「秋カビ対策」を場所ごとに分けて書いていた記事と、台風・衣替え・秋雨の記事を1本にまとめ直しました。カビの季節というと梅雨を思い浮かべますが、東京の平年値では9月と10月の雨量は6月・7月より多いのです。秋は、梅雨と同じ条件が、夏の間に溜まった汚れの上にもう一度やってくる季節です。
結論:秋のカビは「夏の残り」と「秋雨・台風」の2段構え。対策の順番は3つ
- 先に、夏の間に育ったカビを片づける。エアコン内部、浴室、寝具、冷蔵庫。梅雨から夏に増えたカビは、9月にまだそのまま残っています。秋雨の前に減らしておくと、秋の発芽が減ります。
- 次に、秋雨と台風の湿気を家の中に入れない。外気の湿度が高い日は窓を開けず、換気扇と除湿で空気を動かします。晴れた日にまとめて開けます。
- 最後に、冬の結露に備える。衣替えは押入れとクローゼットを空にできる唯一の機会です。ここで中身を減らし、すのこを入れ、外壁側の面を空けておくと、冬のカビが減ります。
秋にカビが出る理由は、気象庁の平年値でそのまま説明できる
東京の月別平年値(1991〜2020年)を見ると、9月は平均気温23.3℃・相対湿度75%・降水量224.9mm、10月は18.0℃・71%・234.8mmです。6月は21.9℃・75%・167.8mm、7月は25.7℃・76%・156.2mm。つまり9月は6月とほぼ同じ温度と湿度で、雨量は3割以上多いということです。10月の雨量は年間で最も多くなっています。
台風もこの時期に集中します。気象庁の平年値(1991〜2020年)では、台風の日本への接近数は8月3.3個・9月3.3個、上陸数は9月が1.0個で年間で最も多い月です。台風が来ると雨で外気湿度が上がるだけでなく、気圧の変化と強風で建物の隙間から湿った空気が押し込まれ、通過後に気温が上がって蒸し暑くなります。この数日で、夏の間に胞子が落ちていた場所が一斉に発芽します。
加えて、夏と違って秋は朝晩の気温差が出ます。日中に暖まった室内の空気が、夜に冷えた北側の壁や窓で結露します。梅雨の湿気によるカビと、冬の結露によるカビの、両方の条件が同時に起きるのが秋です。地域別の温湿度は都道府県別|建物のカビと気温・湿度・降水量の関係で確認できます。
順番① 夏の残りを片づける(9月中)
エアコン内部
冷房を使った夏の間、エアコンの内部は結露水で常に濡れ、そこにホコリが溜まっていました。冷房を止めた後も内部の湿気は残り、カビはそのまま育ちます。暖房を入れる前の10〜11月に、フィルターと吹き出し口を確認してください。暖房の最初の運転で、内部の胞子が温風とともに部屋に広がるからです。掃除の範囲と、業者に頼む線引きはエアコンのカビ|結露水とホコリの2つで決まる、掃除の頻度と線引きにまとめています。
浴室
家の中で最もカビが多い場所です。夏の間に天井や換気扇まわり、ドアの通気口に広がっていることがあります。見えているカビを落とすだけでなく、天井を拭き、換気扇のカバーを外してホコリを取ります。ここを放置すると、秋雨の湿気で浴室から廊下へ胞子が広がります。順位の理由はカビが発生しやすい場所ランキングを参照してください。
寝具
夏の寝具は汗と皮脂を吸っています。秋の晴れた日に干し、干せないマットレスは布団乾燥機で水分を飛ばします。夏用の寝具をしまう前に乾かすことが、来年の夏の対策でもあります。
冷蔵庫
秋は食材の量が増えます。夏の間に汁が垂れたパッキンや野菜室の隅で、低温でもカビは育ちます。詰め込む前に一度拭いてください。手順は冷蔵庫のカビにあります。
キッチン
油汚れは気温が高いうちが落としやすく、寒くなると固まって落ちにくくなります。シンクの排水口、三角コーナー、シンク下の収納は、寒くなる前に一度洗い、扉を開けて乾かします。
順番② 秋雨と台風の湿気を入れない(9〜10月)
梅雨と同じ考え方です。外気の湿度が高い日は、窓を開けると室内の湿度が上がります。窓は閉め、換気扇を回し、扇風機やサーキュレーターで室内の空気を動かします。エアコンの除湿を使う場合は、外気湿度が高い日ほど効きます。晴れて乾いた日に、押入れ・クローゼット・下駄箱・物入れの扉を開けて、まとめて空気を入れ替えます。
台風の前には、雨戸や窓の隙間からの浸水がないか確認し、床下換気孔の前に物を置いていないかを見ておきます。台風の通過後は、外気湿度が下がったところで一気に換気します。浸水した場合は、通常のカビ対策とは別の手順になります。水害によるカビ被害|浸水後の「泥出し→洗浄→消毒→乾燥」の順番を参照してください。
順番③ 衣替えで冬の結露に備える(10月)
衣替えは、押入れとクローゼットを空にできる年に2回の機会です。このとき、夏物をしまう前に乾かすこと、そして収納の中身を減らすことが、冬のカビ対策になります。
冬の押入れのカビは、外壁側の面が冷えて結露することで起きます。中身が詰まっていると、冷えた面に空気が触れず、湿気が逃げません。外壁側の面から物を離し、下と奥にすのこを入れて隙間をつくり、ハンガーは指1本分あけます。クリーニングのビニールカバーは外して収納します。具体的な順番は衣類のカビ|押入れ・クローゼットで起きる理由と、収納・換気の順番にまとめています。
衣替えの日は、湿気の多い日を避けてください。しまう衣類は洗濯して完全に乾かします。汗や皮脂が残った衣類は、それ自体がカビの栄養になります。
秋はダニのアレルゲンも増える
梅雨から夏に増えたダニは、秋になると死骸とフンが溜まります。これがカビの胞子と一緒にホコリとして舞い、鼻炎や喘息の症状が出やすい時期と重なります。ダニの死骸はカビの栄養にもなり、カビはダニの餌にもなるので、両者は同じ場所で増えます。寝具と布製品の洗濯・乾燥、掃除機がけは、カビとダニの両方に効きます。ダニとカビの関係はカビとダニを参照してください。
WHOは2009年の室内空気質ガイドラインで、湿気やカビのある建物と呼吸器症状、喘息の悪化などのリスク上昇との関連を示しています。秋に症状が出る場合は、住まいの湿気とホコリを疑ってみる価値があります。
秋のカビ対策チェックリスト
- エアコンのフィルターと吹き出し口を確認した(暖房を入れる前)
- 浴室の天井と換気扇を掃除した
- 夏の寝具を乾かしてからしまった
- 冷蔵庫のパッキンと野菜室を拭いた
- キッチンの油汚れとシンク下を寒くなる前に掃除した
- 雨の日は窓を閉めて換気扇、晴れの日に収納の扉を開けた
- 衣替えで押入れの中身を減らし、外壁側の面を空けた
- 気になる場所に湿度計を置いた(目安は厚生労働省の基準である相対湿度40〜70%)
よくある質問
Q. 秋になれば涼しくなるので、カビは自然に減りますか。
A. 減りません。9月の温度と湿度は6月とほぼ同じで、雨量は多くなります。10月に入って気温が下がっても、湿度は71%あります。減るのは11月以降で、そのころには冬の結露の季節が始まります。
Q. 台風のあとにカビ臭くなったのはなぜですか。
A. 台風の前後で外気湿度が上がり、通過後に気温が上がって蒸し暑くなります。夏の間に落ちていた胞子が、この数日で一斉に発芽したためです。通過後、外気湿度が下がった時点で一気に換気し、押入れや家具の裏を確認してください。
Q. 衣替えのとき、防虫剤と除湿剤を入れれば足りますか。
A. 中身が詰まったままでは、除湿剤の効く範囲は限られます。先に減らして隙間をつくり、その上で補助として使ってください。
まとめ
秋のカビは、夏の残りと秋雨・台風の2段構えで来ます。9月中に夏の間に育ったカビを片づけ、9〜10月は湿った外気を入れず、10月の衣替えで冬の結露に備える。この3つの順番で、秋と冬の両方のカビが減ります。季節ごとの対策は、梅雨のカビ対策、冬のカビとあわせて読んでください。家全体の基本は家庭でできるカビ対策の基本にまとめています。
参考資料(一次情報)
- 気象庁「東京 月別平年値(1991〜2020年)」平均気温・相対湿度・降水量
- 気象庁「台風の平年値(1991〜2020年)」発生数・接近数・上陸数
- 厚生労働省「建築物環境衛生管理基準」(相対湿度40%以上70%以下、温度18℃以上28℃以下)
- WHO「WHO guidelines for indoor air quality: dampness and mould」2009年
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