床下は、住まいのなかでもっとも見られていない場所です。そして、水が入っても気づかれにくい場所でもあります。連載「場所別のカビ対策」第5回は、床下と基礎まわりを、木材の性質と水分供給の観点から整理します。
1. カビと腐朽菌は、別のもの
木部の話をするとき、この2つはよく混同されます。国土交通省 大臣官房官庁営繕部の資料では、それぞれの発生条件が分けて書かれています。

表1 カビと腐朽菌の違い
| 項目 | カビ | 腐朽菌 |
|---|---|---|
| 栄養源 | 木材表面に付着した塵埃 | 木材の栄養成分(セルロース、ヘミセルロース、リグニン等)そのもの |
| 温度条件 | 25〜30℃ | 20〜35℃ |
| 水分条件 | 木材表面が濡れる状態 | 水分(および酸素) |
| 木材への関わり | 表面の汚染。水分条件が続いていることを知らせるサインになる | 木材の成分を分解する |
出典:国土交通省大臣官房官庁営繕部「木材を利用した官庁施設の適正な保全に資する整備のための留意事項」資料編
同じ資料では、構造用集成材について含水率が長期間継続的または断続的に19%を超える環境が「環境A」として区分されています。表面のカビは、その環境が続いているかどうかを読むための手がかりになります。
2. 床下に水が入る経路は限られている
床下で水分が増える経路は、大きく分けて4つです。どれなのかを特定しない限り、除去しても戻ります。

4つ目の部位内結露については、国土交通省 国土技術政策総合研究所のガイドラインで、発見が遅れるうえに乾燥しにくく、最も厄介な水分供給現象の一つとされています。床下は、まさにその条件に当てはまる場所です。
3. 白い粉が出ていたら、それも水のサイン
基礎のコンクリート面に、白い粉状・結晶状のものが出ていることがあります。農林水産省の資料では、エフロレッセンスについてコンクリート中の水分が表面で蒸発し、可溶成分であるカルシウムが乾燥して生成する白い析出物と説明され、品質への悪影響はないが水の移動に関連するとされています。
つまり白華そのものは害ではなくても、そこに水の通り道があることを示しているということです。カビの相談で床下を見たときに白華が見つかれば、水の出所をさがす手がかりになります。
表2 床下で見かけるものと、その読み方
| 見かけるもの | 考えられること | 次に確かめること |
|---|---|---|
| 木部の表面のカビ | 木材表面が濡れる状態が続いている | 水の経路。範囲が一様か、局所的か |
| 白い析出物(白華) | コンクリート中の水分が表面で蒸発している | その位置の上下で、どこから水が来ているか |
| 土のにおいが強い | 地面からの湿気、または換気の不足 | 床下換気口がふさがれていないか |
| 局所的に濡れている | 配管や設備からの漏れの可能性 | 直上の水まわりの位置、使用時に増えるか |
出典:農林水産省「農業水利施設の機能保全の手引き」参考資料(エフロレッセンス)、国土交通省大臣官房官庁営繕部、国土交通省 国土技術政策総合研究所
4. 潜る前に、記録をそろえる
床下は誰でも入れる場所ではありません。無理に潜るより、次の項目を記録しておいて相談したほうが確実です。文部科学省のカビ対策マニュアルでも、発生した日時・場所・状態と写真を記録することが勧められています。何度も見られない場所ほど、記録の価値が上がります。

床下のカビは範囲が広くなりやすく、作業時の粉じんが室内に影響することもあります。文部科学省の資料には、除菌だけでは十分な処置とならず、環境を改善しない限りカビ被害が繰り返されるという趣旨の記載があります。床下はこの原則がもっとも当てはまる場所です。順番は、水の出所の特定が先、除去はそのあとです。
5. まとめ
- カビと腐朽菌は栄養源も温度条件も違う。含水率19%超が続く環境かどうかが分かれ目の一つ
- 床下の水には地面・配管・雨水・部位内結露という4つの経路がある
- 白華(エフロレッセンス)は害ではないが、水の移動を示すサイン
- 潜る前に記録をそろえる。除去より先に水を止める
「場所別のカビ対策」全6回の第5回です。第1回浴室・脱衣所のカビ/第2回エアコンと24時間換気/第3回窓・サッシ・カーテンのカビ/第4回キッチンと食品まわりのカビ。素材ごとの違いは素材で変わるカビの入り方もあわせてご覧ください。
床下や基礎まわりの状況が気になる場合は、カビ菌検査や現地調査もご相談いただけます。処置の考え方はMIST工法®のページをご覧ください。費用は建物の状態によって変わるため、現地調査のうえでのお見積りとなります。












