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カビと結露|湿度ではなく温度差の問題。対策の順番を間違えない

 

冬にカビが出る家があります。「乾燥する季節なのになぜ」と言われますが、部屋全体が乾いていても、冷たい面の表面だけは濡れている——それが結露です。

この記事では、結露がなぜ起きるのかを整理したうえで、結露によるカビが、湿気によるカビとどう違うか、そして対策の順番を示します。

結論

  1. 結露は「湿度が高いから」ではなく「表面が冷たいから」起きます。部屋の湿度計が50%でも、冷えた面では条件が成立します。
  2. だから対策の第一手は、除湿ではなく「冷たい面をなくすこと」です。順番を間違えると効きません。
  3. 結露によるカビは、出る場所が決まっています。窓まわり、北側の壁、押入れの外壁側、家具の裏。場所が限定的なら、まず結露を疑ってください。

結露が起きる仕組み

空気が抱えられる水蒸気の量には上限があり、その上限は温度で変わります。20℃の空気は1立方メートルあたり約17gまで水蒸気を持てますが、10℃では約9g、0℃では約5gしか持てません。

つまり、同じ空気でも冷やされれば抱えきれなくなり、あふれた分が水になります。この「水になり始める温度」が露点です。冷えたコップに水滴がつくのと同じ現象が、家の中では窓ガラスや壁の表面で起きています。

ここで大事なのは、部屋全体の湿度が低くても、冷たい面の近くでは局所的に条件が成立するという点です。仕組みをもう少し詳しく知りたい方は、結露はなぜ起きるのか|露点と飽和水蒸気量から見るカビの発生もあわせてご覧ください。

湿気によるカビと、結露によるカビの違い

同じカビでも、原因が違えば打つ手が変わります。見分け方を整理します。

  • 湿気が原因:部屋全体がじめつく/広い範囲に薄く出る/梅雨と夏に悪化する/湿度計が常に高い。→ 除湿と換気で対処します。
  • 結露が原因:特定の面だけに出る/窓際・北側の壁・外壁に面した押入れ/冬に悪化する/部屋の湿度計は高くない。→ 冷たい面を減らすことで対処します。

結露が原因なのに除湿機を回しても、あまり効きません。湿度を50%まで下げても、表面温度が露点を下回っていれば水は出るからです。逆に、窓に断熱シートを貼るだけで止まることがあります。

夏にも結露は起きる

結露は冬の現象だと思われがちですが、夏にも起きます。夏型結露と呼ばれるものです。

外の高温多湿な空気が壁の内部や床下に入り込み、冷房で冷えた面に触れて結露します。冬とは逆に、外から内へ向かって起きる。

とくに床下では、夏場の地温の影響で外気より温度が低くなることがあり、相対湿度が上がります。冷房の効いた部屋の床下だけが結露している、というケースは珍しくありません。

対策の順番

効く順に並べます。上から順に検討してください。

① 冷たい面を減らす

これが本丸です。窓の断熱(内窓、断熱シート、厚手のカーテン)、外壁に面した壁の断熱改修。表面温度が上がれば、露点に達しません。結露対策としては最も確実で、暖房費にも効きます。

② 空気を動かす

冷たい面の近くで空気が止まっていると、その一角だけ温度が下がります。家具を壁から離す、サーキュレーターで風を当てる。カーテンを閉め切ると窓とカーテンの間が冷えるので、朝は開けて空気を通します。

③ 水蒸気を減らす

発生源を断つ、という考え方です。石油ストーブやガスファンヒーターは燃焼時に水蒸気を出します。部屋干し、加湿器、鍋料理も同じです。「加湿しているのに結露する」ではなく、「加湿しているから結露する」という関係になっています。

④ 換気する

2003年7月以降に着工した住宅には24時間換気が義務づけられており、建築基準法施行令第20条の8で住宅等の居室は0.5回/hの換気回数が定められています。寒いからと切ってしまうと、水蒸気の逃げ道が閉じます。結露の相談で、最初に確認する項目のひとつです。

日本海側は、冬が本番

気象庁の平年値(1991〜2020年)を47都道府県で比べると、日本海側では冬のほうが湿度が高いことがわかります。富山は1月82%に対して8月77%、福井は1月82%に対して8月73%。東京(1月51%/8月74%)とは逆の形です。

つまり日本海側では、外気が湿っている状態で暖房を使うことになります。結露の条件としては、これ以上ないほど揃っています。都道府県別の気温・湿度・降水量の比較で、ご自身の地域の傾向を確認できます。

賃貸の場合は、「伝えたか」が分かれ目になる

賃貸住宅で結露によるカビが出た場合、負担の分かれ目は別のところにあります。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、「結露を放置したことにより拡大したカビ、シミ」を、通常の使用を超えるものと判断しうる例として挙げています。カビが出たこと自体ではなく、貸主に伝えたか、手入れをしたかが問われます。詳しくは賃貸のカビは誰の負担か|国土交通省ガイドラインが示す分かれ目で解説しています。

新築でも結露する

「新しい家だから結露しない」とは限りません。断熱性能が上がると室内は暖かく保てますが、サッシまわりや断熱の切れ目といった局所的に冷える部分は残ります。性能が上がるほど、弱点が目立つ形になることもあります。

加えて、竣工直後はコンクリートが水を出し続けているため、室内の水蒸気量そのものが多い状態です。入居1〜2年目の冬は、とくに注意が要ります。

よくある質問

Q. 窓の結露を毎朝拭いています。それで十分ですか。
A. 拭くのは対症療法です。水が出ること自体は止まっていないので、窓枠やカーテン、下地には水分が残ります。表面温度を上げるほうが根本的です。

Q. 除湿機を回しているのに結露します。
A. 結露は表面温度で決まるため、湿度を下げても冷たい面が残っていれば発生します。断熱と空気の流れを先に見てください。

Q. 押入れの壁だけカビます。
A. 外壁に面した押入れは、冷たい面と空気の停滞が重なる典型的な場所です。すのこを敷く、物を詰め込みすぎない、扉を開ける時間をつくることで変わります。

まとめ

結露は湿度の問題ではなく温度差の問題です。だから対策は、除湿より先に「冷たい面をなくす」「空気を動かす」から始めます。

そして結露によるカビは、出る場所が決まっています。いつも同じ面にだけ出るなら、その面が冷えているということです。原因は部屋ではなく、その一面にあります。

参考資料(一次情報)

  • 建築基準法施行令第20条の8(機械換気設備の必要換気回数:住宅等の居室0.5回/h、その他の居室0.3回/h。シックハウス対策として平成15年7月1日施行)
  • 厚生労働省「建築物環境衛生管理基準について」(相対湿度40%以上70%以下、温度18℃以上28℃以下ほか)
  • 気象庁「過去の気象データ検索」平年値(1991〜2020年)— 都道府県別の月平均気温・月平均相対湿度