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カビ取り屋の知恵袋

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サイディングとモルタル|外壁材で変わる水の逃げ方

執筆:MIST工法®カビバスターズ本部(株式会社せら) 本記事の数値は公的機関の公開資料にもとづいています。

第17回で、雨は継ぎ目と開口部から入ると書きました。第18回は、その継ぎ目の数と形が、外壁材によって違うという話です。

板を張るサイディングは、板と板のあいだに目地ができます。塗り重ねるモルタルは、面に継ぎ目がないかわりに、ひび割れが出ます。どちらにも、その材料なりの入口があります。

どちらが優れているという話ではありません。自分の家がどちらで、どこを見ればよいかを知るための整理です。

この記事で分かること

  • サイディングとモルタルで、継ぎ目の出かたがどう違うか
  • 外壁材ごとに、点検で見る場所が変わること
  • 通気構法かどうかを、外から確かめる方法
  • 軒の出が水の当たり方に関わること
  • 外壁の改修を検討するときに確かめること

1. 結論:継ぎ目の出かたが違う

図1 板を張るか、塗り重ねるか
表1 外壁材による違い(一般的な傾向)
窯業系サイディング モルタル(左官) 金属系サイディング
つくり方 板を工場で作り、現場で張る 下地の上に塗り重ねる 金属板を成形し、現場で張る
継ぎ目 板と板のあいだに目地ができる 面としては継ぎ目がない 板と板のあいだに継ぎ目
主な入口 目地のシーリング、釘・ビス穴 ひび割れ(クラック) 継ぎ目、留め付け部、端部
ひび割れ 板そのものが割れることがある 下地の動きに沿って出やすい 割れは出にくいが変形・腐食がある
点検で見るところ 目地の全長、板の欠け 面全体のひび、開口部の角 継ぎ目、端部、傷
重さ 比較的重い 下地を含めて重い 軽い

ここでの「一般的な傾向」は、材料の性質としての話です。実際の家では、施工と納まり、そして通気層の有無(第12回)のほうが結果に効いてきます。

2. サイディングの場合に見るところ

図2 目地の全長と、板の端
表2 サイディングで見るところ
見るところ 確かめること 記録
縦目地のシーリング 表面のひび、痩せ、外壁材との境目の切れ(第17回) 目地ごとに写真。方位を書く
横目地 板の重ね部分。水切りの形が保たれているか 同上
板の端・小口 欠け、割れ、塗膜の剥がれ 接写
釘・ビスの頭 浮き、錆、まわりのひび 接写
サッシまわり 四周のシーリング。とくに下端 窓ごとに
土台水切りの上 外壁の下端。汚れ、欠け しゃがんで撮る
貫通部 換気フード、エアコン配管、給湯の配管 まわりのシーリング

用語のたしかめ

窯業系サイディングは、表面の塗膜が水を弾いています。塗膜が傷むと、板そのものが水を含みやすくなります。雨のあとに、特定の板だけ色が濃く残る場合は、その板が水を含んでいる手がかりになります。乾き方の違いを写真に残してください。

3. モルタルの場合に見るところ

表3 モルタルで見るところ
見るところ 確かめること 記録
面全体のひび割れ 網目状か、直線か、長さ 定規を当てて接写
開口部の角 窓の四隅から斜めに出るひび 角ごとに
ひびからのしみ跡 雨の翌日に濡れ方が違う場所 雨の翌日に撮る
表面の浮き 触れずに、打診の必要があるか判断 専門の事業者に依頼
塗膜のチョーキング 手で触ると白い粉がつく(低い位置で) 手袋をして
水切り・見切りの部分 金物と面の取り合い 接写
ラス下地との関係 図面で構法を確認 図面の写真

国立研究開発法人建築研究所の資料は、外装仕上げの改修工法を選ぶ判定でひび割れ幅0.2mm以上、浮き代1.0mmという区分を示し、調査方法として打診法と赤外線サーモグラフィ法を挙げています。打診法は「比較的簡易な方法」で「誰でも実施可能」とされる一方、「人為的な判断誤差が発生しやすい」ともされています。

4. 通気構法かどうかを外から確かめる

第12回で見たとおり、外壁材の裏に通気層があるかどうかで、入った水と湿気の逃げ方が変わります。国土技術政策総合研究所のガイドライン(案)は、外装材と透湿防水シートのあいだに厚さ15mm以上の胴縁を用いてスペースを設けるとしています。

表4 通気構法かどうかの手がかり
確かめかた 通気構法の可能性 直張りの可能性
土台水切りの下を見る 外壁の下端と水切りのあいだに隙間がある 隙間がない、外壁が基礎に接している
軒の裏(軒天)の壁際を見る 細い隙間がある 隙間がない、塗装で埋まっている
屋根の頂部を見る 棟換気の部材がある 見当たらない
図面を見る 矩計図に胴縁と通気層の記載がある 記載がない
築年数 通気構法が一般化した以降の建築 それ以前の可能性

外構の工事で下端が埋まらないように

  • 駐車場のコンクリート、砂利、花壇、ウッドデッキで土台水切りの下がふさがることがあります
  • 住宅金融支援機構の【フラット35】在来木造の耐久性基準は、基礎の高さを地面から40cm以上としています
  • 外構の工事を頼むときは、水切りの下を埋めないでほしいと伝えてください
  • 同じ理由で、床下換気口(第5回)と通気層の入口(第12回)もふさがないでください

5. 軒の出と、水の当たり方

軒(屋根の張り出し)が深いと、外壁に当たる雨の量が減ります。住宅金融支援機構の【フラット35】在来木造の耐久性基準は、防腐・防蟻の措置の選択肢のひとつとして軒の出90cm以上を挙げています。

表5 軒の出・方位と点検の重み
条件 外壁への影響 点検の重み
軒が深い 外壁に当たる雨が減る 相対的に負担が小さい
軒が浅い・軒がない 外壁に直接当たる 目地・ひび割れの点検がより大事になる
南面・西面 日射が強く、乾きやすいが劣化も早い シーリングの点検を重点的に
北面 乾きにくい 藻・汚れ・湿りの点検を
隣家が近い面 風が通りにくく、乾きにくい 見えにくいが、状態を確認する
バルコニーの下 納まりが複雑になる 取り合いの点検を

6. 改修を検討するときに確かめること

図3 塗るのか、張り替えるのか、通気をどうするのか
表6 外壁の改修で確かめること
工事 確かめること 通気層との関係
塗装 下地処理とシーリングの打ち替えが工程に入っているか(第17回) 軒天の通気の隙間を塗りつぶさないか
シーリングの打ち替え 撤去してから打つか、増し打ちか ふさいではいけない目地がないか
カバー工法(重ね張り) 既存の外壁の状態。重さが増える 通気層をどう確保するか
張り替え 下地の状態を確認できる機会になる 通気構法へ変える選択肢がある
部分補修 同じ材料・色が手に入るか 納まりが変わらないか
断熱の追加 層の並びが変わる(第13回・第31回) 防湿層と通気層の位置

外壁を張り替える工事は、壁の中を見られる数少ない機会です。断熱材の状態、木部の色、透湿防水シートの状態を、写真に残してもらってください。第8回の記録と同じ考え方です。

費用は、面積・階数・足場の条件・既存の状態で変わります。現地調査のうえで見積りを出すのが前提になり、現地を見ずに出る金額は目安にとどまります。

7. よくある質問

Q. 自分の家がサイディングかモルタルか分かりません。

A. 外壁に一定の間隔で縦の線(目地)が入っていればサイディングの可能性が高く、面に継ぎ目がなければモルタルの可能性があります。ただし、モルタルの上から塗装で目地風の模様をつけている場合もあります。外壁を軽く叩いたときの音の違い(板は軽い音、モルタルは詰まった音)も手がかりですが、確実なのは図面の確認です。

Q. モルタルのひび割れは、放っておくと雨漏りしますか。

A. ひび割れがあれば雨が入る、と決まっているわけではありません。通気層と透湿防水シートがあれば、入った水が処理される場合があります。一方、直張りでひび割れが貫通していれば、下地まで届くことがあります。ひびの記録(幅・長さ・場所・しみ跡の有無)を残し、雨の翌日の室内側の変化とあわせて見てください。

Q. サイディングの目地をすべて埋めてもらってよいですか。

A. ふさいではいけない部分があります。通気を確保する目地や、水を抜くための開口をふさぐと、入った水の逃げ道がなくなります。施工する事業者に、通気層の入口・出口を確保する納まりになっているかを確認してください(第12回)。

Q. 北側の外壁が緑色になっています。

A. 日射が少なく乾きにくい面では、藻類が付着することがあります。それ自体が直ちに構造の問題を示すものではありませんが、その面が乾きにくいという手がかりになります。室内側の同じ位置に、シミやにおいがないかもあわせて見てください。

Q. 外壁の改修と、室内のカビの対処は、どちらを先にすべきですか。

A. 水の出所が外にあるなら、外を先に止めるのが順番です。室内側だけを直しても、入り続ければ戻ります。ただし、原因が結露であれば、外壁の改修では変わりません。第14回の「いつ濡れるか」で切り分けてから決めてください。判断がつかない場合は、調査(第30回)で範囲と原因を絞る方法があります。

8. まとめ

  • サイディングは目地、モルタルはひび割れ。材料によって入口の出かたが違う
  • 実際には、材料よりも施工と納まり、通気層の有無が効いてくる
  • 通気構法かどうかは、土台水切りの下と軒天の壁際で手がかりが得られる
  • 軒が浅い面、南・西面、隣家が近い面は、点検の重みが変わる
  • 外構の工事で、水切りの下・換気口・通気層の入口をふさがない
  • 張り替えは壁の中を見られる機会。写真を残してもらう

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自分で試して2回落ちない、面積が広い、壁や床の内側から出ている、においが消えない――そうしたカビは、原因調査から入る専門業者の領域です。MIST工法®カビバスターズは全国に加盟店があります。まずはお近くの店舗、または本部にご相談ください。

連載「建物の構造とカビ ― 床下・壁の中・小屋裏」全31回

全体像(第1〜3回)

床下・基礎(第4〜10回)

壁の中・外壁(第11〜18回)

小屋裏・屋根(第19〜22回)

開口部・水まわり(第23〜27回)

  • 第23回(10/23)窓まわりの結露が壁の中に入るとき|サッシ下部と窓台 (公開予定)
  • 第24回(10/24)玄関・勝手口・土間|床のレベル差と冷える面 (公開予定)
  • 第25回(10/25)浴室・ユニットバスの裏側|点検口から見えるもの (公開予定)
  • 第26回(10/26)キッチン・洗面台の下|配管まわりの小さな漏れ (公開予定)
  • 第27回(10/27)24時間換気と家全体の空気の流れ|負圧・正圧とカビ (公開予定)

点検と改修(第28〜31回)

  • 第28回(10/28)見えない場所のカビを疑うサイン|におい・シミ・床鳴り・建具の動き (公開予定)
  • 第29回(10/29)点検口はどこにあるか|自分で開けてよい場所・開けない場所 (公開予定)
  • 第30回(10/30)調査で何が分かるか|含水率計・サーモグラフィ・ファイバースコープ (公開予定)
  • 第31回(10/31)断熱改修・リフォームでカビを増やさないために (公開予定)

参考資料(一次情報)

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