編集:MIST工法®カビバスターズ本部(株式会社せら)|1995年創業・除カビ防カビ業 愛知県知事許可(般-24)第112038号|本記事の数値は、国土交通省・消費者庁・文部科学省・厚生労働省の公的資料にもとづいています。
冬の朝、窓ガラスにびっしりの水滴。サッシの溝には黒い汚れ、ガラスを押さえるゴムには黒い点々、カーテンの裾には黒い斑点。窓まわりは、家の中で最初に結露し、最後まで濡れている「カビの最前線」です。
結論から言うと、窓まわりのカビは結露が唯一の水分源で、サッシ・ゴムパッキン・カーテンで落とし方が違い、防ぐ方法は「結露しても、朝には乾いている状態を作る」ことに集約されます。室温20℃・湿度60%の空気は、約11.5℃に冷えた面で結露を始めます。アルミサッシの熱伝導率は木の1,700倍以上。だからサッシが最初に冷え、最初に濡れます。
この記事では、窓に結露が出る仕組みと温度の目安、サッシ・ゴムパッキン・カーテンそれぞれの落とし方、素材別に使ってよい薬剤、結露を減らす4つの手、そして窓ではなく壁や家の性能に原因があるときの見分け方を、国土交通省 国総研の資料、消費者庁の洗濯表示、文部科学省のカビ対策マニュアルをもとに整理します。本記事は連載「素人でもできるカビ対策」の第5回です。
この記事で分かること
- 窓に結露が出る仕組みと、「何℃の面で結露するか」の目安
- サッシ・ゴムパッキン・カーテンの落とし方と、使ってよい薬剤の違い
- 塩素系をサッシに使ってはいけない理由
- 結露を減らす4つの手(水分・面の温度・空気・拭く)
- 窓ではなく壁や家に原因があるサイン
1. 結論:結露が水分源。落とし方は3か所で違い、防ぎ方は「朝には乾いている」
| 結論 | 根拠 |
|---|---|
| ①窓まわりのカビの水分源は結露。室温20℃・湿度60%なら約11.5℃の面で結露が始まる | 飽和水蒸気量(20℃で約17.3g/m³)から計算。国土交通省 国総研:アルミの熱伝導率200 W/mK、塩ビ0.17、木0.12 |
| ②サッシは中性洗剤とエタノール、ゴムパッキンは塩素系ジェル、カーテンは洗濯表示の範囲。使う薬剤が3つで違う | 文部科学省:塩素系はアルカリ性で使える場所が限られる(金属の腐食・脱色)。消費者庁 洗濯表示:漂白の可否は記号で決まる |
| ③防ぐのは「結露ゼロ」ではなく「朝には乾く」。水分を減らす・面を冷やさない・空気を動かす・拭く | 国総研:灯油1Lで水蒸気1.13kg、24時間換気を切らない。文部科学省:除菌だけでは繰り返す |
2. 窓に結露が出る仕組み:何℃の面で結露するか
空気が含める水蒸気の量は温度で決まり、20℃の空気は1m³あたり最大約17.3gです。湿度60%なら約10.4gを含んでいて、この空気が約11.5℃の面に触れると、含みきれなくなった水分が水滴になります。これが結露です。冬の窓ガラスの内側は外気温に引かれて冷え、室温より10℃以上低くなることが珍しくありません。
国土交通省 国総研の「省エネと結露」によると、熱伝導率はアルミニウム合金が200 W/mK、塩ビ(樹脂サッシ)が0.17、ヒノキ・スギが0.12、フロートガラスが1です。アルミは樹脂の約1,200倍、木の約1,700倍の速さで熱を伝えます。つまりアルミサッシは、窓まわりで最初に冷え、最初に結露し、最後まで濡れている部分です。サッシの溝とゴムパッキンにカビが集中するのは、このためです。
| 室内の湿度(室温20℃) | 空気1m³の水分 | 結露が始まる面の温度 | 冬の窓での意味 |
|---|---|---|---|
| 40% | 約6.9g | 約5℃ | よほど冷えないと結露しない |
| 50% | 約8.7g | 約8.5℃ | 外気が0℃前後の朝は結露 |
| 60% | 約10.4g | 約11.5℃ | アルミサッシはほぼ毎朝結露 |
| 70% | 約12.1g | 約14℃ | ガラス全面が濡れる。壁の隅も危険 |
| 80% | 約13.8g | 約16℃ | 室内干し・加湿器の状態。壁紙にも出る |
3. 窓まわりの3か所:なぜそこにカビが出るか
| 場所 | 水分 | 栄養 | 見た目 | 家庭で落ちる見込み |
|---|---|---|---|---|
| サッシ(レール・溝・枠) | 結露水が溝にたまり、乾きにくい | 砂・ホコリ・虫の死骸 | 溝の黒い汚れ、枠の黒い点 | 落ちる。溝の汚れは掃除機で |
| ゴムパッキン(ガラス押さえ・気密ゴム) | ガラス面の結露が流れて最後に残る | ホコリ、ゴム自体 | 黒い点の連なり、筋 | 表面は落ちる。内部に入ると交換 |
| カーテン(裾・裏) | ガラスに触れて濡れる、湿った空気がこもる | 繊維、ホコリ | 裾の黒い斑点、裏の点々 | 洗濯表示による。色素は残ることが多い |
| 窓の下の壁紙 | 結露水が壁を伝う、冷たい壁面で結露 | 壁紙の糊・紙 | シミ、点々 | 第4回の判断(表面/裏/壁の中) |
東京都保健医療局のカビQ&Aによると、カビは湿度70%以上・温度10〜30℃で発育し、2〜3日で集落を作ります。冬でも暖房の効いた室内は10℃を超え、結露で濡れた面の表面は湿度100%です。「冬だからカビは生えない」は、窓まわりには当てはまりません。
4. 落とし方:サッシ・ゴムパッキン・カーテンで薬剤が違う
サッシ:塩素系は使わない。ホコリ→中性洗剤→エタノール
- 乾いた状態で、溝の砂とホコリを掃除機で吸う。濡れたまま拭くと泥になって広がる。細い溝は使い古しの歯ブラシでかき出してから吸う。
- 中性洗剤を薄めた水で拭く。結露水の跡と汚れを落とす。
- 黒い点が残る部分に、消毒用エタノールを布に含ませて拭く。文部科学省のマニュアルは殺菌に消毒用エタノールを挙げ、薄めないこととしている。
- 乾拭きして、レールの水を残さない。
塩素系のカビ取り剤をサッシに使うと、アルミが腐食して白い粉を吹いたり、黒ずんだりします。文部科学省のマニュアルが言う通り、塩素系はアルカリ性で使える場所が限られます。サッシの黒ずみの多くは、カビより砂・ホコリ・結露跡の汚れなので、物理的に取るのが確実です。
ゴムパッキン:塩素系ジェルの湿布法。ガラスと金属にかけない
- 水気を拭き取り、乾いた状態にする。
- パッキン用の塩素系ジェルを、ゴムの部分だけに塗る。ガラスや金属枠にかからないように、細い刷毛かキッチンペーパーで。
- ラップで覆い、製品表示の時間だけ置く(多くは数分〜10分程度)。
- 固く絞った布で拭き取り、乾いた布で仕上げる。窓は水を流せないので、拭き取りを2〜3回繰り返す。
- 2回やって薄くならなければ、ゴムの内部に色素が入っている。ガラス押さえのゴム(グレチャン・ビード)は部品として交換できる。
第2回で整理した通り、塩素系は単独で、換気しながら、手袋と目の保護をして使います。国民生活センターのテストでは、塩素系と酸性洗浄剤を一緒に使うと数分で塩素ガスが16ppmを超えました。窓の水あか取りに酸性の洗剤やクエン酸を使うことがあるため、同じ日に同じ窓で使わないでください。
カーテン:洗濯表示が先。色素は残ることが多い
消費者庁の洗濯表示では、洗濯桶に×が「洗濯処理はできない」、三角形に×が「漂白処理はできない」、三角形に斜線2本が「酸素系漂白剤は使えるが塩素系は使えない」です。表示を見て、家庭で洗えるものだけを洗います。
| 洗濯表示 | できること | カビへの効き |
|---|---|---|
| 洗濯桶に数字(洗濯機可)+三角形に斜線2本 | 洗濯機で洗い、酸素系漂白剤でつけ置き | カビは減る。黒い色素は薄くなる程度 |
| 洗濯桶に数字+三角形(漂白可) | 白物なら塩素系漂白剤も可 | 色素まで落ちることが多い。生地は傷む |
| 洗濯桶に手(手洗い) | ぬるま湯で手洗い。漂白は表示による | 軽いカビのみ |
| 洗濯桶に×(洗濯不可) | 家庭で洗わない。クリーニング店に「カビ」と伝えて相談 | 店の判断 |
| ドライクリーニング記号のみ | クリーニング店へ | 店の判断 |
洗ったカーテンは、完全に乾いてから吊るします。湿ったまま吊るすと、窓の結露と合わさってすぐに戻ります。カビが出やすい裾は、床やガラスに触れない長さに調整するか、冬の間だけ短いものに替えるのも一つの方法です。
5. 結露を減らす4つの手
| 手 | 具体策 | 根拠・目安 |
|---|---|---|
| 水分を減らす | 加湿器は湿度計を見て60%を超えない。開放型の石油・ガス暖房は換気とセット。室内干しは除湿機とセット | 国総研:灯油1Lの燃焼で水蒸気1.13kg。エアコン・床暖房は水蒸気を出さない。文部科学省:65%監視・60%以下 |
| 面を冷やさない | 厚手カーテンを床までぴったり垂らすとガラス面が冷える。少し隙間を作る。内窓・断熱シートで面の温度を上げる | 国総研:熱伝導率 アルミ200/塩ビ0.17/ガラス1。面の温度が露点を上回れば結露しない |
| 空気を動かす | 24時間換気を止めない。カーテンと窓の間に空気を通す。サーキュレーターを窓に向ける | 国総研:24時間換気システムの電源は切らない。国交省:住宅の居室は0.5回/h以上の換気 |
| 拭く | 朝、スクイージーで水を集め、乾いた布で取る。サッシの溝の水も。毎日が無理なら週末にまとめて溝を乾かす | カビは2〜3日で集落(東京都)。濡れている時間を24時間以内に |
結露を完全になくすのは、既存の窓では難しいことが多いです。目標は「結露しても、朝には乾いている」状態です。濡れている時間が短ければ、カビは育ちません。
6. 窓ではなく、壁や家に原因があるサイン
- 窓の下の壁紙にシミが広がり、拭いても戻る(壁の中の結露。第4回の第7章)
- サッシの外側や壁との取り合いから水が入る(雨漏り・シーリングの劣化)
- 結露が窓だけでなく、北側の壁の隅や押入れの奥にも出る(断熱不足)
- 内窓を付けたのに、窓と内窓の間で結露する(気密の隙間)
- 24時間換気を回しているのに湿度が下がらない(換気経路の詰まり・給気口の閉塞)
これらは窓の掃除では止まりません。国土交通省 国総研は、気密・通気・換気のいずれかが欠けても建物の耐久性に影響するとしています。壁の内側の結露や断熱の問題は、表面からは分からないため、原因の場所を調べたうえで対策する必要があります。
7. よくある質問
Q1. 結露防止スプレーや吸水テープは効きますか
吸水テープは、ガラス面の結露水がサッシの溝に流れる前に受け止める道具で、溝とパッキンの濡れ時間を短くする効果は期待できます。ただしテープ自体が濡れたままだとテープにカビが出ます。定期的に交換してください。結露そのものを減らすものではありません。
Q2. 冬に窓を開けて換気すると、寒くて暖房代がかかります
24時間換気システムがある住宅では、窓を開けなくても法定の換気量が確保されています。国総研は24時間換気の電源を切らないことを勧めています。窓開けは短時間で十分で、それより加湿のしすぎと室内干しを見直すほうが、結露には効きます。
Q3. 二重窓(内窓)にすれば結露はなくなりますか
室内側のガラス面の温度が上がるため、結露は大きく減ります。ただし、室内の湿度が高すぎれば内窓でも結露しますし、気密が不十分だと外窓と内窓の間で結露します。内窓は「面を冷やさない」手の一つで、「水分を減らす」と組み合わせて効きます。
Q4. サッシのゴムパッキンを交換するのは、自分でできますか
ガラスを押さえるゴム(グレチャン・ビード)は、サッシメーカーや寸法が合えば部品として購入でき、DIYで交換している方もいます。ただし、ガラスを外す作業を伴う場合は、落下や割れの危険があります。窓の気密ゴム(サッシの枠に付いているもの)は比較的簡単です。自信がなければサッシ業者やガラス店に依頼してください。
8. まとめ
窓まわりのカビの水分源は結露です。室温20℃・湿度60%の空気は約11.5℃の面で結露し、熱伝導率の高いアルミサッシが最初に冷えて最後まで濡れます。落とし方は3か所で違い、サッシはホコリ→中性洗剤→エタノール(塩素系は腐食するので使わない)、ゴムパッキンは塩素系ジェルの湿布法(ガラスと金属にかけない、2回で落ちなければ交換)、カーテンは洗濯表示の範囲で洗って完全に乾かす。防ぐのは「結露ゼロ」ではなく「朝には乾く」で、水分を減らす・面を冷やさない・空気を動かす・拭くの4つです。窓の下の壁紙や北側の壁の隅にも結露が出るなら、窓ではなく家の断熱・気密に原因があります。次回は、押入れ・クローゼットと衣類のカビを扱います。
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壁の内側の結露、断熱・気密の問題、繰り返す再発。家庭の掃除では届かないカビは、現地調査で水分の供給源を特定し、素材に合わせて薬剤の濃度を調整するMIST工法®で、こすらず・削らずに除カビと防カビを行います。全国のカビバスターズ加盟店が対応します。
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連載「素人でもできるカビ対策」
- 家庭でできるカビ対策の基本|湿度・換気・掃除の3つで、今日から始める10のこと
- カビ取り剤の選び方|塩素系・酸素系・エタノールの使い分けと「まぜるな危険」
- お風呂のカビ取り|ゴムパッキン・天井・排水口を自分で落とす手順
- 壁紙(クロス)のカビ|拭いてよい範囲と、張り替えを考える境目
- 窓のサッシ・ゴムパッキン・カーテンのカビ|結露の最前線の掃除と予防(本記事)
- 押入れ・クローゼットと衣類のカビ|収納の湿気を逃がす方法
- 洗濯機と洗濯物のカビ臭|洗濯槽の掃除と部屋干しの工夫
- キッチン・冷蔵庫・食品のカビ|捨てる判断と保存の基本
- 木製家具・フローリングのカビ|素材を傷めずに落とす方法
- 自分で取ってはいけないカビ|専門業者に頼む判断基準と費用の目安
参考資料(一次情報)
- 国土交通省 国土技術政策総合研究所「省エネと結露」(熱伝導率:アルミ200/塩ビ0.17/ヒノキ・スギ0.12/ガラス1 W/mK、灯油1Lで水蒸気1.13kg、24時間換気を切らない、気密・通気・換気の役割)
- 国土交通省「シックハウス対策に係る技術的基準」(住宅の居室は換気回数0.5回/h以上)
- 消費者庁「洗濯表示(令和6年8月20日以降)」(家庭洗濯・漂白・クリーニング記号の意味)
- 文部科学省「カビ対策マニュアル」基礎編・実践編・Q&A(エタノールは薄めない/塩素系は使える場所が限られる/65%監視・60%以下/除菌だけでは繰り返す)
- 国民生活センター「住宅用塩素系洗浄剤の使い方」(2026年3月18日)
- 東京都保健医療局「食品衛生の窓」カビQ&A(湿度70%以上・10〜30℃・2〜3日で集落)
- 飽和水蒸気量(理科標準値:20℃で17.3g/m³ ほか)












