10月も後半になると、朝晩の冷え込みとともに、鍋料理や煮込み料理、温かい汁物をつくる機会が増えてきます。そのぶん、キッチンでは毎日たくさんの湯気が出るようになり、冷えてきた窓や外壁側の壁では結露も始まる時期です。「吊戸棚を開けたらカビ臭い」「キッチンの窓のパッキンが黒い」「冷蔵庫を動かしたら裏の壁が黒くなっていた」――年末の大掃除を前に、こうしたご相談が増えてきます。今回は、食品の傷みではなく建物側(棚・窓・壁・床)に出るキッチンのカビに絞って、湯気と温度差がつくる場所と、今のうちにできる見直しを整理します。
結論|キッチンのカビは「湯気の行き先」と「冷える面」が重なる場所に出る
キッチンでカビが出やすいのは、調理の湯気が上がってたまる場所と、外気で冷やされて結露しやすい面が重なるところです。具体的には、吊戸棚の上・中・裏、窓・サッシ・窓台、そして冷蔵庫の裏と横の壁の3か所が代表的です。いずれも、ふだんの掃除で目が届きにくい場所です。
対策の基本は、①換気扇を調理の前から回し、終わったあともしばらく回すこと、②空気の入口(給気口)をふさがないこと、③物を詰め込みすぎず、壁との間に空気の通り道をつくることです。暖房を使い始め、窓を開ける機会が減っていく今の時期に見直しておくと、冬のあいだの結露とカビを抑えやすくなります。すでに奥まで入り込んだカビは、年末の大掃除まで待たずに早めに状態を確かめておきましょう。
キッチンで湯気と温度差がつくる3つの場所
キッチンは、家の中でも湿気が多く出る場所のひとつです。お湯を沸かす、煮る、蒸すといった調理のたびに湯気が出ますし、ガスコンロの場合は燃焼によっても水蒸気が出ます。食器洗いや水切りかごの水分も加わります。この湿気が、冷えた面や空気の動かない場所にとどまると、カビにとって都合のよい環境になります。
吊戸棚の上・中・裏
湯気は暖かい空気とともに上へ上がるため、コンロの近くにある吊戸棚のまわりには湿気が集まりやすくなります。吊戸棚と天井のすき間、棚の奥の壁側、扉の内側の上部などは、空気が動きにくく乾きにくい場所です。中に乾物や紙袋、使っていない調理器具を詰め込んでいると、さらに湿気がこもります。棚の中に入れた物の裏側や、棚板の角に白や黒の点が出ていないか、ときどき確認してみてください。
窓・サッシ・窓台
キッチンの窓は、流し台やコンロの近くにあることが多く、湯気が直接あたりやすい場所です。外が冷え込む朝晩は、ガラスやサッシの表面温度が下がり、湯気を含んだ空気がふれると結露になります。水滴が窓の下に流れてパッキンや窓台にたまり、そのまま乾かないと黒ずみが出てきます。窓台が木製の場合や、窓の下の壁紙がはがれかけている場合は、水が奥まで入っていることもあります。
冷蔵庫の裏と横の壁
冷蔵庫は一度置くとほとんど動かさないため、裏や横の壁、床とのすき間は長いあいだ見ることがありません。風が通りにくく、ほこりもたまりやすい場所です。冷蔵庫を置いている壁が外壁に面していると、冬は壁の表面が冷えて結露しやすくなり、カビが出る条件が重なります。冷蔵庫の設置スペース(壁との間のすき間)は、放熱のためにも取扱説明書に書かれた条件を守ることが大切です。
| 場所 | カビが出やすい理由 | 見ておきたいポイント |
|---|---|---|
| 吊戸棚の上・中・裏 | 湯気が上がってたまり、空気が動きにくい | 天井とのすき間、棚の奥の壁側、扉の内側上部、しまった物の裏 |
| 窓・サッシ・窓台 | 冷えた面に湯気がふれて結露する | パッキンの黒ずみ、窓台のしみ、窓下の壁紙のはがれ・浮き |
| 冷蔵庫の裏と横の壁 | 動かさず風が通らない、外壁側だと冷える | 横からのぞいた壁の黒ずみ、床のしみ、こもったにおい |
| レンジフード周辺の壁・天井 | 湯気と油が付着し、汚れが湿気を抱える | フードの横や上の壁紙の変色、天井のしみ |
| 外壁側の壁と床の角 | 冷えやすく、ゴミ箱やストックで覆われがち | 物をどけた角の黒ずみ、巾木(はばき)まわり |
流し台の下(シンク下)の収納や配管まわりのカビは、給排水管の結露や小さな水漏れが関係していることがあり、今回とは原因の考え方が異なります。ぬれている・しみがある場合は、先に水の出どころを確認してください。
換気扇の使い方を見直す|調理の前から、終わったあとまで
キッチンの湿気対策で、いちばん効果を実感しやすいのが換気扇の使い方です。湯気が出てからスイッチを入れる、火を止めたらすぐに止める、という使い方では、出てきた湯気の一部が部屋に残り、吊戸棚や窓のほうへ流れていきます。
また、換気扇は「空気を外へ出す」設備です。部屋が閉め切られていて空気の入口がないと、思ったほど湯気が外に出ていかないことがあります。寒い季節は給気口を閉じてしまいがちですが、キッチンを使うあいだは給気口を開ける、近くの窓を少しだけ開けるなど、空気の通り道をつくってあげましょう。24時間換気のある住まいでは、スイッチを切らずに使い続けることも大切です。
レンジフードのフィルターが油やほこりで目づまりしていると、換気の力が弱まることもあります。お手入れは取扱説明書に沿って行い、年末を待たずに今の時期に一度済ませておくと安心です。
自分でできる確認と掃除の手順
次の手順で、上から下へ、奥から手前へと見ていきましょう。
- 吊戸棚の中の物をいったん出す:棚板・奥の壁・扉の内側を明るいライトで照らして確認します。
- 吊戸棚の上と天井のすき間を見る:踏み台を使う場合は安定した物を選び、無理な姿勢をとらないようにします。
- 窓まわりを確認する:ガラスだけでなく、パッキン・サッシの下・窓台・窓下の壁紙まで見ます。
- 冷蔵庫の横からのぞく:動かさずに、懐中電灯で裏の壁と床を照らします。
- 気になる所を写真に残す:全体と近くの2枚を撮っておくと、あとで相談するときに役立ちます。
- 拭いて落ちる汚れだけを掃除する:掃除のあとは扉を開けたまま、しっかり乾かします。
市販のカビ取り剤を使うときは、必ず製品表示に従ってください。異なる種類の洗剤を混ぜない、換気をする、手袋やゴーグルで保護する、食器・食品・調理器具を先に出しておく、火を使う場所の近くで使い方に注意するなど、キッチンならではの配慮が必要です。高い所の作業や冷蔵庫の移動は、けがにつながらないよう無理をしないでください。
反対に、やめておきたいのが「強くこする」「削る」ことです。棚板の化粧材や窓台の木部、壁紙は、こすると表面が傷むことがあります。落ちないカビは、次の節の目安を参考に相談も考えてみてください。
表面の汚れか、奥まで入ったカビか|専門業者に相談する目安
キッチンでは、油汚れやほこりの黒ずみとカビが混ざって見えることがよくあります。素材の奥まで入り込んだカビは、表面をきれいにしても時間がたつと同じ場所に戻ってくることがあります。
| 確認すること | 自分で対応しやすい | 相談を考えたい |
|---|---|---|
| 拭いたとき | 拭き取ると色が落ちる | 拭いても色が残る・すぐ戻る |
| 範囲 | 点状で、ごく一部 | 棚全体や壁一面に広がっている |
| 素材 | ガラス・金属・樹脂の表面 | 木部・壁紙・石膏ボードにしみ込んでいる |
| におい | 掃除と換気で気にならなくなる | 扉を開けるたびにカビ臭い |
| 壁や床の状態 | 変化がない | 壁紙のはがれ・浮き、床のしみ・ふやけ |
MIST工法®は、素材を削らない・こすらないカビ取り技術です。霧状の専用剤をカビの状態や素材に合わせてその都度調整し、素材の奥に入り込んだカビを分解・洗浄したうえで、防カビ処理を行って予防します。使用する剤は、一般的な処理剤に多い酸性液ではなく、アルカリ性液です。施工は、研修・試験に合格した施工者が行います。吊戸棚の木部や窓台、冷蔵庫裏の壁紙のように、傷めたくない素材のカビ取りにも対応しています。
あわせて、現地の環境を調査して原因を分析し、換気の方法や家具・家電の配置などについて助言する防カビアドバイスも行っています。見えない範囲の状態を確かめたい場合は、カビ菌検査(落下菌検査・同定検査)で、施工前後や部屋どうしを比べることもできます。
こんなときは、一度ご相談ください
- 吊戸棚を開けるたびに、カビ臭さが気になる
- 吊戸棚の棚板や奥の壁に、拭いても消えない黒ずみがある
- キッチンの窓台や窓下の壁紙が黒い、はがれてきた
- 冷蔵庫の裏や横の壁に、広い範囲のカビが見える
- 年末の大掃除やリフォームの前に、状態を確かめておきたい
写真を見ながらのご相談や、現地調査・カビ菌検査のご依頼も承っています。全国のMISTグループで対応しています。
料金の目安と、キッチンまわりの考え方
キッチンの壁紙(室内壁面クロス)のカビ取りは、料金の目安が1,500円〜/㎡(税別)です。ただし、実際の金額は範囲・素材・環境によって大きく異なるため、現地調査のうえでお見積もりします。吊戸棚の内部や窓台の木部など、素材や形が複雑な場所は、現地で状態を確認してからご説明します。
| 素材・場所 | 考え方の目安 | あわせて検討したいこと |
|---|---|---|
| 壁紙(クロス) | 表面のカビで下地が傷んでいなければ、カビ取りで残せる場合がある | はがれ・浮きがある場合は下地の状態を確認 |
| 吊戸棚の棚板・扉の内側 | 化粧材を削らずに処理できるかを現地で判断 | 中の物の量、湿気のこもり方の見直し |
| 木製の窓台 | 表面〜浅い黒ずみは残せる場合がある | 結露水のたまり方、パッキンの劣化 |
| 冷蔵庫裏の壁・床 | 範囲と素材の傷みを確認してから判断 | 設置スペース、外壁側かどうか |
上の表は一般的な目安です。実際に残せるかどうか、どの範囲を処理するかは、現地で素材の状態・範囲・原因を確認したうえで判断します。料金の詳細はサービス内容と料金をご覧ください。
カビで傷んだ壁紙や窓台の補修まで一緒に考えたい場合は、MIST工法®による除カビから内装の修繕までを一貫して行うグループ代理店「カビ取リフォーム」(関東・関西・東海)もあります。キッチンのリフォームを予定している場合は、仕上げを新しくする前にカビ取りを済ませておくと安心です。
年末の大掃除までの段取り|カビは暖かいうちに
年末の大掃除では、レンジフードやコンロの油汚れに時間がかかりがちです。カビの確認と対策は、それよりも前に済ませておくのがおすすめです。寒くなるほど窓を開けての作業や、掃除のあとの乾燥がしにくくなるためです。
10月後半〜11月前半は「見つける」「使い方を直す」時期、11月中旬以降は「自分で落とせる汚れ」と「相談したいカビ」を分けて考える時期、12月は油汚れやほこりの掃除に集中する時期、と分けると無理がありません。専門業者への相談も、年末が近づくと日程の調整に時間がかかることがあるため、気になる場所は早めにご相談ください。飲食店の厨房など業務用のキッチンの場合は、店舗・事務所のカビ取りもご覧ください。
よくあるご質問
Q. 吊戸棚の中に白っぽい点や黒い点があります。拭けば大丈夫ですか?
A. 中の物をいったん出し、乾いた状態で表面の汚れを拭き取ってよく乾かせば、落ちる場合もあります。ただし、棚板の角や奥の壁側、板の継ぎ目にしみ込んでいる場合は、拭いてもすぐに戻ることがあります。市販の薬剤を使うときは製品表示に従い、食器や食品を出してから、換気をしながら行ってください。
Q. 冷蔵庫の裏を確認したいのですが、自分で動かしてもよいですか?
A. 冷蔵庫は重く、床を傷つけたり、転倒やけがにつながったりするおそれがあります。無理に動かさず、まずは横のすき間から懐中電灯でのぞく程度にとどめるのがおすすめです。動かす必要がある場合は、取扱説明書を確認し、複数人で行うか、家電の設置に慣れた方に相談してください。
Q. 換気扇は、調理のあとどのくらい回しておけばよいですか?
A. 機種や間取りによって違うため、一律の時間はお伝えしにくいのですが、火を止めてすぐに止めるのではなく、湯気やにおいが落ち着くまでしばらく回しておくのがおすすめです。あわせて、給気口を開けるなど、空気の入口をつくっておくと湯気が外に出やすくなります。
Q. キッチンの窓の結露は、毎朝拭いていれば大丈夫ですか?
A. こまめに拭くのは大切な習慣です。ただ、ガラスだけを拭いてパッキンや窓台、窓下の壁に水が残っていると、そこからカビが出ることがあります。拭くときはサッシの下や窓台までふき取り、調理中の換気扇の使い方もあわせて見直してみてください。
Q. 年末の大掃除で一気に片付けるのでは遅いですか?
A. 油汚れやほこりの掃除は年末でも構いませんが、カビは寒くなってからだと換気や乾燥がしにくくなります。10月後半〜11月のうちに場所を確認し、自分で落とせる汚れと、専門業者に相談したいカビを分けておくと、大掃除も進めやすくなります。
Q. 賃貸住宅のキッチンにカビが出た場合は、どうすればよいですか?
A. ご自身で業者を手配する前に、まず管理会社や貸主へ連絡することをおすすめします。発生した場所・範囲・気づいた時期がわかる写真を残しておくと、状況を説明しやすくなります。費用の負担などは契約内容によって異なるため、管理会社とご相談ください。
まとめ
- キッチンのカビは、湯気の行き先と冷える面が重なる「吊戸棚・窓まわり・冷蔵庫の裏」に出やすい
- 換気扇は調理の前から回し、終わったあともしばらく回す。給気口など空気の入口もふさがない
- 吊戸棚の詰め込み、冷蔵庫と壁のすき間不足など、空気が動かない状態を見直す
- 拭いても戻る・広い・素材にしみ込んだカビは、削らずこすらないMIST工法®での対応を相談
- カビの確認と対策は、寒くなる前、年末の大掃除より前に済ませておくと進めやすい
毎日使うキッチンだからこそ、湯気の出し方と空気の通り道を少し見直すだけで、冬のあいだの状態が変わってきます。まずは今週、吊戸棚の扉を開けて、中と上をのぞいてみてください。
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