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床下換気の基準|施行令22条の換気孔と、ベタ基礎の考え方

執筆:MIST工法®カビバスターズ本部(株式会社せら) 本記事の数値は公的機関の公開資料にもとづいています。

前回、床下の湿気には「地面を覆って止める」と「空気を通して乾かす」の2つの考え方があると書きました。第5回は、そのうちの通して乾かすほうを扱います。

床下の換気には、法令の基準と、住宅金融支援機構や国土技術政策総合研究所が示す基準があります。数字はいくつかありますが、覚えるべきは面積・間隔・ねずみの3つです。

そして、この連載で繰り返し出てくる話ですが、基準を満たしていることと、実際に空気が流れていることは別です。換気口がふさがれていれば、数字は満たしていても意味を持ちません。

この記事で分かること

  • 床下換気の法令基準(建築基準法施行令第22条)
  • 住宅金融支援機構・国総研が示す換気孔の面積と間隔
  • ねこ土台(基礎パッキン)という方式
  • 換気口がふさがれる7つのパターン
  • 「換気口があるのに効かない」ときに見るところ

1. 結論:覚えるのは面積・間隔・ねずみの3つ

図1 法令と、フラット35・国総研の基準。数字の出どころが違う
表1 床下換気の基準(出どころ別)
出どころ 内容
建築基準法施行令 第22条 最下階の居室の床が木造の場合、床の高さは直下の地面から床の上面まで45cm以上。外壁の床下部分には壁の長さ5m以下ごとに面積300cm²以上の換気孔を設け、ねずみの侵入を防ぐための設備をする。ただし床下をコンクリート、たたきその他これらに類する材料で覆う場合は適用しない
住宅金融支援機構【フラット35】在来木造の耐久性基準 有効換気面積300cm²以上の床下換気孔を間隔4m以下ごとに設ける。または1mあたり有効面積75cm²以上の換気孔を設ける。基礎は地面から基礎の上端または地面から土台下端までの高さ40cm以上
国土技術政策総合研究所 換気・通気計画ガイドライン(案) 有効換気面積300cm²以上の床下換気孔を間隔4m以内ごと。ねこ土台使用時は1m当たり有孔面積75cm²以上

数字を並べると混乱しますが、整理するとこうなります。

  1. 面積は1か所あたり300cm²以上。おおよそ17cm角、あるいは15cm×20cm程度の大きさです
  2. 間隔は4〜5m以下ごと。法令は「壁の長さ5m以下ごと」、フラット35と国総研は「間隔4m以下(以内)ごと」
  3. ねずみの侵入を防ぐ設備をあわせて設ける。これは法令で求められています

用語のたしかめ

300cm²というのは、面積の数字です。「有効」換気面積という言い方をするときは、金網や防鼠材で実際にふさがれる部分を除いた、空気が通る部分の面積を指します。金網の目が細かいほど、見た目の穴の大きさより有効面積は小さくなります。

2. 布基礎とベタ基礎、どちらの家か

床下の考え方は、基礎の形で変わります。大きく2つに分けられます。

図2 地面が土か、コンクリートで覆われているか
表2 布基礎とベタ基礎の違い
布基礎 ベタ基礎
形 建物の外周と主要な壁の下に、帯状に立ち上がる基礎 建物の下全面にコンクリートの底盤を打つ
床下の地面 土がむき出しのことがある。防湿コンクリートや防湿フィルムを施す場合もある 底盤のコンクリートが地面を覆っている
地面からの水蒸気 防湿の措置がなければ上がってくる 底盤で覆われている
施行令22条との関係 換気孔の規定が適用される 床下をコンクリートで覆う場合として、換気孔の規定が適用されないことがある
見分け方 床下点検口から見て、地面が土か、薄いコンクリートか 床下点検口から見て、床下全面がコンクリート

ただし、ベタ基礎であっても換気口を設けている家は多くあります。底盤で地面からの水蒸気は抑えられても、配管まわりからの湿気や、室内から下りてくる湿気、夏型結露は起こり得るためです。逆に、換気口をまったく設けない設計もあります。それが次回扱う基礎断熱です。

自分の家がどれかを、先に決める

  • 基礎の外周に換気口がある → 床下換気タイプ。換気口がふさがれていないかが最初の点検項目
  • 基礎の外周に換気口がなく、土台と基礎のあいだに隙間がある → ねこ土台(基礎パッキン)方式
  • どこにも開口がない → 基礎断熱の可能性があります。床下を室内側として扱う設計です(第7回)
  • 見た目で判断がつかないときは、建てた会社や図面で確認してください。床下換気タイプのつもりで基礎断熱の家の換気口を探しても見つかりません

3. ねこ土台(基礎パッキン)という方式

基礎の上に樹脂やモルタル製の部材をはさみ、土台と基礎のあいだにすきまをつくって空気を通す方式です。基礎に穴を開けないため、基礎の強度を欠きにくいという考え方があります。

国土技術政策総合研究所のガイドラインと、住宅金融支援機構の耐久性基準はどちらも、ねこ土台を使う場合の基準として1mあたり有孔面積75cm²以上を示しています。

表3 換気口とねこ土台の比較
換気口(基礎に穴を開ける) ねこ土台(基礎パッキン)
基準 1か所300cm²以上を4〜5m以下ごと 1mあたり有孔面積75cm²以上
空気の流れ方 穴のある位置に集中する 外周全体にわたって薄く通る
外から見たとき 基礎に四角い開口がある 基礎と土台のあいだに細い隙間がある
ふさがれやすさ 物を置かれるとふさがりやすい 隙間が細く、土やクモの巣で目詰まりすることがある
点検 開口の内側を見る 隙間の全周を見る

どちらの方式でも、空気が入る場所と出る場所が必要です。片側だけに開口があっても、空気は流れにくくなります。

4. 換気口がふさがれる7つのパターン

図3 基準を満たしていても、ふさがれば意味を持たない

実際の現場で多いのは、設計上は基準を満たしているのに、あとからふさがれているというものです。

表4 換気口がふさがれる7つのパターン
ふさぐもの 起きること 対処
物置・自転車・室外機 開口の前に物が置かれ、空気が入らない 15〜30cm程度離す。家の外周を一周して確認する
植栽・生け垣 成長して開口を覆う。土も寄る 刈り込む。開口の前は空けておく
土・砂の堆積 経年で地面が上がり、開口が埋まる 取り除く。敷地の勾配も見直す
増築・カーポート・ウッドデッキ 外周の一部が建物でふさがれる 増築部分の床下の換気経路を確認する
断熱リフォームでの閉塞 断熱材や気密処理で開口がふさがれる 施工した会社に換気の考え方を確認する(第31回)
防鼠材の目詰まり 金網に埃や土がたまり、有効面積が減る 掃除する。有効面積は見た目より小さいことを意識する
閉じたまま忘れている 開閉式の換気口を冬に閉じ、開け忘れる 開閉式かどうかを確かめる

外周を一周して、換気口の位置と状態を写真に撮っておくと、あとで相談するときに役立ちます。

5. 「換気口があるのに効かない」ときに見るところ

ふさがれていないのに床下が湿っている場合、次のどれかが起きている可能性があります。

表5 換気口があるのに効かないとき
状況 考えられること 確かめかた
入口はあるが出口がない 外周の一部にしか開口がなく、空気が通り抜けない 建物の全周で開口の位置を図面か写真で確認する
床下が区画されている 基礎の立ち上がりで床下が仕切られ、空気が回らない区画がある 点検口から見える範囲で、仕切りの有無を確認する
外の空気が湿っている 梅雨〜夏は外気の湿度が高く、入れても乾かない 気象庁の平年値では東京の6月75%、7月76%
地面からの水蒸気が多い 土がむき出しで、防湿の措置がない 点検口から地面を見る(第6回)
配管の漏れが続いている 換気では追いつかない量の水が入っている 水道メーターのパイロット、濡れている範囲
雨水が流れ込んでいる 敷地の勾配や基礎のひび割れから入る 大雨のあとに点検口から見る

国土技術政策総合研究所の「省エネと結露」は、気密・換気・通気のいずれかが欠けても耐久性に影響するとしています。床下についても、換気だけを見るのではなく、地面の防湿(第6回)とセットで考える必要があります。

賃貸・マンションの場合

賃貸住宅で床下の換気口がふさがれている場合、勝手に構造や設備に手を加えるのは避け、管理会社や貸主へ連絡してください。国土交通省の原状回復ガイドラインは、物件や設備が壊れて修繕が必要となった場合、賃貸人に修繕義務があるが、賃借人は通知する必要があり、通知を怠って被害が生じた場合は損害賠償を求められる可能性があるとしています。写真を添えて記録を残すのが確実です。

6. よくある質問

Q. 換気口は冬に閉じたほうがよいですか。

A. 開閉式の換気口を閉じる運用があることは知られていますが、閉じることの是非を定量的に示す公的資料は、本記事の執筆時点では見つかっていません(要追加調査)。ただ、閉じたまま春・梅雨を迎えると、地面からの水蒸気が抜けなくなります。閉じる運用をしている場合は、開け忘れに注意してください。

Q. 換気口の数が基準より少ない気がします。

A. 図面で確認するのが確実です。建てた年によって適用される規定が異なり、また床下をコンクリート等で覆う場合は施行令22条の換気孔の規定が適用されないとされています。新築から10年以内であれば、国土交通省の資料が示す「構造耐力上主要な部分」や「雨水の浸入を防止する部分」に該当するかも含めて、施工した会社に確認してください。

Q. 換気口を自分で増やせますか。

A. 基礎に穴を開けることは構造に関わります。鉄筋の位置や基礎の耐力に影響するため、自分で行うのは避けてください。増やす必要があるかどうかを含め、基礎工事を扱う会社に相談してください。

Q. 床下の換気口から虫が入ってきます。

A. 建築基準法施行令第22条は、換気孔に「ねずみの侵入を防ぐための設備」を設けることを求めています。防鼠材が破れている、外れているといった場合は補修の対象です。ただし、目の細かい網を足すと有効換気面積が減るため、面積とのバランスを施工会社に確認してください。

7. まとめ

  • 床下換気の基準は、面積300cm²以上・間隔4〜5m以下ごと・ねずみの侵入を防ぐ設備の3つ
  • ねこ土台(基礎パッキン)方式では、1mあたり有孔面積75cm²以上が基準
  • 施行令22条は、床下をコンクリート等で覆う場合には換気孔の規定を適用しないとしている
  • 基準を満たしていても、物置・植栽・土の堆積・増築などでふさがれれば意味を持たない
  • 換気だけでなく、地面の防湿(第6回)とセットで考える

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連載「建物の構造とカビ ― 床下・壁の中・小屋裏」全31回

全体像(第1〜3回)

床下・基礎(第4〜10回)

壁の中・外壁(第11〜18回)

小屋裏・屋根(第19〜22回)

開口部・水まわり(第23〜27回)

  • 第23回(10/23)窓まわりの結露が壁の中に入るとき|サッシ下部と窓台 (公開予定)
  • 第24回(10/24)玄関・勝手口・土間|床のレベル差と冷える面 (公開予定)
  • 第25回(10/25)浴室・ユニットバスの裏側|点検口から見えるもの (公開予定)
  • 第26回(10/26)キッチン・洗面台の下|配管まわりの小さな漏れ (公開予定)
  • 第27回(10/27)24時間換気と家全体の空気の流れ|負圧・正圧とカビ (公開予定)

点検と改修(第28〜31回)

  • 第28回(10/28)見えない場所のカビを疑うサイン|におい・シミ・床鳴り・建具の動き (公開予定)
  • 第29回(10/29)点検口はどこにあるか|自分で開けてよい場所・開けない場所 (公開予定)
  • 第30回(10/30)調査で何が分かるか|含水率計・サーモグラフィ・ファイバースコープ (公開予定)
  • 第31回(10/31)断熱改修・リフォームでカビを増やさないために (公開予定)

参考資料(一次情報)

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