10月は、夏物をしまって秋冬物を出す衣替えの季節です。「久しぶりに出したコートに白い粉のようなものが付いていた」「押入れから出したセーターがカビ臭い」。毎年この時期になると、こうしたご相談が増えてきます。夏の高い湿度と、秋の長雨や台風のあとの湿気を、閉め切った収納がじっと抱えていたことが原因のひとつです。今回は、衣類そのものの洗い方は要点だけにとどめ、クローゼット・押入れという「収納そのもの」のカビをどう確かめ、どう直すかに重点を置いて、しまう前・出したあとの手順を整理します。
結論|服を洗うだけでなく、クローゼット・押入れ自体を確かめる
衣替えで出した服にカビやにおいがあったときは、服を洗う(または洗濯表示に従ってクリーニング店に相談する)と同時に、その服が入っていたクローゼットや押入れの壁・床・棚板・背面を確認することが大切です。服だけをきれいにしても、収納の中に湿気やカビが残っていれば、次にしまった服にも同じことが起こりやすくなります。
特に、外壁に面したクローゼット、北側の部屋の押入れ、物を詰め込んだ収納は、夏のあいだに湿気がこもりやすい場所です。衣替えは、一年に二度、収納の奥までのぞける貴重な機会でもあります。秋の衣替えで中を空にしたタイミングで、収納の状態を点検し、環境を整えてから秋冬物をしまうのがおすすめです。
クローゼット・押入れが夏に湿気をためる理由
クローゼットや押入れは、扉を閉めている時間が長く、空気がほとんど動きません。夏は外の空気そのものが湿気を多く含んでいるうえ、汗を吸った衣類や、湿気を含んだ布団をしまうことで、収納の中に水分が持ち込まれます。さらに、秋の長雨や台風のあとは、家の中の湿度が高い日が続きやすくなります。
湿気がたまりやすいのは、収納の中でも空気が動かず、温度が低くなりやすい場所です。外壁に面した壁は外気の影響で冷えやすく、室内の湿った空気がふれると結露することがあります。床に近い下段や、奥の角、背面の板と衣類が密着している部分も、空気が入れ替わりにくく湿気が逃げにくい場所です。
| 場所 | 湿気がたまりやすい理由 | 起こりやすいこと |
|---|---|---|
| 外壁に面した壁・背面 | 外気で冷やされ、湿った空気がふれると結露しやすい | 壁紙やベニヤ板の黒い点、衣類の背中側のカビ |
| 床・下段の奥 | 冷えた空気がたまり、空気が動きにくい | 床板のしみ、収納ケースの底や布団の下側のカビ |
| 奥の角 | 扉を開けても空気が届きにくい | 角に沿った黒ずみ、こもったにおい |
| 中段の棚板の裏・上 | 布団や箱で覆われ、湿気を抱えたままになる | 棚板の裏の白い綿状のカビ、変色 |
| 衣類どうしのすき間 | 詰め込みで空気が通らない | 密着した部分だけのカビ、衣類全体のにおい |
衣替えで出した服にカビやにおいがあったときの確認の順番
カビに気づくと、まずは服をなんとかしたくなりますが、次のような順番で進めると、原因の見落としを防ぎやすくなります。
- ほかの衣類と分ける:カビのある服を、きれいな服と一緒にしないようにします。
- 状態を写真に残す:服のどこに出ているか(背中側・裾・一部だけなど)を記録すると、収納のどこが原因か推測しやすくなります。
- 収納の中を空にして確認する:壁・床・棚板・背面・角に、黒い点、白い綿状のもの、しみ、においがないかを見ます。
- 服は洗濯表示に従ってきれいにする:家庭で洗えないものはクリーニング店に相談します。
- 収納の環境を直してから戻す:乾燥・換気・配置の見直しを済ませてから、秋冬物をしまいます。
たとえば、背中側だけにカビが出ている服は、背面の壁に接していた可能性があります。下の方にしまっていた物だけにカビがある場合は、床に近い湿気が原因のことがあります。服のカビの出方は、収納のどこに湿気があるかのヒントになります。
服のカビは洗濯表示に従って|自分でできることと、任せたいこと
衣類のカビの落とし方は素材や色、汚れの程度によって大きく変わるため、ここでは一般的な注意点だけをまとめます。基本は洗濯表示に従うこと、そして迷ったらクリーニング店に相談することです。
| 衣類の種類 | 考え方の目安 | 注意したいこと |
|---|---|---|
| 家庭で洗える綿・化繊の服 | 洗濯表示に従って洗い、しっかり乾かす | 乾ききらないまましまわない |
| 白い綿などで、漂白できる表示のもの | 表示の範囲で漂白剤を使う方法がある | 塩素系は色柄物に使わない。酸性タイプと混ぜない |
| ウール・シルク・カシミヤ | クリーニング店に相談するのが安心 | 塩素系漂白剤は使えない素材がある |
| 革・毛皮・着物・礼服 | 専門のクリーニング店に相談する | 自己流で拭くとしみや変色の原因になることがある |
漂白剤や洗剤は、必ず製品の表示と洗濯表示を確認してから使ってください。カビのある衣類は、屋外に近い場所で扱い、室内で強くはたかないようにしましょう。
見落としがち|クローゼット・押入れ自体のカビをチェックする
服のカビに気づいたら、収納の中も必ず確認しましょう。中を空にし、扉を開けて明るくしてから、次の項目を見ていきます。懐中電灯やスマートフォンのライトで、奥の角や下段を照らすと見つけやすくなります。
チェックの結果、表面に小さな黒い点が少しある程度であれば、換気をしながら乾いた状態で拭き取り、よく乾燥させてから様子を見る方法があります。一方で、壁紙のはがれやふくらみ、床板のしみや柔らかさ、拭いても何度も戻る黒い点、扉を閉めるとすぐにこもるにおいがある場合は、表面だけでなく素材の奥までカビが入り込んでいたり、湿気の原因が別にあったりする可能性があります。
押入れの壁や床に多いベニヤ板・合板などの木材や、クローゼットの壁紙は、水分を含みやすい素材です。表面の色が消えても奥にカビが残ることがあり、強くこすると素材を傷めたり、胞子を周りに広げたりすることもあります。「拭いたら消えた」だけで判断しないことが大切です。
しまう前・出したあとの衣替えの手順
衣替えは、服を入れ替えるだけでなく、収納の点検と環境づくりをセットで行うと、次の季節に出すときの安心につながります。秋の衣替えでは、夏物をしまう前と、秋冬物を出したあとの両方で次の流れを意識してみてください。
- しまう前の服はきれいにして、よく乾かす:一度しか着ていない服でも、汗や皮脂が残っているとカビの栄養になりやすくなります。
- 晴れて空気が乾いた日に作業する:雨の日や雨上がりの湿った日は避け、窓を開けて作業します。
- 収納を空にして点検・拭き取り・乾燥:前の項のチェックを行い、扉を開けたまましばらく乾かします。
- 詰め込まずに戻す:ハンガーの間隔をあけ、収納ケースは壁から少し離し、床に直接布団を置かないようにします。
- 出した服も一度確認する:においや斑点がないかを見て、気になる服は洗濯表示に従ってきれいにします。
除湿剤だけに頼らない|収納環境の直し方
除湿剤は手軽で便利ですが、それだけで収納のカビ対策が完結するわけではありません。空気が動かない、壁が冷えて結露しているといった条件が残っていれば、除湿剤があってもカビが出ることがあります。よくある状態ごとに、見直したいポイントをまとめました。
| よくある状態 | 起こりやすいこと | 見直したいポイント |
|---|---|---|
| 外壁に面したクローゼット | 背面の壁が冷えて結露し、壁と接した衣類にカビ | 壁と衣類・ケースのあいだにすき間をつくる。すのこや壁から離す工夫 |
| 北側の部屋の押入れ | 日が当たらず、年間を通して湿気が抜けにくい | 晴れた日に扉を開けて換気。布団は定期的に干すか乾燥させる |
| ぎっしり詰め込んでいる | 空気が通らず、衣類どうしが湿気を抱え合う | 量を減らし、ハンガーの間隔をあける。使わない物は見直す |
| 除湿剤だけで対策している | 水はたまるが、カビやにおいが止まらない | 除湿剤は補助と考え、換気・配置・除湿機の使用とあわせる |
| 床に直接物を置いている | 床からの冷えと湿気で、底面にカビ | すのこやラックで床から浮かせ、下にも空気を通す |
| 扉を閉めたままの部屋 | 部屋全体の湿気が収納にこもる | 部屋の換気と、ときどき収納の扉を開けることを習慣に |
湿度計を収納の近くに置いておくと、体感ではなく数字で状態を確かめられます。雨が続いた日や、室内干しをした日に数値が上がりやすいなど、暮らしの中のパターンが見えてくると、換気や除湿のタイミングもつかみやすくなります。
これから冬に向けては、暖房の使い始めとともに、窓や外壁に面した壁での結露が気になり始める季節です。外壁に面した収納は、冬の結露でも湿気をためやすいので、秋のうちに配置を見直しておくと安心です。
自分で拭いても戻る・壁紙や床板まで広がるときは専門業者へ
拭き取りと換気を続けても同じ場所に黒い点が戻る場合や、壁紙・床板・棚板の広い範囲に広がっている場合は、素材の奥にカビが残っているか、結露や床下の湿気など別の原因が隠れていることが考えられます。こうしたときは、専門業者に相談して、範囲と原因をあわせて確認するのがおすすめです。
MIST工法®は、素材を削らない・こすらないカビ取り技術です。霧状の専用剤をカビの状態や素材に合わせてその都度調整し、木部やクロスの奥に入り込んだカビを分解・洗浄したうえで、防カビ処理を行います。使用する剤は、一般的な処理剤に多い酸性液ではなく、アルカリ性液です。押入れのベニヤ板や棚板、クローゼットの壁紙のように、削ると傷みやすい素材でも、素材を生かしたまま除カビを行える点が特長です。施工は研修・試験に合格した施工者が行います。
また、サービス内容と料金でご案内している防カビアドバイスでは、現地の環境を調査して原因を分析し、収納の配置や換気の方法などについても助言しています。範囲が見えにくい場合は、カビ菌検査で空気中のカビの状態を調べる方法もあります(落下菌検査は採取が30〜60分程度。寒天スタンプで採取して培養し、種類を確定する同定検査もあります)。
こんなときは、一度ご相談ください
- 衣替えのたびに、同じ収納から出した服にカビやにおいがある
- クローゼット・押入れの壁や棚板を拭いても、黒い点が戻ってくる
- 壁紙のはがれ・ふくらみ、床板のしみや柔らかさがある
- 収納だけでなく、部屋の壁や窓まわりにもカビが広がっている
- 外壁に面した収納や北側の押入れで、湿気の原因がわからない
写真を見ながらのご相談や、現地調査・カビ菌検査のご依頼も承っています。全国のMISTグループで対応しています。
費用は範囲・素材・環境によって大きく異なりますが、目安として、室内壁面のクロスは1,500円〜/㎡、築40年未満の和室木材部(6畳・天井除く)は120,000円〜(いずれも税別)です。実際の金額は現地調査のうえでお見積もりします。木造住宅でのご相談は木造住宅のカビ取り、実際の現場の様子はカビ取り・カビ対策施工例もご覧ください。
カビ菌検査は、健康被害の有無を判定するものではありません。体調に不安がある場合は医療機関にご相談ください。
よくあるご質問
Q. 衣替えで出した服にカビが生えていました。まず何をすればよいですか?
A. まずはほかの衣類と分けて、ベランダなど屋外に近い場所で状態を確認してください。そのうえで洗濯表示を見て、家庭で洗えるものは表示に従って洗い、よく乾かします。家庭で洗えないもの、ウールやシルク、革製品、大切な服は、クリーニング店に「カビがある」と伝えて相談するのが安心です。あわせて、その服が入っていたクローゼットや押入れの壁・床・棚板も確認しておきましょう。
Q. 服のカビは塩素系漂白剤で落としてもよいですか?
A. 塩素系漂白剤は色柄物や、ウール・シルクなど使えない素材があります。使えるかどうかは洗濯表示と製品の表示で確認してください。酸性タイプの製品と混ぜないことも大切です。判断に迷う服は、無理に自分で処理せずクリーニング店に相談するのがおすすめです。
Q. クローゼットの中がカビ臭いのですが、服を洗えば解決しますか?
A. 服を洗ってもにおいが戻る場合は、収納そのもの(壁・床・棚板・背面の板)にカビや湿気が残っている可能性があります。いったん中の物を出し、扉を開けて空気を入れ替えながら、壁の下の方や角、床板のしみを確認してください。拭いてもにおいや黒い点が戻る場合はご相談ください。
Q. 除湿剤を置いているのに、カビが出たのはなぜですか?
A. 除湿剤は湿気を吸う助けにはなりますが、詰め込みすぎで空気が動かない、外壁に面した壁が冷えて結露している、床下からの湿気が上がってくるといった原因までは解決できません。除湿剤の水がすぐにたまる場合は、それだけ湿気の多い環境だというサインとして受け止め、配置や換気の見直しもあわせて行ってください。
Q. 押入れのベニヤ板や壁紙のカビは、自分で拭いても大丈夫ですか?
A. 表面の小さな範囲であれば、乾いた状態で換気をしながら、固く絞った布などで拭き取る方法があります。ただ、木やクロスは水分を含みやすく、表面の色が消えても奥にカビが残ることがあります。こすると素材を傷めたり、胞子を広げたりすることもあるため、何度も戻る場合や広い範囲の場合は専門業者にご相談ください。
Q. カビの生えた服を着ても体に影響はありませんか?
A. 体への影響は、人によって、また状況によって異なるため一概には言えません。カビのある衣類は着用を控えてきれいにしてから使い、体調に不安がある場合は医療機関にご相談ください。
まとめ
- 衣替えで出した服のカビは、夏の湿気と秋の長雨の湿気を、閉め切った収納が抱えていたことが原因のひとつ
- 服は洗濯表示に従ってきれいにし、迷ったらクリーニング店に相談。塩素系漂白剤は色柄物に使わない
- 服と同時に、クローゼット・押入れの壁・床・棚板・背面・角を必ず確認する
- 外壁に面した収納、北側の押入れ、詰め込み、除湿剤だけに頼る状態は、環境から見直す
- 拭いても戻る、壁紙や床板まで広がっている場合は、素材を削らないMIST工法®での除カビ・防カビ処理をご検討ください
衣替えは、収納の奥までのぞける年に二度のチャンスです。秋冬物をしまい直す前に、収納そのものの状態を一度確かめてみてください。
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参考にした情報
「服は洗ったけれど、クローゼットや押入れはこのままで大丈夫?」と迷われたら、収納の写真を添えてお気軽にご相談ください。現地調査・カビ菌検査・MIST工法®による除カビと防カビ処理については、MIST工法®とは/カビ菌検査/サービス内容と料金 をご覧ください。ご相談はお問い合わせ、工務店・管理会社など法人さまは法人・業者様のお問い合わせ、お電話は 0120-052-127 まで。
