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クッションフロアのカビが再発する理由|裏側に水が入る3つの入口と、張り替えの正しい順番

 

※この記事は2026年9月に、文部科学省「カビ対策マニュアル」、国土交通省の公開資料、東京都保健医療局の公開情報をもとに内容を全面的に見直しました。

トイレや洗面所、キッチンのクッションフロアに黒い点が出て、拭いてもしばらくすると同じ場所に戻る。張り替えたのに1年で再発した。こうした相談が多いテーマです。結論から言うと、クッションフロアのカビが再発するのは、カビの居場所が表面ではなく「裏側」(発泡層・接着剤・下地)にあり、水の入口を止めずに上から処置しているからです。

この記事では、クッションフロアの構造と水が入る3つの入口、拭いたあとの「戻り方」でカビの居場所を見分ける方法、表面のカビを自分で落とす手順、裏側に回っているときの順番(原因→下地→張り替え)、賃貸での負担の考え方を、文部科学省のカビ対策マニュアルと国土交通省の資料をもとに整理します。

この記事で分かること

  • クッションフロアの3層構造と、水が入る3つの入口(継ぎ目・水回りの根元・家具の下)
  • 拭いたあとの戻り方で分かる、カビの居場所(表面/裏側/下地)
  • 表面のカビを自分で落とす手順と、塩ビに塩素系を使うときの注意
  • 張り替えても再発する理由と、正しい順番
  • 賃貸で誰の負担になるか(国交省ガイドラインの考え方)

1. 結論:再発するのは「裏側」にいるから。順番は原因→下地→張り替え

先に要点を3つにまとめます。

要点 内容 根拠
表面の塩ビは水を通しにくいが、継ぎ目・端部・水回りの根元から裏側に水が入る 裏の発泡層や裏打ちは一度濡れると乾きにくく、接着剤と下地合板が栄養になる 国総研 メンテナンスガイドライン(部位内結露は発見が遅れ乾きにくい)
拭いて2〜4週間で同じ場所に戻るなら、裏側に残っている 表面を拭いただけでは裏側は変わらない。除菌だけでは環境を改善しない限り繰り返す 文科省 カビ対策マニュアル 実践編3-6
張り替えは「水を止めて、下地を乾かしてから」 上から張り替えると、新しいシートの裏で同じことが起きる。継ぎ目と端部のシールも必要 当社の施工の型

2. クッションフロアの構造と、水が入る3つの入口

クッションフロアは、①塩ビの表面層、②発泡層と裏打ち(不織布や紙)、③接着剤と下地(合板やモルタル)の3層でできています。表面の塩ビは水を通しにくいので、「クッションフロアはカビに強い」と言われますが、それは表面だけの話です。東京都保健医療局は、プラスチックのようにカビの栄養にならなそうなものでも、汚れがあればカビは生えるとしています。表面には皮脂とホコリ、裏側には接着剤と合板という栄養があります。

図1 表面は水を通しにくいが、継ぎ目・端部・水回りの根元から裏側に水が入る

水が入る入口は主に3つです。

  • 継ぎ目(ジョイント)と壁際の端部。拭き掃除の水や結露水が毎回わずかにしみ込み、裏打ちにたまります。トイレの便器まわりや洗面所の入口の継ぎ目が典型です。
  • 便器・洗面台・洗濯機の根元。目に見えないほどの漏水や結露が長期間続き、シートの下で広がります。表面に出てくるのはかなり進んでからです。
  • 家具・冷蔵庫の下。空気が止まり、床面との間で結露します。動かしたときに初めて気づくパターンです。

国土交通省 国総研の「木造住宅の長期使用に向けたメンテナンスガイドライン」は、部位の内部で起きる結露は発見が遅れるうえに乾燥しにくく、最も厄介な水分供給の一つだとしています。クッションフロアの裏側は、まさにこの「部位内」です。

3. 拭いたあとの「戻り方」で、カビの居場所が分かる

カビが表面にいるのか裏側にいるのかは、めくらなくても、拭いたあとの様子でかなり分かります。

図2 「拭いて2〜4週間で同じ場所に戻る」が裏側のサイン。「床が沈む」は腐朽菌の可能性で、カビ取りでは止まらない
拭いたあとの様子 カビの居場所 対応
落ちて、1か月以上戻らない 表面だけ 湿度と掃除の頻度で維持する
黒ずみが残るが広がらない 表面に色素が残っている(文科省:色素と着色胞子の除去は困難) 見た目の問題。広がらなければ張り替えを急がない
同じ場所に2〜4週間で戻る 裏側(発泡層・接着剤)に残っている めくって下地を確認し、水の出所を止める
継ぎ目や端から黒く広がる、浮く、ふくらむ 下地まで水が回っている 漏水・結露の調査→下地を乾かす→張り替え
床がふかふかする、沈む 下地合板の腐れの可能性(腐朽菌はカビとは別の生物) 早めに専門家へ。カビ取りでは止まらない

「床が沈む」だけは別扱いです。国土交通省 官庁営繕部の資料では、木材を分解する腐朽菌とカビは別の生物で、腐朽菌は木材の成分そのものを栄養にして強度を落とします。詳しくは素材で変わるカビの入り方で説明しています。

4. 表面のカビを自分で落とす手順

戻り方が「表面だけ」なら、自分で処置できます。文部科学省のマニュアルの考え方(保護具・噴霧不可・一方向・記録)を床に置き換えた手順です。

  1. 記録する。写真と日付。次回「戻ったかどうか」を判断する基準になります。
  2. 保護具と換気。マスクと手袋。トイレや洗面所は窓を開けるか換気扇を回します。
  3. 乾いた状態でホコリを取る。いきなり水拭きすると、胞子と汚れを継ぎ目に押し込みます。先に乾拭きか掃除機(排気が胞子を舞い上げないよう、床に近い位置でゆっくり)。
  4. 中性洗剤で拭く。薄めた中性洗剤を布に含ませ、一方向に拭きます。往復でこすらない。スプレーで直接吹きかけない(噴霧は胞子を広げるため、マニュアルは不可としています)。
  5. 残る黒ずみに、目立たない場所で試してから塩素系。塩素系(次亜塩素酸ナトリウム)は塩ビを変色させたり、つやを落としたりすることがあります。使うならまず目立たない場所で試し、布に含ませて短時間、そのあと水拭きを2回。酸性洗剤(トイレ用など)やエタノールと混ぜると塩素ガスが出ます(国民生活センター 2026年3月18日)。トイレでは酸性のトイレ用洗剤と同じ日に使わないでください。
  6. 継ぎ目と端部を乾かす。拭いたあと、継ぎ目と壁際を乾いた布で押さえ、水を残しません。ここに水を残すのが「裏側に入れる」行為です。

これで落ちて1か月戻らなければ表面だけでした。戻ったら、次の章です。

5. 張り替えても再発する理由と、正しい順番

図3 張り替えは3番目。水を止めて下地を乾かす前に張ると、新しいシートの裏で同じことが起きる

張り替えてすぐ再発する相談のほとんどは、順番が「カビを見つける→上から張り替える」になっています。文部科学省のマニュアルが言うように、除菌だけでは十分な処置とならず、環境(この場合は裏側の水分)を改善しない限り繰り返されます。正しい順番は次のとおりです。

順番 やること 飛ばすとどうなるか
1. 水の出所を止める 便器・洗面台・洗濯機まわりの漏水と結露、継ぎ目からの掃除の水を確認する。家具の下なら配置を変える 新しいシートの裏に同じ水が入る
2. めくって下地を確認し、乾かす 下地合板の変色・湿り・ふかつきを見る。湿っていれば完全に乾くまで張らない(数日〜数週間) 湿った下地に密閉して張ると、裏側でカビが育つ
3. 下地を処置する 表面のカビは除去し、腐れがあれば合板を交換する カビや腐れを閉じ込める
4. 張り替え、継ぎ目と端部をシールする 継ぎ目処理剤と壁際のコーキングで水の入口をふさぐ 次に水が入る入口が残る

「一部だけ張り替えたい」という相談も多いのですが、部分張り替えは継ぎ目が増えるので、水の入口も増えます。部分でやるなら、継ぎ目の処理を丁寧に行うことが条件です。

6. 賃貸の場合:誰の負担になるか

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、床のシミ・カビについて、飲み物などをこぼすこと自体は通常の生活の範囲だが、その後の手入れを怠ったことにより発生・拡大したシミ・カビは借主負担の例に挙げています。壁の結露と同じで、「気づいていたのに放置した」かどうかが分かれ目です。

一方で、便器や配管からの漏水など建物側の原因で裏側にカビが出た場合は、入居者だけでは対応できません。写真と日付の記録を添えて、早めに管理会社・貸主に伝えてください。通知していた記録があるかどうかで、負担の話が変わります。

7. 再発させないための習慣

習慣 理由
拭き掃除のあと、継ぎ目と壁際を乾拭きする 水の入口に水を残さない
トイレ・洗面所は換気扇を回し続けるか、使用後しばらく回す 床面の結露と湿気だまりを減らす
洗濯機・冷蔵庫の下を年に1〜2回のぞく 家具の下は空気が止まり、気づくのが遅れる
便器や洗面台の根元が湿っていないか月1回触る わずかな漏水は表面に出るまで時間がかかる
湿度計を置き、60%を超える時間を減らす 文科省の目安。厚労省の基準は40〜70%

8. よくある質問

Q. クッションフロアの裏側のカビは、自分で確かめられますか。

壁際の端が浮いている場合は、そこから少しめくって裏打ちの色と湿りを見ることはできます。ただし、接着されている部分を無理にはがすとシートが破れ、張り替えが前提になります。戻り方(第3章)で見当をつけてから、めくるかどうかを決めてください。

Q. 防カビスプレーを塗っておけば再発しませんか。

表面に生えにくくする加工は、裏側に入った水と栄養には届きません。再発の原因が裏側にある場合、表面の防カビは効き目の出しようがありません。水の入口をふさぐ(継ぎ目・端部のシール)ほうが先です。

Q. UVランプや除湿機は効きますか。

除湿機は新しい発生を抑える方向に働きます(相対湿度60%以下が目安)。ただし、すでに裏側にある水分と発生源を消すものではありません。UVランプは表面に当たった部分にしか作用せず、シートの裏側には届きません。この記事では効果の数値を示す公的資料を確認できなかったため、数字は書きません。

Q. 張り替えの費用はどのくらいですか。

下地の状態と水の出所の処置の有無で大きく変わるため、当社が一律の金額を示すことはできません。「上から張るだけ」の見積もりと、「下地を乾かして処置してから張る」見積もりは別物です。再発の相談は、後者で比較してください。

9. まとめ

クッションフロアのカビが再発するのは、居場所が裏側にあり、水の入口を止めずに上から処置しているからです。拭いて2〜4週間で戻るなら裏側、床が沈むなら腐朽菌の可能性。順番は、水の出所を止める→下地を乾かして処置する→張り替えて継ぎ目と端部をシールする。この順番を守れば、同じ場所で繰り返すことはなくなります。

張り替えても戻る床のカビは、下地と水の出所から

MIST工法®カビバスターズ本部では、床材をめくる前に検査で範囲を確かめ、漏水・結露の出所を止めてから下地を処置しています。「張り替えたのに再発した」段階でのご相談も承ります。

参考資料

  • 文部科学省「カビ対策マニュアル」基礎編・実践編・Q&A(色素と着色胞子の除去は困難/噴霧器不可/保護具/除菌だけでは繰り返す/60%以下)
  • 国土交通省 国土技術政策総合研究所「木造住宅の長期使用に向けたメンテナンスガイドライン」(部位内結露は発見が遅れ乾燥しにくい)
  • 国土交通省 大臣官房官庁営繕部「木材を利用した官庁施設の適正な保全に資する整備のための留意事項」資料編(腐朽菌とカビの違い)
  • 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(手入れを怠ったことにより発生・拡大したシミ、カビ)
  • 東京都保健医療局「食品衛生の窓」カビQ&A(プラスチックまで栄養になる/湿度70%以上・10〜30℃)
  • 国民生活センター「住宅用塩素系洗浄剤の使い方」(2026年3月18日)
  • 厚生労働省「建築物環境衛生管理基準」(相対湿度40〜70%)

※本記事は公的機関の公開情報をもとに一般的な情報を提供するもので、個々の住宅の状態や費用、賃貸契約の判断を保証するものではありません。症状に関する判断は医療機関にご相談ください。