株式会社せら · カビ対策の専門記事

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資料館・図書館・収蔵庫のカビ|紙・木・布の資料を守る環境管理と、建物側の対策

10月も終わりが近づき、朝晩はぐっと冷え込むようになりました。秋の読書週間を迎えたこの時期、図書館や資料館のご担当者さまから「閉架書庫の奥がカビ臭い」「収蔵庫の壁際の箱にしみが出ていた」「暖房を入れ始めたら窓のまわりが結露する」といったご相談をいただくことがあります。夏から秋の長雨で建物が湿気を抱えたところに、外気との温度差が加わり、結露が始まる季節だからです。紙・木・布の資料を守るための環境管理と、建物側でできる対策を整理します。

結論|資料は保存の専門家へ、建物は環境管理と除カビで。役割を分けて進める

資料館・図書館・収蔵庫のカビ対策は、資料そのものの処置と、資料を保管している建物・環境の対策を分けて考えるのが基本です。カビが出た本や古文書、木製品、布製品の処置は、素材ごとの知識が必要なため、保存修復の専門家や館の学芸員・司書の方の判断に委ねるのが一般的です。

一方で、資料だけをきれいにしても、書庫の壁や床、空調まわりの結露といったカビが育つ条件が残っていれば、同じことが起きやすくなります。建物側は、温湿度の記録と空気の流れの見直し、そして壁・床・棚の除カビと防カビ処理で整えていきます。冷え込みが始まる10月後半から11月は、冬の結露が本格化する前に状態をつかんでおくのに良いタイミングです。

図1|書庫・収蔵庫で結露とカビが起きやすい場所(断面の模式図)。

資料館・図書館・収蔵庫でカビが起きやすい理由

収蔵施設は、資料を光や人の出入りから守るために、閉じた空間になっていることが多い場所です。この「守るためのつくり」が、湿気の面では弱点になることがあります。

紙・木・布は湿気を吸いやすい素材

紙や木、布は、まわりの湿気を吸ったり吐いたりする性質があります。大量の資料が並ぶ書庫では、資料そのものが湿気をため込み、なかなか乾かないことがあります。また、これらの素材はカビにとって栄養にもなりやすいと考えられています。

閉じた空間で、空気が動きにくい

閉架書庫や収蔵庫は、窓が少なく人の出入りも限られます。書架を壁にぴったりつけて並べたり、箱を床に直接積んだりすると、その裏や下は空気が動かず、湿気がこもりやすくなります。

空調の止まる時間帯と、外壁の冷え

夜間や休館日に空調を止める運用の場合、その間に温度や湿度が大きく変わることがあります。外壁に面した壁や地下の書庫は、外気や地面の影響で冷えやすく、そこに暖かく湿った空気がふれると結露が起きます。暖房を使い始める季節は、この温度差がさらに大きくなります。

紙・木・布の資料ごとに気をつけたいこと

資料の素材によって、カビが出やすい場所や、気づきやすいサインが異なります。日常の点検で目安にしていただけるよう、一般的な傾向をまとめました。

表1|素材別|気をつけたい点と、見つけたときの考え方
資料の素材 気をつけたい点 カビを見つけたとき
紙(図書・文書・和紙・地図など) 湿気を吸いやすく、床に近い段や壁際の本から傷みやすい 無理に拭かず、周りと分けて保存修復の専門家や館の担当者に相談
木(木箱・木製品・棚板など) 裏側や底面など、見えにくい面で進みやすい 削ったりこすったりせず、状態を記録して専門家に相談
布(染織品・表装・布張りの箱など) 折り目や重なった部分に湿気がこもりやすい 広げたり払ったりせず、そのまま隔離して相談
箱・封筒・包材 中の資料より先に、外側の包材にしみやにおいが出ることがある 包材の交換や扱いは、館の基準と専門家の判断に従う

資料にカビを見つけても、市販のカビ取り剤やアルコールをかける、ブラシで払うといった処置は、自己判断で行わないでください。資料を傷めたり、胞子を周りに広げたりするおそれがあります。資料そのものの処置は、保存修復の専門家にご相談ください。

書庫・収蔵庫で点検したい場所

建物側の点検は、外気の影響を受けやすい場所と、空気が動かない場所から順に見ていくと抜けが少なくなります。冷え込んだ朝や、雨の翌日に見るのがおすすめです。

表2|場所別|書庫・収蔵庫の点検ポイント
場所 起きやすいこと 点検で見ておきたいこと
外壁に面した壁・書架の背 外気で冷えた壁で結露し、書架の裏に湿気がこもる 壁の下端や角の黒ずみ、書架の背板のしみ
床・書架の最下段 床からの冷えや湿気の影響を受けやすい 最下段の本や箱の底のしみ、床のしみや色むら
空調の吹出口・ダクトまわり 冷えた部分の結露や、温度差による水滴 吹出口まわりの天井の黒い点、ほこりのたまり
窓・出入口まわり 暖房の使い始めに結露しやすい 窓枠や窓台の黒ずみ、出入口付近の床のぬれ
地下の書庫・収蔵庫 地面の影響で冷えやすく、湿気が抜けにくい 壁のしみ、こもったにおい、除湿機の水の量の変化
天井・配管の通る場所 漏水や配管の結露が原因になることがある 天井のしみの形、配管の下の資料や棚の状態

高い書架の上段や天井の点検は、転落のおそれがあります。脚立の使用は館の安全ルールに従い、無理をしないでください。

環境管理の基本|温湿度の記録・空気の流れ・清掃

収蔵施設のカビ対策で大切なのは、環境を数字と記録で見ることです。目標とする温湿度の値は、資料の種類や館の方針によって異なりますので、保存の専門家や館の基準に従ってください。そのうえで、次のような点を日常の管理に組み込むと、変化に早く気づきやすくなります。

  • 温湿度を同じ場所で記録する:部屋の中央だけでなく、外壁際や床に近い所も測ると、場所ごとの差がわかります。
  • 「急に変わる時間帯」を確かめる:空調を止める夜間や休館日の前後に、湿度がどう動いているかを見ます。
  • 書架や箱を壁と床から離す:わずかでもすき間をつくり、裏や下に空気を通します。
  • ほこりをためない:ほこりは湿気を含みやすく、カビの栄養にもなりやすいため、定期的な清掃を続けます。
  • 空調・除湿機の設定と手入れを確認する:設定や運転時間、フィルターの状態を、設備のご担当者さまと確認します。
表3|点検の目安(頻度は館の規模や基準に合わせて調整してください)
タイミング 主な点検内容
毎日 温湿度の記録、においの変化、窓まわりや出入口のぬれ
毎週 外壁際・最下段の資料や箱の状態、除湿機の水の量
毎月 書架の裏・壁の下端、空調吹出口まわり、天井のしみ
季節の変わり目 長雨・台風のあと、暖房の使い始め、長期休館の前後の全体点検

資料と建物、相談先を分けて考える

カビが見つかったときに慌てないためには、「何を、誰に相談するか」をあらかじめ決めておくことが役立ちます。資料そのものの処置は保存修復の専門家、空調や除湿の設備は設備の保守を担当する業者、建物の壁・床・天井・棚のカビは除カビの専門業者、というように、役割を分けて考えると話が整理しやすくなります。

図2|資料と建物で分ける、カビ対策の役割分担。

それぞれの専門家が同じ記録を見ながら進められるよう、温湿度の記録、カビを見つけた場所の写真、いつから気になっているかをまとめておくと、どの相談先ともスムーズに話ができます。

建物側のカビ取りとMIST工法®でできること

書庫や収蔵庫の壁・床・天井・棚にカビが広がっている、拭いても同じ場所に何度も出る、においがこもって取れない――こうした場合は、表面の掃除だけでは追いつかないことがあります。

MIST工法®は、素材を削らない・こすらないカビ取りの方法です。霧状の専用剤を、カビの状態や素材に合わせてその都度調整し、素材の奥に入り込んだカビを分解・洗浄します。仕上げに防カビ処理を行い、カビが発生しにくい状態に整えます。使用する剤は、一般的な処理剤に多い酸性液ではなくアルカリ性液で、研修・試験に合格した施工者が施工します。木部の多い建物でも、素材を傷めにくい方法を現地で検討します。

これまでにも、神社仏閣・文化財の建物など、素材を大切に扱う必要がある現場のご相談をいただいています。また、防カビアドバイスとして、現地の環境を調査して原因を分析し、書架の配置や換気、設備の使い方について助言することもできます。

こんなときは、一度ご相談ください

  • 閉架書庫や収蔵庫の奥が、いつもカビ臭い
  • 外壁際や最下段の本・箱に、しみや黒い点が出ている
  • 暖房の使い始めに、窓や壁で結露が目立つ
  • 地下の書庫で、除湿機を回しても湿っぽさが取れない
  • 長期休館や改修の前に、建物側の状態を確かめておきたい

写真を見ながらのご相談や、現地調査・カビ菌検査のご依頼も承っています。全国のMISTグループで対応しています。

📞 0120-052-127(フリーダイヤル)お問い合わせフォーム

施設管理者の進め方|閉館日・区画分け・記録

収蔵施設のカビ取りでは、資料を守りながら、利用者や業務への影響を小さくする段取りが大切です。当社では、おおむね次の流れで進めます。現場の状況によって工程が前後することがあります。

  1. ご相談・写真の共有:場所・広さ・いつから・どんなときに気になるかをお聞きします。
  2. 現地調査:カビの範囲、素材、結露や漏水などの原因、空調の運用を確認します。必要に応じてカビ菌検査も行います。
  3. 資料の移動と養生の計画:どの資料を、誰が、どこへ移すかを館のご担当者さまと決めます。
  4. 区画と日程の計画:書架の列や部屋ごとに区切り、閉館日や休館日を使う順番を決めます。
  5. 除カビ・防カビ処理:区画ごとにMIST工法®で施工し、終わった区画から順に戻します。
  6. 確認と記録:施工前後の写真や検査結果を記録し、今後の環境管理に生かします。
図3|閉館日を使って区画ごとに進める、収蔵施設のカビ取りの流れ。

落下菌検査は30〜60分程度で採取でき、部屋どうしや施工前後を比べる材料になります。同定検査は寒天スタンプで採取して培養し、カビの種類を確定する方法です。館内での報告や、予算の検討の資料としてお役立ていただけます。公立施設のご相談は公共施設のカビ取りもあわせてご覧ください。

よくあるご質問

Q. カビが生えた本や古文書は、カビ取り業者に処置してもらえますか?

A. 資料そのものの処置は、紙・木・布など素材ごとの知識が必要なため、保存修復の専門家や、館の学芸員・司書の方にご相談いただくのが一般的です。当社が担当するのは、資料を保管している書庫・収蔵庫の壁・床・天井・棚など、建物側の除カビと防カビ処理、原因の確認です。資料の移動や保護の方法も、館のご担当者さまと事前に確認しながら進めます。

Q. 書庫や収蔵庫の温度・湿度は、何%にすればよいですか?

A. 目安とされる値は、資料の種類や館の方針、保存の考え方によって異なります。当社から一律の数値をお示しすることはできませんので、保存の専門家や館の基準に従ってください。そのうえで、温湿度を記録して「急に変わる時間帯」や「場所ごとの差」を確かめることが、カビ対策の出発点になります。

Q. 閉館日や休館日だけで施工できますか?

A. 範囲や場所によっては、書架の列や部屋ごとに区切り、閉館日・休館日や開館前後の時間を使って進められる場合があります。資料をどこへ移すか、どこを養生するかを含めて、現地調査のうえでご担当者さまと相談して決めます。

Q. 公立の図書館や資料館でも相談できますか?

A. はい。公共施設のカビ取りにも対応しています。法人・団体さまのご相談は「法人・業者様のお問い合わせ」から承っています。ご予算や手続きの進め方は施設ごとに異なりますので、まずは状況をお聞かせください。

Q. カビ菌検査で、資料が安全かどうかわかりますか?

A. カビ菌検査は、健康への影響や資料の安全性を判定するものではありません。落下菌検査は30〜60分程度で空気中から落ちてくる菌を採取し、場所どうしや施工前後を比べる材料になります。同定検査は寒天スタンプで採取して培養し、カビの種類を確定します。状況を記録として残し、館内で共有する資料としてお役立てください。

Q. 職員が作業中に体調を崩さないか心配です。

A. 体調に不安がある場合は、医療機関にご相談ください。カビが見つかった場所での作業は、マスクや手袋を使い、換気をしながら短時間にとどめるなど、館の安全ルールに沿って無理をしないことが大切です。広い範囲の処置は専門業者にお任せください。

まとめ

  • 資料館・図書館・収蔵庫のカビ対策は、資料そのものの処置と、建物・環境の対策を分けて考える
  • 資料の処置は保存修復の専門家や館の担当者へ。自己判断で拭く・薬剤をかけるのは避ける
  • 外壁際・最下段・空調まわり・窓・地下の書庫は、結露とカビが起きやすい場所
  • 温湿度の目標値は館の基準に従い、場所ごとの差や急に変わる時間帯を記録で確かめる
  • 建物側のカビ取りは、区画分けと閉館日の施工で、資料を守りながら進められる場合がある

冬の結露が本格化する前に、まずは書庫の外壁際と、いちばん下の段をのぞいてみてください。気になる場所があれば、写真を撮ってお気軽にご相談ください。

「書庫のカビ臭さが気になる」「資料を守りながら建物のカビ取りを進めたい」とお考えの施設ご担当者さまは、お気軽にご相談ください。現地調査・カビ菌検査・MIST工法®による除カビと防カビ処理については、MIST工法®とは/カビ菌検査/サービス内容と料金 をご覧ください。ご相談はお問い合わせ、工務店・管理会社など法人さまは法人・業者様のお問い合わせ、お電話は 0120-052-127 まで。

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