執筆:MIST工法®カビバスターズ本部(株式会社せら) 本記事の数値は公的機関・学会の公開資料にもとづいています。
施設別シリーズの第5回は高齢者福祉施設(介護施設)です。日本建築学会の規準(AIJES-A0002-2013)は、2013年の第2版で高齢者福祉施設を新たに対象に加えました。体の抵抗力が落ちやすい方が長く過ごす場所として、空気と水まわりの管理が重視されています。
今回は、公開されている国の資料で確認できる範囲で、介護施設の湿気・カビ・水まわりの管理を整理します。
この記事で分かること
- 介護施設で湿気とカビの管理が大切な理由
- 厚生労働省「介護現場における感染対策の手引き」で示される加湿器・浴室の管理
- 施設でカビが出やすい場所と点検の頻度
- 住まいの目安(1,000 CFU/m³)との関係
1. 結論:介護施設は「加湿器」「浴室」「換気」の3つを重点管理
- 厚生労働省の手引きでは、家庭用加湿器は毎日水を完全に換え、タンクを清掃することが示されています。
- 建物に組み込まれた加湿装置は、使用期間中1か月に1回以上点検、少なくとも1年に1回以上清掃し、使用開始時と終了時には水抜きと清掃を行います。
- 浴室は、ぬめり(生物膜)の除去も含めた衛生管理が求められています。
これらは主にレジオネラ症(細菌)の予防のための管理ですが、水がたまる・湿ったままになる場所をなくすという点で、カビ対策とも共通しています。
2. 手引きで示される水まわりの管理
| 対象 | 管理の内容 |
|---|---|
| 家庭用加湿器 | 毎日、タンクの水を完全に換え、タンク内を清掃する |
| 建物の加湿装置 | 使用期間中は1か月に1回以上点検し、必要に応じ清掃。少なくとも1年に1回以上清掃。使用開始時・終了時に水抜きと清掃 |
| 浴室 | 浴槽のお湯の交換、清掃・消毒をこまめに行い、ぬめりも除去する |
| 換気 | 介護現場の実情に応じて部屋の空気を入れ換える。嘔吐物などの処理時は窓を開けて十分に換気 |
3. 介護施設でカビが出やすい場所
- 居室の窓まわり・外壁側:冬の暖房と加湿で結露しやすい
- 浴室・脱衣室・機械浴の周り:湿気と水はね、ぬめり
- 加湿器・空調機の内部:水と汚れがたまる
- リネン庫・おむつなどの備品庫:物が多く空気が動かない
- ベッドの下・マットレスの裏:体温と湿気がこもる
冬は乾燥対策で加湿を強めがちですが、加湿しすぎると窓や壁で結露し、カビの原因になります。湿度計を見ながら加湿することが大切です。
4. 空気中のカビの目安との関係
日本建築学会の規準は高齢者福祉施設も対象に含んでいます。公開資料で確認できる住宅の目安は浮遊真菌1,000 CFU/m³以下で、介護施設はこれより低い水準で管理することが望ましいと考えられます。浮遊菌を測る場合は、居室と屋外を同じ日に測って比べると、室内に発生源があるかを判断しやすくなります。
5. よくある質問
Q. 介護施設の加湿器はどのくらいの頻度で掃除すればいいですか?
厚生労働省の手引きでは、家庭用加湿器は毎日タンクの水を完全に換えてタンク内を清掃すること、建物の加湿装置は使用期間中1か月に1回以上点検し、少なくとも1年に1回以上清掃することが示されています。
Q. 居室の窓の結露とカビを防ぐには?
湿度計を置いて加湿しすぎないようにし、朝のうちに結露を拭き取ります。家具やベッドを外壁に密着させず、定期的に換気します。
Q. 入居者の健康面が心配なときは?
体調の変化があれば、嘱託医や協力医療機関に相談してください。住まい側では、カビの発生源を見つけて取り除き、湿気を減らすことが基本です。
6. まとめ
- 介護施設は加湿器・浴室・換気を重点管理(厚生労働省の手引き)
- 加湿器は毎日水を換えて清掃、加湿装置は月1回以上点検・年1回以上清掃
- 加湿のしすぎは結露とカビの原因。湿度計を見ながら
次回は食品工場を取り上げます。
介護施設・福祉施設のカビのご相談は、法人のお問い合わせまたはフリーダイヤル 0120-052-127 へ。当社ではカビ菌検査で浮遊菌の測定も行っています。
参考資料(一次情報)
- 厚生労働省老健局「介護現場における感染対策の手引き(第3版)」 加湿器・加湿装置の管理頻度、浴室のぬめり(生物膜)除去、換気、レジオネラ症の感染源(循環式浴槽水、加湿器の水など)
- 日本建築学会「微生物による室内空気汚染に関する設計・維持管理規準・同解説(AIJES-A0002-2013)」 第2版で高齢者福祉施設を新たに対象に追加












