執筆:MIST工法®カビバスターズ本部(株式会社せら) 本記事の数値は公的機関・学会の公開資料にもとづいています。
「カビを防ぐには湿度を何%にすればいいのか」「空気中のカビはどれくらいまでなら大丈夫なのか」。その答えは、施設の種類によって違います。9月27日から続けてきた施設別シリーズ全15回の要点を、1ページにまとめました。
この記事で分かること
- 施設別の湿度・空気中のカビの目安を一覧で比較
- それぞれの数値の出典(法令・国のガイドライン・学会規準)
- どの施設にも共通するカビ対策の考え方
1. 結論:どの施設でも「湿度を上げすぎない」「水をためない」「記録する」
- 湿度の目安は施設により40〜70%、50〜60%、60%、30〜80%などと幅がありますが、70%を超える状態が続くとカビが増えやすい点は共通です。文化庁のハンドブックでは、65%以上でカビ発生の危険度が一気に上昇するとしています。
- 空気中のカビの数の目安は、日本建築学会の規準で住宅1,000、事務所50(真菌)CFU/m³以下などが示されています。法令で数を定めた施設はありません。
- どの施設でも、加湿器・空調機・浴室・排水など水がたまる場所の点検と清掃が、カビ対策の中心です。
2. 施設別 カビと湿度の基準 一覧
| 施設 | 主な目安 | 出典 |
|---|---|---|
| 住宅 | 浮遊真菌 1,000 CFU/m³以下(超えたらI/O比2以下) | 日本建築学会 AIJES-A0002-2013 |
| 病院 | 手術室10・ICU200・一般病室500 CFU/m³以下 | 日本建築学会/HEAS-02-2022 |
| オフィス | 浮遊真菌50・浮遊細菌500 CFU/m³以下、湿度40〜70% | 日本建築学会/建築物衛生法 |
| 職場(事業所) | 湿度40〜70%・温度18〜28℃に努める、加湿装置は月1回点検 | 事務所衛生基準規則 |
| 学校 | 湿度30〜80%、CO₂ 1,500ppm以下、ダニ100匹/m²以下 | 学校環境衛生基準(文部科学省) |
| 保育園 | 湿度60%、室温 夏26〜28℃・冬20〜23℃ | 保育所における感染症対策ガイドライン |
| 介護施設 | 加湿器は毎日水交換、加湿装置は月1回以上点検・年1回以上清掃 | 介護現場における感染対策の手引き(厚生労働省) |
| 食品工場・厨房 | 調理場は湿度80%以下・温度25℃以下、天井は月1回以上清掃 | 大量調理施設衛生管理マニュアル(厚生労働省) |
| 飲食店 | 内壁・天井・床の清潔、換気と温湿度管理、器具の乾燥 | 食品衛生法施行規則 別表第17 |
| ホテル・旅館 | 防湿設備、温湿度計、湿度40〜70%(建築物衛生法の遵守) | 旅館業における衛生等管理要領 |
| 公衆浴場 | 天井は水滴が落ちない構造+湯気抜き、毎日清掃・月1回以上消毒 | 公衆浴場における衛生等管理要領 |
| 屋内プール | CO₂ 0.1%以下を維持できる換気設備、更衣室は毎日清掃 | 遊泳用プールの衛生基準 |
| 美容室・理容室 | 湿度40〜70%が望ましい、施設・排水溝は1日1回以上清掃 | 理容所及び美容所における衛生管理要領 |
| 博物館・図書館 | 収蔵庫は湿度50〜60%、65%以上でカビの危険が急上昇 | 文化庁ハンドブック |
| 賃貸住宅 | 結露は建物の問題であることが多い。通知せず放置したカビは借主負担に | 原状回復ガイドライン(国土交通省) |
施設名をクリックすると、各回の詳しい解説に進みます。
3. 湿度の目安を比べる
| 基準 | 湿度の目安 |
|---|---|
| 建築物衛生法・事務所衛生基準規則(オフィス・職場・ホテル等) | 40〜70% |
| 学校環境衛生基準 | 30〜80%が望ましい |
| 保育所における感染症対策ガイドライン | 60% |
| 文化庁(収蔵庫) | 50〜60%(65%以上でカビの危険度が急上昇) |
| 大量調理施設衛生管理マニュアル(調理場) | 80%以下が望ましい |
乾燥しすぎると、のどや肌、資料の乾燥の問題が出るため、下限が決められている基準もあります。住まいでは、40〜60%を目安にすると、乾燥とカビの両方を防ぎやすくなります。
4. 空気中のカビの数の目安(日本建築学会)
| 施設 | 目安 |
|---|---|
| 住宅 | 浮遊真菌 1,000 CFU/m³以下(超えたらI/O比2以下) |
| 事務所 | 浮遊真菌 50 CFU/m³以下、浮遊細菌 500 CFU/m³以下 |
| 病院 | 10/200/500 CFU/m³以下(部屋ごと、主に細菌が指標) |
これらは設計・維持管理のための参考値で、超えたら健康被害が出る境目の値ではありません。
5. どの施設にも共通するカビ対策
- 温湿度計を置いて記録する:感覚ではなく数字で管理
- 加湿器・加湿装置は水を替え、乾かす
- 空調機のドレンパン・フィルターを点検する
- 天井・窓の結露を見逃さない:換気・除湿・断熱で元から減らす
- 閉め切りの部屋・倉庫をつくらない
6. よくある質問
Q. カビを防ぐ湿度は何%ですか?
施設や基準によって異なりますが、建築物衛生法などでは40〜70%、文化庁の収蔵庫の目安では50〜60%とされ、65%以上でカビの危険度が一気に上がると説明されています。住まいでは40〜60%を目安にすると、乾燥とカビの両方を防ぎやすくなります。
Q. 空気中のカビの数に法律の基準はありますか?
建築物衛生法、学校環境衛生基準、事務所衛生基準規則など、どの法令にも空気中のカビの数の基準はありません。日本建築学会の規準(住宅1,000、事務所50 CFU/m³以下など)が参考として使われています。
Q. 自分の施設の空気中のカビを測るには?
空気を一定量吸引して培養する浮遊菌の測定で、室内と屋外の数を比べます。当社のカビ菌検査でも測定を行っています。
7. まとめ
- 湿度の目安は施設ごとに違うが、70%超が続くとカビが増えやすいのは共通
- 空気中のカビの数に法令の基準はなく、日本建築学会の規準が参考
- 対策の中心は水がたまる場所の点検・清掃と、温湿度の記録
施設・住まいのカビのご相談は、一般の方のお問い合わせ・法人のお問い合わせ、またはフリーダイヤル 0120-052-127 へ。
参考資料(一次情報)
- 各施設の出典は、上の一覧表の各回の記事末尾に掲載しています。
- 日本建築学会「微生物による室内空気汚染に関する設計・維持管理規準・同解説(AIJES-A0002-2013)」
- 厚生労働省「建築物環境衛生管理基準について」
- 文化庁「文化財(美術工芸品)保存施設、保存活用施設 設置・管理ハンドブック」
