出社すると会議室がカビ臭い、窓際の壁紙に黒い点が出た、空調の吹出口まわりが濡れている。オフィスのカビ対策は、発生箇所と濡れの状況を記録し、総務・ビル管理会社・設備担当者で対応範囲を整理するところから始めます。定期的な空気環境測定を行っていても、それだけで壁や天井のカビが調べられているとは限りません。
オフィス・テナントのカビ相談で、最初に確認したいこと
- どの部屋の、天井・壁・窓・空調まわりに発生しているか。
- 雨漏り・結露・空調の排水など、濡れた時期と繰り返す条件。
- 執務時間、立入りできる区画、ビル管理会社との連絡状況。
原因や面積が分からなくても、分かる状況からご相談いただけます。
オフィスでカビ・カビ臭に気付いたときの初動
発生面の近接写真と、部屋のどこかが分かる全体写真を残します。発見日時、広さの目安、水滴・染み・臭い、雨や空調運転との関係を記録し、社内の総務・施設担当者とビル管理会社へ共有してください。撮影時は社員や来訪者の顔、机上の書類、顧客情報、パソコンの画面が写らないよう確認します。
- 使う場所と動線を調整する。発生面に触れる物、天井からの滴下、作業員の立入りを確認し、席や会議室の使用について管理者と相談します。
- 水分の原因を設備担当者へ伝える。雨の翌日だけ染みが出る、冷房開始後に水滴が出るなど、発生条件と過去の修理履歴を共有します。
- 清掃の前に材質と範囲を確認する。乾いた状態でこすり落とす、壁紙をむやみに剥がす、周囲へ薬剤を一律に噴霧するといった対応を避け、飛散を抑える方法と養生を検討します。
- 専門的な調査が必要な範囲を決める。高所、天井内・壁内、共用空調、広い範囲や再発箇所は、設備・建物の担当者も含めて調査を組み立てます。
空調を入れたときに臭う場合は、吹出口だけでなく設備内部や排水の状態も確認します。カビによる汚染が疑われる設備は、運転を続けるか、点検・停止が必要かを設備担当者と調整してください。共用設備の運転を変更するときは、他のテナントへの影響も確認します。
体調の訴えがあれば、社内の健康相談窓口・産業医等や医療機関につなげます。写真やカビ菌数だけで、個人の病気や原因を診断することはできません。健康面の対応と建物の調査は、それぞれの担当者で進めます。
総務・テナント・ビル管理会社の役割分担を整理する
窓口となる総務担当者、管理会社・オーナーへの連絡担当、空調・漏水を調べる担当を決めると、記録や作業条件を共有しやすくなります。共用部と専有部、建物設備とテナントが持ち込んだ設備では、点検・修理の担当が異なる場合があります。
除カビだけでなく、漏水修理、内装の交換、机や備品の移動、施工後の確認まで、誰がどこまで手配するかを整理します。費用負担や工事の承認は賃貸借契約・管理規約・原因により異なるため、「カビなら必ずオーナー負担」などと決めつけず、契約書と管理会社の案内を確認してください。
社内決裁やオーナーへの説明が必要な場合は、写真付きの調査記録、見積りの内訳、作業計画、報告書の提出先と期限も相談時にお伝えください。建築物環境衛生管理技術者が選任されている建物では、その担当者にも点検・測定の状況を確認します。
窓際・天井・書庫・空調の濡れと結露を確認する
室内の平均的な湿度と、冷たい壁や配管の表面の状態は同じではありません。湿度計が基準の範囲でも、局所的な結露や漏水で建材が濡れていれば対応が必要です。同じ場所を雨・空調運転・在室時間と合わせて記録すると、設備点検の手掛かりになります。
- 窓際・外壁側の席
- 窓枠の水滴、ブラインド、壁に接した収納の裏、外壁側の染みを確認します。冬の結露か雨水の侵入か、発生時期と位置を残します。
- 天井・吹出口・天井裏
- 雨漏り、配管、断熱材、空調の排水受けや排水経路を設備担当者と点検します。天井を開ける必要がある場合は、立入り・養生・復旧の手順を先に決めます。
- 書庫・倉庫・会議室
- 壁際の紙資料や段ボール、長時間使わない区画の濡れ・臭い・空気の流れを確認します。文書の保存・移動・処分は、管理する担当者と相談します。
- 給湯室・トイレ・加湿器
- 水漏れ、換気、排水、機器内の残水や汚れを確認します。卓上加湿器は取扱説明書に沿って管理し、共用空調に組み込まれた加湿装置の管理と区別します。
外気が湿っている日は、窓を開けるだけで乾くとは限りません。換気を確保しながら、外気条件と設備能力に合わせて除湿・乾燥を調整します。再発を繰り返す場所は、表面の処理に加えて、漏水や設備・断熱の状態を建物側の担当者と確認しましょう。
ビル管理法の空気環境測定と、カビ菌検査の違い
建築物衛生法では、事務所・店舗などの特定用途に使う部分の延べ面積の合計が3,000㎡以上の建物などを「特定建築物」とします。テナントの専有面積だけで対象かを判断せず、建物全体の用途・面積と届出の状況を管理会社に確認してください。特定建築物以外でも、多数の人が使用・利用する建物には、管理基準に沿って維持管理する努力義務があります。
建築物環境衛生管理基準の空気環境には、二酸化炭素、温度、相対湿度、浮遊粉じんなどの項目があります。空気中のカビ(浮遊真菌)の菌数を定める項目はありません。以下は空気調和設備を設けた場合の抜粋で、カビの合否判定表ではありません。
スマートフォンでは、表を左右に動かして確認できます。
| 管理する項目 | 建築物環境衛生管理基準 | カビ対策で区別すること |
|---|---|---|
| 二酸化炭素 | 1,000ppm以下 | 換気状態の指標。カビ菌数のCFU/m³とは異なります。 |
| 温度 | 18℃以上・28℃以下 | 室温と、冷たい壁・窓・配管の表面温度を分けて確認します。 |
| 相対湿度 | 40%以上・70%以下 | 範囲内でも、漏水や局所的な結露があれば対応が必要です。 |
| 浮遊粉じん | 0.15mg/m³以下 | 粉じんの質量濃度。培養した菌数を測る検査ではありません。 |
法令上の空気調和設備は、空気の浄化・温度・湿度・流量を調節する設備を指します。機械換気設備だけの場合は、温度・相対湿度の扱いが異なります。また、外気導入機能のない家庭用ルームエアコンは、この法律の空気調和設備に当たりません。機種名だけで判断せず、設備構成を確認します。
労働者が主として事務作業をする建物やその部分には、労働安全衛生法に基づく「事務所衛生基準規則」も関係します。同規則第5条第3項は、空気調和設備がある場合、室温18〜28℃・相対湿度40〜70%になるよう努める扱いです。建築物衛生法の対象・管理義務と混同せず、事業者の担当者と確認してください。
厚生労働省の建築物環境衛生管理基準 → / 事務所衛生基準規則 →
「真菌50・細菌500 CFU/m³」という数字をどう読むか
2016年に発表された大学内の調査論文は、研究で参照した日本建築学会の事務所の維持管理規準として、真菌50 CFU/m³以下・細菌500 CFU/m³以下を紹介しています。この研究では、大学の会議室・実習室・研究室と屋外を2年半調べ、室内の真菌の生菌数濃度が夏〜秋に外気濃度の上昇とともに規準を超える状況を報告しています。
これは特定の調査・維持管理規準の文脈で読む情報です。真菌と細菌、培養で数えた生菌数と別の方法で数えた菌数を混同せず、対象室、採取方法・培養条件、屋外の状況を確認します。学会規準を契約や検査計画に使う場合は、参照する版と本文の適用条件も確認してください。
50、500、住宅向けの1,000などの数字を、すべてのオフィスの法定限度や健康被害の境目に置き換えることはできません。数値が低くても、目に見えるカビや濡れへの対応は必要です。大学室内の長期調査論文を確認する →
カビ菌検査は、知りたいことと採取条件から選ぶ
「発生源を絞るため」「施工前後の状態を記録するため」「管理会社へ提出する資料のため」など、検査で答えたいことを先に整理します。見えるカビや漏水への対応を進めながら、必要な採取箇所と結果の使い方を相談してください。
- 浮遊菌検査:一定量の空気を採取し、培養できる菌の濃度などを確認します。CFU/m³は採取空気量に基づく値です。
- 落下菌検査:決めた場所・時間で培地に落ちる菌を調べます。浮遊菌のCFU/m³とは、そのまま比較しません。
- 付着菌検査:天井・壁など、採取した表面の状態を調べます。採取面積・方法と、菌種を同定するかも確認します。
- 含水率測定:建材の水分を確認します。カビの種類や数を測る検査とは異なります。
日時、採取位置、在室人数、窓の開閉、空調運転、採取方法・培養条件を記録します。施工前後の比較は条件を合わせ、屋外との比較が目的に合うかも検討します。米国NIOSHは、短時間の菌数測定だけでは健康リスクを評価できないことを説明しています。建物の点検をせず、すべての部屋で一律に空気検査を追加する必要があるとは限りません。
浮遊菌・落下菌・付着菌の違いを読む → / 検査の種類と費用を見る →
オフィス天井の実際の施工例
カビバスターズ本部が兵庫県西宮市で行った、オフィス天井のカビ取り事例です。掲載元では、天井裏の結露が原因とされています。天井の表面処理と、水分が生じる箇所の確認を合わせて検討する際の参考にしてください。

執務時間・機器・共用部に合わせて施工を計画する
せらではMIST工法®による除カビ・防カビを含め、建材と発生範囲、オフィスの使用条件から施工方法を検討します。週末や営業時間外の希望は、養生、作業、乾燥・換気、確認と復旧までに必要な時間を含めて相談してください。
- 時間と動線:社員・来訪者が使う時間、会議の予定、作業区画、搬入経路、エレベーター・駐車場の利用条件。
- 机・書類・機器の保護:机、資料、パソコン、通信機器の移動・養生。移動できない機器や、管理者の立会いが必要な区画。
- 設備と作業方法:空調・電源の取扱い、高所作業、飛散を抑える方法、使用材料の情報と換気・乾燥。
- 復旧と使用再開:漏水修理・内装交換の担当、作業完了の記録、必要な再点検・検査、管理会社・社内担当者の確認手順。
作業予定と立入りできる場所は、社員や関係するテナントにも共有します。米国EPAの業務用建物向け指針も、水分の原因への対応、作業計画、利用者への説明を合わせて考えています。建物の使用再開は、施工業者の完了報告を受け、管理者が関係者と確認します。
店舗・事務所の施工相談案内 → / 担当加盟店付きの施工写真を見る →
施工後は、同じ場所の濡れと再発を記録する
発見箇所、原因として確認できたこと、修理・施工の範囲、実施日、作業後の写真をまとめて引き継ぎます。雨の後や空調の切替え時期に同じ場所を確認し、濡れ・染み・臭いが戻らないか、設備の排水や乾燥が機能しているかを点検してください。
定期的な空気環境測定の結果、設備点検、カビ対応の記録は、それぞれの目的を保って整理します。施工後にカビ菌検査を行う場合も、採取条件と比較対象を記録し、数値だけで建物全体の安全や今後の再発ゼロを保証する扱いにしません。
オフィスの除カビ・カビ菌検査の税込参考料金
カビバスターズ本部の掲載料金に合わせた参考額です(2026年10月11日確認)。素材、面積、養生、作業時間、検査内容により個別に見積ります。天井100㎡未満は高所作業込み、100㎡以上はローリングタワー(足場)込みの目安です。
| 項目 | 税込参考料金 |
|---|---|
| 室内壁面(クロス) | 1,650円〜/㎡ |
| 天井部分・100㎡未満 | 275,000円〜 |
| 天井部分・100㎡以上 | 2,200円〜/㎡ |
| 落下菌検査 | 1箇所4,400円〜 |
| 付着菌検査 | 1箇所27,500円〜 |
| 浮遊菌検査 | 基本料金44,000円+採取1箇所16,500円 |
浮遊菌1箇所の検査料は60,500円(税込)です。検査料とは別に、報告書作成費22,000円〜、現地調査費22,000円〜、調査員交通費(実費)を確認します。含水率測定は33,000円〜(税込)で、報告書はありません。
養生、高所作業、検査・報告書、交通費、漏水修理や内装復旧などの含まれる範囲を見積りで確認してください。電話・フォーム相談は無料ですが、現地調査・検査・施工は有料です。必要な内容と総額を、ご依頼前にご案内します。
オフィス・テナントのカビでよくある質問
- 定期的な空気環境測定をしていれば、カビも調べていますか?
- 建築物環境衛生管理基準の空気環境の項目には、浮遊真菌の菌数は含まれていません。実施済みの測定項目・報告書を管理会社に確認し、カビの調査や検査が必要か、目的から相談します。
- 湿度70%以下なら、カビは生えませんか?
- 室内湿度の値だけでは判断できません。局所的な結露、雨漏り、空調の排水などで建材が濡れることがあります。発生面と濡れの原因を一緒に確認します。
- 週末や営業時間外に施工できますか?
- 希望日程をお知らせください。発生範囲、機器の養生、ビルの入館・搬入条件、乾燥・換気と作業後の確認までに必要な時間を整理し、実施できる日程と条件をご案内します。
- テナントの総務担当者から相談できますか?
- ご相談いただけます。所在地、発生場所、広さの目安、使用時間を分かる範囲でお知らせください。共用設備や工事承認が関係する場合は、管理会社との連絡状況も伺い、調査・施工の手順を整理します。
発生場所とオフィスの予定から、せらへご相談ください
①所在地、②執務室・会議室・書庫などの用途、③天井・壁・空調まわりなど発生場所、④発見時期と雨漏り・結露の履歴、⑤利用時間と希望日程を、分かる範囲でお知らせください。管理会社への説明や社内決裁に必要な報告書の希望も伺います。相談フォームに社員の氏名・病歴や顧客の情報を記載する必要はありません。
電話:0120-052-127(平日9:00〜18:00・土日祝除く)。電話・フォーム相談は無料です。せらがご相談を受け、必要に応じて加盟店と対応地域・日程を調整します。原因が特定できていない段階でも、まずは分かる状況からお聞かせください。
参考資料
- 厚生労働省「建築物衛生法施行令」第1条・第2条 — 特定建築物の用途・面積と、空気環境の項目を参照。
- 厚生労働省「建築物環境衛生管理基準について」 — 現行の温度・湿度等、設備の定義と、特定建築物以外の維持管理の扱いを参照。
- 厚生労働省「事務所衛生基準規則」第1条・第5条 — 適用対象と、空気調和設備がある室の温度・相対湿度の努力義務を参照。
- 石松維世ほか「大学における用途の異なる室内の浮遊真菌および細菌濃度の長期変動と発生源」(2016年) — 大学内の長期調査と、論文が参照した事務所の維持管理規準の紹介。すべてのオフィスの実態や健康の限度として一般化していません。
- 米国NIOSH「Mold, Testing, and Remediation」 — 湿気の点検、職場の情報共有と、短時間の菌数測定による健康評価の限界を参照。
- 米国EPA「学校・業務用建物のカビ対応指針」第3章 — 作業計画、水分の原因、設備・養生、利用者への説明の参考。日本の法定基準としては扱っていません。
