梅雨のカビ対策は、梅雨に入ってから始めると間に合いません。理由は単純で、カビが目に見える大きさになるまでには時間がかかり、見えたときにはすでに広がっているからです。そして梅雨は、関東甲信で平年6月7日ごろから7月19日ごろまで、約6週間続きます。
この記事では、気象庁の平年値をもとに梅雨の期間を確認したうえで、「梅雨入り前」「梅雨のあいだ」「梅雨明け後」の3段階で、やることを分けて整理します。
結論
- 梅雨入り前にやるのは「掃除」です。エアコン、浴室、窓まわり、押入れ。カビの種を減らしてから梅雨を迎えます。
- 梅雨のあいだにやるのは「空気を動かす」ことです。雨で窓を閉める日が続くほど、室内の湿気は逃げ場を失います。除湿と送風で補います。
- 梅雨明け後が、実は一番カビが出やすい時期です。気象庁の平年値では、気温20℃以上かつ湿度75%以上の「高リスク月」に該当する地点数は7月が最多。梅雨が明けても油断できません。
梅雨はいつからいつまでか
気象庁の平年値(1991〜2020年)では、梅雨入り・梅雨明けは次のとおりです。
- 沖縄:5月10日ごろ〜6月21日ごろ
- 九州南部:5月30日ごろ〜7月15日ごろ
- 九州北部・中国・近畿・東海:6月4〜6日ごろ〜7月19日ごろ
- 四国:6月5日ごろ〜7月17日ごろ
- 関東甲信:6月7日ごろ〜7月19日ごろ
- 北陸:6月11日ごろ〜7月23日ごろ
- 東北南部:6月12日ごろ〜7月24日ごろ
- 東北北部:6月15日ごろ〜7月28日ごろ
沖縄以外はおおむね6月上旬から7月下旬までの約6〜7週間です。年によって2〜3週間前後することがあるので、「6月に入ったら梅雨」と考えて準備するのが現実的です。
なぜ梅雨にカビが増えるのか
カビが育つ条件は温度・水分・栄養・時間の4つです(カビが育つ条件)。梅雨は、このうち温度と水分が同時に揃う最初の季節です。
気温が20℃を超えると、多くのカビの生育速度が上がります。厚生労働省の建築物環境衛生管理基準では相対湿度の上限を70%としていますが、梅雨の外気は70%を超える日が続き、窓を開けても湿度が下がらない状態になります。さらに雨で窓を閉め、室内干しをすれば、室内の湿度は外より高くなります(洗濯物の室内干しがカビを発生させる)。
もうひとつ見落とされがちなのが、梅雨の前に胞子がすでに家の中にあることです。冬のあいだにエアコン内部や浴室の目地、窓のパッキンで生き残っていたカビが、条件が揃った瞬間に広がります。だから、梅雨入り前の掃除に意味があります。
梅雨入り前(5月〜6月上旬):掃除でカビの種を減らす
- エアコン:冷房を使い始める前に、フィルターと吹き出し口を掃除します。内部のカビは、冷房を入れた瞬間に室内へ飛びます。内部まで黒い・においが出るなら、専門の洗浄を検討してください(エアコンのカビ)。
- 浴室:天井・壁・目地・ドアのパッキン。天井に残ったカビは、胞子を浴室全体に落とし続けます。
- 窓まわり:冬の結露でパッキンやサッシ溝に残ったカビを落とします(カビと結露)。
- 押入れ・クローゼット:中身を減らし、すのこで隙間をつくります(衣類のカビ|押入れ・クローゼット)。
- 冷蔵庫:パッキンと野菜室を空にして拭きます(冷蔵庫のカビ)。
- 床下換気口:物でふさがれていないか確認します。植木鉢や物置で塞がれている家が少なくありません(床下のカビ)。
梅雨のあいだ(6月〜7月中旬):空気を動かす
換気は「雨が止んだとき」に
雨の最中に窓を開けると、外の湿った空気が入ります。雨が止んで外の湿度が下がった時間帯に、対角の窓を2か所開けて風を通します。住宅の居室には建築基準法施行令第20条の8で0.5回/hの機械換気が求められていますが、これは最低限の換気量です。24時間換気のスイッチを切らないことは前提で、そのうえで窓換気を足します。
除湿と送風の使い分け
雨の日が続いて窓が開けられないときは、除湿機やエアコンの除湿運転で水蒸気を減らし、扇風機・サーキュレーターで空気を動かします。除湿は「水蒸気を減らす」、送風は「湿気の溜まり場をなくす」と役割が違うので、両方使います(カビ対策と扇風機)。
湿気の溜まり場を毎日つくらない
- 浴室は入浴後に壁の水滴を流し、換気扇を回し続ける。
- 室内干しは、扇風機を当てて早く乾かす。乾かない洗濯物を一晩置かない。
- 押入れ・クローゼットの扉を、晴れ間の日中は開けておく。
- 家具は壁から数cm離す。北側の壁に密着した家具の裏は、梅雨に一番早くカビます。
梅雨明け後(7月下旬〜9月):一番カビが出る時期
梅雨が明けると「カビの季節は終わった」と思われがちですが、逆です。気象庁の1991〜2020年平年値を47都道府県の県庁所在地で見ると、月平均気温20℃以上かつ相対湿度75%以上の高リスク条件に該当する地点数は、6月19地点、7月34地点、8月21地点、9月17地点で、7月がピークです(都道府県別の気候とカビ)。梅雨明け直後の7月下旬は、気温が上がりきったところに湿気が残っています。
この時期に問題になるのが、エアコンの結露水と、夏型結露です。冷房で冷えた壁や配管まわりに、外の暖かく湿った空気が触れて結露します。冬の結露と場所が違うため、気づかれにくいのが特徴です。
もうひとつ、梅雨のあいだに見えない場所で育ったカビが、梅雨明け後に「におい」や「黒い点」として現れます。家具の裏、押入れの奥、畳の裏。梅雨明けに一度、これらを点検してください。
湿気ではなく「水」が原因のこともある
梅雨に急にカビが出た場合、湿気ではなく、雨漏りや配管からの漏水が原因のことがあります。見分け方は、カビが特定の一か所から広がっているかどうかです。天井の隅、窓の下、水まわりの壁の裏。湿気によるカビは広く薄く出ますが、水が原因のカビは一点から濃く出ます。この場合は換気や除湿では止まりません。建物側の点検が必要です。
よくある質問
Q. 梅雨のあいだ、エアコンの除湿は一日中つけたほうがいいですか。
A. 湿度計で室内が70%を超える日は、つけておく価値があります。厚生労働省の基準は40〜70%です。電気代が気になる場合は、扇風機で空気を動かすだけでも、湿気の溜まり場は減らせます。
Q. 除湿剤を置けば足りますか。
A. 置き型の除湿剤が吸える量は限られており、部屋の湿度を下げる力はありません。押入れや靴箱など、閉じた小さな空間の補助と考えてください。
Q. 梅雨に体調を崩しやすいのはカビのせいですか。
A. 当社は医療機関ではないため判断できません。ただ、カビが増える時期に咳や鼻の症状が続く場合は、医療機関で住まいの状況を伝えてください(カビアレルギーと住まい)。
まとめ
梅雨のカビ対策は3段階に分けます。梅雨入り前は掃除でカビの種を減らし、梅雨のあいだは除湿と送風で空気を動かし、梅雨明け後は7月がピークであることを踏まえて点検する。一か所から濃く出るカビは湿気ではなく水が原因なので、建物側を疑ってください。
※当社は医療機関ではありません。体調に関することは医療機関にご相談ください。
参考資料(一次情報)
- 気象庁「昭和26年(1951年)以降の梅雨入りと梅雨明け」平年値(1991〜2020年の30年平均)
- 気象庁 過去の気象データ 1991〜2020年平年値(各県庁所在地の気象台・月別平均気温と相対湿度)
- 厚生労働省 建築物環境衛生管理基準(相対湿度40〜70%、温度18〜28℃)
- 建築基準法施行令 第20条の8(住宅等の居室の必要換気回数0.5回/h)
- WHO室内空気質ガイドライン 2009(湿気・カビ)












