必要ですか?
- 一律に全室の採取を行うものではありません。発生区画と調査目的を整理し、感染対策・施設管理の担当者と必要な採取方法、場所、結果の使い方を検討します。
- Q. 落下菌検査で1,000 CFU/m³以下か確認できますか?
- 落下菌数を、そのまま空気1m³当たりの浮遊菌濃度として扱うことはできません。空気量を定めた採取と培養条件を確認し、区画に合う評価方法を選びます。
- Q. 除カビ後の菌数だけで、使用再開を決められますか?
- 検査結果は確認材料の一つです。原因への対応、乾燥・清掃・復旧、設備と施工区画の状態、施設側の運用手順を合わせて、施設の担当者が判断します。
- Q. 病院名を公開せずに相談できますか?
- 公開可否と共有できる情報の範囲をお知らせください。初回は所在地の市区町村、区画の用途、発生場所など、分かる範囲からご相談いただけます。
参考資料・掲載元
病院施設の既存施工記録
写真の出典は株式会社せらの既存施工事例です。各写真の掲載記録を確認できるリンクを添えています。
長野県・病院施設の施工記録

病院リハビリ室として掲載された施工記録です。写真だけで室内の検査結果や衛生基準への適合を示すものではなく、施工範囲と施設管理上の確認を分けて相談します。
